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zoom RSS 哀しみのトリスターナ_1 (1970) スペイン

<<   作成日時 : 2016/02/21 10:04   >>

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[1202]聾唖者サトゥルノだけがトリスターナの哀しみを理解した

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ルイス・ブニュエル、70歳の時の作品。
それを言われると私は考え込んでしまう。誰に言われるのか。
3歳年上の我が姉、カトリーヌ・ドヌーヴである(笑)。

複雑難解にして変態の我が祖父、
ブニュエルに対しては限りなくシンプルに生きたい(^^♪

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1920年代末、スペイン・トリエステ。
没落貴族ドン・ロペの養女トリスターナは、
女中サトゥルナと一緒に聾唖学校へサトゥルナの息子を
引き取りに行った。

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左、トリスターナ…、カトリーヌ・ドヌーヴ。
右、サトゥルナ…、ロラ・ガオス。
二人はいわば「二人のマリア」である。
右、聖母マリア。左、マグダラのマリア。悔悛はしないが(^^♪

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校庭ではスペインの右派と左派の激しい攻防が続いていた。
サトゥルナの息子・サトゥルノが敵の脚に足をかけて倒した。
神のお告げなのだが、この時トリスターナは内戦で
自分がいずれ片脚を失う事になろうとは知らずにいた。
どういう事か? 観ればわかる(^^♪

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トリスターナはサトゥルノに手話で語りかけ、
天にまします神に何事かを祈った。
彼女はこの聾唖の少年に優しかった。
自分の境遇を彼に重ね合わせていたのかも知れない。

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彼女は幼くして父を失い、16歳の時に母を失い、
母の知人だったドン・ロペに養女として引き取られたのだった。

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その頃ドン・ロペは通りで若い女に声を掛けていた。
彼は「人間で一番幸福なのは働かない事だ」と、
どんなに困っても働こうと考えた事など一つもなかった。
働かずとも食える男が考える事はただ一つ、女の事だけである。
紳士だが、女を見ると悪魔に乗り移られ盲目になる。
というのが女中サトゥルナの正解すぎるロペ評だった(^^♪

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ある日、トリスターナはサトゥルノたちと
鐘楼に駆け上がって遊んでいた。
と、突然、彼女の前に鐘の中にぷら下がっている生首が現れた。
ドン・ロペの首だった。

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彼女は悲鳴を上げて飛び起きた。
サトゥルナとロペがその悲鳴を聞いて駆けつけた。
夢だった。それも神のお告げ、あるいは予知夢。
この時ロペはトリスターナの膨らみをしかと確認した。
おのれ、あの生首はやっぱり貴様の策略だったな!
どういう事か? 考えればわかる(^^♪

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養父ドン・ロペは養女トリスターナに優しかった。
「完全に無垢な少女」のように思えたので、
屋敷から一歩も外に出さないようにした。
結婚すると先にあるのは愛の消滅と倦怠だ、
結婚などするな、自由でいろ、自由が命、と言い聞かせた(^^♪

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ロペは銀の皿を売ると街へ連れて行き、
トリスターナに「女の服」を買ってやった。
女の服を身に纏うと彼女の中で何かが変わった。
変わるな!危ないぞ!と私は叫んだ(^^♪

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すでに女である事を自覚したトリスターナはロペに聞いた。
「どの柱がお好き?」「何を言ってる? どれも全て同じだ」
「同じ物なんてない。必ず違いがある。私はいつも好きな方を選ぶ。
私の好みはこの柱」「じゃあ持って帰れ」
ロペはこの時、彼女の心を理解すべきだった。
だが彼はすでに悪魔に乗り移られて盲目だった(^^♪

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ロペは彼女を隅っこに呼んでその唇深くにキスをした。
トリスターナは「ウフ、ウフ、ウフフフフフ」と怪しげに笑った。
盲目のロペはそれをOKの印だと誤解した。

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夜、ロペはサトゥルナを彼女の弟の処へ追い払った、
すぐに戻るな、と釘を刺し♪
ロペはトリスターナの部屋へ行き、ベッドに入った。
入るな!神を恐れぬ愚か者め!と私が言うと、
「私は無神論者だ」とブニュエルの如く抜かしやがった(笑)。

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街では軍事政権に不満を抱く群衆が日々投石を繰り返し、
兵士たちに蹴散らされていた。

