HERO 英雄 (2002)

[195]おいおい、チャン・イーモウよ、君はどこへ行くのだあ……?


画像     とにかく、まあ、 
     映像の素晴らしいこと……!
     
     とくに、色彩。
     赤、黒、白、黄色、青、緑……。

     それもグラデーションみたいに
     とことん微分しててさ……。


もう説明するの面倒臭いから
写真(引用)いっきに見てしまおうよ……。


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どう……?
きれいでしょう、文句なしでしょう。
全編こんな感じで、写真の構成と色彩に
懲りに懲りまくってて脳天が痺れちゃうんだよねえ……。

とくに私の好きなのは、
上から2番目と、4番目のシーン……。
ちなみに3番目は2番目と同じシーンで、
赤と黒、赤と黄色の組合せが絶品。

チャン・イーモウに限ったことではないんだけど、
中国映画のこういう赤い色の使い方は
日本人には全然できないよなあっていつも感動しちゃう。

「赤」色にたいする感動が
日本人とはまるで違うからなんだろうなあ……。

しかも、役者まで絶品なの。

ジェット・リー(無名)、 トニー・レオン(残剣)、
マギー・チャン(飛雪)、チャン・ツィイー(如月)、
ドニー・イェン(長空)、チェン・ダオミン(秦王)。

そうそうたるメンバー+無名多数。

中でも感動的なのはジェット・リーなんだけど、
彼がこんなに深みのある人物を造形したことあったかなあ。
ちょっと思い出せないんだけど……。

それとチャン・ツィイー。
いやあ、こういう小娘やらせると、ほんと絶対世界一だよね。

いやあ、ほんといいよお。面白いよお……!

でもね、
と、下の根も乾かないうちに言うのもなんだけどさ、

じゃあ、同じ始皇帝暗殺を題材にとった
「始皇帝暗殺」と比べてどっちが面白い?って聞かれたら、
残念ながらもう断然チェン・カイコーの「始皇帝暗殺」のほうが面白いし、
作品としても上なんだよねえ……。

その理由もはっきりしてる。

じゃあ、
この映画、目の見えない人も感動するかなあってこと。
耳の聞こえないひとは……?
たぶんしないよね、映像が見えないんだもの……。

「始皇帝暗殺」はまだ
見えなくても聞こえるひとは感動すると思うよね。
人間が生きてる生な気配が俳優の声から伝わってくるから……。
耳の聞こえないひとまではちょっとわからないけど……。

映画ってたしかに写真(映像)なんだよね。
映像がすべて……。
でもだからといって映像至上主義?になってしまうと、
なにかとんでもなく間違えかねないんだよね……。

すこし違ったふうに言うとさ、
われらが黒澤明も映像に徹底してこだわったひとなんだけど、
映像を絶対だと考えたかと言うと、じつはそうでもないんだよね。

そう言えるのは、
黒澤は映画を撮るときいつも物語を含めいつも悩んでたから、
苦しんでたから……。

その苦しみがあったから黒澤は
世界のクロサワと評価されたんだと思うんだけど、
残念ながらチャン・イーモウのこの作品には
それがあまり感じられないんだよね。

どこか自分を高みに置いちゃってない?
って言ったら言いすぎ……?

「始皇帝暗殺」で、秦王・政の苦悩をチェン・カイコーは
庶民の心の問題にまで引きずりおろしてみせたと評価したんだけど、
この作品は違うのよ。

描かれてるのはどこまで行っても権力者たちの心で、
見てる私ら大衆?からすると、あまり関係ないんだよねえ。
興味ないの……。
「そんなのカンケーねえ!」って感じなの。

そう言うとわかるかなあ……。

てっせんさんが
「至福のとき」以降、 チャン・イーモウをあまり観る気がしない
みたいなことをおっしゃってたけど、よくわかるんだよね。

「王妃の紋章」もたしかに面白いんだけど、
でも、チャン・イーモウの描く世界が
山間のひとたちの世界からどんどん離れていってる……、
そう見えるからじゃないかな。

権力者たちの絵巻物語のほうへ行ってる?
映画が巨匠(権力)のほうへ近づいてる……?

