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zoom RSS 哀しみのトリスターナ_2 (1970) スペイン

<<   作成日時 : 2016/02/21 12:16   >>

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[1202]聾唖者サトゥルノだけがトリスターナの哀しみを理解した

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昼間、トリスターナはサトゥルノと一緒に好んで街を散歩した。
彼女は街の人々にも笑顔を見せなかった。
表情はどこまでも凍てつき、氷りついていた。

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だがサトゥルノだけは知っていた。
冷酷極まりないトリスターナの中には聖母マリアの哀しみが
隠されている事を。

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夜になると彼女は松葉杖をつき廊下の行き来を繰り返した。
ロペの家にはコツコツという杖の音が響いた。

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トリスターナは、鐘楼で見た鐘の中の生首は
自分の首だったのだと知った。

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雪の夜、ロペはその生首の悪夢にうなされ、
「トリスターナ!」と名を呼んだ。

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トリスターナはベッドへ行くとロベは発作に苦しんでいた。
体の激しい痛みを訴え、早く医者を呼べと彼は言った。

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彼女は隣室の居間へ行き受話器を取り上げた。
そうしてロペに聞こえるような声で言った。
「240番を。私です。ミキス医?
主人が苦しいと。はい。今すぐに家に」
だが受話器は話す前にそっと戻されていた。
話し終わると彼女は改めて受話器を上げ、ガチャンと下ろした。

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部屋へ戻りロペに声をかけたが、声が返って来なかった。
トリスターナは急いで窓へ行き、窓を開け放った。

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真冬の冷気が流れ込み、瞬く間に部屋を覆った。
苦しんでいたロペはやがて動かなくなった。

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トリスターナは無表情なまま窓を閉めた。

ブニュエルは
「今日まで無神論者でいられたことを神に感謝する」と語ったと言う。
自ら無神論者だと通したのは、少年時代、厳格なイエズス会の
学校へ入れられ事に対する反発があったからだと言われるが、
無神論者が何で神に感謝する訳? と疑問を呈すると
ブニュエルの罠に嵌りそうなので私は疑問を呈さない事にする(笑)。

が、この作品にもその
「無神論者でいられたことを神に感謝する」という態度、
あるいはブニュエルの相反する心がそのままトリスターナという
人物造形の中に表れている事だけは確かなようだ。

神と悪魔の誕生が共時的だとすれば、
その共時性を保った女性として描かれている
と言っても良いが。

ロペがトリスターナは「完全に無垢な少女」だ、
そうした少女には手を出してはいけない
と言いつつ手を出してしまったのも、

彼女の中に穢れを注入すれば、
彼女は居ながらにして聖母マリアである
と同時にマグダラのマリアに成れる。
その相反する資質を同時に抱え込めば
彼女の美しさは極北に達する!と思ったからじゃないか
と私は邪推する(笑)。

事実、トリスターナが冷酷になればなるほど
その美しさが輝き始めるもんねえ。困ったもんだ(^^♪

ま、どっちにしろ、
彼女が復讐心だけでロペを苦しめ、殺そうとしたと考えると
あまり面白くないよね。もう歳なんだし、
ロペはこのまま死んでしまった方が幸せかも知れない
と気持ちももしかしたら無意識の中にあったのかも知れない。

ロペだって恨みつつもトリスターナ_に感謝しながら
死んでったかも知れないよな。
人間の心はそんなに単純には行かないって(^^♪

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しかしホント美しいよねえ。痺れる(^^♪
この時サトゥルノには彼女がどんなふうに見えたかと言うと、

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こんな風に見えたんだと私は思ってる。
そう。四谷シモンの「木枠で出来た少女」。
トリスターナの体が発している哀しみは
この少女が発する哀しみと一番近かったんじゃないかと
私はずっと思い込んでいる。

ともあれ未見の方はぜひご覧くださいな。
C・ドヌーヴの脚を切断した後からの美しさにはただただ
魅入られてしまう筈だから。

その美しさはやっぱり
ブニュエルしか引き出せなかったような気がするなあ💛


※「哀しみのトリスターナ_1」
※「哀しみのトリスターナ_2」


■99分 イタリア/フランス/スペイン ドラマ/ロマンス
監督 ルイス・ブニュエル
脚色 ルイス・ブニュエル ジュリオ・アレジァントロ
原作 ベニート・ペレス・ガルドス
撮影 ホセ・F・アグアーヨ
音楽 クロード・デュラン
Tristana カトリーヌ・ドヌーヴ
Horacio フランコ・ネロ
Don Lope フェルナンド・レイ
Saturna ロラ・ガオス
Don Cosme アントニオ・カサス

「昼顔」以上に変態的かつ美しいブニュエルとドヌーヴのコンビ作は、20年代末のスペイン、トリエステを舞台に、伝奇的に始まる。16歳のトリスターナは両親に死なれ、母の知人の初老の没落貴族ドン・ロぺに引きとられる。彼女を“女”として見る義父を無意識下に恐れ、ある日教会の鐘楼に登った娘は、その夜、鐘になって揺れる彼の生首を夢にみる。はじめはドン・ロペの言いなりだったトリスターナだが、彼の留守の間に散歩に出、朽ちかけた僧院の庭で絵を描く若き画家オラーシオに心魅かれ、青年も美しい彼女を見初める。やがて露骨に義父の求めを拒絶するようになったトリスターナは青年と駆け落ち。が、残されたドン・ロぺが、きっと戻ってくる、と呪詛した通りに足を病んだ彼女は二年後、彼のもとに舞い戻り、片足を切断して、彼と結婚する。しかし、ある夜、発作を起こした夫の部屋の窓を開け放ち雪混じりの風を入れ、冷然と彼を見殺しにするのだった……。愛なき結婚の孤独を、片足のない裸体を口のきけぬ下男に晒すことで表現するシーン。ブニュエルの演出は凄絶極みである。

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