酔画仙 (2002)

[145]まるで水墨画かと思わせる映像に震撼した……?


画像     19世紀末の韓国に実在した
     画家チャン・スンオプの生涯を描いた
     伝記的な作品なんだけど、
     これまたじつに素晴らしい映画……。

     とくに映像が抜群なんだよねえ。

     韓国映画ではめずらしく?


丁寧にセットを創って撮影してるわけね。
でも、セットを創ると、こんどはロケシーンが難しくなるでしょう。

セットと合わないとだめだからなんだけどさ、
この映画、そのロケシーンがまた素晴らしくいいのよ。

CG使ってるのかどうか素人の私にはわからないんだけど、
チャン・スンオプ(チェ・ミンシク)が旅する
田舎の雪のシーンとか、秋の紅葉のシーンとか、
もうほとんど水墨画の世界を見てるみたいでさ……。

物語的には、李氏時代の国策、清(中国)と日本との関係、
さらには東学党の乱(農民の反乱)などの様子を
もちょっと描いてくれたほうが、
チャン・スンオプの生きた時代と、かれの苦悩や孤立感が
もちょっと際立ったかなという気がしないでもないけど……、

その不足感を補ってるのは、
むしろアン・ソンギが演じている開化派の学者キム。

スンオプの絵の才能を発見した彼はスンオプに、
中国の絵の影響を脱して、
韓半島の自然と自分たち朝鮮人の心を描いてほしいって
願いつづけるんだけどね……。

アン・ソンギ、もともといい俳優だなあって思ってるけど、
それ相応の年齢を経ているせいか、
韓国人の古層を垣間見せるこういう役をやると、ほんとに素晴らしい。
拍手……!

ラスト、
雪降る田園でスンオプと再会するシーンがあるんだけど、
逃亡してなお希望を失わないアン・ソンギ(キム)の姿見るだけで
スンオプ同様泣き崩れるしかないわね……。

で、われらがチェ・ミンシク。
悪くはないんだけど、残念ながらちょっとミス・キャストって感じ……?

映画で描かれている限り
スンオプは無頼派って感じなんだけど、
チェ・ミンシクはどうやったって人間臭い、とても心温まる俳優なんで
ちょっとこの役のイメージじゃないよな。

とくに「青年」スンオプは……(苦)、
って思ったんだけど……。

絵が好きなひとにはぜひ観てほしいですねえ。
もちろんそうでないひとも……。

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●てっせんさん
とにかく映像がすばらしいですよね。
撮影監督のチョン・イルソン、てっせんさんに言われて調べてみたら
ものすごい数の作品を撮っていて、びっくりです。
監督のイム・グォンテクも1936年生まれ。
こりゃあ1990年以前の韓国作品も観てみないとわからんぞという
気持ちです。
ソン・イェジンも……(笑)。てっせんさん、とにかく目が早い……(笑)。

●ちょごりさん
劇中にいい絵がたくさん出てきて、
それ見れるだけで私なんかとてもうれしいです。
アン・ソンギ、「黒水仙」でもいいですよねえ、
ちょうどこの作品の役と同じような役どころでしたけど……。
韓国映画はなぜか年配の俳優さんが少ないような気がしますけど、
もしかしたらアン・ソンギのような俳優さんが
たくさんいらっしゃるのかもしれないと思っています……。

ありがとうございました。

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119分 韓国 ドラマ/伝記

監督: イム・グォンテク
製作: イ・テウォン
原案: ミン・ビョンサム
脚本: イム・グォンテク キム・ヨンオク
撮影: チョン・イルソン
音楽: キム・ヨンドン

出演
チェ・ミンシク チャン・スンオプ
アン・ソンギ キム・ビョンムン
ソン・イェジン ソウン
ユ・ホジョン メヒャン
キム・ヨジン

貧民の出でありながら、筆一本で宮廷画家へとのぼりつめた実在の人物チャン・スンオプの実像に迫る人間ドラマ。酒と女を愛し“酔画仙”と称された無頼の画家の伝説と謎に包まれた生涯を壮大なスケールで描く。監督は「春香伝」のイム・グォンテク。主演は「シュリ」「オールド・ボーイ」のチェ・ミンシク。2002年カンヌ国際映画祭監督賞受賞。
19世紀の朝鮮時代末期。開化派の学者キムはある日、街で殴られている貧民の少年チャン・スンオプを助けた。そして数年後に2人が再会すると、スンオプの描く絵に無類の才能を見いだしたキムは、知り合いの通訳官のもとに彼を預け絵の勉強をさせることに。やがてスンオプは絵の修行に励み続けると同時に、酒に溺れて放蕩生活へ浸っていく。だが、酒に酔い興に乗った時、彼の筆使いは神業のごとく冴えわたり、秀逸な絵を生み出すのだった。こうして、稀に見る非凡な画家として名が知られていくスンオプだったが…。


この記事へのコメント

てっせん
2008年09月10日 22:17
今晩は
この映画はたしか、ソン・イェジンのデビュー作だったと思います。公開当時、岩波ホールで観たはずなんですが、私にはなぜか、李氏朝鮮時代の衣装に身をつつんだソン・イェジンの眼の覚めるような美しさしか、あまり記憶に残っていなくて・・・もちろん、彼女も、我が韓国映画十大美人の一人であります(笑)。
ちなみに、撮影監督のチョン・ソンイルという人は韓国映画界のいわば国宝級の人のようでして、これまで、イム・グォンテクはもちろんのこと、韓国映画史に聳え立つ伝説的な名監督たちと数々の仕事をしています。私はこの人の撮った、胸に沁み入ってくるような冬ざれの風景や雪景色が、ことに好きです。
てっせん
2008年09月10日 23:03
訂正です。
チョン・ソンイルではなく、イルソンでした。ネットでサッカーワールドカップ地区予選(韓国対北朝鮮)を横目で観戦しながら書くという不謹慎を犯したせいで、テキメンでした(笑)。失礼しました。
ちょごり
2008年09月12日 20:35
どうも、物忘れが多くて、この映画、観ているが、良く覚えていないけれど、使われていた絵の迫力が凄いな~と、思いながら観た記憶があります。
それと、優れた芸術家は、ごく一般的な常識には、納まらない生き方をするのが、はみ出してしまう生き方をどうしても、そうなってしまうのだろうと、自分では抑えきれないエネルギーが湧き出てしまうのでしょうね・・・
いつも、横道にそれてすみませんが・・・
4年ほど前、まだ、韓国の俳優さんのお名前がわからない頃(ビョンホンさん以外)「黒水仙」と言う映画を観ていて、割と、お歳を召した、俳優さんで、とても、印象深い方が出ていた!、この俳優さんは、誰だろうと、とても気になっていましたら、後で、わかったのですが、「アン・ソンギ」と言う、俳優さんだった。
あの映画もいい映画でした、私は好きです。

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