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<<   作成日時 : 2016/01/24 05:06   >>

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[1194]溝口健二と田中絹代がコンビを組んだ最後の作品は絶品だよ(^^♪

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1940年の「浪花女」以来、名コンビを組んで来た
溝口健二と田中絹代の最後のコンビ作品。
好きという意味では、溝口作品の中で1、2を争うくらい
私の大好きな作品である(^^♪

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舞台は京都・島原の廓、井筒屋。
ただ一軒、今なお太夫の置屋とお茶屋を兼ねた老舗である。
切り盛りしている女将初子の夫はすでに亡い。

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初子はある日、東京の音楽学校でピアノの勉強をしていた
一人娘の雪子を迎えに行き、家に連れ戻す。
雪子が婚約相手に捨てられ、睡眠薬で自殺を図ったからだ。

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玄関で俯いたまま上がろうとしない娘に初子は言う。
「早う上がらんかいな。おかしな娘やな、あんたの家やで」

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写真は例によって宮川一夫なのだが、
写真、物語と抜群の出だしである。
和服の初子を演じているのは我らが田中絹代、
洋服・雪子は同じく我が初恋の先生・久我美子である(^^♪

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ヘップバーンが何だ!という程細くて美しい。
あ、初子を手助けしている婆や・お咲も我が浪花千栄子やで。
千栄子はんが出てくると大阪かいなと思いがちやけど
ここは京都、京都の島原、遊郭どっせ。念のため(^^♪

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遊女たちは楽屋でお嬢さんを評する。
「モダンな人やなあ」「何やあの目、うちを睨みつけて」
「うちも田舎に帰ってみたいわ」「美人か」
「うちらみたいな者と違うに決まってるがな」
「結構なご身分です。皆うちらが稼いだ金でええ事して」などと。
さすが依田義賢、雑音にもそつがない。

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初子は組合診療所の若い医師・的場(大谷友右衛門)を呼び、
雪子を診て貰おうとするが、私は何処も悪くないと
彼女は突っぱねる。

組合とは界隈の芸者置屋、料理屋、待合茶屋や貸座敷、
つまり三業が組織する組合の事である。
診療所まで持っているんだからホラ大したもんやで(^^♪
役所が面倒見てくれるなんてありえんしな。

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夜、馴染みの男どもが井筒屋へ現われ、浮かれ騒ぎが始まる。
男は我らが十朱久雄らである。助平め(^^♪

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呼ばれて座敷へ上がっていた太夫の薄雲が
胃痙攣を起こして戻って来る。
初子は医師・的場を呼び手当をしてもらう。

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これ幸いとばかりに的場は美しき雪子の部屋を覗く。
雪子は油断してつい的場に喋る。
こんな商売で儲けたお金で勉強していたかと思うと耐えられない。
私が自殺まで仕掛けたのはこの商売のため。
相手に私の家が女の体を売る商売だとバレて私は
捨てられたんです。帰って来るんじゃなかった、と。

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的場から話を聞かされた初子は雪子に言う。
皆事情を抱えていて、おかあさんを頼りに働いているの。
気を大きく持って世間を広く見るのよ、と

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翌日、薄雲太夫が起きてこない。飯も食わない。
雪子は心配し、薄雲の床へ行き牛乳を飲ませ
ヨーグルトを食べさせる。遊女たちは驚く。お嬢さんは
てっきり自分たちの事を嫌い、蔑んでると思っていたからだ。
雪子は母初子が面倒見がよく、意外にも彼女たちに好かれ
信頼されている事を知る。

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初子は的場を連れて売りに出ている北白河の邸を見に行く。
的場のために開業医院を探しているのだ。
250万円という高額だ。初子は言う。
「うちは井筒屋を手放す覚悟をしてんのやで。
でもまだ誰にも言うたらあかんえ。あても奥さんと言われて
あんな家に住んだら楽しいやろなあ」

そう。この二人、実は出来てるのだ。
ギエ〜〜!だよねえ(^^♪
旦那はとうに死んでるから気持ちは分からんでもないが、
き、絹代さん、こんなペラペラな薄っぺらい男を!?
長年の置屋生活が何の役にも立ってへんやないか!
と驚きますばってん(笑)。

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溝口さん、あんたも何か言うたらどうなんや、え?
鬼を忘れてまあ、そんな嬉しそうな少年みたいな顔しとらんと!(爆)

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薄雲の容態が芳しくない。
雪子が入院させた方が良いと言うと、的場も賛成する。
初子はなんだか面白くない(^^♪

