キリマンジャロ (2000)

[268]これぞ韓国版アメリカン・ニュー・シネマ……?


画像     監督が「八月のクリスマス」を書いた
     オ・スンウク。

     脚本が「八月のクリスマス」の監督だった
     ホ・ジノと、オ・スンウク。

     出演が、パク・シニャンとアン・ソンギ。

     あ、これは観なくちゃと思って観たんだけど、

いやあ、なかなかいい映画だったなあ。
「八月のクリスマス」にはまあ及ばなかったけど…。

物語がちょっと変わってる…?

ヘシクとヘチョルという双子の兄弟がいる。
どっちもパク・シニャンが演じてるんだけど、
兄ヘシクは大学出の刑事で、弟ヘチョルは高卒のヤクザ。

ある日、弟ヘチョルが兄ヘシクに会い、
子どもが病気で金がないので、金を貸してくれと頼む。

弟が嫌いな兄が断ると、
弟ヘチョルは、「こんな頼み今までしたことあるか?
お前を大学に行かせるために、
俺と母さんがどれほど苦労したか知ってるのか?」
と怨む…。

後日、
兄が事件の容疑者となった弟を部屋に訪ねる…?
と、弟ヘチョルは兄の銃を奪って、
幼い息子と娘を撃ち殺し、自分も自殺する…。

映画はここから始まるんだけど、
兄ヘシクはそのことで刑事を首になり、
弟の遺骨を抱いて、故郷のチュムンジン(注文津)へ帰る。

と、ヘチョルと間違われ、
地元のヤクザ・チョンドゥ(キム・スンチョル)一派に捕まり、
拷問を受ける。

そこへ弟ヘチョルの
昔の兄貴分であるポンゲ(アン・ソンギ)が現われ、
ヘシクをヘチョルと勘違いし、仲間たちと借金をしてまで手に入れた
刺身屋の権利をチョンドゥに渡し、助ける。

弟と間違われたヘシクはそのままヘチョルになりすまし、
ボンゲや、その弟分のキム元中佐や伝道師らと付き合い、
日々を過ごす…。

兄ヘシクだと言わないのはたぶん、
弟ヘチョルが故郷で彼らとどんな日々を過ごしていたのか、
知りたかったから…。

ヘチョルの妻だった女ヨンランにも会うが、
彼女もヘシクをヘチョルと間違い、
あんたがここを去ってからはボンゲに助けられ、
いまは彼の妻だ、子もいる、と恨みごとを言う。

寝たきりになっている母親もヘチョルと間違い、
自分にはもうじき迎えが来ると伝える…。

つまり、この町で一緒に暮らした
ヘチョルのことはみんな覚えているんだけど、
ソウルに行ってしまった兄ヘシクのことは覚えてないんだよね…。

やがて刺身屋をぶんどったチョンドゥが新装開店する。
ボンゲ、ヘシク、キム元中佐、伝道師が
酔った勢いでその様子を見に行く。

その帰り、チョンドゥが買った新車をボコボコにするが、
家に乗り込まれ、四人とヨンランは縛りあげられる。

チョンドゥはボンゲらに、
おまえたちはこいつをヘチョルだと思っているようだが、
兄のヘシクだと告げる…。

ボンゲは、
もうおまえたちの前には姿を現さない、
キム元中佐が持っている宝ものもやるから放してくれ、
とチョンドゥに懇願する。

キム元中佐が指示する天井を舎弟が開けると、
かれがこっそり収集してきた銃器が床に落ちてきて、
奪い合いになり…、

マシンガンを手にした元中佐が結局、
狂ったように
チョンドゥ一派ばかりかヨンランやボンゲまで射殺してしまう…。

まだ息のあるボンゲがヘシクに、
「お前をこんな風にしたのは俺だ、すまない。
あのとき俺は仮出所中だった。
捕まったら一生刑務所暮らしだと思って…、許してくれ」
みたいな話をする…。

それ以上は語られないのだが、
それで弟分のヘチョルが自ら罪をかぶって出た、ということだろう。

自殺する前に嫌疑をかけられた事件のときも、
ヘチョルの弟分のクァンハンが「俺がやったんだ」と言っていたけど、
そのときもヘチョルが罪をかぶった…?

