永遠の片想い (2003)

[133]哀しいかな、ひとは自分の生存様式を超えられない……。


画像     これもすばらしい作品…… !

     韓国映画はいまほんとうに底知れない。

     これまで表出する術がなかった
     自分たちの様々な物語を
     映画という武器を手に入れることで、
     映画が武器になることに改めて気づいて、      
     いっきに噴出させはじめた、

ということなのか……?

そうとでも考えないと、まだ短い映画史の中で、
これだけすばらしい映画が集中的に造られる謎が
とても解けないんだけど……。

誤解のないように言っておくと、
韓国の映画の歴史は日本と同じように古い。
ところが1900年前後から、それまでとは断絶と言っていいほどの
とてつもない飛躍展開をみせはじめる。

そのためこの十数年の韓国映画界は
「ルネサンス期」と言われているようなのだ。

短い歴史とはその歴史のことを言っている……。

画像

物語……。

スイン (ソン・イェジン)とギョンヒ(イ・ウンジュ)は、
幼いころ、入院していた病院で知り合う。

二人とも病弱だったからだが、
以来、友達で、ずっといつも一緒に生きてきた。
まるで「双生児」のように、
周囲にはちょっと奇異にみられるほどに……。

病弱で授業を休むことが多く、成績もバツ。
高校を卒業しても進学できず、働くこともできない。

そんなある日、たまたま入った喫茶店で、
ジファン(チャ・テヒョン)という男の子に声をかけられる。

というか、ジファンがスインに、
「一目で好きになりました、付き合ってください」
と交際を申し込むのだが、ジュアンは困惑しながら断る。

自分の命が長くないことを知っているから、
また自分にはかけがえのない目の前の友、ギョンヒがいるから……。

だがジファンはへこたれない。
スインとギョンヒに「今度はぜひ友だちとして会いたい」と言う。

だけではない。時計を持って再度現れ、
「さっきのぼくのことば忘れてください」と針を1時間ほど戻したりする。

このあたりのチャ・テヒョンはもうみごと。
韓国のあの熱い地上から約1センチほど
浮いて生きている今風の?チャ・テヒョンにしかできない表現だ……。

以来、スインとギョンヒはいつもジファンと一緒で、
ジファンのおかげで世界が外に広がっていく。

といっても、映画を観に行ったり旅行に行ったりと、
普通の子たち(病弱でない子)がやってることをやるだけなのだが、
その一つ一つがスインとギョンヒには新鮮で、
かけがえのない想い出になっていく……。

そうしているうちに、
ジファンは次第にギョンヒに淡い恋心を抱くなるようになる。
彼女の秘めた感情の豊かさに魅かれたのだろうか。

そしてギョンヒのほうもジファンに……。

しかし、そんなある日、
スインとギョンヒはジファンの前から忽然と姿を消してしまう。

ジファンは二人の消息を尋ねて、
二人が通っていた高校を探し出し、担任だったという教師に会う。
そしてそこでじつに意外な話を聞かされる。

スインとギョンヒは幼いころから病弱で、ギョンヒは死んだ。
そのあとスインもからだが弱り、いま療養しているというのだ。

ジファンは混乱する。
というのも、かれは「会いたい」という
ギョンヒからと思われる手紙(写真)を受け取っていたからだ。

ジファンはその療養先を尋ねる。
と、そこには生きているギョンヒがいた……。
いや、スインが……。

じつはスインとギョンヒは、二人がいつも一緒にいられるようにと、
ずっと名前を取り替えっこして生きてきたのだ。
スインをギョンヒと呼び、ギョンヒをスインと呼び……。

だが再会も束の間、
ギョンヒ(じつはスイン)もジファンに最後の手紙を書き、
この世の命を終える……。


スイン(じつはギョンヒ)が死を早めるのは言うまでもなく、
ギョンヒ(じつはスイン)とジファンが接近しすぎたせいだ。

二人は互いが互いを支えあうかたちで生きてきた。
そうすることでしか生きてこれなかった。
しかしジファンとギョンヒ(じつはスイン)が接近したことで、
その双子的な生の様式が壊れてしまった……。
スイン(じつはギョンヒ)は生きていけなくなったのだ。

