シークレット・サンシャイン (2007)

[201]イ・チャンドンはこのシネという女をどう見ろって言うんだろう……?


画像     チョン・ドヨンが
     カンヌ国際映画祭主演女優賞を
     もらった映画で、

     監督はあの
     「ペパーミント・キャンディー」を
     撮ったイ・チャンドン!

     なんだけど、

う………ん、作品としてはもうひとつかなあ。
心に残らないんだよねえ。

チョン・ドヨンが主演賞とるのは全然構わないんだけど、
イ・チャンドンはもっとちゃんと撮れる監督だと思うんだけどなあ……。

こころに残らない理由はたぶんひとつ。

息子のジュンが誘拐されて殺されてしまうのは、
もとをただせば母親のシネ(チョン・ドヨン)が見栄をはって
さも金があるかのように振舞ってしまったからだし、

誘拐されたのも、自分はカラオケに行って
幼いジュンを家にひとり置いてしまったからなわけでしょう……?
つまり母親シネにもものすごい落ち度があるわけ。

普通の母親だったらまず
そういう自分をものすごく責めるだろうなあ、
悔やんでも悔やみきれないだろうなあって思うんだけど、
このシネという母親、
そこんところになると「……?」て感じなんだよねえ。

たしかに彼女、苦しさのあまり、神にすがる……。
キリスト教にすがるんだよね。

でも、おいおい、それって、
誘拐殺人犯の男を許すためだったのって展開に
なっちゃってるような気がするんだけど……。

自分が苦しいのは
なんの罪もないわが子を殺した男が憎いからだったの?
殺人犯の彼を許せなくて苦しんでたのって思えちゃうような……?

実際、シネは殺人犯の男に面会したあと、
教会にも行かなくなるんだよね。
自分が許す前に、あの男は神に許されてのうのうと刑務所で暮らしていた。
「許そう」と思った自分の気持ちはどこへ行けばいいのよ、
なんて不条理なのよ、と怒って……。

う~ん、
あのさ、神さまの問題はとりあえずいいからさ、
あんたももう少し自分を反省しないと……、
って、どうしてもそっちが気になっちゃうんだよねえ、
凡人の私としては。

みんな、違うのかなあ……?

それともイ・チャンドン、
このシネという女はたしかにどうしようもない女です、
でも神よ、こんなどうしようもない女にも陽光を……!
って言いたかったのかな……?

どっちにしろ、
彼女がなにをそんなに苦しんでいるのか、なにを怒っているのか、
もうひとつうまくこっちに伝わってこないんだよね。
そこがねえ、ちょっとさ……。

でも嫌いじゃないんだよね、こういう映画。
イ・チャンドンらしく、物語の窓口を大きく開かないで、
ひとりの人間に起こる出来事を、
いわば小品として創っていこうというその姿勢……、
絶対見習ったほうがいいよ。

まっ、好きだから
どうしても辛口にもなると思って許してください……(笑)。

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●チェブさん
ご安心ください。チェブさんは間違っておりません(笑)。
「最後に密陽の日差しがユラユラする映像」…。
イ・チャンドンはあそこへもって行きたかったのでしょうが、
珍しく?失敗しています。
「オアシス」の窓の日差しはうまく行ったんですけどね。
神の日差しを象徴させようとしているんだと思いますが、
そこへ着地させるように物語をきちんと構成できていないです。
心的にどうにも不安定な女を描こうとした点は評価したいんですけど、
敗因は、そのことと宗教(キリスト教)にたいする問題を
うまく関連づけることができなかったからだとおもいます。
正直、宗教にたいする見方が甘いです。なんて偉そうですが…(笑)。
あ、いつのまにか私、「先生」になってますが、「山崎」or「哲」で結構です。
昔々の話ですが、岸田秀さん(精神分析学)に「先生」って言ったら、
えらい剣幕で怒られました(笑)。
和光大学の先生だから「先生」って言っただけなんですけどね。
ちなみにその先生は、いまだに公演のたびに若い女子学生を連れて
観にきてくれます。とてもうれしいです……(笑)。

●fightさん
はじめまして。
「自分が犯人に諭してあげることで優越感とも言うべきものを
味わえると思っていたら愕然とした」…。
なるほどなあ。女性ならでは?の鋭い見方ですね。
シネという女性、たしかにそんなところがありますよね。
金があるように見せかけたり、田舎者の男なんて相手にしないよ、
みたいなところがあったり……、と、
ちょっと優越感に浸りたいみたいなところが……。

