純愛中毒 (2002)

[034] イ・ビョンホンの重心の低さを見習え……。

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ラブ・ストーリーを謳う映画はどっちかっていうと、苦手。
あんまりベタベタしたものはちょっと生理的にだめだし、
恋愛は観るより、ヤルもんだあ……、なんて思ってるから……?

それでこの映画もずっと躊躇してたんだけど、
「甘い人生」にコメントくだすった「マリリン」さんが観て……!
と、おっしゃってたんで、やっと腰をあげて観た映画。

お、面白い!
登場人物はほとんど4人。
たった4人でこれだけの物語創るなんて、すごいよなあ……。

特に、イ・ビョンホン。
かれ、どこか「太陽がいっぱい」のアラン・ドロンに似てない?

アラン・ドロンもかつて私が虜にされた俳優なんだけど、
甘いマスクをして、しかもいいひとに見えるのに、
じつはものすごく悪いやつなんだよね。
友人殺して、金盗って、犯行隠蔽して、
「ああ、太陽がいっぱいだ」なんて言いながら、
デッキチェアで幸福感に浸っちゃったりして……。

まあ、犯行の理由はものすごくよくわかるんだけど……。

イ・ビョンホンも同じ。
いくら嫂に惚れてるからってまずいんじゃない、こんなことしちゃあ……、
と思うんだけど、
ここまでして女を自分のものにしたいっていう、
その想いにはもうほんと負けちゃうんだよね。
かっこいいなあ、なんて思ったりしちゃうんだよね。
困ったもんだ……。

しかし、嫂(イ・ミヨン)はこのあと、
夫になりすました弟を受け入れるの? どうなの?
おなかには子どもいるし……。
それとも弟殺しちゃうの……?
なんて観終わったあと、複雑な気持ちになっちゃった。
どうするんだろう……?

ともあれ、イ・ビョンホンの魅力は、そこ。
甘いマスクして、いいひとみたいな顔して、
じつはこころはいつもものすごくハードボイルドだってこと。
「甘い人生」然り、「JSA」然り、「ひまわり」然り……。

こころがハードボイルドってのを、
演技的な問題に置き換えると、
かれの演技の「重心」がものすごく低いってこと……。

ちょっとやそっとのことには動じない。
腹が低いから、
本心(ほんとうの自分)を他人には見えない位置にまで落としているから、
観てる側にはよくわからない。
観てるものは騙されやすい……、ってこと。

そこがイ・ビョンホンのとてつもない魅力、
色気なんだとおもう……。


あ、「マリリン」さん、ご推薦ありがとうございました!

ついでで申し訳ありませんが、
コメント寄せていただいているみなさん、
ほんとうにありがとうございます。

どうやって「返信」したらいいのか
まだわからないままに書いておりまして……、
この場でとりあえず深くお礼申し上げます。

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●「スクリ~ン」さん
ありがとうございます。
でも大丈夫ですよ、紛らわしい書き方はしてますけど、
ちゃんとわかって書いておりますので……。

●「デイジー」さん
そうですか。知りませんでした。
そうすると弟テジンが事故後に兄ホジンになりすました理由が、
いっそうよくわかります。
ただ……、テジンは、兄が植物人間になったことを知ってから、
自分はホジンだと言い始めたんでしたっけ……?
そこのところ、もう一度ちゃんと観てみます。
まあ取りようによっては、兄弟が文字通り一体になって
「ウンス」を愛しはじめたようにも取れますよね……。

●「ハッピー」さん
男はなんで観ないんでしょうねえ。
不思議だなあ。私には理解できません……。

●「マリリン」さん
ぜんぜん知りませんでした。
アラン・ドロンみたいって言われてたんですか……。
「夏物語」も探して観ます。

●ライラックさん
とてもいい作品だとおもいます。
現実的には、そんなことある? とは思いますが、
「心的」にはありうることだし、それをちゃんと表現できているから、
私はそれでいいんだと思います。ラスト・シーンの不透明さも、
サスペンスとしてはとても高度な表現だとおもいますね。

●ろみさん
「力を抜いて拳を緩めたところで彼女は
彼を受け入れたと思いました」
なるほどなあ。
ろみさんの見方、とても説得力がありますね……。

ありがとうございました。

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114分 韓国 ロマンス/ドラマ/ミステリー

監督: パク・ヨンフン
製作: イ・チュニョン
製作総指揮: パク・ムソン
脚本: ピョン・ウォンミ ソン・ミノ
脚色: クァク・ジェヨン
撮影: キム・ビョンイル
音楽: チョン・ジェヒョン

出演
イ・ビョンホン テジン
イ・ミヨン ウンス
イ・オル ホジン
パク・ソニョン エジュ

「JSA」「美しき日々」のイ・ビョンホン主演で描く捻りの利いた異色ラブ・ストーリー。一緒に暮らしていた兄夫婦とその弟。やがて、兄弟揃って事故で昏睡に陥り、1年後、奇跡的に意識を取り戻した弟に兄の魂が宿っていたことから妻の愛の葛藤が始まる。共演は韓国を代表する実力派女優「黒水仙」のイ・ミヨン。
幼い頃に両親を亡くしたカーレーサーのテジンは、固い絆で結ばれた家具アーティストの兄ホジンとその妻ウンスと共に、田園地帯の一軒家で仲良く平穏に暮らしていた。弟テジンは、仲睦まじい兄夫婦を暖かい眼差しで見守っていた。だがそんなある日、テジンは優勝を賭けたレース中に対抗車と激突、その同じ時刻にレース会場へ急ぐホジンを乗せたタクシーもトラックと衝突事故を起こし、兄弟は共に昏睡状態に陥ってしまう。1年後、テジンだけが奇跡的に意識を取り戻す。そして、ウンスのもとに帰ってくると“自分はホジンだ”と言い出すのだった…。

