桑の葉_1 (1985) 韓国

[258]コリアン・エロスの名作。描かずして描かれた日帝支配下の朝鮮
★★★★★★

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(2009/03/30にUPした記事に補筆、修正)


軍事政権下の1985年に作られたコリアン・エロス。
主演は若き日のわれらがイ・ミスク、監督はイ・ドゥヨン。
ただのピンク映画だと思うなよ。すげえ傑作なんだから(^^♪

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舞台は韓半島のある小さな、美しい山村。
時は1920年代、つまり日本の統治下にあった時代である。

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この村は「夜」になると、

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美しい紅色の花が咲く(^^♪

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美しい肌色の花が咲く(^^♪

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熟した、食べ頃の、美味しい美味しい木の実がなる(^^♪
冒頭クレジットシーンなんだけど、ほんと上手いのよ、この監督。
え、何が上手いのかって? 
観ればわかるさ、「喩」に満ち満ちてることが(笑)。
このクレジットシーンの間に歌が流れる。

 ♪桑の葉を摘みに行く時 桑の葉を摘みに
   春が来た 春が来た 春が来たよ
   行こうよ 行こう 桑の葉を摘みに
   桑の葉を摘みに行く時 みんなで行こうよ
   俺もお前もともに行こう 桑の葉を摘みに

明るい民謡調の素晴らしい歌なんだけど、
実はこの歌も喩に満ちている。

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①「桑の葉を摘みに行こう」という言葉は、
実は当時の抗日活動家の符牒なのである。
つまり皆して日本との徹底抗戦を誓い合っているのである。

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②山へ「桑の葉を摘みに行こう」というのは、
おい、村の男衆よ、こっそりと村一番の
あのモンロー女を買いに行こうぜという合言葉なのである(笑)。

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③そして文字通り飼っている蚕のために、生活のために
山へ桑の葉を摘みに行こうと言っているのである。
いや、それだけではない。
抗日活動家たちのために資金を作るためにも、と。

詳細を知りたかったら映画を観ればわかる(^^♪

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クレジットが終ると、村の男が二人、
「サムボが二ヶ月ぶりに帰ってきたぞ」
「いや、三ヶ月ぶりだ」「あんないい女を放っといてよ」
などと笑いながら山へ仕事に出る。

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と、評判のその女アンヒョプ(イ・ミスク)が家事をしながら、
家の中にいる夫サムボ(イ・デグン)を激しくなじっている。
「情もなし、甲斐性もなし、一年中どこほっつき歩いてるのよ。
あたしに死ねって言うのね!」などと。
弾丸を放つごとく言葉を発するんだけど、
イ・ミスク、これがまた色気があってほんと美しい(^^♪

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それを隣家の下男サムドルが嬉しそうに眺めている。
先に言っておくと彼は、村で一番彼女の近くにいながら
実はただ一人彼女に抱かせてもらえない男なのである(^^♪
訳は後述する。

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夫サムボは韓半島を股に賭けた花札賭博師のようで、
女房になじられても怒るでもなく、
「どこに行ってもお前以上の女はいない」
などと穏便に誉めそやす。

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ちなみに女房のアンヒョプは数年前、
サムボが突然村へ連れて帰ってきた女である。

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その時彼女は超モダンガールで、
村人たちは驚きのあまり腰を抜かしたのだった(^^♪
だがいまやその女房をほったらかして賭博へ出かけ、
女房は村の男たちに色気をバラ撒き、
夫に内緒で売春して生活を支えているという訳だ。
あくまで表向きの話なのだが(^^♪

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サムボはアンヒョプを宥め、
「月」の札を入れた3枚の花札を座布団の上に置き、
「月」の札はどれかと彼女に当てさせようとする。

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アンヒョプがその1枚を指すが「月」ではない。
残り2枚の中にもなく、サムボは彼女の「股下」から
4枚目の「月」の札を取りだしてみせる。
いやいや、これも見事な「喩」で、実はこの喩が
この物語のすべてを語っていると言ってもいい(^^♪

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サムボは大きな賭博があると言い、また村をひとり出ていく。
アンヒョプから下着と彼女が貯めてきた金を旅費として受け取り。
そんな夫をなじりながらも一方で気持ちよく送り出すんだから
彼女も凄い女だということになる(^^♪
いや、彼女だけじゃない。実は村人たちも凄い。

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サムボの家のシーンの後、一転して、
村人たちが村の広場で酒盛りしながら臼運びゲームに興じる
シーンになる。

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そこへサムボが通りかかったので、
村人たちが「どこ行くんだ」と聞くと、彼は
「桑の葉を摘みに行く」と答えて村の峠へ向かう。

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村人たちは「じゃあ俺たちも桑の葉摘みにでも行くか」と、
そのサムボをあたかも祝福し、見送るかのように(笑)、
冒頭に紹介した「桑の葉」を歌い、バカ騒ぎしながら
山へ桑の葉を摘みに出かけるのだ(^^♪

