博奕打ち 総長賭博 (1968)

ヤクザ映画はやっぱり東映だ、鶴田浩二だ……?

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先日、佐野史郎に野暮用があって飲んだら、
途中から映画の話になり、
「総長賭博、観た? 三上真一郎さん、いいよねえ」
と、なんだかえらく嬉しそうに言う。

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「ん? 三上真一郎、出てたっけ?」
と三上真一郎の顔思い出しながらウーロン茶を飲む。
「…………(ギロリ)」
「いやあ、30数年前だよ、見たの。よく覚えてないなあ」
と答えると、翌日、
さっそくマネージャーさん介してDVD届けてくれた。

お、佐野史郎はえらい…、と思いながらさっそく観る。

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いやあ、まいったあ。

正直、「え~?総長賭博どれだっけ?賭博シリーズいっぱいあったぞ」
と、すっかり忘れていたはずなのだが、
観ているうちに、まあ、どんどんシーン思い出しちゃって、
うん、やっぱりヤクザ映画は東映だ!
鶴田浩二だ、山下耕作だ、笠原和夫だ!
なんてウルウルしながらひとりで叫んでしまったよ。(^^♪

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この映画、当時、三島由紀夫が「ギリシャ悲劇だ」
みたいなこと言ってえらく誉めてたような記憶がある。
ギリシャ悲劇の譬えはどうかなあ、とは思うが、
いま観ても、ほんと、絶品。

最近、韓国映画にはまっちゃったが、
韓国の映画人たちよ、観なさい、
これがかつて世界に誇った日本のヤクザ映画だ!
なんて言いたくなっちゃうよな。

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なんと言ってもセット(美術)と相まって映像が抜群にいい。
1枚1枚、スキも緩みもまったくない。
たかがヤクザ映画なはずなのに。(^^♪

これじゃあ東映の社長に
「芸術やるな!」って怒られてもしょうがないぜい。
(事実、山下監督、そういうふうに怒られたとか)(^^♪

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ホンがいい。
たしかに先が読めると言えば読めるのだが、
展開がじつにスピーディで、息継ぐひまもなく観終わっちゃう。

鶴田浩二が義兄弟の若富殺すと、
実の妹の藤純子に一言、「人殺し…」って言わせて、

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ラスト、鶴田浩二が言うのさ、金子信雄殺すとき、
「任侠道か…そんなもん俺にはねえ。
俺は、ただの、ケチな人殺しなんだ…」と答える。
カッコいいよねえ。痺れる。

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まあ、笠原だから当たり前と言えば当たり前なのだが。
と笠原和夫ファンだったおれら(?)は言う。

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ナレーションが邪魔だ、臭い、なんて言うやつには言おう。
たんなるヤクザ映画に嫌気さして、
山下&笠原コンビは「実録」にするために、
ドキュメント・タッチにするためにやったんだよ。
当時はものすごく斬新だったんだよお、わかってないなあ、と。(^^♪

事実、深作欣二の「仁義なき戦い」も
笠原和夫のナレーションから生まれたのだと私は勝手に
信じ込んでいるのだが。

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そして俳優…、役者がいいよねえ。
鶴田浩二、 若山富三郎、金子信雄、名和宏、曽我廼家明蝶、
藤純子、桜町弘子、曽根晴美、佐々木孝丸、沼田曜一…。
みんなほんとに凄い。「おとな」。

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佐野、どうする、おれら?
おれら、できる、ああいう「おとな」?
歳はもうあの役者さんたちと同じなんだけどさ。
セリフもちゃんと聞こえてくるしさ。(^^♪

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凄かったよねえ、このひとたち。
何が違うんだろう?なんてどうしても考えちゃうよな。

あ、三上真一郎、抜群。泣いちゃうよね。
おとなのすごい役者さんたちに囲まれて、
「汚れ」をちゃんと抱えた役者さんたちに囲まれて、
ひとりだけどこまでも純(ウブ)だもんねえ。

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ほんとは親分の若富や、
オジキの鶴田みたいにちゃんと汚れたい、
おとなになりたい、ヤクザになりたいって思うんだろうが、
どうやっても汚れることができないんだろうな。
役の中だけじゃなくて三上真一郎自身が…。

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若富も鶴田浩二も、
ほんとは身内にそういう三上真一郎がいるから、
戦ったり殺したりしたんじゃないのかな。
「俺は、ただの、ケチな人殺しなんだ」て言うしかなかったんじゃないのかな。
なんて思っちゃったよ。

そういう意味でも、三上真一郎、
東映のヤクザ映画にいなくちゃならない俳優だったのかも。

いやあ、邦画観てひさしぶりに血が騒いじゃったよ。(^^♪


●sinoさん
「俳優の顔や身体つきも、もう時代と共に無くなっていくものだと感じてる」
ほんとですよねえ、しょうがないんですよねえ……。
佐野史郎は劇団状況劇場(唐十郎)の私の後輩にあたり、
もう30年近く付き合ってる仲なんです。
芝居も一緒にやったこともあるんですよ。秋もやりますけど……。
→よかったらこちらをどうぞ。http://www5b.biglobe.ne.jp/~tetsu21/42-08haru.html
いまや出雲の神さまにとり憑かれちゃてますけどね。
三上真一郎さんは佐野が仕事して痛く感動している方です……。