●てっせんさん
イ・チャンドン、もともと、密陽(ミリャン)というこの地名から
この映画を着想したのではないかと思われる節があります(笑)。
「接続」、ずっと観たいと思ってるのにもう置いてないですねえ。
チョン・ドヨン、ついに生まれましたか、
妊娠のニュースは知っていたのですが…(笑)。
彼女、とても頭のいいひとで、韓国映画界を斜めから見てるというか、
ちょっと距離をとって、冷ややかに? 普通に? 見てる
ような気がします。私なんかそういうとこにイカレます…(笑)。

●スクリーンさん
話せば長いこと。もう何十年も前のことですが、
師匠の唐十郎が私のことを「テツ」「テツ」と呼びはじめました。
以来、「ヤマザキ」と呼んでたひとたちも「テツ」と呼びはじめてくれて…。
話、長くなかったですね(笑)。
ありましたね、そういう園児の事件。
あの園児の母親と、このシネという母親、ほんと同じですよね。
イ・チャンドン、もしかしたら韓国にも
そういう女性が増えたといってこの映画撮ったのかもしれませんね。
いやあ、どうもそんな気がしますねえ…。
でないと、こういう思い入れのできない女を
描く必要がないんじゃないでしょうかねえ。

●チェブさん
ドヨンに負わざるをえない作品になっちゃってますね。
私も「キムチを売る女」の主人公をちょっと思い出しました。
とくに最後のほう、信者たちが祈りの集会をやっているとき、
盗んできた「ウソ、ウソ、みんなウソ」というCD(曲)を
裏から流すところです…。気に入ったのはあそこだけ?(笑)
でも「キムチ」と違って話の軸がよくわからないですよね。
で、結局、私の結論は、
イ・チャンドンは、他人には訳のわからないところで
「ヒステリックに怒ったり悲しんだり」するような、
韓国ではちょっと新しい女?を描きたかったんじゃないか
ということになっているのですが…(笑)。
そういう女性が韓国にも現われはじめたからというのか…。
だいたいこのシネという女、
なんで密陽(ミリャン)に行ったんでしょうねえ。
夫(おとうさん)の故郷に住みたかったなんて言ってますが、
私にはどうも死んだ夫にたいする恨みがあって、
復讐しに行ったんじゃないかとしか思えないんですけどね。
あるいはソウルにいられなくなって逃げてきたとか…。
息子が誘拐殺害されたって聞いた時も、一瞬、
「おい、おまえ、自分で殺ったんじゃないの?」
なんて疑いましたからね。いや、ずっと…?(笑)
しかしどうもこういう訳のわからない女を見ると、
俄然創作意欲が湧いてきて芝居でやってみたくなります。
困ったもんです。イ・チャンドンにしてやられてますかね…(笑)。

●tomotyan712さん
「キリスト教の信仰の実態が克明に描かれていて」…。
う~ん、どうなんでしょうね。無信仰の者から見た一面は
たしかによく描かれているかもしれませんが、
ちょっと表面的すぎるよなあと私は思って見ていたんですが…。
「オアシス」はたしかによかったですよね…。

●チェブさん
「行き場のない追い込まれた感情を全部息子への溺愛にかえて、
ミリャンという土地に安らぎを求めてやってきたのかなぁと」
チェブさんと私とだいたい同じ意見でよかったです。(笑)
しかし「オアシス」は絶対観なくてはいけません(笑)。
観ると、イ・チャンドンがシネという女を描いた理由がよくわかります?
「オアシス」の女主人公とシネはまったく対照的な女なんですよ。
身障者だけど心の健康な女、からだは健康なんだけど心が病んだ女…。
つまり心に障害をもつ女で、私がイ・チャンドンが好きなのもたぶん
そうした人間の様々な障害(人間の不完全性)を描こうとしてるからだと
思います…。

