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zoom RSS 古都 (1963) 日本

<<   作成日時 : 2015/12/16 16:22   >>

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[1187]千重子と苗子の人生にそのまま古都=京都が視える

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いまなお京都観光ガイドブック代わりに読まれている
川端康成の小説「古都」の映画化。

といって馬鹿にしちゃ駄目だよ。
監督・中村登、撮影・成島東一郎、
絶世の日本美女、我らが岩下志麻二役という極め付の
素晴らしい映画なんだから(^^♪

おいこら阿保、何でDVDを冷凍庫に入れるんや。
なに、京都と志麻ちゃんが腐らないように保存しとくのだと? 
ギョッ、その手があったか!俺も保存しとこ(爆)

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春…、千重子(岩下志麻)は
老舗呉服問屋・丸太屋の一人娘である。
父を太吉郎(宮口精二)、母をしげ(中村芳子)と言い、
今日まで寵愛を一身に受け何不自由なく育てられてきた。

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両親が千重子を寵愛したのには実は訳があった。
娘は昔、祇園の夜桜を見に行った時、
花の下の腰掛けに置いてあった赤ん坊で、
あまりにも可愛いので思わず二人して攫ってきたのだった(^^♪
そ。罪滅ぼしの気持ちがあったのである。

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というのは実は千重子を傷つけないための真っ赤な嘘で、
店の問屋の格子の下で拾われた「捨て子」なのだと
彼女はとうに知っていた。どうして知ったのか。

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店先の古い格子が教えてくれたんだってさ。
ホントだってばあ。志麻さんに会ったら聞いてごらん(笑)。

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だが千重子にはもう親を探す気持ちはなかった。
十分に幸せだったからである。

しかしどうよ、綺麗だろう、おらが志麻さん。
画像も大きくしてあるし、保存しといた方がいいよ、冷凍庫に。
歳重ねて極道の妻になってもうてからでは遅いで。
あ、すんまへん志麻さん、つい本音が出てしもて(笑)。

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え、こういう美しい娘に育てる秘訣? せやなあ。
木やなあ。一に「木」の家屋で育てること違いますか(^^♪

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北山杉に惹かれている千恵子は
ある日、親友の真砂子(環三千世)と北山杉を見に出かけ、
偶然自分によく似た丸太磨きの女に遭遇した。

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若き日の岩下志麻によく似たこの女の名を苗子という(^^♪
父は北山杉を育てる職人だった。

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千重子を心密かに愛している男がいた。
手織り機で西陣の帯を織る職人・大友宗助の一人息子、
秀男(長門裕之)である。

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これは太吉郎が千重子のためにデザインしたものを、
秀夫が千重子のために精魂込めて織った帯である。
お、新感覚派川端の上を行く仕上がりだと私は褒めたい(笑)。
ついでに言っておくと音楽担当の武満徹も、
和楽器の現代音で攻めるのだが、こっちは褒められない。
映像の主調音より音が高過ぎるとオラは思う(^^♪

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夏…、祇園祭の夜、四条河原町。
千重子は偶然、北山で出会った丸太磨きの女を見かけた。
女が願掛けをしているのでそれとなく近づいた。

この願掛け処は、
もともと花街の芸舞妓さんが行う願掛け処なのかなあ。
京都の女、教えてたもれ(^^♪

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苗子は千重子の顔を見て一瞬息が止まっった。
去ろうとするがすぐに引き返して千重子に声を掛けた、
「あんた、姉さんや。神様の引き合わせどす」と。
苗子は双子の姉妹として生まれたが、貧しさのあまり
両親が千重子を捨ててしまい、生き別れてしまったのだ。

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千重子は他人の空似だと言いつつも、
彼女の両親のことを聞いた。
苗子は言う。父は赤ん坊の頃、
北山杉の枝打ちをしている最中に落ちて死んだ。
そして母も、と。そのため彼女は
幼い時から姉に会いたいと思い続けてきたのだった。

千重子は自分が北山杉に惹かれる理由が分かった。
苗子は千恵子に「お嬢さん」と呼び、
手を一握りして四条大橋の方へと去る。

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と、苗子は「千重子さん」と秀男に呼び止められ、
お嬢さんの帯を織らせて欲しいと訴えられた。
姉に会ってまだ動揺の消えない苗子は
ついしどろもどろに「おおきに」と答えてしまうのだった。

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閑話休題…、おらが浪花千栄子はんも出てまっせ。
大筋とは関係あらへん。茶屋のおかみさん役(^^♪

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若い頃京都で女給として働き、京都で舞台デビューしたから、
「古都やったたらうちが案内したるわ」言うて
押し掛け出演したんとちゃうやろか(笑)。

