愛と、死を見つめて (2003)

[121]イ・ウンジュの生きた証がここにある……。


画像


「つばき」さん、
この作品を薦めていただいてほんとに感謝しています。

いやあ、すばらしい作品です。
イ・ウンジュ、ものすごくいいです。
全身、嵌ってしまいます……。

けして新しい物語というわけではありませんが、
まずセリフがとてもすばらしいです。

「世界には2つの悲しみがある
去っていく者の悲しみと 残される者の悲しみ
ぼくはいつも残される側だ」……。

冒頭のオソン(アン・ジェウク )のセリフですでに心を掴まれてしまいます。

私もいちおう劇作家ですが、こういう言葉は書けません。
照れて、どうしても言葉を屈折させちゃうんですよね(笑)。
でもホントはこれでいいんだと思っています……。

そしてオソンと死にいく父親との会話。

最初のオソンのセリフのトーンが
みごとに父親とのシーンに受け継がれていって、
「ああ、この映画はもうこれで決まりだ」
と、感動し、まなじりがすでに熱くなってしまいます。

それからイ・ウンジュ(ヨンジュ)の登場……。

「こいつ」と監督に怒るシーン。
撮影スタッフを首になったジョンチョルとふたり
スタジオの外の壁に凭れて話すシーン。
帰宅して飼ってるうさぎに玄関先で話しかけ、
階段にある郵便物を手にし、ベッドに座り、
いまは亡き両親に話しかけるシーン……。

「またクビになった パパに似て気が強いから……
もっと素直だったら こんなに苦労しなかったのに」

バックにはギターのメロディー……。

いやあ、もう全然だめです。
どうしようもなく涙で画面が曇っちゃって……(笑)。

理由はある程度わかっています。
心の強さ、弱さ、明るさ、はかなさが渾然と同居している
イ・ウンジュのような女優に私がすごく弱いからです。

なぜ弱いのか、そこまでは自分でもわからないのですが。
というか、そこまで考えたくなくてなんとなく逃げてる
と言ったほうがいいのか……(笑)。

いずれにしろ
イ・ウンジュの全身全霊が表現された作品ですね。

彼女にはイ・ビョンホンに通じるものを感じます。
物語に憑依するタイプだということもそうですが、
心身がとてもイノセント(無垢)だということです……。

穢れを受けつけることができない……。

つばきさんは
「亡くなった原因はいろいろあるでしょうが、
ついついあの作品(「スカーレットレター」)のせいにしてしまいます」
とおっしゃいましたが、
私も引き金になってるのは間違いないだろうなあと思います……。

この映画でいうと、オソンの友人が
夜の街頭テレビに映っているヨンジュ(イ・ウンジュ)の姿を見て
「一発やりてえな」と言い、
オソンがその友人を殴るシーンがありますが、あれですよね。

イ・ウンジュ自身、
ああいう言葉にはとても深くキズつく女優だったとおもいます。
もちろん比喩として言っているわけですが……。

この映画の舞台はホスピス病院ですが、
死を宣告された患者たちの描き方もみごとです。

むろん現実ではこうはいかないでしょうが……。

人間は死に際し、絶望し、拒否し、神と取引をし、
その後自分の死を受容すると言われていますが、
患者たちはその最終的な段階にいるひとたちとして描かれています。

そのためどこか明るい……。

そしてその明るさが
「世界には2つの悲しみがある
去っていく者の悲しみと 残される者の悲しみ
ぼくはいつも残される側だ」と考えているオソンを変えていきます。

そこがとてもいいです。

そうした患者たちに囲まれているから、
ヨンジュとホソンの愛もまた成立するというのでしょうか……。

クリスマスの夜の患者たちのハンドベルによる演奏。
途中、ヨンジュが現われて、その演奏に加わったときは
もうグチュグチュで観ていられませんでしたが……(笑)。

あ、私の好きなギドクがイ・ウンジュについてこう触れていました。

 最近まで映画を作るにあたって監督が一番大変だと思っていました。
 しかし、つい最近、一番大変なのは、俳優さんなのだと気づきました。
 最近、俳優としての人生を悩んだ末
 残念な結果になってしまった事件があり(女優イ・ウンジュ自殺事件)、
 その事件を通じて俳優という職業は本当につらいのだと強く感じました。
 以前、作品に出演した俳優から「この役に魂を注ぎ込みました」と聞いて
 とても心が痛んだこともあります。
 今回の事件の俳優さんもそうですが、映画の中で与えられた人生を生き、
 魂に傷をたくさん受けているのだと感じました。
  (監督と作品「キム・ギドク」の項参照)

傷つきやすいギドクらしい言葉です。

改めてイ・ウンジュさんのご冥福をお祈りします……。

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●つばきさん
観ることにかけてはプロより
素人の方(観客)のほうが全然すごいのではないでしょうか。
イ・ウンジュ、ちょっと韓国人離れした美しさを持っています。
そんなことを言うと韓国の方に怒られそうですが……(笑)。
ご事情、お察しします。
私のすこし知っている方たちは、末期患者を自宅でケアしながら
安らかに看取っていく療法を行っています……。
「サルバドールの朝」は私も観ています。
機会があったら観直して書きたいですね。

●つばきさん
ヨンジュが監督に怒るとこ、ほんといいですよねえ。
セリフもさることながら、ああいう時のイ・ウンジュが
私にはたまらない魅力でして……(笑)。

●スクリーンさん
「バンジージャンプの次に好き」「なぜ次かと言うと、
相手役のアン・ジェウク氏より、ビョンホン氏が良いからです」
いやあ、徹底してますよねえ……(笑)。
ほんと、もっと彼女の作品、観たかったと残念です……。

