続・夕陽のガンマン (1966)

[221]この最高峰のマカロニウェスタンを観ずして「奴奴奴」を語るなかれ……?


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で、出たあ、「奴奴奴」の本歌っ…!(笑)

いやあ、ジャケット観てるだけでいいよねえ。
どう、この三人のすばらしき面構え…?
おいら、うっとりだぜ…(笑)。

ん…?
おい、主役はイーライ・ウォラックなのに、
なんであんな隅っこに座らされてるわけ? かわいそうに…。

ほんと、殺したくなるよね、
映画を愛してないひとがジャケット創ったりすると…(怒)。


これぞマカロニ・ウェスタンの最高傑作…!

黒澤明の「用心棒」から「荒野の用心棒」が生まれ、
「隠し砦の三悪人」からこの「続・夕陽のガンマン」が生まれた。
と私は思ってるんだけどね…。

マカロニ・ウェスタンの真骨頂はいうまでもなく「剽窃(盗作)」だよね(笑)。
アメリカの西部劇を剽窃し、臆面もなく黒澤明を剽窃する…。
そして韓国のキム・ジウンが「続・夕陽のガンマン」を剽窃し、
「良い奴、悪い奴、変な奴」を創る…。

いいなあ、この剽窃ウェーブ=波…。(笑)

黒澤さんは「荒野の用心棒」は「用心棒」の盗作だと非難したけど、
そして裁判にも勝ったけど、

セルジオ・レオーネが言ったように、
黒澤さんの「用心棒」だって「血の収穫」の剽窃なんだよね。
黒澤さん本人も、
「『血の収穫』だけじゃなくて、本当はクレジットにきちんと名前を
出さないといけないぐらいダシール・メット(のアイデア)を使ってる」
って認めてるわけで…。

セルジオ・レオーネも黒澤の「用心棒」に大感動して、
スタッフ連中と何十回も観て、研究して、セリフまで書き写して、
それでようやく「荒野の用心棒」を創ったわけで…。
つまり黒澤さんと同じことをやったんだよね。

だからレオーネはもしかしたら
本家本元の黒澤さんに「誉められるかも…」って
内心期待してたんじゃないかって思うんだけどさ、
まあ、かわいそうに盗作騒ぎになっちゃて…(笑)。

いまさら言っても遅いけどさ、
私の判定は、絶対、セルジオ・レオーネのKO勝ちっ…!(笑)

近代になってオリジナル信仰が生まれたよね。
その信仰は近代人の主題である「個人の確立」と連動してるんだけど、
そんなん近代人の大いなる錯覚よ、
なんて私はちょっと小ばかにしちゃってるんだよね…(笑)。

自分の考え(=ことば)や感じかたは
自分のものだと思っているひとがいるけど、そんなのとんでもなくてさ。

もともともうほとんどが他人(人類)のものなんだよね(笑)。
他人(人類)が与えてくれたものを時間かけて消化して、
自分のものにしていってるだけでさ。

また自分のものにしたといっても、
他人のものと繋がってることは疑えないわけでさ。
だからこそまた他人と何事かを共有したり、
他人と共生できたりするんだよね、人間は。

そして人間にはそれがいちばん大事なことでしょう?
他人が創ったものを共有できること。
自分が作ったものを他人が共有してくれること。
でなきゃ人間はバラバラになって滅ぶしかないじゃん、ねえ…(笑)。

だから黒澤さんもセルジオ・レオーネが
自分が創った物語を共有してくれたことを喜ぶべきであって…(笑)、
これはおれのもの、これはあいつのもの、なんて
つまんないことにこだわらないほうがいいと思うんだけどさ。

あ、すいませんねえ、私ごときが
世界のクロサワに意見しちゃったりして…(謝)。

でも私の考えはゼッタイ間違ってないと思うよ。
いいものはお互いに剽窃しまくって、
よりいい作品を創っていくことがいちばんなんだよ。

実際、優れた芸術家ほどそうやってきたんだって思わない…?


セルジオ・レオーネの「狂」がつくファンなもんだから
ずいぶん前置きが長くなっちゃったけど(笑)、

この映画で私がまず痺れたのは、
「悪い奴」のリー・ヴァン・クリーフがはじめて登場するところなの。

男が家の入口にひとの気配を感じて目をやる。
と、向こうの入口に黒い影の男(悪い奴)が立っている。
背後はまばゆいばかりの白昼…。

妻と子供が危険を察して、二階へ避難する。

やがてリー・ヴァン・クリーフがコツコツとこっちに近づいてきて、
男が座っているテーブリに座り、スプーンを取り、
男と同じように、男が摂っていた食事を自分の口に運ぶ…。

この間、男から一切目をそらさず、しかも無言…。
イタリア独特の石造りの室内。乾いた空気。外は白昼。

えっ…………? 
なっ、なんなのよ、この男のただならぬ気配…。
人間的な心を一切排したかのような、この殺気…。
この家の男、完璧に殺されるぜっ!
って感じ…?

