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zoom RSS パラダイス・ナウ_1 (2005) パレスチナ

<<   作成日時 : 2016/01/26 02:13   >>

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[1195]自爆攻撃に向かう若者たちの姿を描いたパレスチナ映画の傑作

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パレスチナ人監督ハニ・アブ・アサドが
イスラエル人プロデューサーと手を組み、
ヨーロッパ各国との共同製作というかたちで作りあげた作品。
自爆攻撃に向かう二人の若者の48時間の姿が描かれている。

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イスラエル占領地のヨルダン川西岸地区の北部・ナブルス。

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そこは四方八方すべてをロードブロックで囲まれた町である。
2003年にはハマス幹部がこの町でイスラエルに暗殺され、
イスラエル政府とパレスチナの対立を激化させている。

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幼馴染の青年サイードと
ハーレドは自動車修理工場で働いている。
生活環境は動揺に貧しく、サイードは寡黙、
ハーレドはどちらかといえば激情型である。
今日もイチャモンをつける客に我慢ならず、
客の車をぶっ壊して工場主に首を言い渡される。

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帰国したフランス生まれ、モロッコ育ちの留学生・スーハが
修理を頼んだ車を取りにくる。彼女の父親は
パレスチナの英雄(殉教者)として死んだ人物である。

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二人は仕事以外する事もなく、山で水パイプを吸っている。
ナブルスはゲリジム山とエバル山の間にある。
市域は28.6 km2、人口はおよそ32万人、過密都市だ。
画像は町の様子を中心に紹介している(^^♪

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スーハが自宅へ戻ろうとすると、
道路がイスラエル兵たちによって封鎖されている(右上)。
彼女は山道を下りて帰る。

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サイードは町へ下り、飯を食う。
どうやら自動車事故でも起きたようだ。食堂の
男客が「密告者」は家族もろとも殺してしまえと言っている。
サイードは家族は関係ないと返す。

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翌日、彼は写真屋に写真を撮って貰う。
写真屋が「笑って。笑わないと撮らないよ」と言うのだが、
サイードは笑おうとはしない。

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サイードは母・妹・弟との四人暮らしである。
その夜、彼は母親に「イスラエルの労働許可が取れた。
明日、テルアビブに行く」と告げる。母親は喜ぶ。

嘘である。実は所属している武装組織に、殺害された
二人のリーダーの報復ためテルアビブを自爆攻撃する、
期日は明日、実行者はサイードとハーレドと伝えられたのだ。

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サイードは家族と最後の食事をする。
手前の男は教師のジャマールである。
武装組織の一員で実は彼がサイードに密かに伝えたのだ。
この食事の時、弟が母親に「フィルターを変えた?水がまずい」
と尋ねるが、これは「水」をイスラエルがほとんど独占している
事を表している。

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未明、サイードはスーハの家へ行き、
預かっていた鍵をドア下に置いて帰ろうとするが、
起きていたスーハが気づいて彼を招き入れる。

サイードは英雄である彼女の父親の話を聞く。
彼女は「名誉より生きてほしかった」と言う。
サイードは返す。「彼のお陰で抵抗が続いている」と。
「別の方法があるでしょ」
「イスラエル次第だ。占領する限り抵抗する」

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意見は食い違うが、
サイードとスーハの間に仄かな恋心が芽生える。

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サイードがジャマールとアジトへ行く。
すでにハーレドが来ていた。
殉教を志願していた二人は喜び合う。

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二人は自爆攻撃者(殉教者)としてのテープを残し、

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同志たちと別れの晩餐を行い、

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体に爆発物を仕掛ける。
紐を引けば爆発する仕掛けで、
解除は仕掛けた組織の者にしかできない。
二人はスーツに身を包む。
結婚式の参列に現れたかのように思わせるためだ。

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組織のリーダー、アブ・カレムが別れにやって来た後、
サイードとハーレドはジャマールに誘導され、
車でテルアビブへ通じる境界域へ向かう。

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ハーレドに迷いは少しもないが、サイードの中には
「ほかに方法はないのか」と微かな迷いが生じている。
スーハに出会ったせいである。

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鉄条網を潜ったら買収したイスラエル人が案内してくれる、
幸運を祈る、とジャマールは境界域で二人を送り出す。

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二人は鉄条網を潜る。
と、そこへイスラエル兵の車が現れ、銃撃をしてくる。

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二人は慌てて必死に引き返すのだが、途中で逸れてしまう。

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ハーレドはジャマールに出会えた。二人は
すぐにアジトへ引き返し、リーダーのアブ・カレムに報告する。
彼は、ここは危ないと全員退去を命じる。
サイードが裏切ったのかも知れないと疑ったのだ。

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ハーレドと逸れたサイードは実は一人引き返し、
テルアビブ行のバスへ乗ろうとる。
が、子供が乗っていたので諦め、ナブルスへ戻る。

作戦延期を伝えるアブ・カレムに対し、
ハーレドはサイードは絶対に裏切らないと抗し、
一人サイードを探し始める。

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尾行するジャマールを撒いてサイードの家を訪ねるが、
彼の姿はない。ハーレドは
帰ったらここに電話するように伝えてくれとメモ書きを渡す。
母親はハーレドの服装と様子を見て事態を直感する。

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直後、サイードは自宅へ舞い戻るが、
結局、母親に会わずハーレドを探しに立ち去る。
自動車修理工場へ行くがハーレドが現れた形跡はない。
そこへまた車がおかしいとスーハが現れる。

