ゲンセンカン主人 (1993)

[054]石井輝男はつげ義春のストーカーだった……?

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つげ義春は私が超偏愛するマンガ家で、
全集に解説書いたこともあるし、
「おれこそ日本一のつげファンだあ」なんて自認してるんだけど、
この映画の石井輝男監督にだけは、どうしても
「負けた……っ………」て感じになっちゃうんだよねえ。

しかも、しかも……、
「くそ、悔しい~っ」てならないで、
ほかのやつならともかく、
石井輝男に負けるのはしょうがないかあ。
石井監督なら……、石井監督なら……、
「負けてうれしいっ!」て叫びたくなっちゃうんだよねえ……。

いやあ、ほんと困っちゃった。

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だってさ、これ、観たあ?
すごいんだよ、とにかくすごいの、ものすごいの。

「李さん一家」「紅い花」「ゲンセンカン主人」
「池袋百点会」の4話で創られてんだけど、
映画のカット割がさ、もう原作のまんまなの。
そのまんまなんだよ! そのまんま……!

石井監督といえば、もうすごい監督なんだよね。
健さんの「網走番外地」撮った大監督……!

大監督の名をほしいままにするひとがさ、
ふつう、原作マンガにものすごく忠実なカット割で映画撮る……?
撮るわけないじゃない、ふつう。
プライドってもんがあるでしょう。プライドってもんが、ふつうさ……。

でも、微塵もないの、そんなもん、
石井大監督は、つげ義春の前に出ると……。
喜んでつげ義春さんの奴隷になります、
メイドでもスト-カーでもなんでもいいです、
足の指舐めろと言われれば舐めます、
て感じで撮ってるんだよねえ……。

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こんなつげファン見たことない。
だから「負、け、た………」って、
ただもうほんと素直に頭垂れるしかないんだよねえ。

で、ちょっと考えればわかることなんだけど、
じつはマンガのカット割に忠実に撮るのは、
ものすごく難しいんだよね。

だってマンガに忠実なセット作ったり、
ロケ地探すなんて、ふつう無理でしょう?
どっか妥協しちゃうでしょう、どう考えても?
ましてつげ義春のマンガなんだよ。

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でも石井監督は一切妥協しないの。
徹底して忠実に撮ってるわけ……。
すごい……、ア然……、呆然……。

いや、なにがすごいかって、
絵カットはマンガそのままやるにしても、
映画だから「時間」が流れるわけじゃない、時間が。

その時間をどう作っていくかってのが難しいと思うんだけど、
それがまたすごいの、石井監督は。
つげ義春の描くマンガの時間とピッタシなの。
もう一心同体なの。抱き合ってるの。
つげ義春とおんなじ呼吸してんの……。

竹中直人が撮ったつげ映画なんかと比べると、
もう歴然とわかるよね。

ほんと、日本一のつげファンの私が言うんだから、
間違いないんだよねえ……。

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だいたい面白いマンガを映画にすると
失敗するのが目に見えてるんだけど、
そういう意味では、石井監督のこの映画、
つげ義春のマンガとがっぷり四つ。

最高の傑作……!

と思うんだけど、しかし
それだけじゃまだ終わらないんだよねえ。

石井監督ったら、最後に、
ラストに、つげ義春本人出しちゃうんだよお。
映画館の客席に座って、この映画観てるつげ義春を。

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で、「どうでしたか、この映画?」って聞くんだよお、つげさんに。
「アホ!!!!! ばか、ばか、ばか……!!!!!!」
って思わず怒鳴っちゃったわ、ほんと……。

間違いなく傑作なんだよ、傑作!!
傑作なのに、そんなことしたら、
そんな楽屋落ちみたいなことやったらパーになるじゃん、
それまでの苦労がパーに、パーに、水の泡に……。

もちろんそんなこと
私が言わなくたってわかってるんだよ、石井監督は。
わかってるのに……、わかってるくせにやっちゃうんだよお。
ただひたすら、つげ義春ご本人に
ちょっとだけでも出てほしくて……!

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クーッ…………、
なんて監督なのよ、
石井輝男って監督は……。
と、つげさんを愛する石井さんの心に
もう泣いちゃうしかないじゃない?
傑作? それがなんだ、そんなもんがどうしたって……!

石井輝男、大好き……!!!!!

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ところで佐野史郎、いいよねえ……。
冬彦さんもよかったけど、
おれ、この映画の佐野史郎がいちばん好きかも……。

つげさんは
現実と空想の間を見てるひとだと思うんだけど、
その「目」をみごとに演じてるもんね。
「ゲンセンカン」の浴場のシーンも見事だし……。

佐野ちゃんにも、大拍手……!!
横山あきおさんにも、岡田奈々、川崎麻世にも……!!

