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zoom RSS コーカサスの虜_1 (1996) カザフスタン

<<   作成日時 : 2016/03/08 23:51   >>

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[1204]トルストイの原作小説を元にチェチェン紛争の一端を描いた必見の名作


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トルストイの小説「コーカサスの虜」の設定を
第一次チェチェン紛争に置き換えて製作された、
私のお気に入りの作品(^^♪

小説はトルストイが、チェチェン戦争の戦地コーカサスでの
従軍体験をもとに書いた子供向けの中編。

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舞台は黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス。
地球上でもっとも民族的に多様な地域で、
「文明の十字路」とも言われているコーカサス。
音楽と踊りがとにかく素晴らしい我等がコーカサス!(^^♪

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チェチェン紛争が始まった。
徴兵されたワーニャは、皮肉屋の准尉サーシャらと共に
山岳のチェチェンへと向かう。

第一次チェチェン紛争が始まったのは1994年だが、
ソ連は崩壊後、軍が弱体化したので
紛争に追いやられた兵の大半は新兵だった。
ワーニャもその一人という設定である。

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行軍中にいきなりチェチェン側の待ち伏せを喰らった。
ワーニャは初めて体験する戦闘で銃も握れない。

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気づくと准尉サーシャと新兵ワーニャは馬上の人となり、
ある山村へと運ばれていた。

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二人はチェチェン軍の捕虜になったのだが、
アブドゥル・ムラット(ドジュマール・シハルリジェ)という男が
死にかけていると二人を貰い受けてきたのだ。
ロシア軍に捕虜として囚われている息子と交換するために。
二人は足枷を嵌められ小屋に閉じ込められた。

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アブドゥルの娘ジーナ(スザンナ・マフラリエワ)と、
ハッサン(アレクサンドル・ブレエフ)が見張り番に付けられた。
何度観ても可愛い私のジーナは二人を見て
「ロシア人の豚よ」と私に囁いた(^^♪

え、彼女もっと見たい?

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じゃ特別サービス。どう、可愛いだろう、私のジーナ。
何だかギュッとしたくなっちゃうよねえ(^^♪

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准尉サーシャ…、オレーグ・メンシコフ。
名前は知らなくても、あ、「太陽に灼かれて」の男だと
思い出す人は多いだろう。
え、お前の事だろう? ごめん。そうなんだよね。
私は横文字に弱くて外国人の名前憶えるの苦手なんだよね。
ごめん。日本人の名前を憶えるのも結構苦手かも。
何でなんだろ? 名前なんてその人を視えなくするだけだ!
なんて思ってるフシがあるからかも。と弁解させてほしい(^^♪

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ワーニャ…、セルゲイ・ボドロフ・ジュニア。
名前から分かるようにこの作品を撮った
セルゲイ・ボドロフ監督の息子。
この作品がデビュー作で、一躍ロシアの人気俳優に。
が、2002年9月、映画のロケ中に北オセチア共和国で起きた
氷河崩壊に巻き込まれて他界。ほんと残念だよねえ。

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この村の人たちの産業は家畜のようだ。
アブドゥル一家も毎日仔牛を追っている。

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准尉とワーニャは小屋の小窓から彼らを眺める。
この映画のカメラは一切凝らない、単純そのものである。
こうした正面からの絵が多いのだが、
コーカサスの自然と村の作り自体がもう一種の工芸品みたい
なもんだから、こうやって単純に撮った方が「絵」になるんだよね。
実際、コレも何だか絵みたいで良いよねえ(^^♪

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はい、これも特別サービス(^^♪
色彩が違ってしまうのは修正加工する私が単に下手だから。
ごめん。

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映画のロケは紛争下。そのため実際の戦闘から
僅か50マイルしか離れていないダゲスタンの山岳にある
レチという村で撮影されたのだそうだ。

ちなみにチェチェン紛争と簡単に言うが、
もともとチェチェンは独立国で1859年にロシア帝国に併合された訳だ
(チェチェン戦争)。
少女ジーナが「ロシア人の豚」と毒づくのも
ウラに長い屈辱の歴史があるからである。

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「ロシア軍に投降するイマーム・シャミール」(1859年)…、
ウィキペディアより転載。
シャミール(1797-1871年)はロシア帝国の北コーカサス支配に対する
ムスリムの抵抗戦争(1817年-1859年)を率いたアヴァール人で、
宗教指導者。
現在も北コーカサスのムスリムの尊敬を集め、
ロシアの支配に対する抵抗運動の精神的支柱だと言われている。
この絵の感じはこの映画にもよく表れているよ(^^♪

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アブドゥル一家はむろんムスリムである。
この映画ではイスラム教とロシア正教の対立は
遥か後景に隠されてしまっているが、それを見逃すと
大事なものを見逃す事になってしまうかも知れない。