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川本という男(田中春男)が如月太夫を足抜きさせようとする。
たまたま井筒屋に顔を出していた組合員の原田(進藤英太郎)が
それに気づいて川本を引っ叩き追い出す。
困った。おらが田中春男が若くて結構美男子だ(^^♪

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帰って来た初子が礼を言い、原田に相談を持ち掛ける。
井筒屋を抵当に100万程都合をつけてくれないか、と。
北白河の邸を買う資金が足りないのだ。

チャンスとばかりに原田が初子に迫る。
井筒屋を抵当になんて無茶な、
わいと結婚すればどうにでもなるがなそんな金、と。
こ、困った。チョビ髭、京都弁の我らが進藤英太郎が笑えて
妙に可愛ゆいのだ(^^♪ むろん初子は相手にしないが。

あ、英ちゃん、君が初子を口説いてる隙に如月太夫が
井筒屋を抜け出してしもうたぜ(笑)。

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薄雲が入院先の病院で結局息を引き取る。癌だった。
妹の千代子(峰幸子)が遺骨を引き取りに来る。
残されたのは私と病気の父ちゃんだけです、
私をここで太夫にして頂けませんかと千代子が頼む。
雪子が彼女を止める。

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ある日、初子は雪子と的場を連れて能を観に行く。
気づくと傍にいた雪子と的場が消えている。
初子が探しに出るとロビーの片隅で雪子と的場が
接近して何やら親しげに話しこんでいる。

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「私、また東京へピアノの勉強をしに戻ろうと思ってるの。
母の力を借りずに生きていきたいし」
「賛成だな。私も開業がまだうまく行きそうにないし、
東京へ行き今のうちに学位を取っておきたい」
「先生がいらっしゃれば心強いですわ」
「お互い金も地位もないけど若いって事が僕らの力ですよ」
と的場は若いという言葉にやたらと力を込める(^^♪
つい盗み聞きをした初子は二人の仲に気づき言葉を失う。

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雪子は母と的場の関係を知らない訳だが、
こ、こら京子、お前まで一体何やねん、こんな軽薄な男に!
眼ちゅうもんがないのか眼ちゅうもんが、母娘して!
と私は呆れて女というイキモノが信じられなくなる(笑)。

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後半、舞台では老女の恋を笑う狂言が演じられる。
客も老いらくの恋に笑い転げる。雪子や的場も笑う。
初子は自分が笑われている気持ちに陥る。

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川本の処へ逃げた太夫・如月が戻って来る。
川本に丸裸にされた、おかあさんに楯突いた罰です、
もう一度ここへ置いて下さいと。初子は
厳しい言葉を投げつけながらも部屋へ上がらせる。
厳しさと優しさを同居させうる人間だけが信頼に足るのだ。
だよね、溝口さん(^^♪

川本が如月を追ってくると、
またも現れた我らが英太郎(原田)が蹴散らし、
初子に迫る。

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ほれ、100万の小切手を持ってきた。ただし
的場はんとは今後付き合わんようにしてくれなはれ、と。
さすが初子一筋の男、的場との関係をとっくに見抜いていたのだ。
何でチョビ髭なのかよう分からんが、絹代さん、おら、
ヤキモチ妬くこのエロ爺ちゃんの方が信用できるような(^^♪

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雪子を探していると、店の者が的場先生とお部屋ですと言う。
初子はもう我慢できぬと娘の部屋の戸をガラリと開ける。
的場と接吻していた雪子は慌てて離れた。

初子はいきなり雪子に放つ。
東京へ行くんだったら一人でお行き。
何も先生誘う事あらへんやないか、と。

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そして本性を現した的場をなじる。
「あてがな、あんたに開業して貰おうと思うたのは、
誰に聞かれても恥ずかしゅうない仕事がしたかったんや。
ほしたら雪子も喜んでくれると思うたんや。
あては何も知らんうちに親の決めた人と結婚した。
そやからあんたが生まれて初めて、たった一人の人やったんや。
なのに雪子にまで目をつけて」と。
雪子は初めて的場と母の関係を知り、母の心を知る。

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的場が去ろうとすると初子は慌てて引き留める。
「行かんといて。もうこうして金もある。
北白河の家も変えるんやで。考え直して、行かんといて」と。
形振り構わず弱さを曝け出した見て雪子は
「お母さん、止めて!」と堪らず飛び出した。

「あんた、自分さえ良かったらどうでもええのんか。
なんで先生が好きなら好きと言うてくれへんねん。
なんでお母さんに相談もせんと東京に行くと決めたんや」
雪子の心を誤解し、初子は激しく責める。

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「あたし、帰って来なければ良かった。
あたし、あのまま東京で死んでしまえば良かった」
雪子は部屋を飛び出す。

