ある子供 (2005)

この映画の評価はむつかしい……?

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このブログを書くときは
「allcinema」の映画データと写真をコピーして、
それから本文を書いてるんだけど、
その際、「allcinema」にあるコメントはまず読まない。

時間もないし、
書く前にほかのひとの情報をあまり入れたくないから、
観て感じたことをそのまんま書きたいからなんだけどね……。
まあ、せっかくコメントしてるひとに
ちょっと悪いなあという気持ちはあるんだけど……。

でも、この映画観おわったときは
さすがに「う~ん」となって、ほかのひとのコメントを読んでみたんだよね。
結果、そうだろうなあ、と納得……?

一言でいえば、賛否両論なのよ。

で、じつは、私自身がそうなわけ。
面白いと言えば面白いし、つまんないと言えばつまんないんだよね。
すごく評価に悩むわけ……。
まあ、そういう映画、私にはちょっと珍しいもんだから……。

面白かったのは、映画の手法。

徹底して手持ちカメラで主人公のブリュノ を撮ってるの。
それも近景として、上半身が入るくらいのサイズで……、
1シーン1カットで、長回しで……。
しかも一切、物語の説明はなし。
音楽もなし……。

ドキュメンタリーだってここまでやんないんじゃない?
というくらい……。

そういう映画は珍しいし、
「へえ~」って感心したり面白がったりするんだけど、
でも物語的には「?」なんだよね。

「近景」ばっかり撮るということは、
観る側からすると、
「中景」「遠景」が全然見えないってことなんだよね。

物語的に言うと、
主人公ブリュノのことはよくわかるんだけど、
どうしてそうなっちゃうの……?
みたいな背景が全然わからないわけ……。

下の解説に
「若年層の失業率が20%に達し
確かな未来を見出せない若者が急増している
というベルギーの社会情勢を背景に」とあるんだけど、
えっ、そんなん、観ただけじゃわかんないでしょう、
ベルギーのこと知らないもん……、
ってなっちゃうわけ……。

まあ、そんなことを背景に
この若者を撮りたかったんじゃないんじゃないの……?
と言ったほうがいいんだろうけど……。

ということは結局、
大人になれない「ある子供」ブリュノという人間がいて、
その子が盗みをやったり、生んだ子どもを売ったり、
しまいには逮捕されてしまうまでのことを、
ひたすらドキュメントを撮るようにして撮ってみた……、
という以上でもなければ以下でもないんじゃないの?
ということ……?

で、そういう意味で言うと、
ブリュノのやらかすことはそれなりに面白いから
映画もそれなりに面白いし、いい映画だとは思うんだけど……。

でも、そうなるとさ、フィクションってどうなるの……?
という疑問がどうしてもフツフツと湧いちゃうんだよねえ、
一方で……。

人間がなにかを表現したい、
フィクションしたい……! て思うのは、
フィクションの方が、うそをついた方が、編集した方が、
自分やこの世界の何事かをちゃんと伝えられる、
表現できるってことを知ってるからだと思うんだけどなあ……。

実際、直前に書いたキム・ギドクの作品(フィクション)「鰐」の方が、
はるかに何事かを伝えることができてると思うんだけど……。

もっともダルデンヌ兄弟もこの作品を
フィクションとして撮ってることは間違いないんだろうけど……。

  追加)
  もちょっと言うと、ブリュノの行動や物語を
  たとえば小津さんみたいにカメラアングル決めて、こと細かに編集しても、
  ちゃんと撮れるんじゃないかなあってことなんだけど……。
  まあ、ダルデンヌ兄弟がそもそもこういう手法で撮りたかったんだろうから、
  そんなこと言ってもたぶん意味ないんだろうけど……。

「allcinema」のコメントを読んで面白かったのは、
なんでこれがカンヌの映画賞とるの?
と疑問に思ってるひとたちがいたこと……。

まあ取っても悪くはないと思うんだけど、
なんでこんな芸術的な?映画ばっかりに賞あげて、
B級映画にはやらないんだよ……!!
という不満は、常々、私にもおおいにあるよね……?

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95分  ベルギー/フランス ドラマ

監督: ジャン=ピエール・ダルデンヌ リュック・ダルデンヌ
製作: ジャン=ピエール・ダルデンヌ リュック・ダルデンヌ デニス・フレイド
製作総指揮: オリヴィエ・ブロンカール
脚本: ジャン=ピエール・ダルデンヌ リュック・ダルデンヌ
撮影: アラン・マルコァン
美術: イゴール・ガブリエル
衣装: モニク・パレル
編集: マリー=エレーヌ・ドゾ

出演
ジェレミー・レニエ ブリュノ
デボラ・フランソワ ソニア
ジェレミー・スガール スティーヴ
ファブリツィオ・ロンジョーネ 若いチンピラ
オリヴィエ・グルメ 私服の刑事
ステファーヌ・ビソ
ミレーユ・バイィ
アンヌ・ジェラール

「ロゼッタ」「息子のまなざし」などで知られるベルギーの実力派、ダルデンヌ兄弟が、カンヌ国際映画祭2度目のパルムドール大賞に輝いた社会派ドラマの傑作。若年層の失業率が20%に達し確かな未来を見出せない若者が急増しているというベルギーの社会情勢を背景に、大人になりきれないまま子供を産んでしまった若いカップルの運命を、厳しくも優しい眼差しで見つめつつ、抑制の中に鋭さを秘めた妥協のない演出で描き出す。主演は「イゴールの約束」のジェレミー・レニエ。
20歳の青年ブリュノは定職にも就かず、ひったくりなどでその日暮らしの日々。やることなすこと行き当たりばったりで、思考回路もまるで子供のまま。そんなブリュノは、18歳の恋人ソニアが自分の子供を産んだとういのに父親としての自覚どころか関心さえ示そうとしないのだった。そしてある時、ブリュノは深い考えもなしにその子供を売り捌いてしまうのだった…。


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