いや、スイン(じつはギョンヒ)だけでなくギョンヒ(じつはスイン)も……。

そしてこの物語がとても美しいとすれば、
二人ともそのことがわかっていながら、
ギョンヒという異性(他者)を自分たちの間に受け入れたからだろう……。

その意味では
ほんの少し長く生きたギョンヒ(じつはスイン)と、
二人の間に割って入ってしまったギョンヒの流す涙は
けして単純なものではない……。


ところで、イ・ウンジュ。
やっぱり、ものすごくいい。
もろ手をあげて絶賛したい……!

ひとがひと(異性)を好きになったり、すねたり、焼きもちを妬いたり……、
そういう、ひとがはじめて味わうまだ名づけがたい、
初々しくて微妙な人間の心を表現するのがひじょうにうまいのだ。

ほんとうは「うまい」ということばは使いたくないのだけど……。

誤解を恐れずに言えば、
イ・ウンジュはいずれにしろ
長く生きるのはむずかしい女性だったかもしれない。
魂があまりにも穢れを知らなさ過ぎるようにみえるから……。
たとえば太宰治のように……。

もちろんそれが私にとってはとても魅力的なのだが、
スクリーンの中の彼女を観ていると
そんな気がしてくる……。


真美さんが「俳優と作品」のイ・ウンジュの記事ページで、
「ウンジュさんは亡くなる前
立て続けに亡くなる役を観てしまいその後本人も。
以後しばらくは悲しすぎてウンジュさんの作品が観れませんでした」
と、おっしゃていたのも、ほんとうにとてもよくわかる……。

彼女の生前に彼女の作品を観ていたとしたら、
私もきっとそうだったろうなと思う……。


真美さん、
DVD、ほんとうにありがとうございました。

昨晩、よく行くツタヤに行ったら、この作品置いてありました。
前はなかったのに、今頃置くなよ(怒)。
でも、いいか。またお客さんの目に触れるから……(笑)。

あ、イ・ハン監督の映画処女作らしいんだけど、
この監督、クァク・ジェヨン監督の影響、そうとう受けてるかも……。

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●真実さん
この映画を観たあと座員に話したら、
「ほら! 3、4年前に私がいい映画だって薦めたら、哲さん、そう?
って無視したじゃない!」と、座員の女の子に怒られてしまいました。
私のほうはまったく記憶にないのですが……(笑)。
真美さんが韓国映画ベスト3の1本だとおっしゃる気持ちはよくわかります。
ベスト3となると、私はいい映画が多すぎていまは混乱しますが……。
イ・ウンジュ、これも真美さんがおっしゃるように
「儚い」というのがいちばんピッタシの形容なんでしょうね。
「スカーレットレター」のセックスシーンに悩んで自死したのでは
と言われていますが、「愛と、死をみつめて」やこの作品を観ると、
みんながそう憶測したがるのは無理ないよなあとおもいます……。
余談ですが、私は若いころモニカ・ヴィッティという
イタリアの女優さんが大好きだったんですが、
イ・ウンジュがどうも彼女にダブって見えてしまい、困っちゃいます。
モニカ・ヴィッティの妹というか、生まれ変わりというか……。
といっても彼女はまだ生きているし、イ・ウンジュと違い、
芯が強くて穢れもある女優のように見えるのですが……。
真美さんがまたこの作品を観れるようになる日が
一日でもはやく訪れるといいですね……。

●スクリーンさん
このまま秋になっちゃうのかなあ。もちょっと残暑ほしいです。
私とスクリーンさんのやりとりを見て、
真実さんが送ってくださいました、ご友人を通じて。
スクリーンさんのお心遣いにもお礼申し上げますね。
そういえばスクリーンさんもクーラー効かした部屋で
この作品満喫されたんですよね。
イ・ウンジュを知ったのはビョンホン映画を観てからですから、
ビョンホンにも感謝。「バンジージャンプ」観直さなきゃってかんじです。
(その前に「ブラザーフッド」で観てるはずなんですけど、
あまり記憶に残ってないんですよねえ)
悲しいけどもうこの世に居ない事を悔やんでも元には戻りません。
彼女の残した作品を、今後も大事に観続けて行きたいと思います」
もう自分のことのようにうれしいことばです(笑)。
こんなふうに愛される女優さんもほんとうに珍しいですよね……。

