こんな日は映画を観よう

アクセスカウンタ

zoom RSS イル・ポスティーノ_1 (1994) イタリア

<<   作成日時 : 2016/01/13 16:43   >>

トラックバック 2 / コメント 0

[1192]村の青年は言った、この島の海と山を知らない者はこの惑星を知らないと

画像


チリの革命詩人パブロ・ネルーダ(1904〜73)が
イタリアに一時亡命した事を材に創られた作品。

ますだけいこさんのFBを覗いたらお正月に観た作品として
紹介がしてあったので、慌ててツタヤへレンタルに走り、
慌てて観たのだった(^^♪ もちろん観ていなかったから。

ツタヤへ走る途中、「サンチャゴに雨が降る」(1975)を思い出し、
あったらあれも借りようと思ったのだが、案の定ナシ。
無念!上映時に一度観ただけだもんなあ(泣)。

画像

1950年代前半。
ナポリの沖合にある小島の漁村カラ・ディ・ソット。
村は貧しく、水道もまだ通らず、貯水池の水も時々涸れてしまう。

青年マリオ(マッシモ・トロイージ)は
そこで父親と二人で暮らしているのだが、
ある日、漁は向いてないので止めたいと父親に漏らす。

画像

そして自転車で山を越え、町の映画館へ行った。
と、チリの世界的な詩人で外交官のパブロ・ネルーダが
祖国を追放されてイタリアに亡命し、
この島に滞在する事になったと映画ニュースが流れた。

いかにもイタリアらしくニュースは、
ネルーダは詩人なので女性にモテる!モテる、詩は愛だ、
愛は詩だ!と訳の分からん事を繰り返し強調した(^^♪
で、マリオはこれだ!俺も詩人になろう!と決心する(笑)。

画像

マリオは郵便局の配達員募集という貼り紙を見て応募した。
局長で共産党員のジョルジョは言った。
といっても局で働いているのは彼一人なのだが(^^♪
「配達先はパブロ・ネルーダのみ。給料は雀の涙」
「女に愛されてるあの詩人ですね」
「人民に愛されてる詩人だ!」
「人民もそうだが、女が凄い。映画で観た」
「まず人民だ! かれは共産党員なんだ!」(笑)

画像

女か人民かで少し揉めたが無事に採用され、
翌日から詩人ネルーダの家へ配達する事になった。

画像

彼の棲み処はカラ・ディ・ソット村の山の中腹にあった。

画像

はい、ゲバラとともに「アメリカ」の革命的ヒーローだった
我等が詩人パブロ・ネルーダ(^^♪
郵便物は全部女からのもの。
演じてるのはご覧のようにおらがフィリップ・ノワレ💛
いつもいつも何でお前がそんなに女にモテなくちゃ
いけないんだあ〜!とおらは思う(笑)。

あ、南米と言わずに「アメリカ」と言ったのは、
彼ら南米人にとってアメリカとは自分たちの大陸・南米の事
だったからだよ。で、U.S.Aの事を「北アメリカ」と呼ぶ。
そう、彼らはまさに正しい(^^♪

画像

来る日も来る日も郵便物は女からのものばかり。
局長で共産党員の我らがジョルジュ、マリオに曰く、
「チリでは女も政治に関心がある」(^^♪
マリオはチリの政治的事情など全然わかってなかった(笑)。

画像

朴訥、口下手のマリオは地味にネルーダへの接近を試みた。
彼の詩集を買ってサインを貰おうとするのだ。
ネルーダは僕の友人さ、ホラ見てごらん、この詩集を。
とサイン入りの詩集を見せて
ナポリの女たち全員を我がものにしようと企み(^^♪

画像

ネルーダは快くサインした。
「あの、僕の名前はマリオ・ルオッポロです」
家へ帰ってウヒヒと詩集を開いてみると、
ネルーダの名はあってもマリオの名は何処にもなかった(笑)。

古本屋に売る知恵もないので、
ネルーダを超える詩人になって女にモテてやる!
と、とりあえず彼のその詩集を読んだ。

画像

感想を言いたくなってマリオはネルーダに言った。
「人間であることに疲れる…、グッと来ました。俺にも時々
そんな気がする事があったけど上手く言えなかった。
読んでとても嬉しかった」

画像

「理髪店の匂いに私は涙にむせぶ。
あれは何故です?」
「マリオ、君が読んだ詩は別の言葉では表現できない。
説明したら陳腐になる。詩が示す情感を体験する事だ」
良く分からなかったがマリオは大きく頷いた。
と、自分が一歩女に、いや、詩人に近づいた気がした(^^♪

画像

世界的な詩人と臨時配達員の間に交流が芽生え始めた。
マリオはネルーダの詩に、言葉に
不思議と心を動かされる自分を感じた(^^♪

画像

そんなある日、彼は町の食堂に入った。
瞬間、心臓が止まるかと思う程の衝撃を味わった、
この美しき娘のせいで。
う、動くな、マリオ!と私が制して思わず彼女に近づこうとすると、
マリオが思いきし私の後頭部を殴ってきた(笑)。

