サルバドールの朝 (2006)

[134]いい作品はけして声高に語らない……?

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舞台は1970年代初頭、フランコ独裁政権下のスペイン。

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自由を愛する青年サルバドール・ブッチ・アンティックは、

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世の中を変えたいと無政府主義グループに参加し、
反体制活動に関わるようになる。

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活動資金を得るため銀行強盗にも手を染める。

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警察にマークされたサルバドールはついに追い詰められ、激しい銃撃戦に。
彼の撃った銃弾は若い警官を直撃、サルバドールも瀕死の重傷を。

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撃たれた警官は死亡、
サルバドールは逮捕され軍事法廷で死刑の判決を受ける。
その後死亡した警官には別の銃弾も残っていたことが判明するが、
死刑判決は覆らず、処刑される。
この時サルバドール・ブッチ・アンティック、25歳…。

実話を基にした大傑作。

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何が素晴らしいかって、カットのリズム。

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こんなにカット数の多い映画も珍しいのだが、
そのカットを繋いでいくリズムが抜群にいいんだよね。

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もの凄い速さで繋いでいくのだが、
そのリズム、映像がまるで青年サルバドールの鼓動のように、
フランコ政権に反発する人々の息遣いのように聞こえてくるの。

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けして声高になにか訴えるような作り方はしてないんだけど、
ほんと、そこがめちゃくちゃいい。

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そしてラストの処刑のシーン。
やっぱり涙が出ちゃう。

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初見のときはドキッとしたよな。
フランコ政権下の処刑の方法知らなかったものだから。

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鉄の輪の中に死刑囚の首を入れて、
処刑人が背後からその輪を絞めあげて首の骨を折るんだよね。

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日本の絞首刑だとか、
フランスのギロチン刑も残酷だけど、
それよりもっと凄まじい残酷さを感じさせる。
人間(処刑人)の手が直接加わるわけだから…。
そこにフランコという人間が見えてくるよね。

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処刑シーンを描いた映画は、
「暗黒街のふたり」「ゾディアック」「絞首刑」など結構あるけど、
この映画の処刑シーンが私にはいちばん堪えた。
処刑時間にサルバドールがいちばん可愛がった末の妹が、
学校から走って帰るシーンが挟まれていたせいもあるかもしれないが。

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これ、私が下手だからじゃないよ。
映像とカットが速すぎてちゃんとショット画像取れないの。(^^♪

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ついでだけど、
サルバドールをやっているダニエル・ブリュールの「グッバイ、レーニン!」。
ベルリンの壁が壊れたときの東ドイツの青年と母親の話を描いたものだが、
そっちもお薦めの作品だよ。

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●つばきさん
ほんとうにいい映画ですよね。
とても劇的な出来事がある意味淡々と描かれていくので
余計胸に堪えますよね。
あの看守がいなかったら観てていたたまれなかったかも……。
おとうさんですよねえ……、一度自分もやられちゃって、
権力にすっかり去勢されてしまったというか……。
姉妹やおかあさん……、女性のほうが命をとてもじかに感じるから、
こういう時はああいう表現ができるのかなあと痛切に思います……。

ありがとうございました。

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135分 スペイン/イギリス ドラマ

監督: マヌエル・ウエルガ
製作: ハウメ・ロウレス
原作: フランセスク・エスクリバノ
脚本: ユイス・アルカラーソ
撮影: ダビ・オメデス
音楽: ルイス・リャック

出演
ダニエル・ブリュール サルバドール・ブッチ・アンティック
トリスタン・ウヨア オリオル・アラウ
レオナルド・スバラグリア ヘスス
ホエル・ホアン オリオル
セルソ・ブガーリョ サルバドールの父
メルセデス・サンピエトロ サルバドールの母
イングリッド・ルビオ マルガリーダ
レオノール・ワトリング クカ
オラーヤ・エスクリバーノ

フランコ独裁政権に反発してアナーキスト集団の活動に身を投じ、わずか25歳の若さで死刑に処せられた実在の青年サルバドール・ブッチ・アンティックの最期の瞬間を見つめた人間ドラマ。主演は「グッバイ、レーニン!」「ベルリン、僕らの革命」のダニエル・ブリュール。
1970年代初頭、フランコ独裁政権下のスペイン。自由を愛し正義感にあふれた青年サルバドール・ブッチ・アンティックは、世の中を変えたいという純粋な気持ちから無政府主義グループに参加、反体制活動に関わるようになる。そして、活動資金を得るために銀行強盗にも手を染めることに。やがて警察にマークされたサルバドールは、ついに追い詰められ、激しい銃撃戦に巻き込まれる。その混乱の中、彼の撃った銃弾は若い警官を直撃、サルバドール自身も瀕死の重傷を負ってしまう。結局、撃たれた警官は死亡し、一命を取り留めたサルバドールは逮捕され、軍事法廷にかけられる。その後、死亡した警官には別の銃弾も残っていたことが明らかとなるが、死刑判決を覆すことは出来なかった。減刑を求める家族や世論の声もむなしく、死刑執行の時は刻一刻と迫っていくが…。


この記事へのコメント

つばき
2008年08月24日 22:39
山崎さまこんばんわ。
『サルバドールの朝』いいですね~
処刑のシーンは残酷で、悲しくなります。
監獄の中で看守の一人とバスケットボールしたり、失語症のアドバイスしたり・・・看守とのシーンはこの映画では唯一ほっとさせられました。サルバドールを助けようとする姉妹愛には泣かされますね。サルバドールの父には息子のため何か行動してほしかったな~

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  • サルバドールの朝 Salvador

    Excerpt: いつの世も、権力は見せしめを必要とする。 人間は原則的に報復してしまう生き物である。 サルバドールの死は明らかにフランコ暗殺に対する報復としての処刑である。権力の決定の前で、個人はいかに無力か.. Weblog: Mon cahier racked: 2008-09-01 14:49