BROTHER (2000)

北野映画が湛える生と死の悲しみ

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「どろろ」観はじめたんだけど3分も観てらんなくて、
たまたまそばにあった北野武の「BROTHER 」に替えちゃったよ。
何度目だっけ?覚えてないわ。

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たけしは暴力と死を主題にしてるが、
作品はいつもどうしようもない深い悲しみを湛えてる。
たぶんそこが好きなんだろうな。

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その悲しみに触れたからといって
深いカタルシスを憶えるとかそういう訳じゃないんだけど、
とにかく観てるだけで、映像に浸ってるだけでいい。
これって一体いったい何なんだろう。
小津さんの場合は言葉にしやすいんだけど、
たけしの場合はなかなか言葉にできない。

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同じ世代で感覚的に近すぎるからなのかなあ。
なんて自分を無理やり納得させちゃってる。(^^♪
でも、どういうところが好きなのかは言える。

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真木蔵人、使うでしょう。
かれ、格好はまあまあなんだけど、
セリフになるともうどうしようもないよね。
めちゃくちゃ下手、そのへんの素人より下手、学芸会以下。(^^♪

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みたいに見えるんだけど実はそれがいいんだよね。
もうめちゃくちゃにいい訳。
かれの下手~なセリフを聞いた途端、なんだか知らないけど、
ものすごく深いところから悲しみが押し寄せてくるんだよね。
もちろんちゃんとそういう創りになってる訳だけど、監督の。

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たけしもそういう演技しようと思ってやってんだけど、
そして結構いいんだけど、
でもやっぱり上手いから真木蔵人みたいにはいかない。
真木蔵人のほうが全然すごい訳。

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ほかの俳優にも真木蔵人みたいに下手に喋らせようとしてて、
みんな一生懸命下手に喋ろうとしてんだけど、
やっぱりそううまくはいかない。
結構みんなキャリア積んでるもんだからどうしても
「下手に喋る」という演技が見えてしまうのだ。

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渡哲也まで下手に喋ろうとしてるの観ると、
まあ笑っちゃうというか感動しちゃうけど、
たけしが映像に欲しがってるのは演技じゃないからなあ。

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そういう意味で言うと真木蔵人は天才なのかもな。
演技じゃないもん、ほんとに下手なんだもん。
でもそれがいちばん凄いって知ってるのは明らかに監督のたけし。

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それと同じことなんだけど、
たけしって子どもがいま思いついた! 
みたいな「遊び」必ずみんなにさせる。

この映画で言うと、たくさんあるんだけど、
バスケットさせたり、屋上から紙ヒコーキ飛ばしたり、
海辺で遊ばせたり女に舗道を意味もなく往復させたり。

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物語にはほとんど関係ない
そういう「遊び」のシーンが不意に入ってきたりすると、
もうそれだけで深い~悲しみに襲われちゃうんだよね。
みっともないんだけど、ほんと泣きたくなっちゃうくらい。
なんでなんだろう。

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一見物語に関係ないそういう遊びが入ってくると、
なんか知らないけど、いま生きてることだとか
人物を取り囲んでるはずの現実だとかが「夢」みたいに思えてくるからかなあ。
実際たけしの「遊び」のシーンの挿入の仕方は、どうみても夢の構造と
同じだもんね。

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ついでに言っておくと、
たけしの映画、ヤクザものになると、
とにかくメチャクチャ、ピストルぶっ放すじゃない?

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それでよくバイオレンス・アクションなんて言われたりするけど、
(ほんとはそんなんじゃない)
ピストルの音が聞こえてくれば来るほどやっぱりものすごく悲しくなっちゃう。

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たけしとはぜんぜん面識はないんだけど、
うしろから腕掴まえて、「もうやめなよ」
「やめなって、もう死んじゃってんだから」
と止めたくなっちゃうんだよね、縋りついて。
でないと次にはたけし自分の頭粉々にしちゃいそうでさ。

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でも止めたら止めたらで「どうしちゃった?」ってケロッと言われそうでさ
ああ~、、何なんだろうなあ。(^^♪

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「遊び」の挿入と同じように、
1発目は現実なんだけど、2発目はもう、夢。
2発目は夢なんだけど、3発目はもう、現実。
この世はどこまでが現実で、どこまでが夢なのか、定かでない。
そういう世界をたけしが生きてるように見えちゃうからなのか。


●HANAさん
はじめまして。
私の好きなたけし映画にコメントいただいてほんと嬉しいです。
ビョンホン映画のコメントは多いんですけどね……(笑)。
かれがたけし映画のファンだということはみなさんに教えてもらいました。
「甘い人生」なんかたけし映画と通底するものがありますものね……。

ありがとうございました。


■114分 日本/イギリス オフィス北野

監督: 北野武
プロデューサー: 森昌行
ジェレミー・トーマス 吉田多喜男 ピーター・ワトソン
脚本: 北野武
撮影: 柳島克己
美術: 磯田典宏
衣装デザイン: 山本耀司
編集: 北野武 太田義則
音楽: 久石譲
照明: 高屋齋
録音: 堀内戦治
助監督: 清水浩
出演
ビートたけし
オマー・エップス
真木蔵人
寺島進
大杉漣
加藤雅也
石橋凌
ジェームズ繁田
渡哲也

北野武監督第9作目。長期にわたるアメリカ・ロケを敢行した、ビートたけし主演によるハード・バイオレンス・アクション。ヤクザ同士の抗争で組織を追われ、日本を脱出しL.A.に移住したヤクザ組長の山本。彼は、そこで暮している腹違いの弟を探し、そこに転がり込む。やがて、山本はヤクの売人をしていた弟とその仲間たちと共に縄張りを拡大。遂にはイタリアン・マフィアと抗争するまでに勢力を広げていくが……。

この記事へのコメント

HANA
2008年05月03日 17:32
はじめまして。
いろんなところを飛び飛びで読ませていただいて、
コメントするのは恥ずかしいからやめようと思ったのですが、思わず・・・

>たけしは暴力と死を主題にしてるんだけど、
いつも作品はどうしようもなく深い悲しみを湛えてて……、
という山﨑さんのコメントを読んで、私がいままで
北野監督や監督の作品をを見ていて、心に引っかかっていたのに、上手く自分で解らなかった何かがわかったような気がして、嬉しくなってお礼を言おうと出てきてしまいました。
あぁ・・そうですよね・・・そうなんですよね。
ありがとうございました。

そうそう・・・ビョンホンさんも北野監督の大ファン
みたいですよ。

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