しかしここはどこの路地やろ。祇園にしては
通りが広過ぎる感じがするが、京都の女、教えて(^^♪

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こっちは我らが東野英治郎さん。秀男の父・大友宗助役。
おまえ、千重子お嬢さん好きやみたいだけど、
身分違うしなあと一人悩んでんのや、この父ちゃん。
ああ、この頃の映画はなんでこんなに贅沢できたんやろ(^^♪

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秀男が約束した帯のデザインを手に訪ねてきた。
千重子は言う。あの夜、
あなたが声を掛けたのは実は私の双子の姉妹の苗子です。
北山杉で働いています。あの子のために
「杉と赤松」の帯を織って届けていただけないか、と。
秀男は驚き戸惑うが、首を縦に振っった。

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千重子は北山へ苗子を訪ねた。

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そして苗子に秀男のことを話し、
彼の織る帯を受け取って欲しいと頼んだ。
苗子はあの夜、秀男は
千重子を愛していると感じたので躊躇するが、
姉妹の印に私が上げるのだという千重子の言葉に
頷かざるを得なかった。

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千重子は意を決して
母・しげに姉妹の苗子と出会ったことを打ち明けた。
しげは喜び、苗子を家へ連れておいでと言うのだが、
千重子は自分のことを「お嬢さん」と呼ぶ苗子は
来ないだろうと思った。

実はこのあたり、いかにも京都らしいお話で、
他国の人間にはちょっと皮膚感覚的に捉えずらいかもね(^^♪

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千重子は親友の真砂子と出掛けた店で偶然、
幼なじみの兄・竜助(吉田輝雄)に出会った。
彼は大きな呉服問屋の跡取り息子で大学院に通っていた。

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竜助は千重子を外へ誘い忠告した。
丸太屋の帳簿が怪しいという噂を耳にした、
お父さんは商売人というより芸術家、
一度あなたが番頭にきつく当たってみてはどうでしょう、
何なら私が立ち会います、と。

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千恵子は番頭の植村に帳簿を見せるようにと伝えた。
わっ、田中春男似の男だ。駄目だ、こりゃ。
絶対帳簿誤魔化しとるわ。おいこら、
早く白状した方が身のためだぞとおらも脅したのだが(^^♪

秋…、千重子は苗子に着物と草履を送った。

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一方、秀男は北山に苗子を訪ねた。
そして織った「杉と赤松」の帯生地を見せて言った、
時代祭りの時に是非この帯を締めてほしい、と。
秀男は苗子に千重子の影を見たのだった。

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その時代祭りの日。

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苗子は千重子に贈ってもらった着物に
「杉と赤松」の帯を締め、約束通り秀男の前に現れた(^^♪

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竜助は弟・真一(早川保)を連れて、千重子を誘い出した。
時代祭りの時、千恵子と秀男の姿を目撃したからだ。
千重子は言う、あれは私ではなく双子の姉妹の苗子です、と。
おらも言う、吉田輝雄似の竜助よ、ホッとしたべか、と(^^♪

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千重子が苗子に会いに行くと、
苗子は秀男に結婚を申し込まれたことを告白した。
千重子は喜び、結婚を勧めるのだが、
私はお嬢さんの幻、幻は嫌だと泣く。
千重子はそんな苗子に一度家へ来てほしいと頼む、
父と母もあなたに会いたいと言っているから、と。

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竜助の父親・水木惣平(柳永二郎)は太吉郎を訪ね、
竜助が丸太屋の仕事を手伝いたいと言っている、
実は息子はお嬢さんが好きなようで、
もし嫌でなかったら丸太屋の養子にしていただけないか
と話をした。
太吉郎が驚き、それではお宅の跡取りはと尋ねると、
うちは廃嫡すると惣平は言った、
人間の幸せはそんな処にはございませんなあ、と。

いやあ、柳永二郎さんが言うと滅茶リアリティあるよねえ(笑)。

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猪突猛進型の竜助はたちまち手伝いに現れ、
田中春男似の番頭・植村の悪事を見事に暴いた(^^♪

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冬…、小雪舞う夜。
苗子は千重子に貰った着物姿で丸太屋を訪れた。

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千重子の父・太吉郎と、母・しげは喜んで迎えた。

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千重子がこの家に一緒に住んで欲しいと頼むと、
私は北山杉の村の娘、こんな生活はできない、
たったいっぺんだけと思って来ました、
苗子はお嬢さんの幸せにちょっとだけでも障りたくないのです、
いっそ消えてしまいたいと泣いた。

