気まぐれな唇 (2002)

[213]ホン・サンス監督、ちょっと真面目に撮りすぎてないかな…?


画像     困ったよなあ。
     ものすごく困った…。

     この映画については
     まだ書いてないんだけどさ、

     てっせんさんに、
     「誰がなんと言おうと
     私はこの映画が好きだ!」って、

先にコメント頂いてちゃっててさ、「秘花」のところで…。

う~ん、困った、困った、困った。
てっせんさん、私の韓国映画のお師匠さんだし、
面白くないよお、なんて言うわけにもいかないしなあ…。

あ、しまった、もう言っちゃってる…!
どうしよう……。
………………………。

しょうがないよねえ、うそつけない人間だもん。
また佐野に言われるだろうな。
哲ちゃん、ホントのこと言っちゃうから嫌われるんだよって…。

チェッ、なんだよ、佐野だってそうなくせに…。(笑)

この作品、
「秘花」撮ったホン・サンスの作品で、
「秘花」より観ていられるかなあとは思うけど、

かれのやること(演出意図)が全部見えちゃうんだよねえ。
もう逐一わかっちゃうの。
柄本明の芝居みたい…。(笑)

わかっちゃうと面白くないでしょう。だから…。

キム・ギドクが面白いのは、言ったけど、
わかるようでよくわかんないからなんだよね…。

そりゃあ、たとえば
「スーパースター☆カム・サヨン」だってわかるよ。
もう全部、逐一わかる…。

でも、この映画と違ってあの作品の場合は、
「ほら、みんなわかるよね。隅から隅までわかるよね。
うん、おれらもわかる。隅から隅までわかる」
って言いながら創ってるんだよね。

そういう意味では、創り手たちは
すでにわかっていることを「わざとやってみせている」の。
もちろん観てるほうもそれをわかりながら観てる。
だからいいの、それはそれでいいの、面白いの、笑えるの。
別に芸術やろうとしてるわけじゃないんだし…。

そこがちょっと違うのよねえ…。

人物のことで言うと、
主人公のギョンス、どうしようもないバカだと思うの。

バカというのは、かれが田舎ダンサーのミョンスクや、
人妻ソニョンの「生きている場所」が…、
人間の唇なんて所詮気まぐれなんだよ、
おまえだってそうなんだよ、ってことが全然わかってないから…。

わかってたら、
「あ、オレってバカだよな。どうしようもねえ男だよな」って
自分で自分を笑っちゃうだろうし、

観てるほうも、
「あ、こいつ、どうしようもないバカだよな」
って笑えると思うんだけど、

このギョンスって男、自分で自分を笑わないし、
観てるこっちも全然笑えないんだよね、
ただ苦笑するだけで…。

ミョンスクやソニョンはまだ笑えるんだけどね、
自分がやりたいことをやってるし、気まぐれ丸出しだし。
でも肝心のギョンスが全然笑えない…。

笑えるはずの物語なのに、全然笑えないのは
そこに人間や世界にたいする批評性がないから…。
「秘花」の場合もまったく同じなんだけどね…。

ギョンスくん、君は俳優なんだからもっと想像力ないと。
そんなことだから仕事もらえないんだよ。

その程度のことでおセンチになる暇があるんだったら、
はやく帰って芝居の稽古に励みなよ。
芝居は面白いよお。芝居の面白さに気づかないとお、
なんて言いたくなっちゃう…。(笑)

「LIES/嘘 」(1999)がまだいいのは、
ゲラゲラ声にしてこそ笑いやしないけど、
創り手のつよい批評性が確実に埋め込まれてるから…。

ホン・サンスにすると、
ギョンスが自分や生活を生きている彼女たちの場所から、
現実という場所から
外れてしまってる男を描きたかったんだろうけどさ…。

なんで笑える話が笑えなくなるんだろう?
ばかばかしいけどいいよね、みたいにならないんだろう?
所詮その程度の話なのに…。
そして所詮その程度の話でいいのに…。
それが人間なのに…。