まあ、私の誤解であることを切に願うんだけどね。

わかった。もういいよ。
はやく帰って来い、チャン・イーモウ。
君が働いた農村の世界へ……!(笑)

追記)
「美しき日々」後の3作品は、「美しき日々」を書いたあとにすでに書いていたのですが、
はやくアップしてしまうと混乱の事態を招きかねないと思い、沈静化を待ってアップしました(笑)。
なお3作品の日付は書いた日付でアップしています。どうぞご了解ください。


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●チェブさん
やっぱり北京オリンピックと来ますよね(笑)。
じつは私も疑っているところがどうしてもあるんです。
これも「王妃の紋章」も国策映画なんじゃないか。
北京オリンピックに備えて国が世界に向けて発信させた
映画なんじゃないか。だからキャスティングもって……(笑)。
まさかとは思うんですが、でないとチャン・イーモウの心変わりが
どうも解せなくて……(笑)。
もともとカメラ出身ですから、こういう映像癖があったことは
否めませんが……。

●テプンさん
この映画、じつは2度目なんです。
チャン・イーモウに少しはチェン・カイコーを見習えと言いたくて……(笑)。
ジェット・リーはけっこう観ています。特に初期作品は。
「今は四川地震の復興のため俳優は休業しています」
そうですか、そういう俳優だとは知りませんでした。
映画を観るとヒューマニズムに溢れた俳優だろうなというのは
なんとなく伝わってきましたが……。
「ダニー・ザ・ドッグ」、探して観てみますね。

●てっせんさん
なるほど。たしかに「MUSA」でモンゴルの騎馬軍団が放った
弓矢の数はこれに比べるとしょぼいですね。
しかし、あのしょぼさのほうがどこかリアリティがあってよろしい!
という気がしないでもないのですが……(笑)。
私がチャン・イーモウがすごいと思うのは、
自国の中国をよく知ってて、その映像化に長けてるところ
ですかねえ……。

●テプンさん
そうですか、チャン・イーモウ、そんな発言を……?
う~ん、なんだか中国の政治家の発言みたいですねえ(笑)。
真意はわかりませんが、資本主義の国の人たちから
自分の仕事にたいして微妙なコメントをされると、
自国(中国)を非難されたかのように受け取ってしまい、
つい反論してしまうのでは……?
まあ、まさかとは思いますが……(笑)。

●tomotyan712さん
「墨攻」の戦闘シーン、貧弱でしたか?
私はあの映画すごく好きなんですけどね……(笑)。
「誰も守ってくれない」は佐野史郎もちょっと気に入ってる?
みたいですよ……。

●テプンさん
ジェット・リーがスタローンと共演する話があるんですか?
もし実現したら二人のファンとしてはうれしいですねえ……!

●tomotyanさん
トニー・レオンは私も「インファナル・アフェア」のほうが好きです。

●ちょごりさん
「赤」をやたら多用しているので国策映画ではないかと
思ったのですが……(笑)。
「その櫂に手をそえて」、探してみてみますね。

●tomotyan712712さん
アンデイ・ラウがビョンホンに……?
仲いいんですかね……?(笑)

●チェブさん
チャン・ツィー、ほんと「初恋のきた道」みたいなのに出てほしい!(笑)
しかしチャン・イーモウ、ほんとにワイヤーアクションうまいですよね。
「ダイハード」大好きなので「インビジブル・ターゲット」
探して絶対観ます……!

●テプンさん
共演ほんとだったんですね。しかも大好きなミッキー・ロークまで!
嬉しくてもう卒倒しそうです……(笑)。

ありがとうございました。

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99分 香港/中国 アクション/史劇/ステリー

監督: チャン・イーモウ
アクション監督: チン・シウトン
製作: ビル・コン
脚本: リー・フェン チャン・イーモウ
撮影: クリストファー・ドイル
衣装デザイン: ワダエミ
音楽: タン・ドゥン

出演
ジェット・リー 無名(ウーミン)
トニー・レオン 残剣(ツァンジェン)
マギー・チャン 飛雪(フェイシエ)
チャン・ツィイー 如月(ルーユエ)
ドニー・イェン 長空(チャンコン)
チェン・ダオミン 秦王(チンワン)

「紅いコーリャン」「初恋のきた道」のチャン・イーモウ監督がアジアを代表するスタッフ・キャストを集め、壮大なスケールで描く一大歴史スペクタクル巨編。秦の始皇帝を狙う当代きっての3人の刺客をすべて討ち取ったという一人の男の語る驚愕の物語が華麗な歴史絵巻の中に展開する。
紀元前200年、戦乱の世の中国。ある日、のちに始皇帝と呼ばれることになる秦王のもとに、無名と名乗る一人の男が拝謁する。男は、最強と恐れられた趙国3人の刺客をすべて殺したという。その証拠にそれぞれの名が刻まれた一本の槍と二本の剣を携えていた。無名は、十歩の距離まで近づけば如何なる相手も一撃で仕留める剣術“十歩必殺”を極め、3人の刺客を討ち倒したという。暗殺者たちから身を守るため百歩以内に誰も近づけようとしない秦王だったが、無名の功績を認め特別に十歩の距離まで近づくことを許し、早速3人の刺客たちを討ち取った経緯を語るよう促すのだった…。