●minmiさん
沼田曜一、私も大好きです。
石橋蓮司さん、お気に入りなんですか? 色気ありますか?
う~ん、こんど会ったら伝えときますね。
「なに言ってんだよ、あったりまえじゃないか」
なんて一晩中説教されそうですけどね……、ハハ……。
え? 藤純子は知ってるけど、
富司純子ってだれ?って感じなんですよねえ……、
困ったもんです

ありがとうございました。

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95分 東映 任侠・ヤクザ/ギャンブル・博打

監督: 山下耕作
企画: 俊藤浩滋 橋本慶一
脚本: 笠原和夫
撮影: 山岸長樹
美術: 富田次郎
衣裳: 豊中健
編集: 宮本信太郎
音楽: 津島利章
擬闘: 谷明憲
助監督: 本田達男 大西卓夫 志村正浩

出演
鶴田浩二 中井信次郎
藤純子 弘江
桜町弘子 つや子
名和宏 石戸孝平
曽根晴美 水谷岩吉
佐々木孝丸 河島義介
三上真一郎 小林音吉
沼田曜一 野口進
若山富三郎 松田鉄男
金子信雄 仙波多三郎
曽我廼家明蝶 西尾宇一郎

昭和九年、天竜一家の総長荒川が倒れ、後継問題が俄かに浮上した。跡目に押された中井信次郎は辞退、兄弟分で服役中の松田鉄男にその位を譲る。しかし荒川と兄弟分の仙波多三郎は承知せず、石戸幸平を推挙した。仙波は相続を強行し、石戸が二代目に決定する。その襲名披露大花会を前にして松田が出所、事情を知って激怒した松田は石戸に殴り込みをかけるが果たせず、謹慎させられる。これは全て仙波が天竜一家を乗っ取るために書いた筋書きだった。中井は花会を取り仕切る立場にあり、お互いの真情を知りつつも2人は兄弟の縁を切った。花会の日、石戸は中井から仙波の乗っ取りを知らされ仙波に対立するが、仙波の放った刺客に暗殺される。中井は仙波に、自分と松田が結託して石戸を暗殺したと言い立てられ、松田を斬れと迫られた。松田を斬った中井は仙波に詰め寄る。自分にドスを向ける中井に仙波は「中井ッ……叔父貴分のワシにドスを向ける気かッ!てめェの任侠道はそんなもんだったのか……!」と責め立てるが、中井は静かに言い返した。
「任侠道か……そんなもん俺にはねえ……俺は、ただの、ケチな人殺しなんだ……」


この記事へのコメント

sino
2008年04月13日 17:30
いい! イイ! EE! いいよ~!
映画観てません。でも、ここの語りがすごく楽しくなっちゃ
ちゃう! 佐野史郎さんと、どんなに気脈を通じた仲であるのか、語り口がもう、踊っちゃってるもの。 思わず、そっか~、そうなんだ~って相槌でお相伴。ヤクザものに溺れたこと無いのですが、今なら、面白みを感じるかも知れない。俳優の顔や身体つきも、もう時代と共に無くなっていくものだと感じてるので・・・。佐野史郎さんを、N局の"今夜決定世界のダンディ"?で拝見しました。ご覧になりましたか?佐野さんのお話しに、サイード、サブリドン、バーバレラなんて単語が出てきます。(謎) もし、見てなかったらご本人にお聞きください。サブリドンは左分利信(笑)皆さんの出した結論が美しかった。
ps三上真一郎さんの顔を探しました。ええ、わかります。
エッ!この方って、近年確か・・・N局で、どっか地方の町中で川底を掬って小魚を取ったりしてる、紀行?生き方紹介?の番組で見たのでは・・、子供の頃のあの遊び。ずっと見かけなかったのは、私のジャンルが違ってたからなんですね。 汚れられない三上真一郎自身・・・。


minmi
2008年04月13日 19:05
すみません。
お薦めの三上さんではなく、出演者名の中の沼田曜一さんの名前に反応してしまいました。
めっちゃ、好きだったんです。
妙な色気のある人だなーと思ってました。
石橋蓮司さんと通じるような色気で…。
あと、藤純子さん!!
今では「富司純子(すみこ)」さんになられて、舞台で楚々とした奥様の役などで活躍されてますね。
かなり前ですが、坂手洋二さんが演出された「マッチ売りの少女」(別役実さんの戯曲)で娘さんの寺嶋しのぶさんと母子競演されてて、びっくりしました。
(違う話題になっちゃった。ごめんなさい)

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