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夜ごと裸になるロペは風邪を引いて老醜を晒した。
見ろ罰当たりめ、と私は舌を出した(^^♪
サトゥルノが投石ついでに見舞いにやって来た。
トリスターナに会いたいのが本心なのだろうが、
ロペは彼に投石する街の若者たちの様子を聞き、
憐れな労働者たちよと同情した。一方で
そういう弱者に対する憐れみを抱いている男なので
私はどうも憎みきれず弱った(^^♪

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見よ、C・ドヌーヴのこの美しさを!
私のドヌーヴは食する姿まで美しいのだ💛

思い出した。吉本隆明は
その論理が正しいか正しくないか問題ではない、
美しいかどうかだけが問題なのだと言った。
私はそのブニュエル的な乱暴さにイカれたのだった(^^♪

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ロペの風邪が治った。
トリスターナはロペの執拗さに嫌気がさし、
女中サトゥルナとこっそり外の空気を吸いに出た。
途中、二股路地に出くわすと、私はこっちの道の方が好きと
聖母サトゥルナに逆らい自分の「自由」を謳歌するのだった(^^♪

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野良犬騒ぎで聖母サトゥルナが目を離した隙に、
トリスターナはビルの中庭に絵描き青年を発見して近づいた。
止めろトリスターナ! そいつは絵描きじゃない。
棺桶を引き摺って荒野を歩くガンマンだ!ジャンゴだ!
と私は引き留めたのだがすでに遅かった。

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彼女は一瞬にして彼の虜になった。
ジャンゴも…、もとい、画家オラーシオ(フランコ・ネロ)も
彼女の美しさに惹かれ、モデルになってくれと頼んだ。
聖母サトゥルナが現れた。
もう遅い! 見ろ、お前がいなくなった隙にまた
トリスターナのマグダラの・マリアが顔を出してしまったじゃないか!
彼女は君と違って若いんだぞ、と私は聖母サトゥルナを責めた(^^♪

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「なぜこのベッドを」「お嬢様が一人で寝たいと」
「なぜ1人で?」「さあ」サトゥルナは全て知っていた。
が、全て知らぬフリをするのが彼女の聖母たる所以なのだった(^^♪

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トリスターナは度々外出し、帰りも遅かった。
ロペは「男と逢引きでもしるのかと」と怒った。
彼女は「自由でしょ?」と返した。
「自分の意志にのみ従うわ。あなたの助言通り」
「万が一の時はお前を殺す。侮辱されるより悲劇を選ぶ。
私は父であり夫だ。私の勝手で両者になり得る」
彼はトリスターナに勝手な釘を刺した。没落貴族の意地を賭けて(^^♪

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彼女は通っている画家オラーシオの部屋へ行き、
養父ロペとの関係を全て打ち明けた。
「でも今は私を苦しめたあの人を憎んでる。
親子愛のままならこんな事にはならなかったのに」と。
オラーシオは怒り心頭に達し、一瞬
棺桶の銃を取り出し全てをぶち壊したくなったが(^^♪
やはり彼女と結婚しようと決心する。

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外出を止めないトリスターナにロペが遂に切れた。
「お前の母からお前を後見し、名誉を守るよう遺言されている儂だ!」
「名誉ですって!あなたのおかげで私はそれを失くしたのに!」
彼女は激しく応酬し、ロペのいない間に
オラーシオの元へと家を去った。

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オラーシオは彼女を連れて帰省する事にし、結婚を申し込んだ。
トリスターナは言った。
「私たちは恋人。愛がある限り一緒にいる。飽きたらお別れよ」
「クソ親父の科白を繰り返すな」「でも的を得てるわ」(^^♪

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嫉妬に狂ったロペはその夜、オラーシオに掛け合いに行く。
オラーシオは棺桶の銃を抜き…、
もとい、棺桶の拳を取り出し、彼を殴り倒した。

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翌日、オラーシオとトリスターナは出立した。
待合室に隠れていたロペは女中サトゥルナに呟いた。
「また戻る。きっと戻ってくる」と。
その根拠は?と聞いたらこのままでは映画にならないだってさ(爆)。

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ロペと仲の悪かった姉が突然死に、巨額の遺産が転がり込んで来た。
彼は売った家具、食器等を買い戻したが、
一番買い戻したかったのはトリスターナだったかも知れない(^^♪

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ある日、彼は突然、サトゥルナに
トリスターナがオラーシオと街に戻ったと聞かされ、
オラーシオに会いに行く。
彼は言う。彼女は2年前から脚の種痘に罹った。
重傷で、彼女はあなたの家で死にたがっている、と。