修理中にひょんな事から腕時計が壊れ、
二人して町へ時計の修理に行く事になる。
スーハもサイードの様子がおかしい事に気づく。
擦れ違いで工場をハーレドが訪ねてくる。

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町の時計屋に殉教者と密告者のビデオが
置いてある事にスーハは驚く。

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ハーレドは山からナブルスの町を見下ろす。
サイードとスーハも山にいた。
サイードが言う。
「300万の人間が生きるために戦っているのに、
ナブルスは牢獄よ。私はここで何をしてるのかしら」と。

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「父は密告者だった。処刑された」
サイードの突然の告白にスーハはまた驚かされる。
「僕が10歳の時だ」「…その事を話したい?」
「話して何になる。占領が終わるか?
父が密告者だった事を忘れられるか? 
皆が知っている」「私は別」
「君に何が分かる。外国育ちで英雄の娘で住む世界が違う」
「そんな…」「話して君の同情を買う? 
いい生活をする人の余興だ」

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自分たちの過酷な現実を告げた後、
かれはスーハに愛を伝え、彼女の車から立ち去った。

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スーハはすぐにハーレドを探した。
見つけるといきなり「あなたもスーツ!?」と言い、
ハーレドのスーツを捲り上げた。
そして爆発物を外した跡を見て悲鳴を上げる。
ハーレドは聞いた。「やつはどこだ!」「東に向かった!」

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墓地だと直感し、ハーレドはスーハを乗せて東へ向かう。
二人の自爆攻撃の決行を知ったスーハは車の中で
「イスラエルに殺す理由を与えてはいけない」
と非暴力を解くが、ハーレドは言う。
「死は平等。地獄で生きるより天国の方がましだ」
繰り返されて来た二人の激しい応酬が続く。

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道路はイスラエル兵によって封鎖されている。
ハーレドは迂回して山道を墓地へと向かう。

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墓地にサイードが横たわっていた。
サイードは一緒にやって来たスーハに気づくと、
「おれは明日やる。彼女を連れて行け」と言い、走り出す。
ハーレドは追いかけ、サイードを捕まえると
ジャマールの元へ連れて行った。

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ハーレドが今後の計画を聞く。
ジャマールは答える。障害はなくなった、
いつでも決行できる、決めるのはお前たち自身だ、と。

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リーダーのアブ・カレムはサイードに、
君のお陰で多くの犠牲を払った、
これ以上君には任せられないと言った。
サイードは返す。

「僕は難民キャンプで生まれた。
西岸から出たのは6歳の時に1度だけ。
ここでの生活は牢獄と変わらない。占領者は罪深い。
最悪の犯罪は人の弱さにつけ込み密告者にすることだ。
そうやって抵抗者を殺し、家庭を破壊する。

占領者には僕の父を奪った責任がある。
密告者を雇うなら占領者はその代償を支払うべきだ。

尊厳のない人生。来る日も来る日も侮辱され、
無力感を感じながら生きて行く。
世界はそれを遠巻きに眺めているだけだ。

我々だけでこの抑圧に直面しているなら、
不正を終わらせる道を見つけるべきだ。
我々に安全がないのなら彼らにも安全はない。
力じゃない。力は彼らの助けにならない。
これを彼らに分からせたい。ほかに方法はない」

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「更に悪いのは
彼らは自分たちを被害者だと確信している事だ。
占領者が被害者だと? 彼らが被害者と加害者を
同時に演じるなら僕らもそうするしかない。
被害者であって殺人者となるしか。

あなたが何と言おうと僕はキャンプには戻らない」

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話し終えて現れたアブ・カレムにスーハは尋ねる。
「サイードは?」


※「パラダイス・ナウ_1」
※「パラダイス・ナウ_2」


■90分 フランス/ドイツ/オランダ/パレスチナ ドラマ
監督: ハニ・アブ・アサド
製作: ベロ・ベイアー
脚本: ハニ・アブ・アサド ベロ・ベイアー
撮影: アントワーヌ・エベルレ
出演
カイス・ナシェフ サイード
アリ・スリマン ハーレド
ルブナ・アザバル スーハ
アメル・レヘル ジャマール
ヒアム・アッバス サイードの母
アシュラフ・バルフム アブ・カレム

解決の糸口の見えないパレスチナ問題を、自爆攻撃に向かう2人の若者の視点から問い直す問題作。これまで決して語られることのなかった自爆攻撃者の複雑な内面に迫りつつ、それを肯定することなく、彼らが生み出されていく複雑な背景をありのままに描き出していく。各国で賛否を巡って活発な議論を呼び起こしたほか、パレスチナ映画としては初めてアカデミー外国語映画賞にノミネートされた際にはイスラエルの人々による大々的な反対運動が起るなど様々な物議を醸した。監督はパレスチナ人のハニ・アブ・アサド。また、共同プロデューサーの中にはイスラエル人プロデューサーも名を連ねている。
イスラエル占領地のヨルダン川西岸地区の町ナブルス。幼なじみサイードとハーレドは、この地区の他の若者同様、希望のない日々を送っていた。そんなある日、サイードはヨーロッパで教育を受けた女性スーハと出会い互いに惹かれ合う。しかしその矢先、彼とハーレドは、自爆志願者をつのるパレスチナ人組織の交渉代表者ジャマルからテルアビブでの自爆攻撃の実行者に指名されるのだった。

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