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zoom RSS ビルマの竪琴 (1956) 日活

<<   作成日時 : 2012/02/07 21:08   >>

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[733]水島の言う「北」とはどこだったのか…?
★★★★★★

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これは正月に観た映画。
久し振り…、といっても4、5年ぶりなんだけど。
じつはけっこうたまに観てる、恥ずかしながら…(笑)。

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監督は市川昆、原作はもちろん竹山道雄。

はじめて観たのは小学5年生のころ…?
ワンワン泣いたのも憶えてる(笑)。
映像がよほど鮮烈だったんだろうな、
あちこちのシーンもその頃からずっと鮮明に憶えてた。
「二十四の瞳」と双璧かな…?

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学生時代だけど、小説も何回か読んだな。

これは水島(安井昌二)が
隊へ帰ろうとして行き倒れそうになったシーン。
ビルマ(ミャンマー)の農民が、
お坊さんだと思って食べ物を差し出すんだよね。
水島はガツガツとむさぼり食う…。

この映画1本で子供の私は安井昌二の大ファンになった。
でもいま思うと、安井昌二はこれ1本だったかも…(笑)。

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いちばん鮮烈に憶えてるシーン。

帰隊の途中、
水島はあちこちで野放しになった日本兵の屍に遭遇する。
この川べりもそのひとつ。
水島はいたたまれず、水辺をピチャピチャと走り、
その場を離れようとする…。

水島の姿と、そのピチャピチャの音が
子供心にたまらなかったのだとおもう。

え? ピチャピチャの足音聞こえなかった?
おかしいなあ、私には大きすぎるほど聞こえたのに…(笑)。

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戦争が終わり、
井上(三国連太郎)を隊長とする水島の隊は捕虜収容所へ…。

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ある日、水島は隊長の命のもとに三角山へ行く。
山に篭って戦っている同胞に投降を呼びかけるためだ。
が、説得は失敗、その隊は全滅。
水島は山腹の洞窟から転げ落ち、ビルマ僧に助けられる。

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隊へ帰ろうとするが、前述のように、
途中で散乱している日本兵の屍を見て、帰らず、
屍をひとつひとつ埋葬しはじめる。

隊長をはじめ、戦友たちは水島を心配し、待ってる。

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ある日、労働に出た戦友たちは橋の上で
水島によく似た僧に出会う。

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井上隊長も水島ではないかと疑うが、
インコを肩に乗せたその若い僧は黙って立ち去る。

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あまりにも有名なシーンだよね。

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このころの日本の俳優は素晴らしかった(笑)。
徹底して「ブツ(物)」だもんね。

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これは水島が消えたあとの収容所内の様子。

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収容所へ物を売りにくるビルマのおばあさん。
兵士たちと物々交換してあげるの、
片言日本語喋りながら…。

子供のころは「ビルマの女性だ、日本語うまいなあ」
と思ってたんだけど、なんのなんの、北林谷栄さんだったのよ(笑)。

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故国へ帰る馴染みの日本兵を
鉄条網越しに見送るビルマの物売りおばあさん。
いい顔だよねえ、抱きつきたくなる…!(笑)
もう大好き、北林さん…!

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ある日、
労働の休憩時に、仏像の前で歌をうたう井上隊。
そう。この映画、半ミュージカル…(笑)。

井上隊長は音大出身で、隊員たちに歌を仕込むんだよね。
隊長が、オラが三国連太郎さんだから、
「うそ〜!」って言いたくなるけど、そこはグッと抑えて…(笑)。

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像内にいた水島はその歌声を聞き、
思わずビルマの竪琴をかき鳴らす。

隊員たちが水島だと思い、像の中へ入ろうとするのだが、
休息時間が終わり、労働へ戻る。

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その後ろ姿を見送る水島…。

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じつはこの時にも会っていた。
水島はほかの僧たちに交じり、遺骨を抱えていた。

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ここも私の好きなシーン。
寺院のある風景がなんとも言えなくて…。

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ある日、外にあの若い僧が来てると知り、
隊員たちは表に走り出た。

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隊が帰国すると知って、別れに来たんだよね。
子供のころ、ボロボロ泣いたのはココ。
ま、観るたびに泣いちゃうけどさ…(笑)。

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兵士たちは、水島じゃないかと歌いはじめる。
もちろんあの歌…、「埴生の宿」。