最後、
ヘシクは瀕死のポンゲを抱えて雪山の中を逃走するが、
結局、息絶え、
ヘシクも追ってきた警官たちに射殺されてしまう…。

整理して書くと、
まとまりのある、わかりやすい話みたいに思えるけど、
実際はちょっと違ってて…、

ヘシクが故郷に帰って、弟に間違われて、
ポンゲや元中佐、ニセ伝道師?ら、
社会の底辺を這いずり回るように生きている連中と、
なんとなく日々を過ごす…、
その様子を淡々と描いてるだけと思ったほうがいいかな…?

中佐だとか伝道師だとか言ってないと、
いま自分がこの社会のどこで生きているのか
よくわからないって言うのかな…、

そんな連中との日々の中で、
兄ヘシクが弟ヘチョルの心を理解していくみたいな…。

ヘチョルと連中との関係も
そんなにわかるように書いてあるわけじゃなくてね…。

まあ、たけしの「ソナチネ」みたいな作風に近いんだけど、
たけし作品のような虚無感はなくて、
まだ人間にたいする信頼感が壊れてなくて、
それが底辺に叙情として流れてるよね…。

そのへんはどっちかって言うと、
アメリカン・ニュー・シネマに近いかな…?

くどくど説明しないで、
なにげない日々の出来事をただ淡々と描いていく…。
そういう私好みの映画で、私はすごく面白かったんだけど、

監督の狙いを成功させるには、
パク・シニャンとアン・ソンギもちょっと個性が強すぎて、
作風を壊したかも…、なんて思っちゃった…?

でも、ほんといい映画だよ。

とくにヘシクやボンゲ、元中佐、ニセ伝道師が
海辺で子どもみたいに遊んでるシーンが私は大好きで…。

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■102分 韓国 アクション/ドラマ

監督: オ・スンウク
製作: チャ・スンジェ
脚本: ホ・ジノ オ・スンウク
撮影: ソク・ヒョンジン
音楽: チョ・ソンウ

出演
パク・シニャン
アン・ソンギ
チョン・ウンピョ
キム・スンチョル

東海に面し、太白山脈に囲まれた注文津(チュムンジン)という海辺を故郷に持つ双子の兄ヘシク(パク・シニャン)と弟ヘチョル(パク・シニャン)。彼ら2人は全く異なる人生を歩んでいた。ヘシクは大学をなんとか卒業してソウルで刑事になり、高卒のヘチョルは注文津で有名なチンピラになっていた。映画の冒頭、ヘチョルがヘシクの銃を奪って自殺し、ヘシクは解職されてしまう。そして、ヘシクは弟の遺灰を海にまくために、青い海と白い雪が印象的な故郷の注文津に戻ってくる。しかし、20年振りに戻った故郷では誰もヘシクのことを覚えておらず、暴力団の元実力者ポンゲ(アン・ソンギ)や現在の実力者チョンドゥ(キム・スンチョル)はヘシクをヘチョルと勘違いし、ヘシクは数々の事件に巻き込まれる。自分がだんだんヘチョルになっていくような錯覚を覚え、またヘチョルのことが理解できるようになり始めたヘシクだったが…。
『グリーンフィッシュ』、『八月のクリスマス』、『イ・ジェスの乱』のシナリオを担当したオ・スンウクの監督デビュー作。この作品ではオ・スンウクとペ・ヨンファン、そしてホ・ジノがシナリオを共同執筆している。
題名はもともと『風の記憶』だったが観念的すぎるため、チャ・スンジェのアイディアで『キリマンジャロ』に変更。『キリマンジャロ』は、劇中アン・ソンギとパク・シニャンが歌うチョ・ヨンピル(趙容弼)のヒット曲『キリマンジャロの豹』からとった。音楽監督はチョ・ソンウ。エンディングのタイトル曲『君に』はパク・シニャンが歌う。


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