それができたらけっこういい映画になったのかもしれないのに…。

一言でいうと、
ホン・サンスという監督が真面目すぎるからじゃないの…?
「秘花」でもそう思ったけど…。

真面目ってのは
表現者にとってはいちばんマズイことだと思うよ。

こういうの、
思い切ってギャグ映画にしちゃう勇気がないとね…。(笑)


しかし、てっせんさん、
ソニョンみたな人妻がめちゃ好きなんだろうなあ。
「ピーターパンの公式」に出てくる隣の奥さんみたいなひととか、
あの味も素っ気もないホテルのベッドとか…。

まあ、わたしも嫌いじゃないけどさ…。(笑)


●てっせんさん
一盗・二婢・三妓に無意識に憧れていた…(笑)。
はい。いままでの女優にかんするコメントを総合すると、なんとなく…。
まあ、わたしも似たようなもんですが…(笑)。
「昔々、旅をしてすっかり好きになった慶州の路地と
そこを吹き抜ける風を、よくぞ映画に撮ってくれた」…。
はい、そういうことではないのかなあと内心では…(笑)。
あえて書きませんでしたが、この映画の風景は私もすごく好きです。
路地をひっくるめて風景や町に「空隙」を感じるからです。
その空隙に他人のわたしでもすっと入っていけるような感じが
するんですよね。しかし、てっせんさん、そうとう韓国の旅を…。
うらやましいです…。
今回はわたしの方が勝手に外れているだけなので、今後ともご指導の
ほどを…。だいたい当たりハズレで言ったら、私なんか
相当ひどいんじゃないかと自分でも思ってます。
ですから、あれ見ろ、これ見ろと、もうバンバンおっしゃってください。
わたしは本気で師匠に身預けちゃってるんですから、
そこのところお忘れなく…(笑)。

●てっせんさん
白仁天事件、もちろんよく憶えています。
なるほどなあ。姦通罪、いまも残ってるんですか。
映画を見ていると、もうないものとして見ておりました。
まあ、根っこが儒教だから
性的関係には厳しい国なんだろうなくらいに思っていただけで…。
ちなみにソウル滞在中の座員岩川藍の話によると、
未婚者でも女性はたいへん固くて、韓国では緩い日本人女性は
おおもてなんだと言っておりましたが…(笑)。
しかし、なんですねえ。姦通は市中引き回しのうえ磔断首!
くらいのほうが、人間の色気のためにはいいのかも…(笑)。
性的に奔放になったのはいいが、反比例するかのように
色気のある日本人はもはやほとんど絶滅寸前ですものねえ。
いやあ、人妻に恋するてっせんさんのお気持ち察します(笑)。
以後、気をつけて観ます…!

●てっせんさん
有名タレントの女性が姦通罪で旦那に訴えられた…!
いやあ、すごくいい話というと怒られそうですが、
なんかとてもいいドラマが書けそうな気分です。
逆バージョンより全然色気のある話なので…(笑)。
いずれにしろ性にはちょっと禁忌(タブー)がないとやっぱり
まずいですよね。破る快楽もなくなっちゃいますから…。

ありがとうございました。
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■115分 韓国 ロマンス/コメディ

