春の日は過ぎゆく (2001)

※この記事は「テーマ」設定の事情により重複しています。

[341]去ったバスと女は追うもんじゃない、と祖母ちゃんが教えてくれた…?


画像     傑作との誉れ高い
     ホ・ジノ 監督の

     「八月のクリスマス」に続く
     第2作目。

     ようやく発見したので
     すぐに観たのだが、

                   いやあ、噂に違わず絶品だった…!

なにがいいかって、
「八月のクリスマス」に勝るとも劣らない
その緻密な物語構成と絵(映像)作り…。

奇をてらわない、ごく日常的な絵なんだけど、
1枚1枚、計算し尽くされ、丁寧に丁寧に、
ほんと丹精を込めて作られているもんだから、

観てるうちにいつのまにかスーッと
ホ・ジノの世界に絡めとられてしまうんだよねえ。

驚嘆…!

あえて私の好きな絵をひとつだけあげるとすれば、
ウンス(イ・ヨンエ)とサンウ(ユ・ジテ)が、
川へ水の音を採取しに河原へ降りていくシーン…?

吹奏楽部の高校生たちが河原で練習をしている。
その前を二人が横切る。
カメラは二人を追わず、そのまま吹奏楽部の練習風景に
ちょっと据えられたまま。

それから川を飛び石伝いに渡る二人を、
遠景に吹奏楽部をいれて撮る…。

ほんとになんてことない絵なんだけどさ、
カメラが切り替わるまでのなんとも言えない、
ゆったりとした一呼吸がいいのよねえ。

ああ、これがホ・ジノだよなあって感動するの…?(笑)

ゆったりとした話がゆったりと進んでいくんだけど、
いつの間にか何かがすっかり変わってしまっている…?
このウンスとサンウの愛のように…。

そのあたり、ほんとホ・ジノらしいよねえ。
絶妙…!

あ、ついでに言っておくと、
クァク・ジェヨンのやさしさが
激しさを秘めたやさしさなのにたいして、
ホ・ジノのやさしさは、どこまでもゆっくりとしたやさしさ。

静かなやさしさ…?

いいかえるとそれは、
クァク・ジェヨンが「若さ」の視線で映像を撮るのにたいして、
ホ・ジノは「老い」の視線で映像を撮っているっていうこと…。

私はこの二人、どっちも大好きなんだけどさ…(笑)。

ところでウンスとサンウ、
どこでなにがどうすれ違ったのか…?

そのあたりの微妙さを描かせると、
ホ・ジノの右に出るものはいないって感じなんだけど、
じつは音の採取場面がとてもよく物語ってる…?

田舎の木造家屋で育ったサンウは、
心身がすっと自然に溶け込んでるんだけど、
コンクリートの部屋に住んでいるウンスの場合、
自然から微妙に剥離しちゃってるんだよねえ…。

途中、キムチの話が出てきて、
ウンスが「わたし、キムチ漬けられないの」って言うと、
サンウが「いいよ、ぼくが漬けるから」って返すんだけど、
そのあたりの差…?

たかがキムチくらいでと思うかもしれないけど、
一見どうでもよく思える、この「キムチ」作りの差が
じつはものすごく大きいっ…!

と言いかえてもいいんだけどね。

そういうものなんだよ、人生も恋愛も…(笑)。

バツイチのウンスはそのことに気づいてる。
だからミュージシュンの男のほうを選ぶ。

えっ、ぜんぜんサンウのほうがカッコいいじゃん、
と、いくらこっちが思ってもだめなの…(笑)。
彼女、顔じゃなくて、生活的な肌合いで選んでるんだもの。

でも、結婚はむろん恋愛も経験したことのない(?)サンウは、
初「春」の只中にいるサンウは、
そのことに全然気づいてないんだよね。

そこですれ違ってしまう…。

これもついでに言っておけば、
「ハピネス」はある意味この作品の焼き直しだよね。
ウニがサンウで、ヨンスがウンスと、
男と女が入れ替わっているけど…。

でも、この作品が成功したのはなんといっても
サンウのおばあちゃんのおかげだね。

「去ったバスと女は追うもんじゃないよ」
と孫のサンウを抱きしめてくれたあの祖母ちゃん…!(笑)