ありがとうございました。

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■105分 韓国 ロマンス

監督: イ・ハン
製作: ハン・ソング
製作総指揮: キム・ドンユ
脚本: イ・ハン

出演
チャ・テヒョン ジファン
ソン・イェジン スイン
イ・ウンジュ ギョンヒ
ムン・グニョン ジユン
キム・ナムジン
パク・ヨンウ(特別出演)

一人の青年と、ある秘密を抱えた二人の女性が織りなす純愛物語。束の間の瑞々しい青春を共有した若者たちの哀しき運命と再会を描く。出演は「猟奇的な彼女」のチャ・テヒョン、「ラブストーリー」のソン・イェジン、「ブラザーフッド」のイ・ウンジュ。監督・脚本はこれが劇場長編デビューとなるイ・ハン。
ある日、ジファンのもとに差出人不明の一通の手紙が届く。その封筒の中には“逢いたい”と一言だけ記された1枚の写真が入っていた。ジファンの中で懐かしい思い出が蘇る――。5年前の夏、ジファンはバイト先の喫茶店で親友同士の女の子スインとギョンヒと出会った。スインに一目惚れしたジファンのストレートな告白がきっかけで、3人は友だちとして付き合い始める。以来、3人で映画に行ったり旅行したりと、一緒にかけがえのない日々を過ごすようになる。そうして、いつしか互いに友情とは別の感情が芽生え始めた頃、スインとギョンヒは突然ジファンの前から姿を消してしまったのだった。


この記事へのコメント

真実
2008年08月25日 10:21
山崎さん こんにちは♪
すっかり秋めいてきましたね...

永遠の片想いは私がウンジュさんの役の中でも1番好きな役柄だし作品としても韓国映画ベスト3には入るかな?と思ってます!今でもイウンジュと言えば永遠の片想いが1番です♪
この映画1本で私は彼女が好きになりました♪
テヒョン君も良いですね?彼は上手な俳優さんなんだけど猟奇的な彼女のイメージが強すぎてテヒョン=キョヌになってたのですが(笑)この作品ではキョヌに見えなかったし良かったです!

ウンジュさんが今も女優さんを続けてたとしても元気な役や幸せな役は浮かばないかな?と思います!
単に薄幸とかそんなんではなくやはり儚げな世界を持った女優さんだったと思ってます!

ウンジュさんの事がなければ悲しい物語なんだけど何回も観たくなる作品でした ウンジュさんの演じたギョンヒは本当に魅力的でした そして2人が元気な頃の3人のシーンが大好きです!

スクリーン
2008年08月25日 23:49
山崎様 こんばんは

秋の気配がそこまで来ています。ご無沙汰です。永遠の片思い 早くご覧になれて良かったです。次回 下高井戸へお届けしようと思っていたのですが、遅くなってしまい申し訳ありません。
 良い作品ですよね。一見活発な女の子に見えたのですが、実は病弱。。。お互いにいたわりながら生きていく姿、、、彼女は女優として絶品です。【バンジージャンプする】に続き好きな作品です。【バンジョージャンプする】の二年後の作品ですね。明るい表情、暗い表情、どれをとっても無理の無い自然な姿なのですが 明るい演技でさえもウンジュさんの死を思うと【儚く】胸が熱くなります。
共演のソン・イエジンさん 今では韓国の有名俳優さんと様々な作品に出演。。
ウンジュさんも生存されてたら、韓国を代表する女優さん、世界にも羽ばたく事ができたかも、、本当に残念です。
 悲しいけどもうこの世に居ない事を悔やんでも元には戻りません。彼女の残した作品を、今後も大事に観続けて行きたいと思います。
 夏休みに都内の映画館で、「永遠の片思い」が上映された事をあとで知りました。スクリーンで観たかったな。。

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