千重子はそんな苗子に言った。
秀男さんと結婚しやす、
私も結婚します、大きな問屋の息子・水木竜助という方と、と。

彼女は選択したのだ。苗子に秀男を譲り、
竜助と結婚し、丸太屋を再建することで育ててくれた両親に
恩を返そう、と。

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千重子と苗子は並んで寝た。
母親の胎内で一緒だった時のように(^^♪
苗子は言った、「幸せってこんなんでっしゃろな」。
千重子は言った、
「幸せは短こうて寂しさは長いんと違うますやろか」。

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夜明け前。
苗子は言った、
「お嬢さん、これが私の一生の幸せでしたん」
千重子がまた来ておくれやすねと言うと、
苗子は首を横に振り、「お嬢さん、さいなら!」と、

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雪の小路を駆けて、消えた。

「古都」を初めて読んだのは学生の頃だが、
面白くないと思ったことを憶えている。
理由は単純だった。

ドラマの多くは破綻を描き、
その破綻の向こうに再生の道を探らせようとするが、
「古都」では決してその破綻は描かれず、
むしろ破綻の目を摘むかのように徹底して守りに
入っているかのように思えたからだ。
そう読むと血気盛んな若者には面白くも何ともないって(^^♪

が、今は少し違う。
千重子や苗子の生き方を見ていると、
ああ、これが京都という町の、そして人間の核だよなと思う。

御所のある京都はいつも政権争いに巻き込まれ、
何度も余所者に街を焼かれてきた歴史がある。
と、そこには破滅、破綻、焼失といった事への極度の恐れと
警戒が生まれたはずで、
それらが千重子や苗子の境遇、あるいは生き方を通して
良く描かれているなあと少しばかり驚嘆している。

京都のそうした歴史的背景を知ると知らないでは、
この作品の見方も随分違ってくるかもね。

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それにこの対比も上手いよねえ。
「北山杉」と「京の家並」。

北山杉は人間の手によって植えられ、
育てられ、何十年か後には家屋等の材として伐採され、
加工されたその材でもって家屋等が造られる。

その北山杉は両親の手元に置かれた苗子を、
そして北山杉で造形された家屋は、捨てられ、
もともと縁も所縁もなかった佐田夫婦の手で育てられた
(=加工された)千重子とも言える訳だが、

北山杉がこうした家屋等に作られていく事の中に、
まさに「木」による京都文化、ひいては日本文化の成り立ちが
よく表れているよね。

う〜ん。川端も日本人の心は
植物的器官である内臓によって作られる
という事を良く分かってたのかも(^^♪

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しかし美しいよねえ、志麻さん。
まことに恐るべき美しさ哉(^^♪
千重子と苗子もホントに上手に演じ分けているし、
永久保存版だね、これは。冷凍庫入れとこ💛


■105分 日本 文芸/ロマンス
監督: 中村登
製作: 桑田良太郎
原作: 川端康成
脚本: 権藤利英
撮影: 成島東一郎
音楽: 武満徹
出演
岩下志麻
吉田輝雄
早川保
長門裕之
環三千世
中村芳子
宮口精二
東野英治郎

都の老舗呉服問屋のひとり娘の千重子(岩下志麻)は父の太吉郎(宮口精二)と母しげ(中村芳子)の寵愛を受け何不自由なく育てられたが、実は捨て子なのであった。西陣の織屋の息子の秀男(長門裕之)は千重子への思いを心に秘める。或る日、清滝川沿いの北山杉の村を訪ねた千重子は自分と瓜二つの娘、苗子(岩下志麻・2役)を見る。やがて夏が来て祇園祭の宵宮、四条通で千重子と苗子は偶然に顔を合わせる。双方が互いを生き別れの双子の姉妹と直感するのだが…。
63年毎日映画コンクール助演男優賞・撮影賞、ブルーリボン賞音楽賞受賞の中村登監督第60作。

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内 容 ニックネーム/日時
はじめまして。神保町で岩下志麻さまの古都を見ました、豪華キャストの川端康成原作は ハッピーエンドの終わり方でほんとうによかったです、千恵子は竜介と家業を盛り立て竜介の実家が大企業に佐田の家も重要な関連企業に、苗子は名人になる秀雄と子だくさんの家庭を築き、かけがえのない姉妹で人生の苦難を乗り切る、竜介と秀雄は実業家と織名人として歴史に残る作品を生み出す、姉妹はほとんど同時に86歳の寿命を終える。  勝手に決めました、京都という歴史と人間の苦悩を楽しい解説?に感謝します。 音楽は紀ノ川を思い出しました。志麻さまの女優人生終盤の極道ものは参加すべきでなかったと確信します。失礼しました。
八重の桜
2017/03/12 20:21
はい、私も極道ものは辞めたほうが良かったのに、と思います!
てつ
2017/05/25 04:39
古都 (1963) 日本 こんな日は映画を観よう/BIGLOBEウェブリブログ
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