盲獣 (1969)

緑魔子の魅力満載……?

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レンタル屋さんで思わぬ映画DVDを見つけた。
緑魔子主演のこの作品「盲獣」……。

封切当時、一度観ただけで、
正直、こんな作品があることもすっかり忘れていたんだけど、
あわてて借りてこっそりひとりで観た、37、8年ぶりに……。

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なんでこっそりなのかと言うと、
緑魔子さんはじつは私の高校時代(宮崎)の演劇部の大先輩なんだよね。
私が入部したときはすでに卒業されてたんだけど……。

でも東京で偶然お会いして、
のちに魔子さんと旦那・石橋蓮司さんがやってる
劇団第七病棟に台本まで書かせていただいて、
けっこうお付き合いもしてもらってるし……。

と、まあ、そんなこんなだから、ちょっと恥ずかしくて
堂々と観るわけにはいかないじゃない、大先輩の裸……?

すいませ~ん、魔子さん……!

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しかし、いやあ、いま観ても面白い面白い。
江戸川乱歩の小説はずいぶん映画になってるけど、
これ、間違いなくその中のベスト3に入れていいんじゃないかなあ。

まあ、学生時代に見たときは
もっとHな映画だったような気がしてたんだけどね……?

出演者はたったの3人。
しかも舞台はほとんど
盲目の彫刻家・蘇父道夫の彫刻室というか、倉庫のみ。
そういう意味ではすごく演劇に近いかんじ。

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いや、ほとんど演劇みたいなのよ、
セリフがまあ、ちょっとオーバーというか、臭いというか、
わざとらしくて……(笑)。
それで思わず、笑うようなセリフじゃないんだろうけど、
ついゲラゲラ笑っちゃったりして……。

でも、ほんと言うと、
わざとそういうふうに作ってあるんだよね、これ。
なにしろ相手は江戸川乱歩なんだもん……。

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盲目の彫刻家・蘇父道夫が、
母親に手伝ってもらい、モデルのマキを誘拐・監禁し、
マキの彫刻像を作ろうとする。

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「触覚」による彫像(芸術)を目指して。
彫刻の森・巨人の国って感じだよね。(^^♪

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マキは最初は逃げようとするんだけど、
逃げられないと観念しておとなしくモデルになる。

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しかしやがて、
からだを触りまくる蘇父の絶妙な指先に(笑)感じまくって、
蘇父との「触覚」だけの官能の世界へ堕ちる(笑)。

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触覚に支配されたセックスを続けるうちに
目が邪魔になってきて、
マキは自ずと盲目になってしまう(笑)。

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触覚による官能が進行して、
二人はお互いにかみついたり、
ナイフでからだを傷つけあったりするようになる(笑)。

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そしてついにマキは最後、
蘇父に自分の四肢を切り落としてくれと頼む(笑)…、
という、とことん倒錯した性の物語。

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まあ、ある意味、物語自体がもう尋常じゃないわけで、
それをリアルにやられたら常人の私たち(?)は当然見てらんないわけで……。

だから監督の増村保造は、わざと大真面目にやらせた……、
いかにもお芝居ですよお、みたいな感じでやらせたんだよね。
それでつい見てる側も、大真面目なセリフが出てくるたびに
ついゲラゲラ笑っちゃうというか……。

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でも、たしかにお芝居じみてて笑っちゃうんだけど、
見てるうちに最後は、妙に
この緑魔子と船越英二が作りだす世界に納得しちゃうの。