余談だけど、
石井輝男監督が亡くなったとき、
佐野ちゃん、ほんとガックシ来てたよなあ。
これで……が残ってるのは、
若松孝二監督だけかなあって……。

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遅まきながら
敬愛する石井輝男監督のご冥福を心からお祈りいたします。
いつもハチャメチャですばらしい映画、
ほんとうにありがとうございました……。

■98分 日本 ドラマ
監督: 石井輝男
製作: 木下茂三郎
プロデューサー: 吉田浩二
企画: 中沢敏明 東条あきら
原作: つげ義春
脚本: 石井輝男
撮影: 石井浩一
美術: 丸山裕司 藤木光次
編集: 奥原好幸
音楽: 鏑木創
助監督: 森谷晁育
出演
つげ義春
佐野史郎 津部
横山あきお 李さん
中上ちか 李さんの奥さん
久積絵夢 キクチサヨコ
荻野純一 シンデンのマサジ
水木薫 ゲンセンカンの女将
川崎麻世 伊守
岡田奈々 ランボーの福子
杉作J太郎 三流さん
きたろう 須山

つげ義春の短編原作を元に「李さん一家」「紅い花」「ゲンセンカン主人」「池袋百点会」4話のエピソードを絡めて描いた作品。

 

●てっせんさん
う~ん、何から何まで好みが似てしまってますねえ(笑)。
若い時分、木内みどりさんに
「哲ちゃんとわたしには同じ星印がついてるの」
と言われたことがありますが、もしかして
てっせんと同じ星印がわたしにも……?(笑)。
邦画のページを読むとつい回顧的になるというお話ですが、
なに大丈夫、過去を潜りながら未来を目指すのが
ただしい道ですから……(笑)。
この映画ぜひごらんください。本編?もめちゃくちゃいいのですが、
ラストはもうチグハグして大笑いです……。

●スクリーンさん
はい、たまには邦画もいいものですよ……(笑)。
そうだ、ブログ、衣装替えしてみたのですが、だめでしょうか?
おひとつ感想を……(笑)。

●スクリーンさん
いろいろ衣替えやってみたのですが、これがいいかな?と……(笑)。
自分ではあまりいじれないので、用意してあるテンプレートを
使っているんですよ。スクリーンさんにも気に入ってもらえたようだし、
飽きなければしばらくはこれで…(笑)。

●スクリーンさん
「誰も守ってくれない」の監督の君塚さん、
「シャケと軍手」を観てくれたんですよ。
お客さん入るといいんですけど……。

ありがとうございました。


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この記事へのコメント

てっせん
2009年01月19日 21:23
今晩は。
つげ義春、私も愛読しておりました(笑)。
今でも、何年かごとに、読みたくなりますねえ。いろんな思い出がありますし・・・学生の頃、好きでしょうがなかった女性も、つげ義春の大のファンだったり・・・(笑)。子供の頃、近所の商店街の外れに、それこそつげ漫画に出てきそうな薄暗く湿った感じの貸し本屋がありまして、土曜日の午後、そこから腕にいっぱいかかえるほどの漫画を借りてくるのが、最高の楽しみでした。そしてその中に、つげ義春という名前もあったのを記憶しております・・・。

・・・どうも、「邦画」のページにきますと、つい回顧的になってしまいますねえ(笑)。映画は未見ですが、つげ義春さんが出演されているなんて、こりゃあ、ぜったい観なくっちゃ。

失礼しました。


スクリーン
2009年01月19日 23:20
山崎様こんばんは

お久しぶり コメントです。毎夜 覗いてはいるのですが、先生や皆様のコメント拝読するので いっぱい いっぱい。。本作品は未見ですが、好きだった俳優さんの名前拝見したので のこのこ出てきました。佐野史郎さん 川崎麻世さん 岡田奈々さん
久々に 邦画も見ようかな。
スクリーン
2009年01月22日 00:09
山崎様 こんばんは
ブログ衣替え 先日気づきましたよ^^ やわらかい 色合いで、視やすいです。
ほんわか淡い色で、先生の優しい(^O^)お人柄、コメントにぴったんこ。。。ですよ。
(前回 衣替えについて コメントしようかと思いながら、忘れてました
スクリーン
2009年01月23日 23:53
山崎様 こんばんは
本作品にも出演されてる 佐野史郎さん出演のの最新映画【誰も守ってくれない】明日1/24 公開です。第32回モントリオール映画祭で最優秀脚本賞を受賞した作品、気になるタイトルと、佐野さんの映画,視たいです。初日は ちょっと無理だけど、いつか^^ (本作品のコメントではありませんが、同出演者ということでご勘弁を)

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