サマリア (2004)

キム・ギドクはどこかで女性を憎悪してるのかなあ……?

画像


チェヨンとヨジンは同級生で、大親友。
2人はヨーロッパへ行こうと援助交際で資金を稼いでいる。
チョエンがからだを売る役でヨジンはサツの見張り役なのだが、
ヨジンはチョエンに
「セックスはしても男をけして好きにならないで」と言っている……。

ある日、警察に踏み込まれ、
チョエンはホテルの窓から軽やかに笑って舗道に身を投げる。
自殺する……。

それを機にヨジンが
チョエンを買った男たちに会い次々にセックスしはじめる。
それもチョエンがもらったお金を男たちに返しながら……。
いわば逆援交……?

そのあたりから「え?」と、フツフツと疑惑がわいてくる。
チョエン、ほんとにいたの? 実在したの……?
ヨジンがチョエンの家ぜんぜん知らないってのも変だぞ、
大親友なはずなのに……?

そうか……、
チョエンはヨジンが創りだした妄想なんだよ。
心のなかで「性」を軽くしたいって願ってるヨジン。
「性」と「心」を切り離したいって思ってるヨジン。
そうありたいと思ってヨジンが創りだした幻覚……、
もうひとりのヨジン……。

チョエンが笑いながら飛び降りて死ぬのも、そう。
ヨジンは「命」すら軽くしたいって思ってるんだよ、
もちろん自分の命が重すぎるから……。
だからチョエンは死んでみせたんだよ、軽やかに。
まじめで踏み出せないでいるヨジンに向かって、
もうひとりの自分に向かって……。

で、自分の代理だったチョエンが死んだから、
こんどは、ヨジン、自分で踏み出すほかなくなったんだよね。
いや、チョエンが「性」も「命」も軽くしてくれたから、
ヨジンも踏み出すことができるようになったというべきか。
「性」と「命」の重さからちょっと解放されてさ……。

だから
チョエンの性を軽くしてくれた男たちを尋ね歩いて、
お礼にセックスしてお金まで返したんだよ。

2人の行動を
罪だとか贖罪だとか言われてもピンとこないけど、
そういうふうに考えるとすごくわかりやすくない……?

じゃあ、父親は……?

もちろんヨジンの行動の意味を直感するんだよ、
ヨジンが向かいのホテルのベッドで
男と寝てるのを目撃したときから……。

直感して愕然とするわけだ。
そういう自分の娘ヨジンの行動を
父親の自分も止めることはできないってことがわかってね。

それで相手の男たちに頼むんだよ、
行くな、娘のところに行かないでくれって……。
でも、結局、
ヨジンが男たちとセックスを重ねるにしたがって……、
ということは男たちが娘と寝るの止めないからってことだけど、
お願いから、恫喝→暴力→殺害って
行動がエスカレートしするしかなくなっちゃうんだよね。

で、最後はとうとう自分が逮捕されることで、
死刑になることで?ヨジンを止めようとするっていうか……。

そういう、ある意味では、ほんと救いようのない物語……?
いや、ぜんぜん救いがないわけじゃないかなあ。
ラストシーンで神のメッセージがあるから……。

そう。
山の上から俯瞰で河原の2人を撮っているシーン……。
あの俯瞰の視線は最初で最後なんだけど、
あれ、どう考えたって「神さまの視線」でしょう、
人間を……、父娘を抱擁している……。

ほんと、いい絵だけどね……。

でも話を蒸し返すようだけど、
キム・ギドクはなんでこんなに徹底して性を描きつづけるんだろう。
それも女の性を……、まるでいつも穢すかみたいに……?

言いかえると、女の性を見つめる視線が
もう、強烈に男性的だってことなんだけどさ。

まだキム・ギドクが
どういう育ちをしたひとなのか調べてないし、わからないんだけど、
このひと、もしたかしたら
どこかで女性を相当憎んでるのかもしれないなあ……、
なんて気がしてくるんだよねえ、時々……。

そこで評価が分かれるのかもしれない。

私自身は、それとは関係なく、
ほんとすごい監督だなって思ってるけど……。

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●「minmi」さん
情報ありがとうございます。
じつは私も書いたあと見たばかりだったんですよ。
苦手な女性がいるのは当然だろうなと思います。
私も「ギドクさん、やりすぎ」と言いたくなることがあるくらいですから。
まあ、本人もちょっとは反省してたと思いますけど……。
いや、信用できないかもしれませんね、
かれのことだから……。

●「スクリーン」さん
キム・ギドクの映画に出てくる男(主演)は、
キム・ギドク自身なんじゃないかと疑っています。
かれ自身、女性にたいしては
ああいうふうに振る舞うんじゃないでしょうか。
それで自分は「深刻な意識障害」を持っているって
発言したんじゃないですかね……。
私はキム・ギドクの映画を観ていると、
映画も哀しいけど、
キム・グドク自身が哀しく思えて仕方がないんです。
キム・ギドクの性(さが)が……。

●アマポーラさん
アマボーラさん、ついに言っちゃいけないこと言いましたね(笑)。
「ギドク監督の母親が奔放な人だったんでしょうか」……。
私もその可能性が一番高いんじゃないかと
じつはずっと思ってたんです。
でも想像なので書いちゃいけないかなあと思ってて……(笑)。
あくまで想像ということにしておきましょうね(笑)。
旅に出て泊めてもらったシーンで私も救われました。
やっと二人が仏様に出会ったかんじで……(笑)。
あそこの絵もキム・ギドクならではで大好きです。

