顔のない女 (2004)

[271]女と男の一筋縄ではいかない多重な心を描いた傑作……?


画像     私好みの映画で、
     すごく面白いんだけど、

     物語的に
     もうひとつ
     わかりにくいんだよねえ…。

     いきなりラストで
     申し訳ないんだけどさ、

死んじゃったはずのジス(キム・ヘス)が
なんでまたソグォン(キム・テウ)の前に現われるのよ。

いや、ホラーだからって言えばそれまでなんだけどね…。

それとも、彼女、
とうとうクスリ漬けになっちゃったソグォンが創りだした幻覚…?

幻覚だとしても「顔がない」のはなんで…?
医療ミスをやって、クスリ漬けで死んでった元妻とも
とれるようにしたかったわけ…?

いや、面白いんだよね、人間関係と物語が複層してて…。

ジスにはソグォンが
自分がかつて愛した、そして自分を捨てた男に見える。
ソグォンにはジスが、
あまり愛してやれなかった元妻のように思える。

その元妻にはじつは愛人がいた。
その愛人は妻が死んだとも知らずに、
妻の携帯に電話をかけてきて、
ソグォンは無言のままその男の声を聞いていた…。

ジスの夫には会社の同僚でもある愛人がいる。
ジスは知らない。

でも、ジスが、
病んだ自分と一緒にいるのはつらいだろうから離婚しよう
と言いだしても、夫は別れない。
愛人ではなく、心が病んでしまった妻ジスを選ぶ。

ジスの発病のきっかけは
むかし、愛しあった男に突然捨てられたことなんだけど…、
それでジスの心に
「捨てられる」ことへの恐怖感が巣食ってるんだけど、

たぶん、
ジスのその「捨てられる」ことへの恐怖感を
漠然と理解してるからなんだろうね…。

ジスはかつての恋人の面影を感じる
カウンセラーのソグォンに心を開き、
誰にも言わないできたその男のことを話しはじめる。

催眠療法でソグォンが聞き出すんだけどね…。

ジスに元妻の面影をかんじるソグォンは、
催眠療法を繰り返しているうちにジスを抱く…。

抱いているうちにジスを愛し、
こんどはソグォンに「捨てられる」ことへの恐怖心が芽生える。
ジスの恐怖心が転写された…?
ジスがソグォンに転写した…?

そのうちジスが
あなたとの関係をもう終わりにしたいと言い始める。
夫の態度が変わったから…?
男に捨てられる前に捨てないと危なくなるから…?

ジスなしにはいられなくなったソグォンは、
ついに医師としてはあるまじき行動に出る…?
ジスの携帯に電話をして、彼女に催眠術をかけるのだ、
バラの花束をもって病院に来るようにと…。

催眠にかかったジスは花束を手に
超高層ビルの一室にあるソグォンのカウンセラー室を
なんどか訪れるのだが…、

最後、運転する車がタンクロータリーに衝突され、
四肢が飛び散って死んでしまう。
しかしソグォンは
それを知らずにジスの携帯に電話をしつづける…。

つまり、自分が元妻の彼氏にやられたことを
こんどは自分がやっちゃってるんだよね。

で、夫はジスに愛人がいたことを知るんだけど、
ジスが死んだことを告げるのよ、ソグォンに…。

ショックでソグォンはますますクスリ(覚醒剤)に溺れて、
冒頭に書いたような結末になるんだけど、

自分ではなかなかコントロールしがたい
人間の心の動きを、サイコスリラーのかたちを借りながら
けっこう上手く描いてるんだよね。

しかも、心の病いは
もとをたどると無意識の乳幼児期の問題なんだけど、
そこもちゃんと押さえてるの。

ジスは一卵双生児で、
「同じ顔」をした人間はひとりでいいって、
じつは幼少期、妹を殺害してるの…。

ほんとうはたぶん、それがあって、
ラスト、ジスの顔が欠けてる…、
「顔のない女」として登場させてるんだろうけど、

面白いんだからそこまでやるなよ、
説明的ホラーになっちゃったじゃん…!(笑)
と、私としては大いに不満だったんだよなあ…。

しかしキム・ヘスがものすごくいいんだよねえ…!
表情を殺して心の底をなかなかみせない、
そのぶん妖艶にみえる女をみごとに造形してみせてる…?

「ドクターK」「YMCA野球団」「いかさま師」「永遠なる帝国」と、
これまで見てきた彼女もずいぶんよかったんだけど、
この作品でトドメを刺されたって感じだよねえ…。

それに映像もすごくいいのよ。
とくにガラスや鏡を利用して、
ジスやソグォンを多重に見せるところ…。

この物語の多重性、
登場する人間たちの心の多重性を
とてもうまく表現してみせてるんだよね。

もう少し物語を整理すれば
「これぞ名画」になれたのに、ああ、悔しいっ…!

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■102 韓国 サスペンス/ホラー/エロティック

監督: キム・インシク
製作: チョイ・スヨン
脚本: キム・インシク
撮影: キム・インシク
音楽: ヤン・ミンスン

出演
キム・ヘス
キム・テウ
ユン・チャン
キム・ヨンエ
ハン・ジョンス
キム・ナンフィ
チョ・ドンヒョク

神経症の一種である境界型人格障害(ボーダーライン)を持った女性と彼女の傷を治癒する精神科専門医との間に発生する危険な愛を描いたエロチック心理ドラマ。
誰も来ないパーティーの主人公ジスは,赤い血の海のバスタブの中で発見される。彼女は知的で魅惑的だが,天国と地獄を行き来する境界性障害で精神科専門医ソグォンの診療を受けるようになる。ソグォンは,ジスの病気が誰かに捨てられるかも知れないという危機感から起こる心の病であると知って惜しむけれど,ソグォンは,病院をやめることになっていた。
それから1年後,より一層不安で危険になったジスと,安定したように見えるけれどより一層冷たくなったソグォンは,偶然に会うようになる。ソグォンとジスは,患者と医師でない友人関係でお互いの内心を見せて自然に近づき,ソグォンに心を開き始めたジスは,誰にも話せない胸中の愛の傷を告白する。彼女を助けてあげたソグォンは,催眠状態で過去の愛を回想するジスの美しい姿と誰かを渇望する彼女の身振りに揺れ,結局,自分の欲望に勝てず,催眠の中のジスと関係を持つに至る。
夫との新しい出発のためにソグォンに別れのあいさつをするジス。しかし,催眠を通し,彼女の身体は持つことができたのに,心は持てない現実に苦しむソグォンは,再びジスに会うことができないという不安感のため,最後の出逢いでしてはならないことを繰り広げる…。

ソグォンも心に傷を持っていた。同じ病院で麻酔科医として働いた妻が、手術中のミスで患者を植物状態にしてしまう。そのことで妻は人格が壊れてゆく。そんな妻にソグォンは冷たく接し、彼女はクスリに手を出し死んでしまった。ソグォンは妻にやさしくしなかった事を後悔するが、なんと妻には男がいた。彼女の死を知らない愛人から毎日ケータイに電話がかかってくる。ソグォンは復讐のため、しばらくの間、男からの電話を無言で聞いていた。病院を辞める日、ソグォンは男を呼び出し、ケータイを「私にはもう必要ないから」と男に渡す。


顔のない女 [DVD]
パンド
2005-11-03

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