史上最大の戦場 洛東江大決戦 (1976)

[380]イム・グォンテクが朴軍事政権下で撮った朝鮮戦争の大傑作…!


画像     イム・グォンテクが
     朝鮮南北戦争を
     描いた作品。

     製作は1976年。

     朴正煕大統領の
     軍事政権下時代だよね。 

     
じつはイム・グォンテク…、
朝鮮戦争映画を3本撮ってる。

1973年 「ソウル奪還大作戦 大反撃」
1976年 「史上最大の戦場 洛東江大決戦」
1982年 「アベンコ特殊空挺部隊 奇襲大作戦」

これに
1994年 「太白山脈」を加えてもいいんだけどさ。

といっても私が観たのだけだから、
ほかにも撮ってるかもしれないんだけどね。

いや、韓国の現代史の生き証人なので、
直接、朝鮮戦争を題材にとらなくても、
100本の作品の大半は、
その戦争の影をどこかで引きずってるんだろうなあって
想像するんだけどさ…。

で、後日書くけど、
1973年の「ソウル奪還大作戦 大反撃」は、ひどい…?
いや、ひどいなんてもんじゃなくて、
朴軍事政権に創らされた露骨な「国策映画」なんだよね。

で、それをちょっと反省して
この映画撮ったのかなあって思っちゃった…?

といってもまだ朴軍事政権下なので、
国策映画として撮らされた可能性も否定できないんだけど、
その網の目を潜りながら、
朝鮮戦争映画の大傑作といっていい作品に仕上げてる…?

ま、他人事で申し訳ないんだけど、
そのあたりがじつに見所なんだよねえ…(笑)。


高校生くらいの男の子と女の子が
川ですごく楽しそうに水遊びをしている…。

突然、村のひとたちが群れて避難する姿が目に入る。
なにかあったのかと遠巻きに聞くと、
「戦争が始まったんだ」と返ってくる。

少年 「……?」

そう。
北鮮が突如南侵を開始した
1950年6月25日の日から始まるんだよね。

場面は一転して、
ソウル陥落後、テグ(大邱)近くの前線基地。

朝鮮戦争の詳細はぜんぜんわからないんだけど、
北鮮は洛東江あたりまで南侵し、
この地域での戦闘がいちばん激しかったと言われてるよね…?

南鮮のその前線基地の特攻部隊に、
17才の少年・チョン2等兵が志願兵として潜り込んでいる…。

このチョン2等兵、
じつはトップシーンで川遊びしてた少年なんだよね。

物語が進行するにつれて次第にわかってくるんだけど、
恋人のあの女の子と一緒に河を渡り、
南ソウルへ避難しようとするの。

ところがチョンは、
女の子が家からクスリを持ち出すのを忘れたので、
南ソウルで会おうと言い残して、クスリを取りにひとり村にとって返す。
結局、それで彼女と生きはぐれてしまう。

で、後に彼女が自分を探し求めて
ソウルへ引き返したというウワサを聞いて、
特殊部隊に潜り込んでソウルへ引き返し、
クスリを渡したいと思ってるのね。

その一心…。

クスリは、肺結核用。

じつは恋人の彼女、以前から肺を病んでるんだけど、
チョンが必死になって看病して、少しずつ回復してくる。
生きようとするチカラも取り戻す。

でも、まだクスリを飲み続けないと、だめなのよね。
それで…。

でも、これはサブ・ストーリ…。

メイン・ストーリーはあくまで
かれが潜り込んだ特殊部隊の北鮮との戦闘で、

ある日、北鮮の最大の武器であるロシア製戦車を阻止せよ
という指令を受ける。

で、選ばれた特殊部隊の連中が占領された陣地へ潜り込もうとする。
チョンもそれについて行く。

隊員たちは若いチョンのことを心配して、
なんとか背後部隊へ送り戻そうとする。
でも南侵してくる北鮮部隊や戦車隊との戦闘の連続で
そうも構っていられない。

最後、捕虜にした戦車隊の少佐を基地に届けろ、
と口実をみつけてチョンを帰らせようとする。

しかしチョンは、帰途の山頂から、
やさしかった部隊の連中が爆弾を抱えて戦車に突入したり、
洛東江に架かる大橋を爆破したり…、
次々に戦死していくのを見て、引き返す。

少女のクスリを取りに、
あの河畔から引き返したように…。

そして同様に爆薬を抱え、戦車に突入し、爆死する…。

このときの戦車の姿がじつにいい…?