余談だがオウム報道の時、
江川紹子が私の隣で「オウムは宗教ではない。
宗教があんな酷い事(サリン事件)をする訳がない」と
自らを正義に置いて断罪を繰り返す姿をみて私は呆然としたものだ。
あ、こいつ、宗教の恐ろしさが全く分かってない。
日本ではもう宗教(仏教)が死んだんだな。日本は
完全に平和ボケに突入したんだなと思い知らされたものだ(^^♪

宗教は国家の歴史より途方もなく長い。
人類の歴史は宗教とともに始まったと言っても過言ではない。
いわば人間の文化起源。なので国家は滅びても宗教は滅びない。
自らの死を意味する訳だから、人間は宗教のためなら時に
想像を絶するような事をやる。
その事は今なお各地で続く紛争を見てるだけで分かる。
ホント酷いもんだ、いい歳をしてそんな事も分からないなんて。

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ある日、アブドゥルはロシア軍に
息子と准尉らとの交換を伝えて現場に向かうのだが、
敵は息子を連れて来ず取引は失敗。

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村人はロシア人は危険だ、災いの元だから殺してしまえと
アブドゥルに言う。が、彼は捕虜になってる息子のために
交換要員として必要なんだと語る。
村人たちの言葉はみな過激なのだが、
人柄が何だかひどく温厚なので妙に可笑しいんだよね(^^♪

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アブドゥルは准尉とワーニャに、
母親に手紙を書いて呼べと指示する。母親に
司令官を説得させて息子との交換に応じさせるためだ。
准尉が「俺は書かん」と言うと、
アブドゥルは書かないとその首を落とすと脅す。
ワーニャは自分たちが何故ここにいるのか漸くその事態が
飲み込めてきた。

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二人は母親充てに司令官を説得してほしいと手紙を書く。
が、准尉が宛てて書いた手紙は実は寮母宛てである。
それも既にこの世には亡い。
両親はとうに他界し、准尉はその寮母を母代わりに孤児院で
育ったのだった。
ワーニャは二人だけの捕虜生活の中で次第に
一件乱暴・横柄に見える准尉の心に触れて行く事になる。

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アブドゥルは二人の書いた手紙を街の郵便局へ出しに行く。
街へ入る時に身分証の提出を迫られたので
この街はロシア人の居住区という事なのかな。

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行く先は生か死か。二人にはただ待つだけの日々が流れる。
遠くから村人たちのうたう声が聴こえて来る。

♪生まれた時から この地で生きてきた
  吹きすさぶ風に よそ者はおびえ去って行く
  誰も我らを知らずとも 山が我らを守ってくれる
  吹きすさぶ風が よそ者を追い払う

彼らの信仰心が何処から生まれてきたのかよく分かる。
いわゆるヨーロッパにはこういう歌はない。
彼らにとって自然は常に敵であり、征服すべきものだ。
ヨーロッパ映画が風景を撮らない、
人間だけしか撮らないのも間違いなくそのせいだ。

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足伽以外は比較的自由だ。
道端で子供たちが踊っている姿が見える。
女子供の普段の暮らしは流れて行く。
村外れではチェチェンとロシアの兵士が日々睨み合っている。

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二人の食事当番はジーナだ。ワーニャは
コーカサスの空を飛ぶ鷲を作り、彼女にプレゼントする。
「ロシアの豚」だなんて言ってた癖に彼女の頬は緩む。
その鳥欲しいと私が言っても彼女は振り向いてくれない。
ん? 拙いぞと私は危機を感じ始める(笑)。

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外の空気を吸いに連れて行くのはハッサンの役目だ。
彼はジーナの姉の夫である。
その姉は既に亡い。男と駆け落ちをしたので
ハッサンが追いかけて殺害してしまったのだ。
シベリアで7年の懲役。その間喋り過ぎて舌を切られて
しまったのである、ロシア人に。
今では好きだった歌もうたえない。

アブドゥル一家は娘を殺害した男と何故共に暮らすのか。
彼らの戒律に従えば娘は殺されて当然だったという事なのだろう。
実際、彼は責めるには忍びない程の好人物である。
逃がしてくれと言っても逃がしてはくれないが(^^♪

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ジーナは村の子供たちに言葉を投げつけられる。
「ロシア人を世話してるんだって。早く嫁に行け」
ジーナは今度言ったら承知しないわよと
子供たちをペチペチした。

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教師をしているワーニャの母親は
息子からの手紙を受け取り、呆然として体が落ちる。
ワーニャは母との二人暮らしだったのだ。

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10日以内に母親が来なかったら殺すと言われている二人は、
脱走しようとして壁を壊す。が、壁の向こうは酒蔵だった(^^♪
准尉サーシャは直ちに脱走計画を中止し、
自らの誕生日を祝ってワーニャとしたたかに飲んだ(笑)

