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zoom RSS 越前竹人形_2 (1963) 日本

<<   作成日時 : 2015/12/15 02:43   >>

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[1186]愛し合う喜助と玉枝の歯車は何故狂っていくのだろう

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玉枝は京へ戻ろうとまた渡し船に乗った。

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だが途中、凄まじい腹痛に襲われ、そのまま気を失った。

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気づくと淀川の川岸に横たわっていた。
すでに夕暮れだった。

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船頭は玉枝に言った。
「ヤヤはな、もうあんたの体にいやへんで。
川に流してしもたんや。誰が悪いと言うんやない。
この世に縁がなかったんや。これでええのや。
一目あんたに見せようと思うたんやけど、
人に見られてたら偉いこっちゃやさかいな。
わいの裁量で川に流してしもうた」

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「誰も知らへん。誰も見とらへん。
ここの水は深こうて流れが速い。
ヤヤも一緒に遠い処へ流れてくれおった」

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「おっちゃん、恩に着ます」
玉枝は老船頭に涙を流して礼を言った。

船頭は言うまでもなく我らが中村鴈治郎。
堪らんわな。鴈治郎の素晴らしい演技が観れるだけでも
この映画、必見の価値あるわな(^^♪

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夜、竹神村に雷鳴が轟いた。
「喜助はん」
喜助は玉枝の声を聞いた気がした。

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外に飛び出し、玉枝の名を呼んだ。

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稲妻の中に玉枝の姿が浮かび上がった。

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喜助は疲れた様子の玉枝を中に入れ、聞いた。
「体の方はどうだったん」
玉枝は「京の病院へ行ったら胃の具合がようなりました。
安心しておくれやす」と泣いた。
「どうしたん。何かあったんと違うか」
「何もあらへん。ここへ帰ってきたんが嬉しゅうて」

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喜助は布団を敷き、玉枝を寝かせた。
玉枝は言った。
「喜助はん」「何やねんの」
「これからわてらは何もかも良うなって、幸せに暮らせますなあ」
「そうや。これからは何もかも良うなるんや」
「わては嬉しゅうて嬉しゅうて」
玉枝はそう言って目を閉じた。

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喜助はすぐに済むからと言い、仕事に戻った。
「喜助さん」
また玉枝の呼ぶ声が聞こえた。

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喜助はハッと我に返り、玉枝のもとへ走った。

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玉枝の顔を見て驚いた。

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「玉枝さん、どうしたんや!
死んだらあかん! 死んだらあかん!」
「…………」
「死なんといて! 死なんといて!」
喜助は玉枝を抱き締め、声を張り上げた。
だが、玉枝が目を覚ますことは二度となかった。

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玉枝はヤヤの後を追うかのように
遠い処へ流れて行った。

玉枝が死んだあと喜助は竹人形作りを止めた。
何だかんだと言いながらも、結局、
玉枝の傍を離れて人形を作っていた自分を許せなかったのだろう。

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暫くして喜助は玉枝の後を追い、自ら命を絶った。
二人はいま竹藪の中で眠っていると言う。

物語的に付け加える事は何もないのだが、
観終わると何だが、
「母を知らない者は長くは生きられないのかも知れない」
という吉本隆明の言葉が胸に響いてくるよなあ。

芥川龍之介然り、太宰治然りで、玉枝も喜助も母知らず。
その事が互いに愛し合いながらも、何処か歯車が狂っていく
遠因になっているような気に襲われる。
哀しいねえ。

しかし俳優がホントいいよねえ。
若尾文子は物語的にはちと品があって美人過ぎる気もするけど、
物語をちょっとそっちに置いて
観ているぶんには、はあ、溜息が出る。
ケダモノになって襲いかかる西村晃似の番頭を
そう責めてばかりもいられんかもと悩むよな(爆)。

勝るとも劣らないのが若き日の山下洵一郎。
朴訥な喜助を見事に演じてるよねえ。
彼の出演作ではコレが一番かも。大拍手(^^♪

あ、ちょこっとだけど前半、我らが殿山泰司はんも
出てるでよ(^^♪

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宮川一夫の映像もほんとに美しい。
この美しさはやっぱりモノクロだからかも知れない。
カラーと違ってモノクロには、
光と影を、生と死を強烈に感じさせる力があるもんね。


※「越前竹人形_1」
※「越前竹人形_2」


■102分 日本 ロマンス/ドラマ
監督 吉村公三郎
製作 永田雅一
原作 水上勉
脚本 笠原良三
撮影 宮川一夫
美術 西岡善信
音楽 池野成
出演
若尾文子
山下洵一郎
中村玉緒
中村鴈治郎
殿山泰司
伊達三郎
浜村純
西村晃

水上勉の同名ベストセラー小説を、笠原良三が脚色し吉村公三郎が監督した文芸作品。宮川一夫の映像美が全編にわたり堪能できる。また若尾文子の魅力を十二分に引き出した吉村の演出も出色。
竹細工職人の喜助は、かつて父の世話になったという遊女の玉枝と出会い、たちまち心惹かれてしまう。喜助は金を工面して玉枝を身請けし、二人は結婚する。しかし喜助は新婚初夜から竹人形の制作に没頭し、玉枝を抱こうとしなかった。喜助の竹人形を仕入れるため、京都から忠平が訪れる。好色な忠平は応対した玉枝と関係を結んでしまう。父と玉枝との間に肉体関係がなかったことを知った喜助は喜び勇んで帰宅するが、そのときすでに玉枝は忠平の子供を身ごもっていた。

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