この記事へのコメント

チェブ
2009年01月12日 17:48
先生こんにちは

色彩についていえば 大好き(笑)です
うーん北京オリンピック(笑)
この作品を観た当時は、大好きな色彩の絶妙さに興奮しましたが、なるほど、これか゛後の北京オリンピック開幕式へ繋がるかと(笑)変な納得をしています
当時はあまりアジア映画をみていなかったので、色や音に感覚を刺激された気がしたのを覚えています
それにしても、知らなかったとはいえ、すごい豪華キャストですね
テプン
2009年01月12日 21:10
『英雄』観ていただいたのですね。実はビョンホンにはまる前に大好きだったのがジェット・リーでした。彼の研ぎ澄まされた美しいアクションがだいすきで。あの人懐っこい笑顔も。

この映画はとにかく画面の美しさを楽しむものだけでした。ワイヤーを駆使したアクション、CGの多用、それだけです。

ジェットはアクションよりも人間味を重視した俳優を目指しています。それはハリウッドでアクションばかり求められる事に嫌気がさしたのだと思います。ワイヤーも嫌っています。彼のお気に入りの監督はリュック・ベイソンです。『ダニー・ザ・ドッグ』ご覧ください。そのあたりがわかっていただけると思います。

特にインドネシアで大地震に遭って行方不明になってから俳優よりも人として如何に生きるか考えています。今は四川地震の復興のため俳優は休業しています。と言うよりいつ出家してしまうかファンは不安です・・・

私にとって今も気になる人です。
てっせん
2009年01月12日 22:02
引き続き、こちらにもお邪魔します。
この映画、チャン・イーモーの作品としては、乗り切れなかったのですが、技法的には、韓国のアクション映画が見習ってほしいなあと(エラソウニ)思ったところが随分あったような気がします。
その一つが、誇張法とでもいいますか・・・。もともと白髪三千丈式の伝統が息づくお国柄か、色彩にしろ、戦闘シーンにしろ、ここぞというところでの誇張の仕方、畳み掛け方がハンパではありません。
印象に残っているのは、映画全体の鮮やかな色遣いはもちろんですが、なんといってもあの無数に飛来する弓矢ですね。これには、ヤラレタ、と思いました(笑)。
時代劇アクションとしては、私の中では「MUSA」の方が点が高いのですが、このシーンに比較すると、「MUSA」でモンゴルの騎馬軍団が放った弓矢の数がいかにもショボく、いささか迫力に欠けちゃうものになってしまうんですね(笑)
とにかく、チャン・イーモーには学ぶべき点がいっぱいあると思っています。
テプン
2009年01月12日 23:31
先日、チャン・イーモー監督が北京オリンピック開会式をどう創っていったかをNHKで深夜放送していたのをチラッと見ましたが、オリンピックの凄さは生であることを無視した発言に驚きました。

より良い物を見せるために手段は選ばない、リハーサルの映像を使ったり、CGを使ったりしたことが何故駄目なのかと。口パクの少女二人についても、二人とも長期間トレーニングをしてきたからどちらかに選ぶなんてできない、だから姿を見せる子と歌だけの子になったのだ、二人とも満足している。

オリンピックの開会式のハプニングも生なのだから良し、多くの人がそう思っているはずなのに監督の美意識では許せなかったのですね。

ジェットはずっと中国の至宝として温室だったのですね。それがハリウッドに行って挫折を知ったのだと思います。多分ビョンホンもハリウッドのアジア人への偏見を感じたと思います。

ジンシルさんのお部屋にも書かせてもらってますのでお読みください。(『美日々』に埋もれてしまったようなので自己主張させてもらいました、すいません)
tomotyan712
2009年01月13日 20:33
先生こんばんは
「ERO 英雄 」は、これぞ史劇という印象を持ちました。映像がきれいでした。アクションがすごかったです。圧巻でした。ジェットリーさん、チャンツィーの演技見事だったです。その後知った俳優の演技をまた、鑑賞する中でチェックしていきたいと思います。最近、「墨攻」を見ましたが、戦闘シーンが貧弱でした。アンデー・ラウさんの演技は、立派でした。
ジェットリーさん、俳優の仕事を休んで、ビョンホンさんも参加した慈善事業をなさっていると聞きました。俳優家業の近況は、どうなっているでしょう。詳しく知りたいです。
tomotyan712
2009年01月13日 22:32
つづき
今、スカパーの日本映画専門チャンネルで、君塚監督の映画「誰も守ってくれない」のPRをしています。佐野四郎さんもゲストで出演、佐藤浩一さんなど監督級の俳優も参加し、みんなで作っていく、ドキュメンタりータッチの映画。予告編を見ただけでもリアルに迫ってきます。今日的なテーマを追求。監督、プロジューサーの情熱は並でないですね。見たくなりました。
tomotyan712
2009年01月13日 22:47
>佐野史郎さんもゲストで出演・・・.このPR番組にゲスト出演ということです。佐野史郎さんは、俳優&監督なんですね。佐藤浩市さんのトークも予定されているそうです。監督は、浩市さんの意見も大切にしているといっていました。
テプン
2009年01月13日 23:18
tomotyan712さん、ジェットについて私の知っていることです。