画像

マリオはドン・ネルーダの処へ駆け込み訴えをした。
恋をした。娘の名前はベアトリーチェ。
彼女に詩を書いてくれ!と。
ドン・ネルーダは怒った。
「ダンテに頼め! 俺は無から詩は書けん!」(笑)

画像

恋に悩めるナポリ沖のダンテ(^^♪

画像

ネルーダにチリから録音テープが送られてきた。
かつて彼を議員に選んだ労働者年たちで、
誕生祝いのメッセージが入っていた。

ネルーダはマリオに言った。
ある時、炭鉱で働く男に出会った。彼が言った。
この苦しみを行った先で伝えてくれ、地下の地獄にいる兄弟の事をと。
その時人々の闘いに役立つものを書こうと思った。
「大いなる歌」を書いたが、その詩集を地下出版してくれたんだ、と。

画像

ネルーダは彼らへのお礼を吹き込むと、
この島で美しいものを彼らに伝えてくれとマリオにマイクを渡した。
正直者のマリオは「ベアトリーチェ」と恋する娘の名を吹き込んだ(爆)。
ネルーダは最高だと喜び食堂の彼女へ会いに行った(^^♪

画像

ネルーダは食堂へ行くとノートに
「私の親友で同志のマリオへ パブロ・ネルーダ」とサインし、
そのノートをマリオに贈った、君はもう詩人だ、
書きたくなったらこのノートに書けと言い(笑)。

画像

呪文効果は絶大だった。マリオは
ナポリ沖のダンテと化し、ナポリ沖のベアトリーチェを追いかけ、
日々彼女に愛の詩を贈った。ネルーダに学んだ隠喩を駆使し。
「君の微笑みは蝶のように顔に広がる」

画像

「君の笑いはまるでバラ 鋭い槍 溢れ出る水
君の微笑みは押し寄せる銀の波だ」

画像

彼女の心は最早ここにあらず、すっかり
ナポリ沖のダンテに恋するナポリ沖の少女
ベアトリーチェと化したのだった。ダンテの口にする言葉が
妻に贈ったパブロ・ネルーダの詩の一節だとも知らずに(笑)。

画像

ネルーダの亡命の日々はマリオのお陰で充実していた(^^♪
彼の手助けを借りながらこの小島の詩を書き、
愛する妻とダンスを楽しんだりした。

画像

と突然そこへ親代わりのベアトリーチェの叔母が
怒鳴り込んで来た。
マリオがあんたの教えた「いんゆ(隠喩)」で姪を誘惑した。
「それで?」「だからね、いんゆで姪を竈みたいに熱くしたのよ。
君の胸は二本の火柱だ!なんて言ったりして。
財産たら水虫くらいしか持ってないくせに。
あんたから直接マリオに言ってちょうだい、
死ぬまで二度と姪に近づくなって」(^^♪

画像

叔母が帰るとマリオはネルーダに言った。
「あなたは俺を助ける責任がある。
本をくれて言葉の使い道を教えてくれた。
恋したのはあなたのせいだ!」
「本はあげた。でも盗作は許してないぞ」
「詩は書いた人間のものじゃない。必要な人間のものだ!」
そうだそうだ!と傍で私も叫んだものだから、
ノーベル文学賞候補のネルーダはさすがに
マリオの言葉にタジタジになった(笑)。

画像

マリオは絶望の日々を送った。
何をする気にもなれなかった。人間である事が嫌になった。
と、そこへベアトリーチェが現れた。叔母も
恋に燃え盛る姪の気持ちを抑える事などできなかったのだ(^^♪

画像

二人はネルーダの立ち合いのもと教会で式を挙げた(^^♪

画像

マリオの父は喜んだ。マリオを
鬼の如く憎んでいたベアトリーチェの叔母も泣いて喜んだ。
村人たち皆で二人を祝福した。

その席上でネルーダは皆にもう一つの喜びを伝えた。
私たちの逮捕命令が取り消された。
これで私と妻マルチデは愛する祖国チリに帰れる、と。

画像

別れの日が来た。
ネルーダは、私の国では状況がいつ変わるか分からない、
すぐにまた追放されるかも知れない、
荷物を置いておくので時々見に来てくれないか
と友人マリオに言い残し、ネルーダ夫妻は海の向こうの国へ
と帰って行った。

画像

マリオは配達の仕事を失った。
心には自分でも想像しなかった程の大きな穴が開いた。
異邦人の去った村も以前の村に戻った。
まるで活気のない村に。

時々、ネルーダがロシアや
フランスを訪問してるというニュースが流れて来て、
マリオらはネルーダの声に縋りついた。
ネルーダの声を聞けば少し元気になれそうな気がしたのだが、
彼はイタリアでの亡命暮らしに触れる事はあっても、
カラ・ディ・ソット村やマリオらに触れる事はなかった。