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乱れた心を泣いて鎮めた後、初子は
「やっぱり、若い者は若い者同士一緒になるのがほんまや。
このお金、先生の仕事に使うより使い道のないお金どす。
先生の気持ちのままに使うておくれやす」と的場に言い、
原田が用意してくれた小切手を渡す。
「じゃあ頂きます」と的場はあっさり受け取る。

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ドヒャー!と驚きのあまり私の開いた口は塞がらない。
こんなに恥知らずな男、見た事ないわ。お前、死刑!
などと冗談を言いながら私は私の涙を隠す(^^♪

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恥知らずな男は何処までも恥知らずに雪子の部屋へ入る。
雪子は男をなじる。
「出てって。母にあんな事してあなたは平気でいられるの。
母はもう滅茶苦茶よ。自殺するかも知れなくてよ。
あなたは私を捨てた男とそっくり同じ。卑怯ったらないわ」

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平然と屁理屈をこねる男が我慢できず、
雪子はついにハサミの切っ先を男に向ける。
ただならぬ空気を察した初子が部屋へ入り、
そのハサミを取り上げる。
娘は泣く。「悔しかったのよ、おかあさんが可哀想で」

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初子はフラリと庭へ出る。そうして倒れた。
雪子は「お姉さん」と慌てて家人を呼びに走った。
え、男の姿がない? え〜い、聞くな。世のため人のため、
私が死刑を執行した(^^♪

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翌日から井筒屋には客を迎え、
家人を仕切る雪子の元気な、初々しい姿があった(^^♪

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原田は火鉢の前に座り、その仕切りっぷりにいたく感動する。
こら、英ちゃん、そこの旦那席はわいの席やがな
とおらは怒った(^^♪

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母は、恋愛経験は私の方が上よという娘に甘え、
しばらく休養を決め込んんだ。
娘は洩らす。「私、お帳場に坐ってゾッとしたのよ。あの場所は
私がずっ前から座り続けてきた場所で、これからもここに座るのが
私に一番似合ってるんじゃないかと思って」
母は言う。「あんたはおかあさんのお腹にいた時から
あそこに座ってたんや」

この科白のやりとり以降が
この作品を見事一気に名作へと仕立てあげる。


※「噂の女_1」
※「噂の女_2」


■83分 日本 ドラマ
監督 ................  溝口健二
脚本 ................  依田義賢 成沢昌茂
撮影 ................  宮川一夫
音楽 ................  黛敏郎
美術 ................  水谷浩
装置 ................  山本卯一郎

出演
馬淵初子 ................  田中絹代
的場謙三 ................  大谷友右衛門
馬淵雪子 ................  久我美子
原田安市 ................  進藤英太郎
お咲 ..........................  浪花千栄子
千代 .........................  峰幸子
桐生太夫 ................  阿井三千子
薄雲太夫 ................  橘公子
美車太夫 ................  小柳圭子
玉琴太夫 ................  若杉曜子
如月太夫 ................  長谷川照容
尾上太夫 ................  大美輝子

京都の祇園と並ぶ花街・島原を舞台に、一人の男をめぐって複雑に絡み合う母と娘の情念を描く。夫亡き後、女手ひとつで島原唯一の置屋とお茶屋を兼ねた井筒屋を経営する初子の一人娘・雪子が、恋人に婚約を破棄され自殺をはかる。初子は、将来結婚したいと思っている医師・的場に雪子の診察を頼むが、このことが雪子と的場が親しくなるきっかけとなり…。田中絹代の溝口作品最後の出演作。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
楽しく読ませていただきました、
溝口作品は最近見直しているところです、

文中、どうしても気になりましたものですから、
久我美子演ずるところの雪子役を なぜ香川京子と表記されるのか、不思議です。

引き続き他の記事も拝読いたします。

amagugoe
2016/02/04 17:56
失礼しました。単なる誤記です。子供の頃、久我美子と香川京子のフアンで、香川京子の事を思い出しながら書いてたものだからついそのまま香川と書いてしまったんだと思います(^^♪
てつ
2016/02/05 22:35
再コメント期待していませんでした、ありがとうございます、

黒澤明『赤ひげ』での、「座敷牢に隔離されている」「若い女」の香川京子のたとえようのない美しさ、忘れられなく憶えています、

今後もブログ拝読します。
amagugoe訂正、amagigoe
2016/02/08 21:56
久我美子と香川京子、派手さがないぶん日本女性の奥床しさ、美しさを見せてくれましたよね(^^♪
てつ
2016/02/12 11:39
噂の女_1 (1954) 日本 こんな日は映画を観よう/BIGLOBEウェブリブログ
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