●なぎささん
ギドク映画に久しぶりにコメントをいただいて嬉しかったです
解釈なんて、当たっていようがいまいが、まあ、観て楽しければ
それでいいんじゃないでしょうか(笑)。
ギドクが話をややこしくしてしまうのは、本人がややこしい人だから
なんだろうなあと思っています(笑)。
でも、ギドク、不思議な監督で、ややこしい映画撮るのに、
けっこう女性にも人気あるんですよね。
そのあたりが私の一番嬉しいところなんですよね(笑)。

ありがとうございました。

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95分 韓国 ドラマ

監督: キム・ギドク
プロデューサー: ベ・ジョンミン
製作総指揮: キム・ドンジョ キム・ユンホ
脚本: キム・ギドク
撮影: ソン・サンジェ
編集: キム・ギドク
音楽: パク・ジウン
照明: イ・ソンファン

出演
クァク・チミン ヨジン
ソ・ミンジョン チェヨン
イ・オル ヨジンの父親ヨンギ
クォン・ヒョンミン
オ・ヨン
イム・ギュノ
イ・ジョンギル

「悪い男」「春夏秋冬そして春」の鬼才キム・ギドク監督が、援助交際に走る10代の少女2人の瑞々しい友情と、それが引き起こす悲劇の顛末を、寓意を多用し残酷かつ包容力に満ちたタッチで描いた美しくも悲しい物語。全体が三部で構成され、それぞれ、男に身体を売る少女チェヨンとそれを複雑な想いで見つめる見張り役の親友ヨジン(第一章「バスミルダ」)、親友を失ったヨジンが罪を贖うために始めたある行動(第二章「サマリア」)、娘ヨジンの行いを知った父親の苦悩と決意(第三章「ソナタ」)を描く。2004年のベルリン国際映画祭で最優秀監督賞に当たる銀熊賞を受賞。
女子高生のヨジンは刑事をしている父ヨンギと2人暮らし。親友で同級生のチェヨンはヨジンと2人でヨーロッパ旅行に行くためと、いつの頃からか援助交際をするようになっていた。屈託ない笑顔を絶やさず、ためらうことなく男に身体を売るチェヨンに抵抗を感じながらも、彼女が心配なヨジンは見張り役として行動を共にしていた。そんなある時、警官の取締りが入り、それを逃れようとしたチェヨンはホテルの窓から飛び降り、命を絶つ。チェヨンの死で強い自責の念を抱いたヨジンは、罪滅ぼしのために、もういらなくなった金を返すため、チェヨンの援交相手のもとを訪ねて回ることに。やがてヨジンの行動を知った父ヨンギは衝撃を受けると共に、激しい怒りを男たちへと向けるのだった…。


この記事へのコメント

minmi
2008年04月08日 14:32
キムギドク監督については、以下の記事を読まれるといいと思います。
(朝鮮日報)
http://www.chosunonline.com/article/20060822000031

一貫して男性的な視点で貫かれた作品が多いので、私は彼の映画はちょっと苦手なんですけど。
minmi
2008年04月08日 14:39
あっ、記事にあるみたいに、引退したと早とちりしないでくださいね。
ちゃんと新作撮ってますから。
最新作は、オダギリジョー主演だそうです。
スクリーン
2008年04月08日 23:08
キム ギトク監督の【うつせみ】は観ましたが、本作品はまだです。内容紹介読み、ア~~あまり好きな内容でないなと思いました。朝鮮日報の記事読みました。
アン・ソンギさんといったら 韓国俳優のさきがけ者。
彼もありえない、かんがえられないストーリーの作品には 【NO】なんですね。ビョンホンssiと一緒です。

うつせみは なぜか 不思議なムードの映画で、何を言いたいのか分からないまま最後まで観てしまいました。

うつせみは 少ない出演者。最後まで観たけど、
スクリーン
2008年04月09日 23:04
すみません。昨夜入力後PC不具合。今 再確認したら、あら~~文章が尻キレトンボ・・・・

続き。。最後まで観たけど やはり今でも?????です。 終わり
アマポーラ
2008年04月29日 09:40
山崎さん、おはようございます。
「春夏秋冬そして春」をレンタルしてこようと思っていましたら、昨晩BSで「サマリア」が放映されたので先に観ました。
観た感想はですね・・・
まず、映像がすごく綺麗だなぁ~って思ったんですよ。
ここは韓国?季節が秋で、なんかパリの街並みみたいに見えました。
汚らわしいものを洗い流そうと必死でチェヨンの背中を洗うヨジンと男たちに怒りをぶつける父親はキム・ギドク自身だったんでしょうか。。(ギドク監督の母親が奔放な人だったんでしょうかね。想像の域ですが)
ヨジンと関わった男たちも父親の尋問をうけてほとんど抵抗しなかったですね。

娘と旅にでて空き家に泊めてもらうでしょ。あそこの庭(みち?)を掃いてたおじいさん。神様みたいにみえませんでした?



2011年02月24日 13:54
初めてコメントします。よろしくお願いします!(^^)!
キム・ギドク監督の映画は平凡な頭しか持たない私にとって、本当に難解映画で苦労します(爆)
自分の解釈が本当に合っているのか(カスっているか)不安で読みに来ました。。。
チェヨンは、やっぱり実在しないんですよね!私と同意見で嬉しかったです♪

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