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ロペは、これで彼女は二度と家を出て行く事はないと喜び、
トリスターナを家に引き取る。
オラーシオは一人荒野へ戻って行った(^^♪

医師は血液に毒素が入り込んでいるので
すぐに手術必要だと言い、彼女は脚を切断する事になった。

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1年後、ロペの家にはピアノで
「革命のエチュード」(ショパン)を叩くトリスターナの
美しい姿があった。奇跡的に命を取りとめたのだ。

トリスターナは見舞いにやって来たオラーシオに聞いた。
「次はいつ来るの?」「1ケ月後」
「私を愛してないからここに連れて来た」
「来たいと願ったのは君だ、死ぬと思って」「生き延びてるわ」
「そんな言い方はひどい」「そうね。ロペは私を他の男に渡さない」
「君は変わった」オラーシオがそう言うと、
トリスターナは「当然よ。これで変わらないでいられる?」と
スカートをめくってその脚を見せた。

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ギョッ!お、おらのカトリーヌ・ドヌーヴの脚が!
と思うけど、ブニュエルは美しき我がドヌーヴの脚を切りたくて
この映画を撮ったんだからもうどうしようもないよねえ(泣)。
オラーシオし「また明日」と言って辞したが、
トリスターナの前に再び姿を現すことはなかった。

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老衰の目立つロペは毎日、彼女の車椅子を押し散歩を続けた。
トリスターナの素振りは氷のように冷たかったが、
彼は構わず結婚してくれと申し出た。
彼女は鼻でせせら笑った。

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ある日、彼女は午睡を取ろうと、いつものように
全てを脱ぎ捨て裸体の上にガウンを羽織った。
その時窓を打つ小石の音がした。

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トリスターナがベランダに出るとサトゥルノだった。
彼は初めて会った時からずっと彼女の事が好きだった。
トリスターナもその事は知っていた。

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聾唖の彼はゼスチャーで脱いでみせてとせがんだ。

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トリスターナはガウンを広げて自分の全てを見せた。
そうして笑んだ。サトゥルノは奇怪で、
そしてこの世のものとは思われぬトリスターナのその美しさに
畏怖し、尻込みするしかなかった。

告白する。私が久しぶりにこの作品は観たのは、
偏にただただこのシーンを観たかったからである(^^♪

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やがて彼女はロペと教会で式を挙げた。
ロペはこの日のためにすでに無神論者を返上し、
教会にも多大な寄付をしていた。

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その夜、ロペはサトゥルナに記念ベッドを用意させた。
だがトリスターナは待ち受ける彼に、
「何抜かすの。いい年をして思い違いもいいとこ!」
と冷酷に言い放ち、自分の部屋へ籠った。


※「哀しみのトリスターナ_1」
※「哀しみのトリスターナ_2」


■99分 イタリア/フランス/スペイン ドラマ/ロマンス
監督 ルイス・ブニュエル
脚色 ルイス・ブニュエル ジュリオ・アレジァントロ
原作 ベニート・ペレス・ガルドス
撮影 ホセ・F・アグアーヨ
音楽 クロード・デュラン
Tristana カトリーヌ・ドヌーヴ
Horacio フランコ・ネロ
Don Lope フェルナンド・レイ
Saturna ロラ・ガオス
Don Cosme アントニオ・カサス

「昼顔」以上に変態的かつ美しいブニュエルとドヌーヴのコンビ作は、20年代末のスペイン、トリエステを舞台に、伝奇的に始まる。16歳のトリスターナは両親に死なれ、母の知人の初老の没落貴族ドン・ロぺに引きとられる。彼女を“女”として見る義父を無意識下に恐れ、ある日教会の鐘楼に登った娘は、その夜、鐘になって揺れる彼の生首を夢にみる。はじめはドン・ロペの言いなりだったトリスターナだが、彼の留守の間に散歩に出、朽ちかけた僧院の庭で絵を描く若き画家オラーシオに心魅かれ、青年も美しい彼女を見初める。やがて露骨に義父の求めを拒絶するようになったトリスターナは青年と駆け落ち。が、残されたドン・ロぺが、きっと戻ってくる、と呪詛した通りに足を病んだ彼女は二年後、彼のもとに舞い戻り、片足を切断して、彼と結婚する。しかし、ある夜、発作を起こした夫の部屋の窓を開け放ち雪混じりの風を入れ、冷然と彼を見殺しにするのだった……。愛なき結婚の孤独を、片足のない裸体を口のきけぬ下男に晒すことで表現するシーン。ブニュエルの演出は凄絶極みである。

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