ベアトリーチェの叔母は言った、
「餌を食べた鳥は立ち去る。私たちの事だって憶えてやしない」と。
おお、叔母さんまで見事な隠喩を獲得していた!
だからと言って皆の空洞が埋まる訳ではなかった(泣)。

画像

国の選挙が行われたが、
共産党は全州でキリスト教民主党に全敗した。
党員の郵便局長ジョルジョはむろんマリオもガックシ来た。

画像

ベアトリーチェが妊娠を告げた。
マリオは言った。
ネルーダにちなんで「パブリート」と名付けよう。
そして島を出よう、誰も理解してくれない、皆無知すぎる。
チリで詩を感じながら育てようと。

画像

祭礼の夜、ネルーダから漸く手紙が届いた。
マリオは高鳴る胸の鼓動を抑えて読んだ。
「イタリア滞在時のネルーダの品物を送って下さい」
ネルーダの秘書からの依頼書で他には何も書いてなかった( ノД`)

「餌を食べた鳥は立ち去る。自分に役立つ時だけ親切」
「生まれてくる子をパブリートとは呼ばないわ」
そう言って非難する叔母とベアトリーチェにマリオは言う。
俺が彼に何をしてあげたってんだ。
俺こそ彼に世話になったんだ。
俺が詩人の器でない事を知りながらも、
彼は俺を兄弟のように扱ってくれたんだ。
明日、荷物を送るよ、と。

画像

翌日、山の小屋を訪れて
ネルーダが残したテープを聞いた時、マリオには分かった。
ネルーダによって目を開かれた自分の方こそ
彼にお礼の手紙を書くべきだったのだ、と(^^♪


※「イル・ポスティーノ_1」
※「イル・ポスティーノ_2」


■107分 イタリア/フランス ドラマ
監督: マイケル・ラドフォード
製作: マリオ・チェッキ・ゴーリ
ヴィットリオ・チェッキ・ゴーリ ガエタノ・ダニエレ
原作: アントニオ・スカルメタ
脚本: アンナ・パヴィニャーノ
マイケル・ラドフォード フリオ・スカルペッリ
ジャコモ・スカルペッリ マッシモ・トロイージ
撮影: フランコ・ディ・ジャコモ
音楽: ルイス・エンリケス・バカロフ
出演
マッシモ・トロイージ
フィリップ・ノワレ
マリア・グラツィア・クチノッタ
リンダ・モレッティ
アンナ・ボナルート
レナート・スカルパ
アンナ・ボナイウート

実在した詩人パブロ・ネルーダに材を取ったA・スカルメタの原作を基に、イタリアの喜劇俳優M・トロイージが病に蝕まれた体で映画化にこぎつけた執念の作品。1950年代のイタリアを舞台に、ひとりの素朴な青年の成長をあたたかい眼差しで描き出している。
ナポリの沖合いに浮かぶ小さな島。そこへチリからイタリアに亡命してきた詩人パブロ・ネルーダが滞在する事になった。老いた父と暮らし、漁師になるのを望んでいない青年マリオは、世界中から送られてくるパブロへの郵便を届けるためだけの配達人の職につく。配達を続ける内に、年の差も越えて次第に友情を育んでいく二人。詩の素晴らしさを知ったマリオは、詩の隠喩についても教わる。やがてマリオは食堂で働くベアトリーチェという娘に一目惚れし、彼女に詩を送ろうとするのだが…。
異邦人との触れ合いによって、自分の故郷をもう一度見つめ直す主人公の姿が静かな感動を呼ぶ。逮捕命令が撤回されてパブロはやがて母国へと帰っていくが、それ以降の展開こそが重要な物語だ。パブロに届けようとマリオが島の様々な音を集めていくシーンなど一番の見せ場と言ってもいいだろう(もちろん美しい撮影と情緒豊かな音楽も忘れてはならない)。友を、女を、故郷を愛する事の素晴らしさが淡々とした演出の根底に確かに息づいている。P・ノワレの笑顔とそれに負けないくらいのM・トロイージの表情。惜しくも彼はこの作品のクランクアップ直後に他界してしまったが、ここにその足跡はしかと刻まれた。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(2件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
イル・ポスティーノ_1 (1994) イタリア
[1192]村の青年は言った、この島の海と山を知らない者はこの惑星を知らないと ...続きを見る
こんな日は映画を観よう
2016/01/13 16:50
イル・ポスティーノ_2 (1994) イタリア
[1192]村の青年は言った、この島の海と山を知らない者はこの惑星を知らないと ...続きを見る
こんな日は映画を観よう
2016/01/13 16:51

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文
イル・ポスティーノ_1 (1994) イタリア こんな日は映画を観よう/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる