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zoom RSS 四畳半襖の裏張り_2 (1973) 日本

<<   作成日時 : 2016/02/18 20:02   >>

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[1201]阿部定事件に勝るとも劣らぬ日活ロマンポルノ神代辰巳名作事件♪

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その翌日、久しぶりに花枝に信介からお呼びが掛った。
花枝、昨晩の嘘の脅し効果てき面ね、といそいそと座敷へ参じ、
「今晩は」と淑やかに襖を開けて吃驚仰天!

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すっ裸で鴨居にぶら下がった信介が言う事にゃ、
「俺、ナマケモノ。
あの家はお前にくれてやる。子供の養育費は払う。
それで手を打とう」だってさ(爆)。

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「号外だよ、号外!」
号外屋があらん限りの声を上げて街を駆け抜けた。

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シベリア出兵。
日本政府は米騒動がロシア革命に繋がる事を恐れ、
シベリア出兵を決めたのである。

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袖子にも芸妓屋を持たせ、信介も密かに出兵する事にした。
三度の飯も良いが屋台でまたちょっと立ち食う事にしたのだ(^^♪
相手はあの夕子だ。信介の世界も結構狭い。
え? 日活に金がねえんだからしょうがねえ? 了解(笑)。

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その夕子にあの我等が幸一クンから声が掛った。
それも何とまあ袖子が持った店だ(^^♪
夕子が上がると田舎の恋人・幸一クンが言った。
「シベリアへ出征する事になりそうだ」
「シベリアって、ロシアの?」「ああ」「いつ?」
「もう会えないよ」「そんなにすぐ?」「グスン」
「いつ帰れる?」「戦争へ行くんだ。分からないよ」
幸一クンの目から涙が零れた。
「ちゃんと言ってくれないから!お客なんか断って飛んで来たのに!」
夕子も泣いた。「馬鹿みたい。ゆっくりしてられるんでしょ?」
「時間がないんだよ、もう」「嫌!どれくらいいられる?」
「ゴ、フン(5分)!」幸一クンは口からドッと涙を吐いた(^^♪

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階下にいた信介は二階から聞こえて来る夕子の泣き声を
勘違いして妙に燃え、久しぶりに我が屋の飯を食った。
おいおい(^^♪

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「耐えられない。これが最後かもわからないのに。
もう出来ないかも知れないのに」
「それじゃまるで俺が戦死するみたいじゃないか」
「年季が明けたら田舎の田んぼを買い戻そうって」「ウグッ」
「あたし、あなたと田舎で…、それだけが楽しみで…」
「エッ、エッ、エ〜ン…(泣)」
「からだ大事にしてね」「ウン…、ウ、ウッ…」
幸一クンはボロボロ泣きながら必死に夕子を抱いた。

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終わると夕子は
「これ、あたしの。持ってって、弾除けになるんですって」
と股間から1本抜いて渡した。
「大事にしてね。あたし守ってあげるから」「うん」
幸一クンは涙ながらにそれを手にした。

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幸一クンは川端を走った。
もう必死に走って兵舎に戻った。
夕子は追いかけた。もう必死に走って幸一クンの後を追いかけた。
少しでも幸一クンの姿を見ていたかったから。
私は堪らず応援した。「頑張れ幸一クン、頑張れ頑張れ!」
田舎の幸一クンと夕子はいつの間にかもう見事に
主役なのだった(^^♪

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突然目の前に憲兵が現れた。
憲兵は幸一クンを見ると、
「こら! お前、帝国軍人が芸者とマラソンとは何事だ」
と幸一クンを激しく殴りつけた。
そこへたまたま花丸が通りかかった。
夕子は「夕子姐さん、こんちは」と声を掛けた。
夕子はただ泣きながら走り去った幸一クンの背中を見送った。

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花丸は夕子を後に走り出した。走って走って走った。
どうしてだか知らないがもう全てが嫌になっていた。
全てに居たたまれなくなっていた。

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信介と袖子はまだしていた。
夢中だった。気持ち良かった。コレがあれば十分だった。
何も要らなかった。もちろん国も戦争も(^^♪

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突然邪魔が入った。
夕子が慌てて身繕いをして障子を開けると花丸だった。
花丸が息を整えながら言った。

「あのう、ご相談があって参りました」
「何なの、そんなに改まって」「あのう、どなたか
私を水揚げして下さる方、探して頂けませんでしょうか」
「何を言うんだね、この娘は藪から棒に。
第一そんな事をここに来て言うのは筋違いだよ、
花枝姐さんに相談するならともかく」「でも姐さんが…。
あたし、ほんとはあの家逃げ出したいんです。
でも借金もありますし…」

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その頃花枝は「斎太郎節」を歌いながら
家でひとり労働に励んでいた(^^♪

♬松島の サーヨー 瑞巌寺ほどの
寺もない トーエー
アレワエーエエ エイト ソーリャー
大漁(たいりょう)だエ
前は海 サーヨー 後ろは山で
小松原 トーエー
アレワエーエエ エイト ソーリャー
大漁だエ
石巻(いしのまき) サーヨー その名も高い
日和山(ひよりやま) トーエー
アレワエーエエ エイト ソーリャー
大漁だエ

何で斎太郎節なのか?
そりゃあなた、芸者、米騒動と来れば当然、大漁節、
ロシア革命、インターナショナルとなるではないか!(笑)

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しかしこの途中でポンと放り出すかのような
終わり方がホントに良いよねえ。
物語の基本は「起承転結」なんだけど、
この物語には結らしい結がない。

そのぶん物語にした時に零れてしまう有象無象を
この映画は見事に抱え込んでみせながら終わる事が出来てる。
そこが凄いと思う。こういう終わり方、放り方は
普通の作家にはなかなか怖くて出来ないよね。

また米騒動、ロシア出兵
といった当時の時代背景を置きながら、
家族から追放された性の世界を描く。
も少し言っておくと、この映画みたいに時代、社会での出来事を
ポン、ポンと置いてった方が閉じられた性の世界が良く見えて来る
からなんだよね。
性の世界は、社会、国家といった共同幻想と倒立してるから。

そしてそれが荷風の書き方なんだけど、
その荷風の世界をまあ安い製作費の中で見事に描いてみせてる。
いやいや、ほんと凄いわ、
神代辰巳はって感動しちゃうしかない、私は!

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ん? これは何か?
いやあ、知りたかったら観るしかないんじゃないかなあ(笑)。

ひとつだけ言っておくと、
ここに描かれているのはいわば性のプロの世界で、
70年代後半あたりから切り捨てられていく。
素人の世界に侵食されていく。
それはこうしたプロの世界は大量に消費される世界では
ないからなんだよね。

そしてこの素人の水の世界への侵食は
「家族」の崩壊と軌を一にしていると言える。
それが演劇の一方で私が家族論をやった理由であり、
また日本人がおかしくなった理由、「ビョーキ」になった理由だ(^^♪


※「四畳半襖の裏張り_1」
※「四畳半襖の裏張り_2」


■69分 日本 ロマンポルノ
監督 神代辰巳
脚本 神代辰巳
原作 永井荷風
製作 三浦朗
撮影 姫田真佐久
美術 菊川芳江
出演
袖子 宮下順子
信介 江角英明
ぴん助 山谷初男
夕子 丘奈保美
花枝 絵沢萠子
花丸 芹明香
菊子 東まみ
幸一 粟津號
染香 吉野あい

永井荷風の原作の映画化で、大正中期の騒乱を背景に、遊び人の中年男と初見の芸者との密室での情交のさまを描いた日活ロマンポルノの名作。日本中が米騒動に揺れる大正中期、東京・山の手の花街。料亭“梅ヶ枝”では、ひとりの客が芸者がくるのを待っていた。客の名は信介、30歳半ばの遊び人風情のいい男。そこへ、芸者・袖子がやってくる。そして、二人は座敷へと上がり……。

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