子供のころに泣いたのは、半分はこの歌のせい?
よく知ってる歌がこういうふうに映画の主題歌として歌われるとは
想像だにしてなかったもんな(笑)。

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水島がその歌に合わせてビルマの竪琴をかき鳴らす。

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子供のころ、ハーモニカだギターだと楽器をかじっていた。
とうぜん才能ないからなにもモノにできなかったが、
いま思うと、私はこの水島に憧れていたのだろう。

唐さん(唐十郎)もそうじゃないのかと疑っているが…(笑)。

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水島だとわかり、戦友たちは口々に呼びかける。
「おい、水島、一緒に日本に帰ろう」と…。

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だが水島は答えず、「仰げば尊し」をひきはじめた。
別れの歌を…。

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そして、終わるとひとりビルマの森の中へ消えた。

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井上隊長は、帰国する船の上で水島の手紙を読んだ。
そこには…、自分は、山河に散らばった
同胞の屍を残して帰るわけにはいかないのです、とあった。

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物売りおばさんが若い僧から手紙と一緒に預かったという
インコもくちを開いた。

 アア、ヤッパリジブンハ、
 カエルワケニハイカナイ…。

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戦後、「ビルマの竪琴」論争があった。
これは英霊賛美じゃないか…、という論争だったかな?
いっぱい読んだんだけど忘れたわ(笑)。
ただ憶えてるのは、オレには関係ないなあって思ったこと…?

たしかに他国ビルマへ侵略した内省は抜けてるし、
水島の屍という言葉に英霊のイメージがないではない。

が、私はそんなこととは
何の関係もないところでこれを観ていた。

水島は、
屍を埋葬するために自分は北へ北へと向かった、
と言っているのだが、

この「北」とは、私は、
生と死が同時に見渡せる「場所」のことを言っているのだとおもう。
言いかえると、内部ではなく、外部と接する周縁のことだ。

周縁で生きる…。
そんな生き方もあるのかといたく感動したのだ。

そして子供の頃、これを観て以来、
私はその「北」へ消えた水島の影をもとめてずっと生きてきた
ような気がする。
ちょっとカッコ良すぎるけど、こころはホントだよ…(笑)。

余談だが、若き唐十郎は、
この「ビルマの竪琴」をヒントに「ジョン・シルバー」シリーズを書いた。
肩にオウムを乗せた義足の男ジョンシルバーとは、
肩にインコを乗せたこの水島のことだ。

と、一般に言われているのかどうか知らないが、
真性弟子の私が言うのだから間違いない…!(笑)

若き唐十郎がバングディッシュ公演へ出向いたのも、
じつは消えた水島を探しに行ったのだ。
ですよね、唐さん…?(笑)

「これだけは観ておきたい映画」の1本です。
あ…、みなさん、
オラが浜村純さんや西村晃さんに気づいてくれたかな…?(笑)


■116分 日本 ドラマ/戦争
監督:市川崑
製作:高木雅行
原作:竹山道雄「ビルマの竪琴」
脚本:和田夏十
撮影:横山実
美術:松山崇
編集:辻井正則
振付:横山はるひ
音楽:伊福部昭
特殊撮影:日活特殊技術部
助監督:舛田利雄
出演
三国連太郎 井上隊長
安井昌二 水島上等兵
浜村純 伊東軍曹
内藤武敏 小林一等兵
西村晃 馬場一等兵
春日俊二 牧一等兵
中原啓七 高木一等兵
伊藤寿章 橋本一等兵
土方弘 岡田上等兵
青木富夫 大山一等兵
花村信輝 中村上等兵
峰三平 阿部上等兵
千代京二 川上一等兵
森塚敏 兵隊5
北林谷栄 物売りの婆さん
沢村国太郎 その亭主
中村栄二 ビルマ老僧侶
佐野浅夫 脱走兵
三橋達也 三角山守備隊隊長
伊藤雄之助 村落の村長

1945年7月、ビルマ(現在のミャンマー)における日本軍の戦況は悪化の一途をたどっていた。物資や弾薬、食料は不足し、連合軍の猛攻になす術が無かった。
そんな折、日本軍のある小隊では、音楽学校出身の隊長が隊員に合唱を教え込んでいた。隊員達は歌うことによって隊の規律を維持し、辛い行軍の中も慰労し合い、さらなる団結力を高めていた。彼ら隊員の中でも水島上等兵は特に楽才に優れ、ビルマ伝統の竪琴「サウン・ガウ」の演奏はお手の物。部隊内でたびたび演奏を行い、隊員の人気の的だった。さらに水島はビルマ人の扮装もうまく、その姿で斥候に出ては、状況を竪琴による音楽暗号で小隊に知らせていた。