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と、そこへいきなり銃を持ったひとりの日本人憲兵が現れ、
瞬間、緊張が走り、村人たちは静まり返る。

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憲兵は黙って自転車を押しながら誰かを追うように去っていく。

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と、村のおばさんが村人の列から右へサッと姿を消す。
注意して見ていないと見逃すよ。

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憲兵が去ると村人たちは肩を落とし、
黙ってゾロゾロと山へ上り始める。
このシーンで初めて実は日本占領下の時代だとわかり、
明るいのどかな農村に見えるけれども、
その背後には暗い、重い空気が流れているのだとわかる
ようになっているのだ。

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サムボが家を出た後、
女房のアンヒョプは部屋から彼を見送っている。

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その顔はそれまでとうって変り、
夫の身を案じる不安げな、哀しげな妻の表情である。
実は冒頭で少し触れたように、夫のサンボが
賭博師に身をやつした抗日運動家だからである。

もちろん彼女も知っていることである。
知っているからサムボに新しい下着を渡し、
からだを売ってせっせと稼いで来たお金を渡したのだ。

では、あの夫サムボにたいする激しい非難は何なのか?
ずばり「お芝居」なのである(^^♪

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サムボは3枚の花札の中に「月」があるように見せかけた。
だがそこに「月」の札はなく、「月」の札は誰にも見えないように、
気づかれないように、アンヒョプの股の下に隠されていた(^^♪
それと同じで、
この映画では「月」=「本当」はすべて隠されていて、
観る側は3枚の札=「お芝居」だけを見せられているということに
なるのである。

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サムボの心配をしているアンヒョプの所へ村のおばさんが
やってくる。このおばさんは直前のシーンで、
村人の列から消えたあのおばさんである。
「本当」は、日本人憲兵が現れたものだから、
アンヒョプの心配をして駈けつけたのである(^^♪

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しかし現れた瞬間、
そのことはおくびにも出さず「お芝居」をする。
下の村のチソプがあんたを抱きたがってるのだが、どうだい、と。
つまりおばさんも「お芝居」をしているのである。
いや、おばさんだけではない。
アンヒョプを筆頭に村人たちはすべて了解の上で
お芝居をしているのだ(^^♪

何のために?
日本人憲兵のサンボ夫婦にたいする監視の目を、
ひいては自分たちが抗日運動家たちの協力者であることを
悟られないようにするためである。
日本人の目を欺くためである(^^♪


※「桑の葉_1」
※「桑の葉_2」
※「桑の葉_3」


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■114分 韓国 エロティック
監督: イ・ドゥヨン
製作: イ・テウォン
原作: ナ・ドヒャン
脚本: ユン・サムユク
撮影: ソン・ヒョンチェ
音楽: チェ・チャングォン
出演
イ・ミスク
イ・ムジョン
ナ・ジョンオク

日本軍占領下にあった1920年代の韓国の、とある小さな村を舞台に、体を張って家計を稼ぐ一人の女の姿を描いた官能ドラマ。コーリアン・エロスの代名詞的存在である。
村一番の美人アンヒョプ(イ・ミスク)は、賭博好きで年に数回しか家に帰らない夫サムボ(イ・デグン)に金を渡すために、桑の実の収穫を引き受けたが、村の男たちはそんな彼女に言い寄り、彼女も良心の呵責を感じながらも生活の苦しさから金と引き換えに体を許す。
村の女たちが、そのことを知り、長老が追放を告げにいくが、長老も彼女の魅力の前に骨抜きにされ、引き下がってしまう。
そんな中、アンヒョプにしつこく言い寄りながら相手にされないサムドル(イ・ムジョン)が腹立ちまぎれにすべてをサムボに話してしまう。サムドルを殴り倒したサムボはアンヒョプを問い詰めるが、すべては自分が置いてけぼりを食わせたことが原因だと彼女を許し、また都会へと去っていく。
しかし実は彼は抗日運動の闘士で、彼の後姿を日本軍の若い憲兵が追っていく。

●てっせんさん
お帰りなさい(笑)。ご多忙だったようでほんとご自愛ください…。
こんな傑作がまだ残ってるんだとものすごく嬉しかったです。
桑の葉の下での情事、それから水車小屋の中での情事、
いやあ、ほんと、よかったです。映像が見事ですよね。
夫が村境の道を去っていくラスト・シーン、
なんか意気揚々としていて感動です…(笑)。
イ・ミスクには一発でヤラレちゃいました(笑)。
「情事」「スキャンダル」「鯨とり・コレサニャン」ですね?
探しまくって観るぞお……!

●ソルロンタンさん
エロティック・コーナーに置いてあるんですか。
まあ、いいけど(笑)、ほんと、すばらしい映画ですよね。
イ・ミスク、すてきな女優さんですねえ。
韓国映画界の財産だと思うのでもっと使ってほしいです。
ほかに「アメノナカノ青空」「お熱いのがお好き」ですね?
絶対探して観ます…!