彼はスマトラ大地震に遭ってワン基金(災害などで苦しむ人のために1元の寄付)を設立しました。現在は四川地震復興に基金を使うと共に様々な活動をしています。そのため俳優は1年間休業と聞いています。

以前から仏教の勉強をしていて俳優より人の役に立ちたい、と強く思っている人です。

休業後、スターローンの映画に出るのではないかとファンの間で言われています。

さしでましいかなと思いましたが、読んでいただければ幸いです。
tomotyan
2009年01月14日 04:05
テプンさん 
早速、お知らせいただいてありがとうございます。ジェットさんについては以前から、お顔は知っていましたが、映画では以前「英雄」で見たきりでした。最近ビョンホンさんがらみで知って、優しい、信念のある人だなと思いました。親しみやすい笑顔が、好感が持てます。
過去の作品も見てみたいと思います。

トニー・レオンさんのインファナル・アフェアを見て、関心を持ちました。ラストコーションより彼の演技力を引き出していると思いました。含みのある、陰のある演技、女性をひきつける色気も感じました。「英雄」での、彼の姿、演技を探したいと思いました。
2009年01月14日 12:03
私はこの映画を観て、やはり、色彩の美しさは本当に凄いし、CGと言うのでしょうか、このようなつくり方が私の中で、とても違和感を感じてしまう、それこそ、「赤い色彩」だけがやたらに気なってわけわからん状態だった事を思い出しました。
他の中国や香港映画は最近はどうしても避けてしまいます、
でも、たまに、思ってもいなかったいい映画に出会えた時は、とても嬉しいですね、
「その櫂に手をそえて」と言う映画はとても印象深かったです。
私は、役者さん、監督さんの名前が覚えられないけれど

又、ビョンホンシの『美しき日々』へコメントしたかったけれど、皆さんの凄く熱いコメントに、とても、私などでられませんでしたが、先生の考え方が、私がなぜ、あのドラマを見続けるのかが分かったように思いました。
tomotyan712712
2009年01月15日 03:29
先生、こんばんは
「墨攻」のテーマは、実に素晴らしいですね。望ましい政治はかくあるべきと主張していると思いました。今の生き方にも通ずるものがありますね。
主演のアンディ・ラウさんの熱演。演技も好感が、もてました。多くの人に見てもらいたい映画です。
以前の映画祭でアンデイ・ラウさんが、ビョンホンさんに親しくお声をかけてくださいました。先輩として交流があるといいですね。
チェブ
2009年01月16日 02:13
先生こんばんわ
前回は豪華なキャストを堪能してなかったので(笑)あらためて見直しました
トニー・レオンいいですねぇ!もう彼の目がいいです。目力というのでしょうか、ラブシーンもお手のものですね
そしてジェット・リー、このところハムラプトラ、ドラゴン・キングダムと似たような作品をみているので、それらとかぶってしまうのですが、やはりアクション俳優として欠かせない存在ですよね
女優陣も華やかですね
マギーは大人の魅力を漂わせてるし、チャン・ツィーはおてんば娘で本領発揮(本当は初恋のきた道のような作品にでてほしいけど)
キャストも映像も豪華で、中国のプロモーションムービーのようですね
それにしてもワイヤーアクションこんなに多かった?
それもお家芸だから、ま、いーか と変に納得しました
チェブ
2009年01月16日 02:19
ちょっと別の話なのですが、ワイヤーアクションで思い出しました
以前先生にお勧めした香港映画「インビジブル・ターゲット」TSUTAYAにありました
うーん、香港若手も頑張ってるなぁと思える作品です
香港版ダイハードという気もしますが、お時間あったらご覧くださーい
テプン
2009年01月18日 00:55
スタローンとの共演は間違いないです。来年公開の映画で公式HPにジェットの名前と役名がありました。ミッキー・ローク、サンドラ・ブロックの名前もありました。どんな作品なのか英文で理解不能・・・残念です。

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