ありがとうございました。

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■142分 韓国 ドラマ/ロマンス

監督: イ・チャンドン
製作: イ・チャンドン
原作: イ・チョンジュン
脚本: イ・チャンドン
撮影: チョ・ヨンギュ
音楽: クリスチャン・バッソ

出演
チョン・ドヨン イ・シネ
ソン・ガンホ キム・ジョンチャン
チョ・ヨンジン パク・ドソプ
キム・ヨンジェ イ・ミンギ
ソン・ジョンヨプ ジュン
ソン・ミリム チョンア
キム・ミヒャン キム執事
イ・ユンヒ カン長老
キム・ジョンス シン社長
キム・ミギョン 洋品店の女主人

「スキャンダル」のチョン・ドヨンが渾身の演技でカンヌ国際映画祭主演女優賞に輝いた感動の人生ドラマ。最愛の息子を失い、理不尽な運命に打ちのめされたヒロインの魂の彷徨と再生への道のりを、抑えたタッチで丁寧に綴ってゆく。心の救済を宗教に求めるヒロインを、愚直ながらも温かな優しさで見守り続ける不器用な男を「グエムル -漢江の怪物-」のソン・ガンホが好演。監督は「オアシス」のイ・チャンドン。
シングルマザーのシネは、幼い息子ジュンと2人で、亡き夫の故郷・密陽(ミリャン)に引っ越し再出発を誓う。地元の小さな自動車修理工場の社長ジョンチャンは、そんなシネと出会い心惹かれる。何かと世話を焼いてはシネの気を惹こうとするジョンチャンだったが、今も夫を心から愛しているシネは、彼を俗物男と評して冷ややかな対応。そしてようやく新生活も落ち着きを見せ始めたとき、思いもよらぬ悲劇が彼女を襲う。息子のジュンが誘拐され、全財産を身代金として渡したものの、結局ジュンは遺体となって発見されたのだった。絶望の末に、薬局の女主人に勧められたキリスト教への入信を決断するシネだったが…。



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この記事へのコメント

チェブ
2009年01月24日 08:16
先生おはようございます

実を申しますと、あまり いいなぁとは思わなかったんですね なんだか物語の展開にもついていけないし、この「密陽」という タイトルは好きなんだけど それと物語があってない感じもするし・・・。
チョン・ドヨンは相変わらず上手いし、ソン・ガンホは、あーこれぞガンホってくらいに直球だし(笑)
先生のおっしゃる、小品として創る・・そうみれば、あぁそうなのかと。ただ最後に密陽の日差しがユラユラする映像・・あそこは好きでした
でもこの作品を観た方々が口々に「よかった」とおっしゃるので、もう一回観てみようかなーと、思っていたところでした
fight
2009年01月24日 18:47
山崎先生、こんにちは。初めまして。
先生が、イ・ビョンホンさんにご興味がおありということで、このお部屋を覗かせていただくようになりました。宜しくお願いします。
この映画は、昨夏に映画館で鑑賞して、細かいところは記憶も薄れかかっていますが、母親シネの行動は印象深く残っています。後味物足りなかったですが。
シネがキリスト教に傾倒していくところの内容は理解でき、パッと信心しなくなるところも、自分なりになるほどと感じ入りました。
先生のご感想に、シネが許す前に、あの男が神に許されてのうのうと刑務所で暮らしていたことに、「許そう」と思ったシネの自分の気持ちはどこへ行けばいいのよ、なんて不条理なのよ、と怒って……。と、感じ取られたことに、そうなんだと、先生も同じように思われたんだと。
映画を鑑賞してから、強く感じたことが一つあります。自分が諭す前に、先に、犯人は!この時間的タイミングにシネは怒り、自分が犯人に諭してあげることで優越感とも言うべきものを味わえると思っていたら愕然としたという感じでしょうか。
「悔しい!」という、女性の隠れた怖さかしら・・・ですね。(笑)



てっせん
2009年01月24日 21:26
この映画は未見ですが、「密陽」と書いてミリャンと読む、その字面も響きもいいですね。昔から好きな地名でした。いいタイトルだなあと思います。

主演のチョン・ドヨンのことですが、本日、無事女児を出産したというニュースが出ていました(笑)。
初めて彼女を見たのは、十年ほど前、NHKの衛星放送でハン・ソッキュと共演の「接続」が放映された時でした。通信販売会社の電話オペレーターの役でしたが、それまでの韓国女優とは一味違った新鮮な感じを受けたのを覚えています。
現代の生活感覚にぴったりとマッチした女性像を等身大で演じられる女優が、私が見た範囲では、韓国映画界に初めて出現したといいますか・・・。
スクリーン
2009年01月25日 02:35
山崎様 こんばんは