●かずかずさん
私もこの映画ほんとに大好きです。
イ・ウンジュ、これで私の永遠の心の恋人になったんです(笑)。
「バンジー・ジャンプ」のビョンホンとウンジュもいいですよねえ。
私もまた観てみます…。

ありがとうございました。

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■95分 韓国 ロマンス

監督: イ・ドンヒョン
脚本: イ・ハン
撮影: イ・スンウ

出演
アン・ジェウク
イ・ウンジュ
ソン・ジョンボム
チョン・ムソン
ソン・オスクス

オソンは職業がホスピス病院の医師であるため、常に死と向き合っていた。いつも見送ることしかできないということから、他人と深く関わり合うことに漠然とした不安感を持っており、そのためにどんな事にも手を差し出せずに見守ってしまうという人間だった。
そしてもう一人。周囲をいつも明るくするヨンジュは、メイクアップ・アーチスト。真っ直ぐな性格のせいで一日で失業者となる。彼女には話せない秘密が一つあった。それは胃がんのために与えられた時間が多くないということ。既に残り少ない時間の中で未練のない幸福を感じたいと思っている。
ある日、思いがけない場所で偶然に会うようになった二人は、お互いの心情をなだめてくれる相手を捜し出したように自然なデートを始める。
しかし、オソンは医者であるためヨンジュの人生がいくらも残っていないことを知ってしまう。
街の夜景が見下ろせるあるベンチで、ヨンジュはオソンの肩を抱いて話しかける。「私を少し愛してくれますか? 死ぬ前まで。」突然のヨンジュの話にうろたえるオソン。そしてそんな状況が面白いというように笑うヨンジュ。見送らなければならない愛に対する恐れ、そして死を前にしても幸福と思う女性に対する切なさ。オソンは選択の岐路に立って、結局は愛するほかないヨンジュに向かい心を開くようになる。
そんな予定された離別の中で、二人のきれいで透明なつらい愛が始まる……。



この記事へのコメント

つばき
2008年07月20日 23:13
山崎さまこんばんは。
『愛と死をみつめて』鑑賞していただきとても嬉しく思います。本当に有難うございます。
素人の私がお気に入りでも山崎さまは?・・ちょっと心配でした(笑)。イ・ウンジュさんすごくきれいですね。
私がこの作品を観たのは三年くらい前にみたのですが最近身内がヨンジュと同じ病気で亡くなり、又観たい作品ですが今は冷静にみれないと思います。映画のようなホスピスがいっぱいあれば病人も気持ち安らかに病と戦えるんでしょうけど身内は壮絶な戦いに破れてしまいました。こんな暗い話をして申し訳ありません。
韓国映画ではありませんが『サルバドールの朝』という実話を映画にした物もお勧めですよ。私はラストで号泣してしまいました。
愛と死をみつめて。の評ありがとうございました。
つばき
2008年07月20日 23:23
山崎さま
伝えたいことがありました・・・
ヨンジュが監督に友人の援護のため怒る台詞がすごく好きです。イ・ウンジュ最高です。
スクリーン
2008年07月23日 00:34
山崎様 こんばんは
お久しぶりです。暫くネットサーフィンで(ビョンホン新作公開映画情報キャッチの為)ご無沙汰してました。
イ・ウンジュさんの本作品。いいですよね。
彼女の作品で初めて観た映画が、バンジージャンプでしたが、残念な事に素晴らしい女優さんの存在を知ったときにはこの世には居なく、過去の作品を片っ端から観て行きました。
【愛を死を見つめて】思い出しただけでも、涙 涙、、
イ・ウンジュさんの全身全霊をこめた作品、バンジージャンプの次に好きです。
なぜ次かと言うと、相手役のアン・ジェウク氏より、ビョンホン氏が良いからです。
アン・ジェウク氏も韓国の様々なドラマに出演、日本では歌も披露、コンサートは満員のようです。

ギトク監督のイ・ウンジュさんへのコメント私も以前拝読。彼女も、ビョンホンさんも→「この役に魂を注ぎ込みました」このタイプですよね。俳優としてその役(その人の人生を)演じる。。一生懸命役になりきるほど、疲れるのでしょうね。
もっと彼女の作品を観たかった。
改めてご冥福をお祈りいたします。
かずかず
2010年12月17日 16:26
間の抜けた 今頃 失礼します。 
愛と・死をみつめて みました。
なきました。イ・ウンジュさん 透き通るように美しく たまりません!アンジェウクさん 今回はなかなか難しく大変だったのでは なんて思ったりしました。   アンジェウクさん すみません。 
ビョンホンシだったらどんなになってただろう・・・ 
なんて 思ってしまいました。 
ほんと ウンジュさんの スカーレットレターはつらかったです。
気をとりなおして バンジージャンプをみます。
ありがとうございました。

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  • ■愛と、死を見つめて 【韓国映画】

    Excerpt: ラストのイ・ウンジュが切なすぎる。。。 イ・ウンジュ主演の映画ってどれを見てもせつな過ぎる。 必ずと言っていいほど、ラストは死んでしまう。 今となっては、本当にこの世からいなくなってしまった人。.. Weblog: 映画レビュー (MOVIE STYLE) racked: 2010-08-23 17:49