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zoom RSS ミツバチのささやき_5 (1973) スペイン

<<   作成日時 : 2016/03/15 04:43   >>

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[1205]映画の鑑。愛情の籠った美しい映像と少女の物語に涙が溢れるよ♪

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テレサは診察に駆けつけてくれた医師に聞いた。
「具合は?」「弱ってる」
「眠らないし食べないし、口もききません。光を嫌がって。
私達を見ても分からないみたい。私達が存在しないみたい」
「テレサ、アナはまだ子供なんだ。
ひどい衝撃を受けてはいるが、時がたてばなおる」
「本当に?」「少しずつ忘れていくよ。
大切なのはあの子は生きてるって事だ。アナは生きてる」

そこへお手伝いのミラグロスがアナは眠ったと
知らせに来る。

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イサベルもアナを心配した。

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その夜。

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フェルナンドが書斎で呟く。

「このガラス製のミツバチの巣箱では、
ハチの動きが時計の歯車のようによく見える。
巣の中での蜂たちの活動は絶え間なく神秘的だ。
乳母役の蜂は蜂児房で狂ったように働き、
他の働き蜂は生きた梯子のようだ」

ミツバチだけではない。
子供(人間)の活動もまた神秘的だ。
フェルナンドはそう思ったに違いない。

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アナは眠りから目を醒ました。

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窓に映る木の葉の影が風に揺れている。
アナは少し怖くなって毛布を被った。

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フェルナンドは疲れてそのまま机の上で眠った。
テレサが現れてコートを掛け、眼鏡を外してやる。

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「私の愛する人間嫌いさん」も歳をとった。
と思ったかどうか(^^♪

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深夜、アナはベッドを下りて、廊下の端の部屋へ向かった。

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「お友達になればいつでもお話できる」
ミツバチの囁きには勝てなかった(^^♪

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夜の窓を開き、木々に目をやった。

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空を仰ぎ、目を瞑り、囁いた。
「私はアナです。。。」

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そして妖精たちの世界に背を向け、
背後に妖精が現れるのを待った。
今度はどんな体を借りてやってくるのだろう。
フランケンシュタインか。兵士か。それとも。。。


「初めに言葉ありき」と聖書は言う。

初めに言葉があって、神はその言葉によってこの世界を創られた。
混沌として暴風の吹き荒れる暗闇の世界を、
「昼と夜」「水と空」「海と陸」といったように<対>として
仕切りながらこの世界を立ち上げていった。構築していった。
と「創世記」は語っている訳だ。

実際、そうだと私も聖書の言葉に従う。
人間はその神を真似てこの世界を言葉で組み立て、
自分の世界として、自分の現実として獲得していくのだと。

その事は生まれて来た子供が、母親(養育者)を中心とした
周囲から「昼と夜」「水と空」「海と陸」といった言葉を与えられ、
その言葉の下にこの世界=現実を立ち上げ、
獲得していく事からも容易に分かる。

だが人間は愚かである。
ほんらい<対>であるのに、優越を問えるはずがないのに、
その片方に価値を置くという過ちをしばしば冒してしまうのだ。
夜よりも昼の方が価値がある、といった具合に。

実際、そうだ。
「流行り歌と私の70年〜80年代史メモ」の中で言ったように、
80年代以降、日本社会は「ネアカ」を称賛し、
「ネクラ」を徹底して排斥したではないか。
バブル景気以降、夜を煌々と光り輝く昼の世界に変えてしまった
ではないか(笑)
(笑)になってるが、これは怒り心頭に達してるって事なんだよ(^^♪

「アナが光を嫌がっている」のはその意味で言うと、
光=昼に価値を置き、この世界を光=昼で支配しようとする
「おとな」たちを怒り、拒否しているという事だ。

物語に即して言えば、背景にある
フランコ軍事政権を怒り、拒否しているという事になる。
独裁政治とは自らの光=昼の下に人々を支配する事なのだから。
私も子供の頃から徹底した夜型人間だから
アナの怒りがよく分かる(^^♪

少し言い換えれば、
人間はこの世界を言葉で構築していくより手立てはないが、
言葉にしてしまった瞬間、
その言葉が掬い切れなかった「もの・事」が生じる。
零れてしまった「もの・事」がある。


神はむろん人間のように愚かな訳ではないから、
言葉で掬い切れなかった、あるいは言葉から漏れてしまった
「もの・事」を拾っていく。
それらを超常的なものとして、
つまりは「妖精」として書き残したのだ。

聖書の世界に否応なく神秘的な、
あるいは超常的な「もの・事」が混在してくるのはそのせいだ、
と私は考えている。
聖書がアニミズムの痕跡を残しているのは、と言っても良いが。

その意味ではこの作品は、
世界をただひたすらアポロン的に構築していこうとする
ヨーロッパ文明への批判(反措定)にもなっている。
作品そのものが夜の世界であり、妖精の世界なのだ。

私がこの作品を観て心が震えるのは、
そうやってこの作品が私を人間の、
あるいは世界の初源へと引き戻してくれるからだ。

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だがどんなに理屈をこねてもこの二人には敵わない。
二人の前では全くお手上げだ(^^♪
観ないと人生丸損だよ、
こんな素敵な映画がある事を知った以上(笑)


※「ミツバチのささやき_1」
※「ミツバチのささやき_2」
※「ミツバチのささやき_3」
※「ミツバチのささやき_4」
※「ミツバチのささやき_5」





■99分 スペイン ドラマ
監督 ビクトル・エリセ
脚本 アンヘル・フェルナンデス・サントス 、 ビクトル・エリセ
原案 ビクトル・エリセ
製作 エリアス・ケレヘタ
撮影 ルイス・カドラード
美術 アドルフ・コンフィーノ
音楽 ルイス・デ・パブロ
出演
アナ・トレント
イサベル・テリェリア
フェルナンド・フェルナン・ゴメス
テレサ・ジンペラ
クエエティ・デ・ラ・カマラ

スペイン内戦がフランコの勝利に終結した直後、1940年の中部カスティーリャ高地の小さな村を舞台に6歳の少女アナと彼女の家族たちの日常を描く。製作はエリアス・ケレヘタ、監督・原案は「エル・スール」のビクトル・エリセでエリセのデビュー作にあたる。脚色・脚本はアンヘル・フェルナンデス・サントスとビクトル・エリセ、撮影はルイス・カドラード、音楽はルイス・デ・パブロ、編集はパブロ・G・デル・アモが担当。出演はアナ・トレント、イサベル・テリェリアなど。
一人の少女を主人公に、彼女が体験する現実と空想の交錯した世界を繊細に描き出した作品。スペインのとある小さな村に「フランケンシュタイン」の巡回映画がやってくる。6歳の少女アナは姉から怪物は村外れの一軒家に隠れていると聞き、それを信じ込む。そんなある日、彼女がその家を訪れた時、そこで一人のスペイン内戦で傷ついた負傷兵と出合い……。

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