春夏秋冬そして春 (2003)

[044] な、なんでこんな映画創れるの……?

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いい映画だよなあ……!

「喩」としてだけれども、
人間の業がじつに単純明快に描かれていて、
震えちゃった。

しかし、なんで……?
なんでこんなに凄い映画創れるの……?

韓国の映画界の活況が
映画人たちの才能を一段と引き出してるのかなあ。
うらやましいよ~!


解剖学者の故・三木成夫さんは、
人間の内臓は樹皮が進化した?ものだと言った。
それを受けて吉本隆明さんは、
「こころ」は内臓が作り出すものだと結論づけた……?

私なりに翻訳すると、
人間の「内臓」が樹皮とおなじように、
光や影、風、水、土などを感じながら
「こころ」を作り出すということなんだけど、

この映画、
そうした人間の内臓(樹皮・こころ)を
自然や小動物等との関係で
みごとに表現してみせてるような気がする……。

脱帽……!!


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●「透明の向こう側」さま
四季の移ろいを表現するために、
あえて1セット(場面)にしたんでしょうね。
芝居ならともかく映画でそれをやるなんて、
普通は怖くてできないような気がします。
そこが凄いと思いました。

●「花」さん
トラン アン ユンの作品を観ていないので
私にはなんとも言えないのですが……。
ただ人の作品に影響を受けながら自分の作品を作ることは
よくあることで、悪いことだとは思いません。
ただしその場合、本人が公言することが望ましいと思いますが……。
キム・ギドクは私の好きな監督なので、
機会があったら是非トラン アン ユンの作品を
観てみたいとおもいます。

●「マリリン」さん
役者いないし(金ないし?)、セリフないし、
しょうがないから俺やるわ……、
と言って自分でやったらしいですよ、
人伝えに聞いた話なのですが。
キム・ギドクのそういう「いい加減な」ところも気に入っています。

●チェブさん
ほんと、いい映画ですよねえ。
キム・ギドクは「人間も自然の1部なんだ。それを撮りたかった」
みたいなこと言ってたような気がします。
どこかのホームページで読んだのですが……。
人間もこの世界もとても複雑ですよね。
その複雑さをちゃんと撮ろうとすると、
どうしても表現が難解になることがある……、
と思っちゃえばいいんじゃないでしょうかね。
「またまたキム・ギドク???になり興味津々」……、
いや、私もチェブさんとまったく似たようなもんだと思ってますけどね。

●アマポーラさん
ごめんなさい、見落としていました。
あの絵、キム・ギドクが書いたんじゃないでしょうかねえ。
和尚さん、ほんと仏様みたいなひとで、なんとなくギドクが
こうあってほしいみたいな父親像を描いてるのかな?
とも思いました……。最後、自死しますが、
そこにはいろんな意味が含まれてるような気がしました。
拾った子をちゃんと育てられなかったことにたいする贖罪、
自分の命の「冬の到来」の自覚、
徹頭徹尾、生を意思的に生きることの実現……。
キム・ギドク作品の分水嶺をなしている作品だと思いますけど、
ほんとすごいですよね。
彼はいつも自分の命ギリギリのところで
作品を創ってるような気がします……。

●アマポーラさん
ほんと、顔、長さんそっくりでした……(笑)。
そうなんです。「母親」が出てこないんです。
キム・ギドクのことになると私はすぐ妄想がわいてしまうのですが(笑)、
この物語もけっこう自伝的な要素が強くて、
ギドクも母親ナシに、こういうふうに育てられたんじゃないかなあ……、
あるいは、「母親不在」のトラウマがあって、
かなり意図的にここで母親を消したんじゃないかなあ、
と疑ってるんですよねえ……。

ありがとうございました。

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102分 韓国/ドイツ ドラマ

監督: キム・ギドク
製作: イ・スンジェ カール・バウムガートナー
製作総指揮: チョン・ホンジョ
脚本: キム・ギドク
撮影: ペク・ドンヒョン
編集: キム・ギドク
音楽: パク・ジウン

出演
オ・ヨンス 老僧
キム・ジョンホ 子供
ソ・ジェギョン 少年
キム・ヨンミン 青年
ハ・ヨジン 少女
キム・ジョンヨン
チ・デハン
チェ・ミン
キム・ギドク

