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zoom RSS ミツバチのささやき_1 (1973) スペイン

<<   作成日時 : 2016/03/12 12:08   >>

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[1205]映画の鑑。愛情の籠った美しい映像と少女の物語に涙が溢れるよ♪

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これも私の超お気に入りの作品である。
映像といい物語といい、これほど素晴らしい映画も
ザラにはない。

製作は1973年だが日本公開は1985年。
配給会社は何やってんだあ!と当時ド頭に来たものだ♪

ちなみに監督は1940年に
スペイン・バスク地方で生まれたビクトル・エリセ。
若干33、4歳でこれを撮ったのだから畏怖するしかない。
オレ何書いてやってたっけ。「勝手にしやがれ」? 「うお傳説」?

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クレジット・タイトル。良いだろう♪
原題は「ミツバチの精霊の巣箱」
メーテルリンクの作品の中から借りたのだそうだ。

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これは今や知る人ぞ知る蟹江杏の絵=版画(部分)。
大好きで、杏がデビュー(?)する前から新転位・21のポスターに
ずっと使わせて貰っていたのだが、何処か似てない?(^^♪

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時はスペイン内戦終結直後の1940年。
スペイン中部・カスティーリャ高原の小さな村オユエロス。
村に一台の幌付きトラックがやってくる。

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「映画が来たよ! 映画が来た!」
と村の子供たちがトラックを囲んで大はしゃぎする。
「うわ〜い、映画の缶づめだ」とフイルムを見て叫ぶ。
映画の缶づめ。。。良い言葉だよねえ💛

子供たちが何の映画かと尋ねると
「凄い映画だ。世界一凄い映画だ」と映写マンが自慢する。
持ってくる度にそう言ってるんだろうなあ(^^♪
何の映画か? ヒ、ミ、ツ(笑)

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広報係のおばちゃんがラッパを吹いて広場で喧伝する。
「本日、午後五時、公民館において○○○○○を上映します。
入場料は大人は1ペセタ、子供は2レアル」
このおばちゃん、おれ好き♪

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準備が整うと待ち切れず子供たちが椅子を手に
スクリーの前で陣取り合戦を繰り広げる。
私らもやった。人類みな兄弟だという事がわかる(笑)

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映画が始まる。うわ〜、この感じ、この感じ!
あの仄かに青い光の放射と何故か立ち込める煙がないと
映画・映画館とは言えないのだ! と私はまた一人で興奮♪
昭和20年代、私の家の庭で親父が村人を相手にやっていた
青空映画館が偲ばれる。
おい、子供たち、うちは青空映画館だから見上げると
満点の星空だったぞ(笑)

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子供たちの間には、6歳の少女アナ(アナ・トレント)と
姉イサベル(イサベル・テリェリア)の姿もあった。
ギエ〜、何度見ても可愛い〜(^^♪

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その頃、二人の父親である
フェルナンド(フェルナンド・フェルナン・ゴメス)は一人、
養蜂場でミツバチの巣箱を点検する作業をしていた。
彼はミツバチの生態を観察し、じっと考え込む。

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子供の頃、私も何度か防護服を纏ってミツバチの箱を
覗き込んだ記憶がある。箱はほんの数個だったが。
あれは実家を継いだ兄が養蜂していたのか、
村の他の家がやっていたのかもう思い出せない。
記憶は消えるのか、体内に眠るのか。

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一方、母親のテレサ(テレサ・ジンペラ)は、
自宅のテーブルで手紙を書き綴っていた。

「皆一緒に幸福だったあの時代は戻りません。
神様が再会させて下さる事を祈っています。
内戦で別れてから毎日祈っています。
この失われた村にフェルナンドと娘達と生きながらえながら」

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「この家も壁以外はすっかり変わりました。
なかにあったものはどこに消えたのか。。。
ノスタルジアで言うのでなく。
そんな思いなど持つどころではないこの数年でした」