やがて日本は無条件降伏する。小隊は捕虜となり、ムドン(英語)の捕虜収容所に送られ、労働の日々を送る。しかし、山奥の「三角山」と呼ばれる地方では降伏を潔しとしない小隊がいまだに戦闘を続けており、彼らの全滅は時間の問題だった。彼ら日本軍を助けたい隊長はイギリス軍と交渉し、降伏説得の使者として、竪琴を携えた水島が赴くことになる。しかし、彼はそのまま消息を絶ってしまった。
収容所の鉄条網の中、隊員たちは水島の安否を気遣っていた。そんな彼らの前に、水島によく似た上座仏教の僧が現れる。彼は、肩に青いインコを留らせていた。隊員は思わずその僧を呼び止めたが、僧は一言も返さず、逃げるように歩み去る。
大体の事情を推察した隊長は、親しくしている物売りの老婆から、一羽のインコを譲り受ける。そのインコは、例の僧が肩に乗せていたインコの弟に当たる鳥だった。隊員たちはインコに「オーイ、ミズシマ、イッショニ、ニッポンヘカエロウ」と日本語を覚えこませる。数日後、隊が森の中で合唱していると、涅槃仏の胎内から竪琴の音が聞こえてきた。それは、まぎれもなく水島が奏でる旋律だった。隊員達は我を忘れ、大仏の体内につながる鉄扉を開けようとするが、固く閉ざされた扉はついに開かない。

やがて小隊は3日後に日本へ帰国することが決まった。隊員達は、例の青年僧が水島ではないかという思いを捨てきれず、彼を引き連れて帰ろうと毎日合唱した。歌う小隊は収容所の名物となり、柵の外から合唱に聞き惚れる現地人も増えたが、青年僧は現れない。隊長は、日本語を覚えこませたインコを青年僧に渡してくれるように物売りの老婆に頼む。
出発前日、青年僧が皆の前に姿を現した。収容所の柵ごしに隊員達は『埴生の宿』を合唱する。ついに青年僧はこらえ切れなくなったように竪琴を合唱に合わせてかき鳴らす。彼はやはり水島上等兵だったのだ。隊員達は一緒に日本へ帰ろうと必死に呼びかけた。しかし彼は黙ってうなだれ、『仰げば尊し』を弾く。祖国のメロディーに心打たれる隊員達を後に、水島は森の中へ去って行った。
翌日、帰国の途につく小隊のもとに、1羽のインコと封書が届く。そこには、水島が降伏への説得に向かってからの出来事が、克明に書き綴られていた。
水島は三角山に分け入り、立てこもる部隊を説得するも、結局その部隊は玉砕の道を選ぶ。戦闘に巻き込まれて傷ついた水島は崖から転げ落ち、通りかかった原住民に助けられる。ところが、実は彼らは人食い人種だった。彼らは水島を村に連れ帰り、太らせてから儀式の人身御供として捧げるべく、毎日ご馳走を食べさせる。
最初は村人の親切さに喜んでいた水島だったが、事情を悟って愕然とする。

やがて祭りの日がやってきた。盛大な焚火が熾され、縛られた水島は火炙りにされる。ところが、不意に強い風が起こり、村人が崇拝する精霊・ナッの祀られた木が激しくざわめきだす。「ナッ」のたたりを恐れ、慄く村人達。水島上等兵はとっさに竪琴を手に取り、精霊を鎮めるような曲を弾き始めた。やがて風も自然と収まり、村人は「精霊の怒りを鎮める水島の神通力」に感心する。そして生贄の儀式を中断し、水島に僧衣と、位の高い僧しか持つことができない腕輪を贈り、盛大に送り出してくれた。
ビルマ僧の姿でムドンを目指す水島が道々で目にするのは、無数の日本兵の死体だった。葬るものとておらず、無残に朽ち果て、蟻がたかり、蛆が涌く遺体の山。衝撃を受けた水島は、英霊を葬らずに自分だけ帰国することが申し訳なく、この地に留まろうと決心する。そして、水島は出家し、本物の僧侶となったのだった。
水島からの手紙は、祖国や懐かしい隊員たちへの惜別の想いと共に、強く静かな決意で結ばれていた。
手紙に感涙を注ぐ隊員たちの上で、インコは「アア、ヤッパリジブンハ、カエルワケニハイカナイ」と叫ぶのだった。

  

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