いやあ、いま観ても、何回観ても、ものすごく衝撃的なんだよね。
いわゆる西部劇ってやつは、どんなに極悪非道な奴を描こうと、
どこかヒューマンの面影を残してたもんだけど、

こいつは…、この「悪い奴(リー・ヴァン・クリーフ)」は
それこそそんなもん微塵も感じさせないからだと思うけどさ…。


私がマカロニウェスタンについて喋りはじめると
朝になっちゃうので早々に切り上げるけど(笑)、
もう一個は、ラスト…、

テュコ(イーライ・ウォラック)が、
ようやく辿りついた、宝の埋められた墓場を走りまわるシーン。

映画史上に燦然と輝く名場面なんだけどね。
何千という兵士の十字架が建っている丘の上の墓場を、
テュコが歓喜の表情で走りまわり、
それをカメラがアップでずーっと撮りつづけるのよ。

いや、それがホント、筆舌に尽くし難いほどすばらしい映像なの。
ジョージ・ルーカスも、この場面観て
映画の編集の勉強に励んだって言ってるんだけどさ…。

おまけにこの時の
エンニオ・モリコーネの音楽がまたたまんないのよ…!


繰り返すけど、
そこは南北戦争で死んでいった
何千という兵士たちの十字架の建ってる墓場…。
しかも宝が埋められているのはなんと「無名兵士」の墓の下…。
宝にたどり着いて狂喜するテュコ(イーライ・ウォラック)…。

剽窃の監督セルジオ・レオーネのこの批評性、
もう只者とは思えないでしょう…?

観るっきゃない、これぞ映画っ…!


あ、若いひとは知らないだろうけど、
イタリア産西部劇を「マカロニウェスタン」と呼びはじめたのは、
じつはあの淀川長治さんなんだよね、私の大好きだった…。

アメリカやイタリアでは
スパゲッティ・ウェスタンて呼ばれてたんだけど、
淀川さんが「それじゃ細くて貧弱そうだ」ってんで、
マカロニウェンタンって呼びはじめたんだよ…。

淀川さんもほんと只者じゃなかったよ。

では、続きはまた別のマカロニで、ということで…。

久しぶりに私ひとりで興奮しちゃったなあ…(笑)。

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●ひまわりの種さん
そうですか、旦那さんもリー・ヴァン・クリーフの面構えがいいと…!
嬉しいです。ぜひお礼をお伝えください(笑)。
しかし痛いところ突かれました。弱点はたしかに長すぎるとこです(笑)。
砂漠のシーン、もちょっとカットしろよなんて私も…(笑)。
まあ、意気込みの表れとお許しくださればありがたいです(笑)。

●tomotyan712さん
はい、またのコメントをお待ちしております…。

●てっせんさん
朝にコメントいただいてありがとうございます(笑)。
てっせんさんにリー・ヴァン・クリーフ誉めていただいて超嬉しいです。
たしかに鷲鼻、菅原謙二に似てますね。この手の顔、
私、好きなのかもしれません。女性も含めて…(笑)。
「剽窃のすすめ」、いいタイトルですねえ。
寺山さんがお書きになるとより欲情的になったような気がします(笑)。

ありがとうございました。

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155分 イタリア 西部劇

監督: セルジオ・レオーネ
製作: アルベルト・グリマルディ
脚本: ルチアーノ・ヴィンチェンツォーニ
フリオ・スカルペッリ セルジオ・レオーネ
撮影: トニーノ・デリ・コリ
音楽: エンニオ・モリコーネ

出演
クリント・イーストウッド ジョー
リー・ヴァン・クリーフ セテンサ
イーライ・ウォラック テュコ
チェロ・アロンゾ
マリオ・ブレガ
ルイジ・ピスティッリ

コンビを組んでお尋ね者の懸賞金をだまし取っていたジョーとテュコ。二人はある日、逃走中の強奪犯から、20万ドルもの大金を奪う。だがその金をねらって、セテンサという凄腕のガンマンがやってきた……。三人の男たちの、虚虚実実の駆け引きをユーモラスに描いた痛快ウェスタン。騙しだまされ合いながら、コンビを組むC・イーストウッドとE・ウォラックの絶妙の台詞回しがおもしろい。オリジナルは170分。

この記事へのコメント

ひまわりの種
2009年02月07日 12:04
今日は。
先日レンタルDVDで何回目かを観たばかりです。
確かにあのジャケット微妙に良かったです。
そうですか淀川さんの命名ですか、素敵な方。

リー・ヴァン・クリーフの姿勢のよさ、南軍兵の
収容所で群集の中を歩くシーンなど見事ですね。
丁度これを観ている時在宅していた夫も”いい面構え
してる”と言ってました。 2時間半はちょっと長く
目ぼしいシーン観終えたらTV前から離れましたが。

イーストウッドはブルージーンズ着用ですよね、背景
がいかにもイタリアなのに又その姿が妙にマッチして
います。

どうしても本家にはこだわりたくなりますが、まあ
進化して行く分には余り窮屈に考えなくても良いと
は思います。 何せエンターテインメントの世界
なのですから。
tomotyan712
2009年02月07日 13:56
山崎先生
「良い奴、悪い奴、変な奴」と先輩の 「続・夕陽のガンマン (1966)」 を比べる楽しさ・・・を教えてくださって、ありがとうございます。また「続・夕陽、のガンマン (1966)」を見た後、また、こちらを訪問したいと思います。
てっせん
2009年02月08日 09:49
おはようございます。
リー・ヴァン・クリーフ、最高です。埃っぽい男の色気をただよわせて絶品。これぞ、美しき悪役のお手本ですね。
どこか、山崎さんがお好きだった菅原謙二に似ていませんか、特に鼻が・・・(笑)。

「剽窃ウェーブ」・・いい言葉ですね(笑)。
寺山修司も、デビューの頃盗作騒ぎで、ずいぶん悩まされたようですね。日本には古来より「本歌取り」という麗しき伝統がありますのにねえ・・・。
「剽窃のすすめ」というような本があってもしかるべきなのに・・・(笑)。

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