大菩薩峠 第一部 (1960)

[015]こんな日本映画はもう作れない……?

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この映画もいったい何度目だろう。

市川雷蔵は私の偏愛した俳優のひとり。
三隅研次も大好きだった監督。

いまでは考えられないキャスト構成。
オールセットがもたらす、シャープで、華麗な映像。
じつに奥行きのある物語。
(介山のだから当然といえば当然なのだが)

「大衆娯楽映画」として作られたんだろうけど、
まあ、すごくて、言葉が出てこない。
ただ息を詰めて、見惚れるしかない。

全盛時の日本映画はやっぱりすごかったよなあ。

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東映の「大菩薩峠」が
近代の憂鬱に陥る机龍之介という
「人間」を描くことに重点を置いているとすれば、
こっちは徹底して映像美を造形する。

机龍之介が狂うシーンが象徴的。
片岡千恵蔵版(東映)ではお浜が亡霊として登場するけど、
雷蔵版では登場しない。お浜は「見えない」。

見えないぶん
あの端正な雷蔵が狂う様は、怖い。
美しい。
もの哀しい。
ほんと、狂気そのもの。

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その乱れた様を、
不意に衆目(宿泊者たち)に晒す三隅の演出にも
ただただ唸るしかない。

もう一点、つくづく感じること。
やっぱりフィクションの度合いは高いほうが面白い。

とにかく必見。



[015] 105分 大映 時代劇

監督: 三隅研次
製作: 永田雅一
企画: 松山英夫 南里金春
原作: 中里介山
脚本: 衣笠貞之助
撮影: 今井ひろし
美術: 内藤昭
編集: 菅沼完二
音楽: 鈴木静一
助監督: 井上昭

出演
市川雷蔵 (机龍之助)
本郷功次郎 (宇津木兵馬)
中村玉緒 (お浜)
山本富士子 (お松)
菅原謙二 (近藤勇)
根上淳 (芹沢鴨)
見明凡太郎 (七兵衛)
笠智衆 (机禅正)
島田正吾 (島田虎之助)

中里介山による未完の同名長編時代劇を、市川雷蔵主演で映画化した大映版シリーズの第一作。「歌行燈」の衣笠貞之助が脚色し「千羽鶴秘帖」の三隅研次がメガホンをとった。過去には大河内伝次郎と片岡千恵蔵が主人公の机龍之助を演じたが、本作で雷蔵はニヒリズムを前面に打ち出している。
大菩薩峠の頂上、黒紋付着流しの机龍之助は唐突に老巡礼を斬り捨てた。祖父の死に驚く孫娘のお松は怪盗七兵衛に助けられる。御嶽山奉納試合の対戦相手である宇津木文之丞の妻から「試合に負けてほしい」と頼まれるが、龍之助はこれを拒否し妻を犯したあげく、試合では文之丞を斬り殺してしまう。文之丞の弟である兵馬は復讐を誓い、島田虎之助から剣を学ぶため江戸へ向かい、そこで知り合ったお松と恋仲になるのだった。

市川雷蔵主演による大映版シリーズ第一作。


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