ピアニスト (2001)

[303]イザベル・ユペール、倒錯した女をやらせると天才的だね…?


画像     イザベル・ユペールの映画では
     「主婦マリーがしたこと」が
     好きなんだけど、

     この映画も
     うん、けっこう面白かったよ…。
     
     40歳を過ぎて

ウィーン国立音楽院のピアノ教授になったという人物設定…。

出だしとラストが抜群。

エリカ(イザベル・ユペール)が夜遅く帰ってくる。
と、年老いた母親が待ち構えていて、
どこへ行ってたんだと詰問する。

そのうち娘のバッグを取り上げて、中を見ちゃったりする。

暗い…。
見ちゃいけないものを見ちゃってる感じ…(笑)。

ワルター(ブノワ・マジメル)という
年下の青年に言い寄られてからわかってくるんだけど、
エリカ、じつは性的には「M」なの。

で…、あ、そうかって
このトップシーンの意味がわかるようになってるんだよね。

ラストも壮絶…?(笑)

ワルターに愛を打ち明けられたあと、
エリカは自分の性的嗜好を告白する。
自分はMなので「縛って。叩いて」みたいな…?

と、ワルター、引くの。

いや、わたしだってちょっと引くかな。
けして笑顔を見せることがない
目の吊り上ったイザベル・ユペールに言われると。

いや、エリカにあの表情で言われると…(笑)。

でも、いったんワルターを受け入れたからなのか、
エリカ、一転ストーカーと化してワルターに迫るの。
むしゃぶりつき、押し倒すの…。

エリカの行動が度を越しているもんだから、
ワルターはついに彼女の家に乗り込み、
母親のいる前で彼女を非難する…。

その翌日はピアノコンサートが開かれる日で、
エリカはバッグに包丁を入れて会場へ行く。

自分も教え子の代役で出ることになってるんだけど、
会場の入口でワルターを待つ。

そのうちワルターがやったきたので、
バッグの中の包丁を持ち出してワルターを刺すのかな
と思ってたら、

ワルターが会場へ入ったあと、
包丁を取り出し、自分の左胸あたりをグサッと突いて、
会場を出て、さっさと通りへ消えてしまうの。
それで終わり…。

げっ? な、なんなのよ?
エリカのやることわかんない、全然わかんないよ~…!
って感じ…(笑)。

まあ、そういうエリカの訳のわからなさが
この映画のすごく面白いところというか、
エリカの魅力なんだけどね…(笑)。

いやあ、訳のわかんない監督ゴダールに育てられたせいか、
イザベル・ユペール、
訳のわかんない女やるとほんと天才的だよねえ…(笑)。


家族がなければ人間には「n個の性」があるだけだ…、
と言ったのはフランスのドゥルーズ・ガタリだけど、
それを地で行った作品…?

エリカの性的嗜好が「M」になったのは、
母親が子どものころから異常に…、病的なほど異常に厳しく、
そう言ってよければ、「S」的に育ててきたからだよね。

SM的な関係でこの母娘は生きてきたからというか…。

で、それがそのまま性的嗜好になってる…?
そしてそうなったのは、この家庭に父親がいなかったから…。

実際は、父親は病気で入院していて、後半死ぬんだけど、
シーンには一度も登場しない。
「父親不在」を印象づけるためなんだろうけど…。

母親がエリカがいないとき、
エリカの部屋に入ってタンスを調べたりとか、

エリカがワルターに拒絶されたあと、
「おかあさん、愛してる」と言って
一瞬、母親に激しく抱きついたりシーンとか、

この母親と娘の奇妙な、
複雑な関係がとてもよく表現されててすごくいいよ。

まあ、だいたい、
年老いた母親と、40歳になった娘が一緒のベッドに寝てる
というだけで変なんだけどね…。

しかし、「ジョルジュ・バタイユ ママン」のときも書いたけど、
フランスの家族、壊れてるよねえ。

日本も負けないくらいいまは壊れてきたけど…。

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●てっせんさん
「母親という存在は、便秘に悩まされてるときの雲古みたいなもんだ」
いや、うまいこと言いますね。
男にはちょっとわかりにくいんですが、
女が母親から自立するのは、同性であるぶん、
男とちがってずいぶん屈折してるような気がしますね。
で、失敗すると、そのぶん男よりひどくなっちゃうというか…。
イザベル・ユベール、俳優としては好きなんですが、
私は女を全然感じないんですよねえ…(笑)。

ありがとうございました。

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■132分 フランス/オーストリア ドラマ/ロマンス

監督: ミヒャエル・ハネケ
製作: ファイト・ハイドゥシュカ
製作総指揮: イヴォン・クレン
クリスティーヌ・ゴズラン ミヒャエル・カッツ
原作: エルフリーデ・イェリネク
脚本: ミヒャエル・ハネケ
撮影: クリスチャン・ベルジェ

出演
イザベル・ユペール エリカ・コユット
ブノワ・マジメル ワルター・クレメール
アニー・ジラルド エリカの母
アンナ・シガレヴィッチ
スザンヌ・ロタール
ウド・ザメル

“普通でない”性的嗜好をもつ中年女性が、そうとは知らずに近づいてきたハンサムな青年の一途な恋に戸惑い、スレ違いの性的情感に苦悩するさまを繊細にして力強く描いた切なく激しい愛の物語。監督は「ファニーゲーム」のミヒャエル・ハネケ。2001年のカンヌ映画祭において、グランプリの他、最優秀主演女優賞、最優秀主演男優賞の三冠に輝いた。
ウィーン。小さい頃から母親に厳しく育てられたエリカ。40歳を過ぎてウィーン国立音楽院のピアノ教授となった今でも母と二人暮らし。ある日、エリカは私的な演奏会の席で青年ワルターに出会う。彼のピアノの才能に特別な感情を抱くエリカだったが、それ以上にワルターのエリカに対する思いは強かった。彼女に執拗につきまとい、ついには音楽院の試験に合格し彼女の生徒となってしまう。ワルターはある日、思いあまってトイレにいたエリカに強引にキスを迫る。ワルターの思いが通じたかと思われた瞬間、エリカがひた隠しにしていた秘密があらわになる……。


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この記事へのコメント

てっせん
2009年07月27日 00:09
今晩は
この映画、数年前にDVDで観たのですが、なぜかあんまり憶えていないんですよねえ。わりと面白かったんですが・・・。

女にとって母親という存在は、便秘に悩まされてるときの雲古みたいなもんだと、女性作家だったか、なにかで書いていましたが・・・(笑)なんとなくわかるような気がします。

この主演のイザベル・ユベールも、そういえば、慢性便秘に悩まされてるような表情に見えなくもないような・・・(笑)

失礼しました。

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