監督: ホン・サンス
製作: イ・ハンナ
製作総指揮: アン・ビョンジュ チェ・インジ
脚本: ホン・サンス
撮影: チェ・ヨンテク
音楽: ウォン・イル

出演
キム・サンギョン ギョンス
チュ・サンミ ソニョン
イェ・ジウォン ミョンスク
キム・ハクソン ソンウ

「豚が井戸に落ちた日」のホン・サンス監督が、男女3人が織りなす恋愛模様を通して、男と女の内面心理を巧みに描き出したラブ・ストーリー。旅先で対照的な2人の女性と恋に落ち翻弄される一人の男の、どことなく滑稽で哀愁に満ちた姿を、即興的演出でユーモラスかつリアルに綴っていく。主演は新人キム・サンギョン。2人の共演女優、チュ・サンミとイェ・ジウォンが大胆なベッドシーンを披露し話題に。
演劇界では多少名の知れた俳優ギョンス。ところが、出演した映画が失敗に終わり、次回作の話もご破算となって少々腐り気味。そんなある日、先輩のソンウから誘いの電話を受け、彼の住む街へ気晴らしの旅に出た。彼はそこで、グラマーな美人ダンサー、ミョンスクと出会い、意気投合した2人はそのまま一夜を共に。しかし、ミョンスクの熱烈な愛情表現に鬱陶しさを感じるギョンス。秘かに彼女に想いを寄せていたソンウとも気まずい関係に。仕方なく早々に街を後にし、故郷プサンへ向かうことにしたギョンスは、その電車の中でソニョンという女性と出会う…。


この記事へのコメント

てっせん
2009年01月31日 21:58
いやあ、弱りきりました(笑)。一盗・二婢・三妓~という言葉もありますように、無意識のうちに憧れていたようですねえ(笑)。

さて、ホン・サンスについては、もう、全面的に山崎さんの仰るとおりで、白旗です(笑)。言い訳めきますが、私には路地への偏愛があることと、もう一つ、映画で自然の風を捉えたシーンがあると、それだけで魂を奪われちゃうところがあるんですねえ。この映画でも、昔々、旅をしてすっかり好きになった慶州の路地とそこを吹き抜ける風を、よくぞ映画に撮ってくれたということがあって、それがこの作品を好きな最大の理由にしています。

それで何度もしつこく(笑)、オススメしちまうハメになり、山崎さんを大変困らせて申し訳アリマセンでした。まあ、恥ずかしながら師匠だなどとおだてられて木に登りかかった豚が、乱心して井戸に落下ということで、どうかお見逃しのほどを・・・。

批評の場では、どんなにはっきりとモノを言っても、それで嫌うなんてことはナンセンスと信じていますので、私が申し上げるのも僭越ながら、これからもビシバシやって下さるようお願い致します(笑)。

ありがとうございました。
てっせん
2009年02月01日 23:05
いつもながらの、寛容かつ過分なお言葉、ありがとうございます。

さっそく、調子に乗らせていただき・・・。
人妻好み(笑)ということからアレコレ連想して思い出したのですが、韓国には姦通罪というものがあるんですね。かつて、東映フライヤーズの暴れん坊として鳴らした白仁天が、韓国に帰って何年か後、姦通罪で逮捕起訴されたというニュースが入ってきて、ビックリした覚えがあります。

親告罪で、男女ともに適用されるらしいんですが、この刑法が一般の韓国人の生活にどのくらいの重みがあるものなのか、日本からではちょっと測りにくいですねえ。未成年の飲酒喫煙なんぞよりはもちろんぜんぜん重そうだけど、大麻よりは軽いかもしれないとか・・・。

で、韓国映画を観る場合、それが人妻との交渉を扱ったものならば、もしかしたらこの刑法の存在を頭の片隅にでもちょこっと入れておいた方がいいのかも、と思った次第なのです。
失礼しました。
てっせん
2009年02月02日 23:27
今晩は
韓国の姦通罪、昨夜はあのように書いたものの、映画には殆どその影が感じられないので、気になってちょっと調べてみました。

すると早速、オク・ソリという有名タレントが夫から訴えられ、昨12月に懲役8ヵ月執行猶予2年の有罪判決が出たという記事がでてきました。浮気相手の男も有罪判決で、この刑法、いまだに健在のようです(笑)。ちなみにこのオク・ソリ、クァク・ジェヨンの監督デビュー作「雨降る日の水彩画」で主演を務めているそうです。観たいですねえ。

で、夫から訴えられていたオク・ソリは、当初、憲法裁判所というところに姦通罪は違憲であると訴え返したそうなんですが、10月に合憲の判決が出ていたそうです。ただ、九人の裁判官中五人が違憲判断を下したものの、違憲決定にはなんと六人の同意が必要なため、姦通罪はかろうじて目出度く(笑)、存続となったようです。しかし、この流れからすると、この刑法も風前の灯火のようで、いずれ韓国からも色気が絶滅するでしょうねえ。

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