●shidarezakuraさん
意外なところへshidarezakuraさんの書き込みがあり
びっくりしましたが(笑)、おすすめの作品に感激していただいて、
ほんとうになんとお礼を申し上げればよいのか…(笑)。
イ・ミスク、いいですよね、腹が据わって、お色気があって、
真っ白なチョゴリがよく似合って…。
でも、桑畑でHするシーンがありますけど、あれは本人ではなく、
代役なんだそうです。本人が言っていました…(笑)。
「ソナチネ」、来週お送りいたします。お世話になっていますので…。
レンタルしないでくださいね(笑)。
ほかにもほしいものがありましたら、「メッセージを送る」に
書いてどうぞお知らせください…。

●shidarezakuraさん
申し訳ありません。読んでいたのに返信を書くのをすっかり
忘れておりました。もう遅いですよね…(笑)。
イ・ミスク、自分から桑畑のシーンを言い出したのではなくて、
誰かに聞かれて、それで答えていたような記憶があります。
「情事」でもベッド・シーンがあるのですが、
たしかその映画に触れている最中だったような…。

ありがとうございました。

 
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この記事へのコメント

てっせん
2009年04月02日 23:24
今晩は
しばらくご無沙汰してしまいました。
このところ、夜はバタンキュー状態でしたもので・・・(笑)。
山崎さん、もの凄いスピードで爆走されていらっしゃるので、ウレシクなってしまいました(笑)。どの映画からコメントさせていただこうかなとちょっと悩みましたが、やはりこの傑作に尽きますねえ。

だいぶ以前に観たもので、記憶は不正確かも知れませんが・・・やはり映像が素晴らしく、桑の葉の下での情事のシーンなんて、これこそゲイジュツだと思ったのを憶えています(笑)。
あと、どうでもいいようなことですが、夫が山村の道を去っていくラストのシーン、あの夫さん、まるで小学一年生みたいに大手を振って歩き去って行くんですね。あの歩き方が面白いなあ、なにか意味があるのかなあと・・・(笑)。

そして、イ・ミスク、いいんですよねえ。私が観たのは、イ・ジョンジェと共演の「情事」、ぺ・ヨンジュンとの「スキャンダル」、若い頃のでは「鯨とり・コレサニャン」などですが、みんなよかったです。
失礼しました。
ソルロンタン
2009年04月03日 00:31
山崎さん、今晩は~

かなり前、NHKBS(多分)で見ました。
韓国映画ファン必見!と思うのですが、コリアン・エロスの代名詞のせいか、レンタルショップの店員が内容を知らずにカバーだけで判断したせいか、いつもエロティック・コーナーに置かれてます^^

あの「桑の葉」の歌、最初は何だろうと思ってましたが、途中でアッ!そうかと。
良い作品には無駄なシーンはないんですね。

イ・ミスク(60年生まれ)、初めて見たのは「鯨とり・コレサニャン」で、他には「情事」「燃ゆる月」「スキャンダル」「アメノナカノ青空」「お熱いのがお好き」(→これは、昨年12月シネカノンの「韓国映画ショーケース」で鑑賞、まだ日本公開未定)

大人の成熟した色気と知性、気品のある素敵な女優ですね。こういう40代の女性が主役を堂々と主役を張れる映画を企画して欲しいものです。
shidarezakura
2010年10月13日 21:53
山崎さん、こんばんは。
ソナチネを借りに行ったのですがレンタル中で…もうひとつ韓国映画を借りようと思っていたものの下にあり、思い出して借りてきました。
良かったです~。イ・ミスクさんはスキャンダルで迫力がある綺麗な人だと思っていました。若いころからとても肝が据わった演技をする女優だったのですね。はつらつとしていながらも色っぽくて、私も大好きです。白いチマチョゴリがよく似合って、それがまた時にはエロティックで…。
映像もびっくりするほど綺麗でした。
時代背景が悲しいです。
ご紹介くださった映画を初めて観られてちょっと嬉しいです…(笑)。
shidarezakura
2010年10月14日 09:10
おはようございます。
桑畑でのシーン、私気付きましたよ。あれ?って思ったので止めて確認しました(笑)。お腹がプクッとしていて変だな~と。書き込みを入れてから「情事」の記事をなぜか読み返したら回答がありました(笑)。拒否したのはいいのですが、私が不思議なのはあの代役でよく本人がOKを出したものだということです。それとも出来上がった物を観たら不満で自分じゃないと言っておきたかったのでしょうか?。

「ソナチネ」のDVDの件、ありがとうございます。涙が出るほど嬉しいです。でもお忙しい山崎さんが、私などにそんなことをしてはいけません(笑)。緊張して「……でございまして候。」なんて感想書いてしまうかもしれないし…(笑)。お気持ちだけいただきます。本当にありがとうございました。

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