というか、江戸川乱歩の世界を、
ああ、みごとに表現してみせてるよなあって
ズシンと感動しちゃうんだよねえ……。

そこがこの作品のすごいところ。
う~ん、俳優の集中力のすごさだよなあって思った。

しかし魔子さんの表情、とくに目…、ものすごくいいです。
必見の価値ありですよ。

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●minmiさん
うれしいコメントありがとうございましたあ!
石橋蓮司さんと魔子さんご夫婦なんですよお、知りませんでした?
「怖い夫婦のイメージ」
「遊びに行ったら、そのまま家から出してくれないみたいな」
その通~りですよお(笑)。
「あらかじめ失われた恋人たちよ」で初共演だと思いますけど、
あれは二人が蜷川幸雄さんたちと劇団やってるころで、
出会いはそれ以前、二人が映画やってるころみたいですよ。
その出会いの話を直接、蓮司さんに聞かされたことがあるんですけど、
もう大笑いでしたあ。
怖くてここにはとてもじゃないけど書けませんけど……(笑)。
蓮司さんも、田中登監督の
「江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者」(1976)
という乱歩映画に出てるんですけど、こちらのほうはごらんになりましたか?
こっちもとても面白いですよ。
いかにも石橋蓮司ってかんじで、思わず
「蓮ちゃ~ん」て黄色い声かけたくなりますから……(笑)。

●minmiさん
蓮司さん、ふだんもすごく色っぽいですよ。
色っぽいだけじゃなく、喋っててすごく楽しいひとです。
ただ怒ると怖いからあんまりモテませんけど……(笑)。
蜷川さん、清水さん、魔子さん、蓮司さん、蟹江敬三さんらで、
「現代人劇場」(のちに桜社)を立ち上げて、
映画館の新宿アートシアターでよく公演やってたんですよ。
そのあと蜷川さんが商業演劇に行ったんで、
蓮司さん、魔子さんが「許さねえ!」と怒って劇団第七病棟を作ったんです。
ね、怖いでしょう……? 
まあ、そういうところが私の好きなところでもあるんですけど……(笑)。
魔子さんは、高校時代、演劇部で、演技賞とってるんです(笑)。
英語の弁論大会でも優勝。
高校を卒業して、上京して、それでアメリカへ留学しよう
と思ってたらしいですけど、東映の監督さんにスカウトされて?
それで映画俳優になっちゃったらしいんですよねえ……。

ありがとうございました。

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84分 大映 サスペンス/ロマンス

監督: 増村保造
企画: 仲野和正 藤井浩明
原作: 江戸川乱歩
脚本: 白坂依志夫
撮影: 小林節雄
美術: 間野重雄
編集: 中静達治
音楽: 林光

出演
船越英二
緑魔子
千石規子

盲目の彫刻家・蘇父道夫は女性タレント・島アキを拉致し、彼女の彫刻を作ろうとする。初めは抵抗していたアキも、次第に彼との奇怪な同居生活にのめり込んでいく……。江戸川乱歩原作の猟奇世界を映像化。

この記事へのコメント

minmi
2008年04月25日 17:26
懐かしい!!
学生時代に、名画座で見ました。
緑魔子さんの大ファンで!!
えっ、石橋蓮司さんとご夫婦なんですか?
知らなかったーー!!
なんか、怖い夫婦のイメージが^^;
遊びに行ったら、そのまま家から出してくれないみたいな(冗談です)。
あれ?
このお2人「あらかじめ失われた恋人たちよ」で共演されてましたよね。
あれで出会ったのかと思っちゃいそうですが、それ以前にも共演されてたのでしょうか。
江戸川乱歩の世界は、もう限りなく、非現実的に作ってくれないと嫌です。
緑魔子さんと船越さんは、本当にイメージぴったりでした。
minmi
2008年04月26日 16:34
「屋根裏の散歩者」、公開時に見てます。
あの蓮司さんが、めちゃ好きなんです。
色っぽいんですよーー!!
宮下順子さんも色っぽくて。
公開当時は、まだああいう熟女っぽいというか、母性的な女性が人気ありましたっけ。
魔子さんと蓮司さん、かなり以前からのお付き合いだったのですね。
お2人とも、蜷川さんと同じ劇団の人だったのですか?
蜷川さんの演出で、清水さんの脚本のお芝居を見たことありますけど(いわゆる「アングラ劇団」が話題になっていた時代だったので、完全に興味本位で、いろんな劇を見ていました。当時はまだ高校生か中学生くらいだったので、演出とか脚本とかには全然目がいかなかったのですけど…)、お2人とも出てたのかな。
まったく記憶がない…。
魔子さんって、映像方面でデビューされた女優さんだと思っていたのと、昔は舞台出身は映像にも出るけど、映像出身だとあまり舞台には出られなかったようなイメージがあったので、ちょっと意外でした。

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