自分は、もう夫は死んでるのに生きてると信じて、
いつも駅舎のベンチで
仕事から帰ってくるおじいちゃんを待ってるんだけどね。

それも新婚当時のつもりで、まだうら若き妻のつもりで…?(笑)

この呆けたおばあちゃんのおかげで、
人生の「春」とはどういうものか、
とても大きな視線の中で捉え返されているの。

このおばあちゃんが死ぬことでサンウは、
「春の日は過ぎてゆく」ものであることを知り、
ウンスにもようやく別れを告げることができる…。

このおばあちゃんが、ラスト、
嫁入りの真っ白なチョゴリを着て、日傘をさして、
家の門を出ていくシーンも心に残る名場面だよ…。

ユ・ジテもイ・ヨンエも、ものすごくいいし、

韓国映画、いやあ、
まだ観ていない名作がドンドン出てきちゃうなあ。

うれしくて悲鳴が出るよ…!

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画像


●てっせんさん
「八月の」以来の感動でした。さすがホ・ジノですねえ。
なのになんで「ハピネス」…、と、ちょっと考えこんでしまいました(笑)。
まあ、打率10割なんて不可能でしょうが、
次回作にまた期待したいです…。

●kさん
「春の日の熊は好きですか」はホ・ジノ監督へのオマージュ…?
どうなんでしょうねえ。そうだとすれば、いちばんありがちな
「勘違い」オマージュというか…(笑)。
お祖母ちゃんの唄う歌、演歌なんですか?
あの歌、私は以前どこかで聴いたことがあるような気がします。
似たような歌だったのかもしれませんが、
私の印象では「演歌」ではなくて、日本でいう「唱歌」みたいな曲で、
おばあちゃんが歌うからちょっと演歌っぽく聞こえる、と
思いながら観ていたのですが…。
ちなみに日本の唱歌は聖歌をモデルにしてるものが多いんですけど、
あの歌も、そういう匂いしませんでしたか…?

●てっせんさん
ムッ、次回作、チョン・ウソンが中国の女優と共演する
「豪雨時代」というメロドラマなんですか…。
そうですか。チョン・ウソンですか。
ホ・ジノと、チョン・ウソンねえ…………………………………?(笑)

ありがとうございました。

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■113分 韓国/日本/香港 ドラマ/ロマンス

監督: ホ・ジノ
プロデューサー: チャ・スンジェ キム・ソナ
宮島秀司 ピーター・チャン
脚本: リュ・ジャンハ リ・スクヨン シン・ジュンホ ホ・ジノ
音楽: チョ・ソンウ

出演
ユ・ジテ サンウ
イ・ヨンエ ウンス
ペク・ソンヒ サンウの祖母
パク・イナン サンウの父
シン・シネ サンウの叔母
ペク・チョンハク 音楽プロデューサー
イ・ムンシク

デビュー作「八月のクリスマス」で高い評価を受けたホ・ジノ監督の第2作目。録音技師の青年と離婚歴のある年上の女性との幸せな愛の日々と、やがて互いの愛の捉え方の違いから避けられないすれ違いへと向かうさまを描いた切ないラブ・ストーリー。主演は「リベラ・メ」「リメンバー・ミー」のユ・ジテと「JSA」のイ・ヨンエ。
父と痴呆気味の祖母と暮らしている録音技師の青年サンウはある日、カンヌン(江陵)でラジオのDJ兼プロデューサーをしている女性ウンスから仕事の依頼を受ける。それは自然の音を採集するというもの。二人は録音のための小旅行をする中で打ち解け合い、いつしか恋に落ちていた。永遠の愛を心から信じる青年サンウにとって、ウンスが年上で離婚経験者であることは何の障害でもなかった。そんなサンウの気持ちにウンスも心からの愛で応えるのだった。しかし、時が経つにつれてウンスの心には次第にこの愛に対する不安が増大していくのだった……。

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