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「身のまわりの多くのものが失われ、壊され、
悲しみばかりが残っていきますが、失われたものと一緒に
人生を本当に感じる力も消えた様に思います」

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「この手紙は貴方に届くでしょうか。
外からの知らせはわずかで混乱してます。
貴方が無事でいる事を知らせて下さい。心を込めて。
テレサ」

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列車がホームへ入ってくる。

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彼女は列車の脇腹に備え付けられた郵便箱に手紙を投函する。
その手紙が果たして誰に送られたのかは分からない。
最後まで。

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列車に内乱を戦ったと思われる青年兵士が乗っている。
彼女はその兵士に目をやる。

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手紙を宛てた相手を思い出させるのだろうか。

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列車がホームを離れる。彼女は家路に着く。

すでに分かるだろうが、1カット1カットが本当に美しい。
驚くほど繊細に、丹念に、深い愛情をもって創られている事が
ひしひしと伝わって来て涙が出る。
映画が写真(映像)を撮る事だとすれば、私はこの映画こそ
映画の鑑だと言いたくなる。

今回は長くなりそうだ(笑)

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フェルナンドも山を下りて自宅へ帰る。
自宅は公民館の近くなので公民館の前を通る。
うっ! 壁のポスター! 何の映画かバレそう。
お願い、分かってもまだ口にしないで、懇願!(笑)

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自宅に帰ると妻と子供たちの姿がない。
ベランダに出て鶏に餌をやっているお手伝いに
妻と子供たちの事を聞く。
彼女は答える、奥さんはお出かけ、娘さん達は映画に、と。
そして主人に言う、「お食事の時間にはお戻り下さらないと」
このおばさんも私好き(^^♪

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部屋に戻ると公民から映画の音声が聞こえて来る。
「こんな不完全な怪物は壊そう。分かってくれ、危険なんだ」
「危険? 先生は危険を冒した事がないんですか?
未知に挑まずして何の何の研究ですか?
雲や星の彼方を見たいと思いませんか?
なぜ樹木は育つのか? なぜ夜が朝になるのか?」
フェルナンドはその言葉に惹かれてベランダに出た。
彼もミツバチの不可知な生態を知りたいと望んでいるのだ。

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スクリーンの中の少女に目をやっていた子供たちは、
少女の前に現れた怪物を観て恐怖し息を飲んだ。

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だが少女の方は少しもたじろぐ事なく
目の前の怪物に尋ねる。

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「あんた、誰? 私はメアリーよ。一緒に遊ぶ?」
そう。映画は我らが「フランケンシュタイン」(1931)
だったのだあ〜!💛

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公民館の壁に貼ってあったポスター(^^♪

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メアリーはフランケンシュタインと花を水面に浮かべて遊ぶ。

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少女アナはメアリーと楽しそうに遊ぶ怪物フランケンシュタインに
すっかり魅入られ、目が吸い寄せられる。

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テレサが駅から帰宅する。

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父親が娘メアリーを抱きかかえて街へ戻ってくる。
フランケンシュタインに殺されたのだ。

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アナはスクリーンから目が離せない。

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「イサベル、なぜ殺したの?」 アナは隣の姉にそっと聞く。
イサベルがアナの耳元で囁く。「あとで教えたげる」
この映画の中では映し出されないのだが、最後、
今度はメアリーを殺したフラケンシュタインが殺されるのだ。

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映画が終わった。
アナとイサベルは「ワ〜、キャ〜、フランケンシュタイン!」と
歓喜の悲鳴を上げて我が家へ飛び込んだ♪

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夜、ベッドに入るとアナはイサベルに聞く。
「なぜ怪物はあの子を殺したの?
なぜ怪物も殺されたの?」
イサベルは答える。
「怪物もあの子も殺されてないのよ」

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「なぜ死んでないと分かるの?」
「映画の中のできごとは全部ウソだから。
私、あの怪物が生きているのを見たもの」
「どこで?」
「村はずれに隠れて住んでるの。
ほかの人には見えないの、夜に出歩くから」
「お化けなの?」

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「精霊なのよ」
「先生がお話してたのと同じ?」
「そうよ。でも精霊は身体を持ってないの。だから殺されないの」
「夜しか出歩かないのに、どうやって話したの?」
「お友達になればいつでもお話できるのよ。
目を閉じて彼を呼ぶの。私はアナよって」

階下から足音が聞こえて来る。
アナは身じろぎもせず耳を傾ける。怪物がやって来たのか?

