キム・ギドク__監督

キム・ギドク(韓国)

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1960年12月20日、慶尚北道奉化郡生まれ。大韓民国出身の映画監督・脚本家。
工場勤めの後、20歳で海兵隊に志願。“軍人体質”と周囲から言われるほど軍隊生活に適応していた。
1990年から1992年までパリに留学。
その作風・出自から異端とされ作品が発表されるごとに賛否両論が巻き起こるが、作品の完成度は非常に高い。
『サマリア』でベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)を受賞。さらに『うつせみ』でベネチア国際映画祭銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞、世界3大映画祭制覇に最も近いと言われている。

作品
「鰐 」1996
「ワイルド・アニマル」1997
「悪い女~青い門~」1998

「魚と寝る女」2000
「リアル・フィクション」2000
「受取人不明」2001
「悪い男」2001
「コースト・ガード」2002
「春夏秋冬そして春」2003
「サマリア」2004
「うつせみ」2004
「弓」2005
「絶対の愛」2006

「ブレス」2007

受賞歴
『魚と寝る女』
2001年 ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭金の大鴉賞
2001年 ポルト国際映画祭審査員特別賞
2000年 ヴェネツィア国際映画祭NETPAC賞選外佳作
『受取人不明』
2001年 映画評論家協会賞(韓国)脚本賞
『悪い男』
2002年 シッチェス・カタロニア国際映画祭オリエント急行賞(アジア作品賞)
2001年 福岡アジア映画祭グランプリ
『コーストガード』
2003年 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭FIPRESCI賞、NETPAC賞、タウン賞
『春夏秋冬そして春』
2003年 ロカルノ国際映画祭ドン・キホーテ賞、NETPAC賞、青年審査員賞、CICAE賞
2003年 ドノスティア=サン・セバスティアン国際映画祭観客賞
2003年 青龍賞(韓国)最優秀作品賞
2004年 青大鐘賞(韓国)最優秀作品賞
2005年 アルゼンチン映画批評家協会賞外国作品賞
『サマリア』
2004年 ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)
『うつせみ』
2004年ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)FIPRESCI賞
2004年 バリャドリッド国際映画祭金のスパイク賞
2004年 映画評論家協会賞(韓国)脚本賞
2005年 FIPRESCI年間最優秀賞


エピソード
テレビ討論(2006/8/17)で「韓国映画と観客のレベルが最頂点に一致した映画が『グエムル-漢江の怪物-』だ」と発言。
その後、聯合ニュースに「キム・ギドクの謝罪文」という題でEメールを送り、「当てこすりのような行きすぎた表現で、視聴者に不快感を与えた言動について深くお詫びしたい。特に『グエムル-漢江の怪物-』のファンに深く謝罪すると同時に、同映画の制作陣、ポン・ジュノ監督にはこのような発言をしてしまい、映画界の先輩としてまったく面目ない」と謝罪した。
また「以前、俳優のアン・ソンギさんに自分の映画『サマリア』に出て欲しいと出演依頼をしたことがあったが、『いったい父親が娘をどうやって殺せるのか』と断られたことがあった。その時はただ残念に思っただけだったが、いま考えてみると自分の映画観と思考に深刻な意識障害的な面があることを悟った」とし、「全員が隠したがる恥部をわざわざ誇張して表現した自分の映画を情けなく思う。美味しかった料理を、その後排泄物として出す際に、それを避けようとする人々の心情をまったく理解しないで映画を作ってきた。自分が本当に恥ずかしい」と語った。
「今回の事態を通して、自分自身が韓国で生きていくにはあまりに深刻な意識障害を持った人間であることがわかった」とし、「自分こそ韓国社会で奇形的に生まれ劣等感を糧に育ってきた怪物のようなもの」と自虐的に表現した。このほかこれまでの自分の作品がすべてゴミのようなものと話し、試写会を終えた新作映画『時間』についてもこれを公開したくないと語った。


「サマリア」来日記者会見抜粋
最近まで、映画を作るにあたって監督が一番大変だと思っていました。しかし、つい最近、一番大変なのは、俳優さんなのだと気づきました。最近、俳優としての人生を悩んだ末残念な結果になってしまった事件があり(女優イ・ウンジュ自殺事件)、その事件を通じて、俳優という職業は本当につらいのだと強く感じました。以前、作品に出演した俳優から「この役に魂を注ぎ込みました」と聞いてとても心が痛んだこともあります。今回の事件の俳優さんもそうですが、映画の中で与えられた人生を生き、魂に傷をたくさん受けているのだと感じました。
「以前の作品は、痛みが全面に描かれていましたが、ここ数年の作品は、痛みよりも癒しの部分が強く感じます。監督自身、世界観や愛に対する考え、表現する考えに変化があったのか」
私の初期の作品「コースト・ガード」までの8本は、怒りが爆発し加虐と被虐と言った内容が反復されていました。「春夏秋冬そして春」以降は、自分自身変わってきたと感じております。それは私自身、社会に対する見方が変わったからだと思います。社会を理解し、和解をし、世の中を美しく見ようとする視覚が生まれてきたと思います。「春夏秋冬そして春」以降は、過激な表現もあまりしておりませんし、どちらかと言うと、魂と対話をしようと自分の中で考えてきたと思います。
私自身も変わったのでしょう、今日も空港でファンの方に「表情が明るくなりましたね」と言われました。「コースト・ガード」頃までは、世の中に対してとても怒りを感じていて、攻撃的でもあり、自分的にもコンプレックスを持っていました。最近は、世の中を楽に見ることが出来るようになったと思っています。
私の作品は、大きく3つに分けられると思います。
1.クローズアップ映画・・・「悪い男」「魚と寝る女」「鰐」
人間をクローズアップし、人間の細かいところ、強い怒りを表現した映画です。
2.フルショット映画・・・「受取人不明」「コースト・ガード」「ワイルド・アニマル」「サマリア」
人間の全体を描き、社会の中で人間がどのように行動的にも矛盾を抱いているかに焦点を当てた映画です。
3.ロングショット映画・・・「春夏秋冬そして春」
人間も自然の中の風景の一部であると描いた映画です。