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二人の脱走未遂を発見したハッサンは
罰として二人を屋上に上げ踊るようにと命じる。
ボリショイ劇場に招かれた事もある元俳優志望の准尉は、
コーカサス劇場で見事なへべげれコーカサス・ダンスを披露する(笑)

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村のおばちゃんたちも私と二人の踊りを観て
桟敷で笑っていた(^^♪

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准尉が突然、体を震わせて泣き始めた。
コーカサスのこの山岳に囲まれていると、
自分が明日の生死も分からぬ捕虜である事を
思い知らされたからだろうか。

こうした山岳を見せられると、
彼らチェチェン人はもう私ら日本人、あるいはヨーロッパ人とは
何処かが根本的に違うんだろうなあと私も胸を締めつけられる。

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「ロシア人は豚よ」と言っていたジーナの気持ちも沈み始める。
「辛いか」と尋ねる父アブドゥルの言葉に首を振るが、
接しているうちにロシア人である前に人間である二人の顔が
視えて来たからだろう。
彼女もまたこうして「戦争」を知っていく。

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アブドゥルは悲しむジーナの事も考え、
もう一度少佐に交渉しようと会いに行くのだが、門前払いである。
アブドゥルを演じているドジュマール・シハルリジェも本当に凄い。
いつもただ棒のように自分をそこに投げ出している。
なので言い知れぬ心が浮かび上がってくるのだ。

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一方、ワーニャの母親も前線のロシア軍本部を訪れ
人質の交換に応じてくれと懇願していた。
少佐は言った。やつらは捕虜交換が目的じゃない、
我々を誘き寄せて襲撃するのが目的だったんだ、と。

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母親が自分が交換に行くと言うと、彼は
「とんでもない。騙されますよ、子供だって信用しない」と
チェチェン人を唾棄するばかり。

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彼女は相手にしようともしない少佐に殴りかかると、
そのまま気も狂わんばかりに兵舎を飛び出した。

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彼女は街でアブドゥルを知っている人を探し、
彼に会おうとする。
私は驚く、この人たちは本当に俳優なのかと。
どこかの国の俳優と違って臭い芝居など微塵もなし、
その辺りで生きている人たちそのものなのだ。
ホント凄い、みんな。何なんだろう。

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その夜、チェチェン兵のリーダーがアブドゥルの前に現れ、
准尉とワーニャを車に乗せる。
着いた先は地雷の埋め込んである場所で、
二人に地雷の撤去を命じる。失敗すれば一巻の終わり。
准尉とワーニャは小さな明かりを頼りに作業を始めた。

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二人は何とか命をとり止めた。
ゲリラ兵たちと夜明けの休息を取る。

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チェチェン軍の一端が垣間見れるシーンだが、
兵士たちは何処までも明るく闊達で、格闘技や踊りを楽しむ。
ベトナム戦争やアフガニスタン侵攻で、ベトコンや
ムジャーヒディーンが取ったゲリラ戦を展開してロシア軍を
疲弊させた彼らの様子が思い浮かぶ。

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ジーナは祖母の形見の飾りを身につけ、
窓辺でワーニャの帰りを待った(^^♪


※「コーカサスの虜_1」
※「コーカサスの虜_2」


■95分 カザフスタン/ロシア ドラマ/戦争
監督: セルゲイ・ボドロフ
製作: セルゲイ・ボドロフ
原作: レオ・トルストイ クレジットなし
脚本: セルゲイ・ボドロフ アリフ・アリイェフ ボリス・ギレル
撮影: パーヴェル・レーベシェフ
美術: ヴァレリー・コストリン
音楽: レオニード・デシアトニコフ
出演
オレグ・メンシコフ
セルゲイ・ボドロフ・Jr
スサンナ・マフラリエヴァ

捕虜交換のため囚われの身になった兵士と、彼を捕えた一家の姿を描き、反戦を訴えたドラマ。トルストイの小説『コーカサスの虜』の設定を、現代のチェチェン紛争に置き換え、「モスクワ・天使のいない夜」のセルゲイ・ボドロフ監督で映画化。脚本は製作も兼任したボリス・ギレルの原案を、ボドロフ、ギレル、アリフ・アリエフが執筆。撮影は「ヴァーリャ!愛の素顔」のパーヴェル・レベシエフ。出演は「太陽に灼かれて」のオレーグ・メンシコフ、ボドロフの実子セルゲイ・ボドロフ・ジュニアほか。96年カンヌ映画祭国際批評家協会賞・観客賞、ソチ映画祭、カルロヴィバリ映画祭グランプリ受賞。
ロシア軍兵士のワーニャとサーシャ准尉は、チェチェン人に捕らわれてしまった。二人を金で買ったアブドゥルは、二人をロシア軍に捕まった彼の息子と交換しようとするのだが、交渉はうまく捗らず、やがて些細な事から悲劇と変わってしまう……。

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