この記事へのコメント

スクリ~ン 
2008年03月15日 21:55
山崎さん 始めまして。
純愛中毒観ていただきありがとうございます。
ひとつ解釈について申し上げたくコメントさせていただきます。
兄嫁を好きになったのではなく 初めての出逢い(カメラを抱えていたとき 偶然の出逢い 自転車で駆け抜ける彼女に 一目ぼれ その時の風で舞ったタンポポの綿毛をずっと もってます)の時は まだ兄の彼女なんて知らず。兄嫁になる人が 一目ぼれの彼女だったのです。単なる純愛映画ではなく奥が深く、5-6回観て 理解 ノベライズブック読んでさらに理解、メイキングと更に観賞し、DVD繰り返しみて、映画館で上映されるたびに大スクリーンで美しい イ・ビョンホンの演技に 涙 涙です。

アランドロンの太陽がいっぱい 私も大好きです。イ・ビョンホンと出合ったとき 彼と重なりました。
これからも素適な映画に出演していただきたいと思います。

わが心のオルガン  チョ・ドヨン共演 この作品も良いですよ。純愛中毒や 甘い人生と違った一面のイ・ビョンホンに出会えますよ。
デイジー
2008年03月16日 02:52
はじめまして。
韓国では血のつながっていない義理の姉との結婚は
法律的にできません。日本では戦後、戦死した兄嫁と結婚する弟も多かったと思いますが、そういう点でも日本の感覚とは違いますね。
この点を知っておくと、兄になりすましたテジンの選択の必然性がより強まるような気がします。
ハッピー
2008年03月16日 17:01
山崎様はじめまして

この映画のほど1度目見たときと2度目見直したときほど感じ方が違う映画ははじめてでした。
初見の時は兄の魂が乗り移った映画だと思いながら見ていたので、真実が分かったときは「ストーカーだったんだ」と思い一瞬気持ちが悪くなったほどでした。
2度目に見たときは自分というものを殺してしまってでも兄嫁への愛を抑えきれない思いが可哀想でなりませんでしたよ。
後はどうなってしまうんだろうと余韻がいつまでも残る映画でした。
ビョンホンさんは日本の女性に人気が高い韓流スターと呼ばれることが多いため、男性に見てもらう機会がすくなくて残念だと思っておりましたので俳優として演技をきちんと評価していただいてすごく嬉しい思いです。

「誰にでも秘密がある」もいつか機会があったら見ていただけると嬉しいです。ただし、今まで見ていただいた映画と違うジャンルで山崎さん好みではないと思いますが。
まったく違ったビョンホンさんをどんな風に評価していただけるのかが楽しみです。




マリリン(^^♪
2008年03月21日 02:50
山崎さん!今晩は。

久しぶりにお邪魔しましたら・・・・
私の名前が!!しかも2作品とも御覧頂いて
いたとは!!感激です!(^^)!
(重心)(ハードボイルド)山崎さんてすごいな!!
そうそう、と頷きっぱなしです。
イ・ビョンホン、本人に聞かせてあげたい。是非とも・・・・♪
それにしても・・純愛中毒でアラン・ドロンが、かぶるとは、やっぱりすごいな。山崎さま!!
と申しますのも・・・・後の作品、甘い人生での彼は、アラン・ドロンだ!!と騒がれたのであります!
次回は、昨年の作品、夏物語も宜しくお願い致します。
楽しみにしております(^_-)-☆





と騒がれたのです

スクリーン
2008年03月22日 17:16
山崎様
解釈について【わかってます】コメントありがとうございました。つい 誤解されがちな作品なもので、コメしてしまいました。大変失礼なコメ 申し訳ありませんでした。
ライラック
2008年05月13日 19:29
山崎さん、こんばんは。
ビョンホンさんのラブシーンでも話題の作品ですが、過去に一目惚れした女性を兄嫁として迎え、レーサーと家具職人という専門的な仕事をこなし、兄に「憑依」し、自分を殺し兄となって生きていくと覚悟する役・・・ビョンホンさんにかかると演技に見惚れ、惚れた弱みで甘い評価になってしまうのですが、山崎さんのコメントを読み、嬉しかったです。
都合よく兄弟揃って事故に遭い、長い意識混濁状況の中で兄に憑依することを決め、着々と行動に移す、兄に憑依したことを専門医に語らせ、兄嫁が受け入れられるように説得行動に出る。
こんなことあり?出来る?
雨の中のお迎え、作業場でのコイン、見ていなければ出来ないスチュエーション。
兄の癖の真似は出来ても行動までは?
ビョンホンさんにかかると雨の中の迎えも切なくなり、情緒が負けてしまいます。
有り得ない!と突っ込みたくなる自分と、有り得ない事態に入り込むビョンホンさんの演技だけを見て、この作品を評価してよいかどうかずっと悩んでいたのが、すっきりしました。ありがとうございました。

ろみ
2008年06月18日 12:45
山崎さん こんにちは。
私が韓国映画も イ・ビョンホンという俳優も
全く知らなかった頃、
この作品の紹介記事を何かの雑誌で読み、
とても興味を持ちました。

ラストシーン近くで ギャラリーに戻る兄嫁の
後姿での演技、
手を強く握り締めていますが
その後、力を抜いて拳を緩めたところで
彼女は 彼を受け入れたと思いました。

また 彼女が夫に対して好ましく感じていた
数々の言動も 義弟に教えられたことを
実践していたに過ぎなかったということ、
テジンの想いがそこまで強かったことを
理解したのでは・・・。

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