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親父がコーヒーを淹れてるのだった(^^♪
フェルナンドは室内の巣箱に目をやりノートに書き記す。

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「このガラス製のミツバチの巣箱では、
ハチの動きが時計の歯車のようによく見える。
巣の中での蜂たちの活動は絶え間なく神秘的だ。
乳母役の蜂は蜂児房で狂ったように働き、
他の働き蜂は生きた梯子のようだ」

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「女王蜂はらせん飛行。
間断なく様々に動き回る蜂の群れの、
報われる事のない過酷な努力。熱気で圧倒しそうな往来。
房室を出れば眠りはない。幼虫を待つのは労働のみ。
唯一の休息たる死も、この巣から遠く離れねば得られない」

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「この様子を見た人は驚き、ふと目をそらした。
その目には悲しみと恐怖があった」

この作品はフランコ軍事政権を批判したものとよく指摘されるが、
その事は先の母親の手紙やこのノートからも容易に覗える。

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ベッドで寝る妻テレサの側に夫の姿はない。
二人は内乱とフランコ政権下の下で受けた傷を抱えて
自分を出る事が出来ない状態なのである。
娘達と一緒に過ごす時間すら失っている

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朝。アナとイサベルはガッコ(学校)に行く。

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今日の授業は算数に続いて人体構造の勉強だ。
センセ(先生)が子供たちに聞く、
「可哀想に。ドン・ホセさんに足りないものは?」
女の子が立ち上がり、教壇の上の心臓と肺をドン・ホセさんに
付けてあげる。ドン・ホセさんは喜ぶ(^^♪

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ドン・ホセさんの向こうに見えるフランケンシュタインが
アナの目と魂を奪い、そのアナは私の目と魂を奪う。
困った(笑)


※「ミツバチのささやき_1」
※「ミツバチのささやき_2」
※「ミツバチのささやき_3」
※「ミツバチのささやき_4」
※「ミツバチのささやき_5」


■99分 スペイン ドラマ
監督 ビクトル・エリセ
脚本 アンヘル・フェルナンデス・サントス 、 ビクトル・エリセ
原案 ビクトル・エリセ
製作 エリアス・ケレヘタ
撮影 ルイス・カドラード
美術 アドルフ・コンフィーノ
音楽 ルイス・デ・パブロ
アナ・トレント
イサベル・テリェリア
フェルナンド・フェルナン・ゴメス
テレサ・ジンペラ
クエエティ・デ・ラ・カマラ

スペイン内戦がフランコの勝利に終結した直後、1940年の中部カスティーリャ高地の小さな村を舞台に6歳の少女アナと彼女の家族たちの日常を描く。製作はエリアス・ケレヘタ、監督・原案は「エル・スール」のビクトル・エリセでエリセのデビュー作にあたる。脚色・脚本はアンヘル・フェルナンデス・サントスとビクトル・エリセ、撮影はルイス・カドラード、音楽はルイス・デ・パブロ、編集はパブロ・G・デル・アモが担当。出演はアナ・トレント、イサベル・テリェリアなど。
一人の少女を主人公に、彼女が体験する現実と空想の交錯した世界を繊細に描き出した作品。スペインのとある小さな村に「フランケンシュタイン」の巡回映画がやってくる。6歳の少女アナは姉から怪物は村外れの一軒家に隠れていると聞き、それを信じ込む。そんなある日、彼女がその家を訪れた時、そこで一人のスペイン内戦で傷ついた負傷兵と出合い……。

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