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●ちょごりさん
本人も言ってますよね、初期の作品は
「怒りが爆発し加虐と被虐と言った内容が反復」されている、と。
そのためきつい描写もけっこうありますが、
たましいを揺さぶってくる作品なので、見はじめると
私もやめられないですねえ……。

●てっせんさん
「実は韓国映画で、最も新作が待ち遠しく思われる監督です」
いやあ、ありがとうございます……、と、私がなんで
お礼言わなくちゃいけないのか(笑)。
この監督、私はもう生理的に好きでどうしようもないんですねえ。
おっしゃる通り、小道具の使い方、抜群です。
私の場合も、師の唐さんに学んだことなんですが、
モノ(小道具)にはその人の表現がとても単純に鋭く現れる、
モノに凝れってなりますね。
その舞台が成功するかどうかは、舞台になにかひとつ、基本になる
「モノ」をもってこれるかどうかってことになります。
そのあたりもギドクが生理的に好きな理由のひとつになってます。
しかし「魚と寝る女」だけは未見でひじょうに悔しいです……(笑)

●Kさん
お元気そうですね、安心しました!
キム・ギドクの「ピエタ」がベネチアで金獅子賞を!
わっ、わっ、わっ、嬉しいですねえ!
どうしたんだ、ギドク、もっと映画撮ってくれえ!
と思ってたら、けっこう撮ってたんですね。
「ピエタ」の前にも、自画像「アリラン」を?
内容を聞いただけで超笑えて、
やっぱりすごいひとだなあと思うのですが…(笑)。
12月のはじめに1日だけ福岡に行きます。
会えるといいのですが…! また連絡します。

ありがとうございました。

この記事へのコメント

ちょごり
2008年07月13日 14:50
受取人不明、以降のもので、「弓」まで観ています。
受取人不明は、途中の場面、犬を殺す場面が、どうしても観れなくて、止めてしまい、飛ばしてみたのか、覚えていませんが、あの、水溜りに、犬の血が滴り落ちるところで、なぜか、気分が悪くなったような・・・
でも、ギドク作品は、説明の出来ない、感動というか、それほどの、衝撃的な映像ではないのに、私の中に映像を刷り込んでしまうのですね、そして、いつも、しばらくの間、私を廃人にして、思考能力?をなくしてしまうようです。
やはり、キドク作品が好きなんですね、私は・・・
てっせん
2008年09月13日 22:18
今晩は
キム・ギドク、実は韓国映画で、最も新作が待ち遠しく思われる監督です。
「魚と寝る女」は、韓流ブームが来る前、某副都心の映画館で観ました。
この監督については、好きなだけにかえって、なかなかコメントできませんでした。で、正面からは避けて、搦め手から攻めてみようかと・・(笑)
この監督の映画を観る楽しみの一つは、私にとっては小道具の使い方なんです。思いも寄らない奇抜な発想で愉しませてくれます。
「悪い男」でのガラスの凶器やポスターを丸めての凶器。「うつせみ」でのゴルフボール。「春夏秋冬そして春」での石。あるいは「サマリア」で砂上に模様を描いてゆく自動車の車輪。「弓」ではまさに弓が・・・それぞれ映画の中で重い、時には象徴的な役割を負わされていています。
そして極めつけが、「魚と寝る女」の釣り針です。世界広しといえども、釣り針のこんな使い方を発想してしまう人も、そうはいないでしょう。
どういうところから、彼はそんな奇想の数々を得たのか、彼の人生体験をあれこれ想像してみざるを得ませんし、新作ではどんな小道具が活躍してくれるのか、興味津々で待ち望まれちゃうんですね(笑)。
k
2012年09月09日 20:58
キム・ギドク監督の最新作「ピエタ」が今日、ベネチアの金獅子賞に選ばれたそうです。パチパチ!山崎さんが好きなチョ・ミンス(「砂時計」で下宿屋の娘さんをやってた、あとで検事のほうの嫁さんになる人)さんが久しぶりに出た映画ですよ。監督も久しぶりの劇映画で、公開前に生まれて初めてテレビのバラエティに出演したりして宣伝したのに興行的にはさっぱりで、さぞかし気落ちしていただろうに、よかった~これの前に撮った「アリラン」では、自分撮りで、改造拳銃とエスプレッソマシーンを作りながら、延々と映画界と自分に対する愚痴とも呪いともつかぬ言葉を吐きまくってました・・・これはこれで面白かったけど。受賞で少しはお客さんが入るといいね!ワタシも観に行きたいなあ。ご挨拶が最後になりました。元気でおります、九州で。

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