小さな中国のお針子 (2002)

[198]二人は全財産をはたいてあのお針子を探しなさい……!



画像     世界的ベストセラーになったという
     ダイ・シージエの小説
      『バルザックと小さな中国のお針子』を

     ご本人が
     映画にしたっていう作品なんだけど、
     
     う~ん、
     どうなんだろうなあ……?


いや、途中まではすごく面白かったんだよね。

反革命分子の息子として
奥深い山間の村に再教育に送られた二人の若者が、
隣村の「お針子」という娘に恋をして、

禁止されてるバルザックや
デュマなどの西欧小説を入手してこっそり読んできかせたり、
「お針子」が妊娠してひそかに中絶したりするあたりまでは……。

ところが、その後、
物語が突然、飛んじゃうんだよね、数十年後に。
ひとりはパリで高名な音楽家に、
ひとりは中国でこれまた高名な医者になっててさ……。

で、その多感な青年期を過ごした山村が
ダム建設で埋没するってんで二人が再会し、
あの村や「お針子」のことを語るっていうふうに……。

え~っ?
これ、あの懐かしい村がダムに沈むって話だったの……?
だったら最初にその話しとけよ。
いくらなんでも話が飛びすぎだよ。

え~っ?
あのお針子、バルザックの小説で近代的自我に目覚めて、
おじいちゃんや二人を残して村を出たっていう話だったの?
中国版「人形の家」だったの……?

と、わかって
最後はちょっとシラけちゃったんだよねえ……。

ダイ・シージエ(在仏中国人)が、
自分の青年時代の体験をもとに綴った物語らしいんだけど、

なんか西欧近代万歳みたいな感じで終わっちゃってて、
「西欧近代なんて屁みたいなもんだよ」
「絶対でもなんでもないよ」なんて思ってる私からすると……(笑)、

なんだ、
この二人の若者とお針子の恋も、
ダム建設で村が沈む話も、
西欧小説に憧れた少女が家出する話も、
それこそ西欧小説によくある話じゃん。コピーじゃん。
西欧人が喜ぶはずだよ。

反革命分子の子供が
二人とも社会的に成功しちゃまずいんじゃないの?
行方も知れなくなったあのお針子どうしちゃうの?

いいよ、成功した二人の若者の青春時代の話なんて。
そんな話する暇があったら、
二人で全財産はたいてあのお針子探しなよ。

なんて思っちゃったんだよねえ……(笑)。

ただ、中国の山間の美しい自然と、
文字も読めない村人たちの暮らしと、
演じてる俳優さんたちはとってもいいです。

それを観るだけでも損はしないかも……?

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110分 フランス/中国 ドラマ/ロマンス/青春

監督: ダイ・シージエ
原作: ダイ・シージエ
『バルザックと小さな中国のお針子』早川書房刊
脚本: ダイ・シージエ ナディーヌ・ペロン
撮影: ジャン=マリー・ドルージュ

出演
ジョウ・シュン お針子
リィウ・イエ マー
チェン・クン ルオ
ツォン・チーチュン 仕立屋

文化革命の中国。反革分子の息子として、山村へ再教育に送られたマーとルオは、村長の厳しい監視のもとで肉体労働にあけくれていた。そこで2人は、村の仕立て屋の老人と、「お針子」と呼ばれる孫娘に出会う。美しいお針子に惹かれたルオは、彼女に禁書である西洋の本を読み聞かせた。ある日、ルオが父親の病気のためいったん町へ戻ることになる。この時お針子は、ルオの子を身ごもっていた。何とか中絶をしたお針子の心には、ある決心が生まれていた。
60年代から70年代、中国のプロレタリアが巻き起こした文化大革命は、その時代の青少年たちにも大きな影響を及ぼした。ブルジョア知識人と見なされた医者や弁護士たちの子供は、労働者による再教育として山深い村で肉体労働を課せられる。『小さな中国のお針子』は、手付かずの自然が残る山岳地帯へ再教育に送られた青年の、恋と友情の物語だ。
バルザック、デュマ、ロマン・ロラン、そしてモーツァルト…。西洋文化への憧れを背景に、ルオとマー、そして、村から出たこともなかったお針子が、新しい自分を見つけ出していく。監督のダイ・シージェは、本人も70年代初めに再教育に送られており、文革次世代として当時の雰囲気を鮮やかに映し出している。


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