大菩薩峠 竜神の巻 (1960)

[196]盲目の机龍之介には世界はどう見えてるんだろう……?

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「大菩薩峠」はじめて観たのは
高1のときなんだよね、
内田吐夢監督・片岡千恵蔵主演の
東映版なんだけど。

記憶力いいでしょう(笑)。

私には絵を描いてる兄がいたんだけど、
その兄が美大に行こうと浪人してたころ、
東映系映画館の看板描きのバイトしてたんだよね。

で、たまたま千恵蔵版の「大菩薩峠」の看板描いて、
それ見に行って、ついでにじゃあと。

以来、なぜか長い間すっかり「大菩薩峠」に嵌っちゃって、
介山のあの記録的な長編も楽々と?読破しちゃったり、
清水紘治さんと大谷直子さんに
山崎版「大菩薩峠」書いて舞台化までしちゃったり。

それも連合赤軍の事件と結びつけて。
われながら強引というか、無茶苦茶というか(笑)。

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嵌った理由もけっこうはっきりしてるのね。
観た知恵蔵の龍之介が盲目だったから。

まだ若かったから許してほしいんだけど、
あ、盲目のひとにも世界があるんだって、
あの映画でもう強烈に思い知らされたんだよねえ。

個人的に言えばひじょうにショックな体験だった?
だってそれまでそんなこと考えたこともなかったもの。

宇津木兵馬と机龍之助の対決もなんだか、
目の見える私らみたいな人間と、
目の見えない人間との対決みたいに思えちゃったりして。
変でしょう。

まだ若かったことにしてね(笑)。

物語的に言うと、机龍之介は、
赤ん坊の泣き声がうるさいって女房斬っちゃったり、
世の中、攘夷だ、天皇だ幕府だって大騒ぎしてるときに、

そういうことにはとんと目もくれず
自分の業とただひたすら、
それもたったひとりで闘ってるわけでしょう。

そういうことされると、
ああ、目の見えるぼくらとは全然違う世界を見てるんだ。
目の見えるぼくらには見えない世界を見てるんだって
どうしても思っちゃうとおもうんだよねえ。
とにかくこっちはまだ若かったわけだから(笑)。

で、龍之介はなに見てるんだろう?
目の見えないひとにはこの世界がどう見えてるんだろう?
そういうことがどうしても気になっちゃったというか、
それで嵌っちゃったというか。

まあ、私なりの結論は出たんだけどさ、
完結編が残ってるんでまだここには書かないけど(笑)。

やっとこの作品なんだけど、観てて、
あ、そうか、竜神の滝で天誅組の連中と一緒にいるとき、
幕府軍に爆薬投げられて失明したんだったって
やっと思い出したよ。

でも、なんて言うの?
机龍之介は生まれたときから目が見えないんだって
勝手にずっと思い込んでる私からすると、
思い出したからってどうってことはないんだけどね(笑)。

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それより気になるのは雷蔵の色気?

すごいよねえ。
男の私でも思わずじっと魅入っちゃうからなあ。

雷蔵の色気って健さん(高倉健)とはまた違うんだよね。
健さんの色気が
修羅場を潜りぬけてきた男の放つ色気だとすると、

雷蔵の色気は
どんな修羅場も修羅場とは感じさせない、
純白の色気っていうのかなあ。

やっぱり血筋なんだろうね。

生みの親は商社マンなんだけど、事情があって
生後6カ月で市川九團次の養子になってるんだよね。

そういう意味では
社会の汚れとはずっと無縁のところで育ってきてる?
そういう純粋培養された人間だけが放つ色気っていうのかな?

本郷功次郎や中村玉緒にも
同じようなものを感じるんだけどさ。


●ゆかさん
「雷様すてき…」ですか。いいですねえ(笑)。
男の私でもそうでしたから、もう女性は無理ないとおもいます……(笑)。

ありがとうございました。


■90分 日本 時代劇

監督: 三隅研次
製作: 永田雅一
企画: 松山英夫 南里金春
原作: 中里介山
脚本: 衣笠貞之助
撮影: 今井ひろし
美術: 内藤昭
編集: 菅沼完二
音楽: 斎藤一郎
助監督: 友枝稔議
出演
市川雷蔵 机龍之助
本郷功次郎 宇津木兵馬
中村玉緒 お豊
山本富士子 お松
近藤美恵子 お玉
見明凡太郎 七兵衛
三田登喜子 お杉
須賀不二男
藤原礼子
片山明彦
中村豊

時は幕末(安政5年)、江戸から西に三十里離れた甲州裏街道(青梅街道)の大菩薩峠で、一人の老巡礼が武士机竜之助に意味もなく斬殺される。老巡礼の孫娘お松は、通りがかった盗賊裏宿の七兵衛に助けられ、養育される。竜之助は、峠のふもとの武州沢井村の沢井道場の若師範であった。甲源一刀流の師範宇津木文之丞は御岳神社の奉納試合で竜之助と立ち会うことになっていたが、その内縁の妻お浜は妹と偽って竜之助を訪ね、試合に負けてくれと懇願する。竜之助は拒絶し、与八にかどわかさせて、お浜の操を犯してしまう。あげくに竜之助は試合で文之丞を惨殺し、お浜を連れて江戸へ出奔した。
文之丞の弟の兵馬は仇を討つべく竜之助の後を追う。四年後の江戸で竜之助と兵馬は互いの素性を知らずに試合を行い、引き分ける。翌年、兵馬から果し状を受け取った竜之助は、悪縁のお浜を諍いの末に切り捨て、兵馬との試合をすっぽかし、新選組に居場所を求めて京都へ向かう。しかし、竜之助は、近藤と芹沢の争いで揺れる新選組をよそに、遊郭の里島原で狂乱し、またも失踪する。
その後、三輪の宝蔵院流の槍術を伝えるという植田丹後守の道場に身を寄せた竜之助は心中者の生き残りで亡き妻お浜に生き写しのお豊に惹かれる。しかし、竜之助は成り行きで天誅組の変に参加し、十津川郷に敗走する途中、泊まっていた山小屋で追っ手の放った爆弾が爆発し失明してしまう。竜神村でお豊と再会した竜之助は、お豊と逃亡。竜之助の世話のために苦しい生活を強いられたお豊が自害したと間の山の芸人お君から聞かされた竜之助は東海道に旅立ち、山の娘たちに助けられ療養するが、ふとしたきっかけで甲府に赴き、夜毎に辻斬りを仕出かしだす。その後、竜之助は八幡村へ、江戸へと流れるが行き着く先で夜毎に辻斬りを仕出かしだし、慶応3年秋、白骨温泉に赴く。
小説は四散した登場人物全員の旅路を詳細に描いていく。数多の登場人物は慶応3年秋の日本各地をいつまでもいつまでも彷徨い続ける。

この記事へのコメント

ゆか
2009年01月15日 22:52
山崎さん、こんにちは。
私は雷蔵さんの「大菩薩峠」の3部作のうちの
1作目しか観てないのですが、
物語よりも何よりも、雷様にやられてしまいました。
もう何を見ても「雷様すてき…」
としか思えなくて、
あまり物語の内容を覚えてないです
あの影のある色気には逆らえません。
男性から見てもやはりすごい色気なんですね。

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  • 大菩薩峠 竜神の巻

    Excerpt: 1960年 日本 90分 監督:三隅研次 出演:市川雷蔵 本郷功次郎 中村玉緒 山本富士子 近藤美恵子 見明凡太郎 三田登喜子 須賀不二男 藤原礼子 中里介山が30年弱にわたって書.. Weblog: RE940の自作DVDラベル racked: 2011-01-31 21:40