哲さん。。。そう呼ばせて良いのでしょうか 以前 劇団の舞台 拝見させていただいた時に、受付の学生さん(?)が 哲さん。。。へ とか仰っていたのを 聞き。とてもほのぼのとして感じました。きっと みなさんから 慕われていらっしゃるのですね。「哲さん」とても素敵な響きです。私も名前だけで呼ばれるの好きです。
 さて本題へ。。。私も正直この作品 あまり感動しませんでした。理由は、子を死に追いやったのはこのシネだと思うからです。母親が子を守らないで、どうする。勿論 犯人は悪い。でも自己の反省はあまり描かれてないですよね。。。
 続く
スクリーン
2009年01月25日 02:36
続き
以前こんな記事 当園バスを待っている集団から、子供が路上に飛び出し 車に轢かれ死亡。。。勿論 子供の死は痛ましいけど、轢いた方も(あえて方と表現したい。犯人ではなく)一生を台無し。 この時の母親は何をしてたか?!他のママさんとおしゃべりに夢中。。子供が飛び出したことなど、眼中になし。こんな事件、事故たくさんあるような気がします。これとダブったかな。。話題作ではあったけど、ドヨンさんは好きだけど、この作品に感動はあまり無かったです。
チェブ
2009年01月25日 07:40
山崎さん 、私間違えていないですか(笑)
さてシネですが、彼女は夫の故郷にある程度の期待を持って行くわけですよね。ところがそこは自分たちを暖かく迎えるどころか 自分はどうにも 浮いた存在になってしまってる。そこでなんとか馴染もうとカラオケにいった その努力は認める(笑) そして息子が亡くなって神にすがるも、神様は自分も犯人も同等に扱うと知るやいなやさっさと宗教を捨ててしまう→えっ宗教ってそういうものですかと突っ込みたくもなり(韓国の街のあちこちにある教会の数を考えると複雑な気持ちにもなって)・・とにかくどこに話の軸があるかわからないというか。自分が不在の間に息子が亡くなって プッツーン!と切れる、ちょっと「キムチを売る女」を思い出しましたが、あちらは〔理由〕がわかります。シネという人物、ヒステリックに怒ったり悲しんだり、この役はドヨンでなかったらどうなってしまったのだろうとさえ思ってしまいました ミリャンの暖かい陽の光=ガンホ演じる修理屋さんなのねーと無理やり納得(笑)
tomotyan712
2009年01月25日 18:32
山崎先生 こんばんは
この監督はあの「オアシス」の監督のイ・チャンドンでしたね。
一人の女性を追って・・執拗にというところは似ていましたが、「オアシス」は素直に感動できましたが、私も「蜜陽」はテーマが、すっきり分かりませんでした。キリスト教の信仰の実態が克明に描かれていて、そこが特に印象に残りました。シネは犯人を許そうと思っていたところ、犯人は、もう、神に許されていたことへの神への不信感。やるせない憤り。シネはキリスト教への信仰が深かっただけに心に深い傷が残ったのでしょうね。ここをいいたかったのかな?
「オアシス」は、テーマが、はっきりし、展開も結末に向かって、すっきりと分かるものでした。ムンソリさんの脳性まひになりきった迫真の演技、圧巻でした。感動が深く残りました。2002年ヴェネチア国際映画祭で監督賞と新人賞(ムン・ソリ)を受賞したと聞いています。ムンソりさんは、女優になって日が浅いのに監督の指導の下、役になりきるための筆舌に尽くせないご苦労を聞いています。鬼気迫る演技、対するソルギョングさんも遜色のないものでした。


チェブ
2009年01月26日 14:56
山崎さんこんにちは
私も やはりシネがソウルで何かあって、終われるように出てきたと思うのです
そして息子を殺したのも実はシネなんじゃないかと(どうしても秋田の事件が頭に浮かびますよね)

行き場のない追い込まれた感情を全部息子への溺愛にかえて、ミリャンという土地に安らぎを求めてやってきたのかなぁと

でもそのあたりの(ミリャンにきた)原因がボンヤリしてるので、そのあとの激情型の彼女が浮いちゃうというか。
最後の日差しがなんともよい映像になっているだけに、残念だなぁと。
「オアシス」観てみますね

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