向こうの坂下のほうから、地響きを立ててやってくる。
そそり立つかのような砲身が姿を現す。
そして車体が…、車輪が…。

戦車がもう人間をものともしない、
なにか途方もなく巨大なチカラに見えてくるの。

少年チョンはそれに向かって肉弾と化すの。
死んでいった隊員のために、
そしてあの恋人の少女を守るために…。


戦争という大きな物語の前に、すごく小さな、
人間を人間たらしめているストーリーを配置してみせる。
そこにイム・グォンテクの意地が見えて感動するんだよね。


それだけじゃないの。
この映画がすごく面白いのは南鮮だけじゃなくて、
北鮮の兵士も描かれているからなんだよね。

ロシアで戦車術を学んできたという戦車隊の隊長。
そして難民の群れに潜り込んで
南鮮でのスパイ活動を企む若い女…。

二人とも全身軍人とはいえ、
それぞれ小さなサブ・ストーリーを、役割を担ってる。
勝敗がすべての世界にもかかわらず、
いやおうなく人間臭い面を露出させてしまう…?

最後、捕虜になった少佐もそうなんだけどね。


しかしなんと言ってもこの映画を傑作たらしめてるのは、
随所に挟まれる、ハリウッド映画にもひけをとらない、
その大規模な、すさまじい戦闘シーン。

これはちょっとあれなんじゃない?
軍の協力がないと撮れないんじゃない?
って思うんだけどね…。

でも、その撮り方、編集がまあすごい…!
ある意味ではめちゃハリウッドの模倣なんだけどさ、
実際の戦場を目の当たりに見せられているような感じ…?

もし肉弾戦を敢行してでも祖国を守りましょう、
というだけの国策映画だとしたら、
なにもそこまで撮る必要は全然ないと思うんだけどさ。

イム・グォンテクはどうしてここまでやったんだろう…?
そこにどうしても私は引っかかるわけさ。

「ソウル奪還大作戦 大反撃」(73年)で
露骨な国策映画を創ってしまったことへの自分にたいする反省…?
軍事政権に利用されることへのひそかな反抗…?
映画人としてのひたすらな意地…?

徹底して山河を、街を、人間を破壊しつくす戦争を、
映画人として映像化する…。
映像化してみせる…。

自分にはそれしかできない…。
また、映画人なんだからそうした権利を持っているはずだ…。
それをやるしかない…。

なんかさ、
この作品からそんなイム・グォンテク監督の声が
聞こえてくるんだよねえ…。

いやあ、映画としてもほんと大傑作…。

イム・グォンテク、
観れば観るほどなんかすごいひとだねえ…。

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■107分 韓国 戦争

監督: イム・グォンテク
脚本: ハン・ソン ナ・ハンボン
撮影: ソ・ジョンミン

出演
チン・ユヨン
ユ・ヨングラ
キム・フィラ
パク・アム

朝鮮戦争の初期,洛東江まで後退した国軍と朝鮮軍は,最後の防御線のテグ(大邱)を前に置いて熾烈な攻防戦を繰り広げていた。チャ中尉は,それぞれ性格と生活方式が違った特攻隊員を引率するが,17歳のチョン2等兵は,自主的に志願して任務を共にする。結局,チョン2等兵とチャ中尉の特攻チームは,最後の橋梁爆破任務を担当するが,爆破スイッチが不発に終わる。
しかし,パク上士は,すぐ陣地を突破してTNT線を校正させて爆発命令を下ろす。惑った特攻チームは,スイッチを押さえて,パク上士は戦死する。パク上士の功労で敵のタンク部隊は全滅する。この光景を見たチョン2等兵は,最後のタンクに向かって突撃し戦死する。


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デニス チョン

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