心境著しい韓国映画界にあっても、もっとも世界的な注目を集める監督の一人、「悪い男」のキム・ギドク監督が、山奥の湖の湖面に佇む小さな寺を舞台に、ひとりの男の波乱に富んだ人生を5つのエピソードで語った美しく静謐なドラマ。監督のこれまでの作風からは一変し、自然の四季に重ね合わせた人の一生を、耽美的な映像で情感豊かに綴る。
春――深い山間の自然に囲まれた湖に浮かぶ小さな寺。幼子と老僧が静かに暮らしていた。無邪気な幼子は、いたずら心から小さな生き物を殺めてしまう…。夏――幼子は17歳に成長し、寺に養生にやってきた同い年の少女に恋をする…。秋――寺を出奔した男が、十数年ぶりに帰ってくる。妻の裏切りに我を忘れ、怒りを抑えきれない男に、老僧は心を静めるよう諭す…。冬――中年となり、再び寺に戻ってきた男。そこに老僧の姿はもうない。男は荒廃した寺でひとり心身の鍛練に励む…。季節は移ろい、寺にふたたび春がめぐってくる…。


この記事へのコメント

透明の向こう側
2008年03月24日 13:49
人が持つ 業 執着心 欲望 などを四季を背景に表現する場面は殊更美しい故に克明に見せ付けた凄さ。和尚が書く達筆な毛筆、それを一文字ずつ彫りながら鎮める訓え、、、語らずして発する迫力を持つ人の凄さ。
「秋」「冬」そして「春」の場面をみて 最初の「春」がようやく解かった、実に景色の美しい作品。
初めて見た「キム・キドク監督作品」その後数本見てヨーロッパで高い評価を受ける理由が判ったような印象が。

>人間の「内臓」が樹皮とおなじように、
光や影、風、水、土などを感じながら
「こころ」を作り出すということなんだけど

鼓動が語る「心文字」更に実感致します。
2008年03月30日 22:49
キム ギドクはトラン アン ユンの作品を一部参考にしている気がしてしまうのは私だけだろうか?
これは「夏至」、「悪い男」→「シクロ」
マリリン
2008年04月08日 15:56
山崎さん、こんにちは。

ほんとうに美しい映画でした。
どんどん、キム・ギドク の世界に
吸い込まれる感覚・・・
不思議な世界。
お薦め、有難うございました!!
中年になった男は、キム・ギドク監督?
自分で演じたのは、なぜですか?
男の風貌が、かなり変わったので一瞬・・・
何方さま??と考えてしまったのでした。


マリリン
2008年04月08日 21:33
へぇー、そうなんですかぁ!
意外な展開(>_<)
何かすごい拘りがあるのかなぁ・・
と思ったりしたんですが・・・
面白い情報、有難うございました(^_-)-☆

あの山奥の湖・・訪れてみたいなぁ。
チェブ
2008年04月27日 12:06
山崎さんこんにちは

やっとこの作品をみることができましたー!


よかったです!私は好きです!美しい?確かに絵画ですね。
湖に浮かぶ寺はキャンパスに描かれた絵のようで、景色の「静」とその中で動く人間の(人の心の)「動」が対照的でした


木の扉の向こうには俗世が、断ち切っても断ち切っても、断ち切れない傲が欲が、主人公は十字架を背負うのごとく、一生心に石を背負っているんですね


冬監督自らが主人公を演じ山に登っていくシーンでは気迫を感じ、胸にせまるものがありました

春夏秋冬そしてまた季節も人の傲も繰り返されていくんですね
境内に刻まれた文字の色も四季を(人の一生)を表しているのかなと思いました


日本も韓国と同じ四季を持つ国だからこそ心に響くのでしょうか?風の匂いが、水の流れが感じられ、映像にどんどん引き込まれました


同時に悪い女もみたので、またまたキム・ギドク???になり興味津々、難解な男ほど惹かれてしまう・・そんな気分になってます。
アマポーラ
2008年04月29日 19:51
こんばんは。
2日続けてギドク作品を観てしまいました。
いや~っ、すごいですね。
皆さんおっしゃってるみたいに絵画のような映像でした。
「そして春」のところで中年の男が寺に捨てられ成長した男の子を描いてたでしょ。あれはギドクさん本人が描いてたのかな~?絵も上手そうだけど。
猫のシッポで般若心経書いて、それを彫らせる。
男を捕らえにきた刑事まで彫ったものに色をつけていく・・最後は手錠もかけずに連れて行きましたね。
この寺の和尚さん、神様みたいな人だと思ってましたが
最後は自分にふたをしてしまいましたね。自然に戻りたかったのかな。
それでも時はめぐってまた春がきて!

あっ、余談ですが「冬」になったとき思わず「出たよ!ギドク監督~」って叫びそうでした。^^
アマポーラ
2008年05月02日 17:33
ありがとうございます。返信してくださって。
そうですね、和尚さんには拾った子をちゃんと育てられなかったことに対する贖罪があったのかもしれませんね。(ちょっといかりや長介さん似でしたね)
その子が今度は捨てられた子を育てることになるんですから・・・
老僧も、中年男も、子供を育てるのは男でしたね。
母親は身を切られる思いがあったにせよ子供を捨てたんですから・・・
なんか、辛かったです。

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