わが青春に悔なし (1946)

[398]GHQが黒澤明に撮らせた原節子と杉村春子の野良仕事…?

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この11月、小津の「東京物語」をやるので、
ちょっと原節子をと思って観たんだけど、
うん、面白かったよ。

ずっ~と以前に一度、観てはいたんだけどさ。

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物語は、
ファシズムの波が押し寄せる昭和8年からはじまるの。

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教授の八木原(大河内伝次郎)が「赤」だと教壇から追放される。
京大の学生たちが連日街頭ではげしいデモを行う。

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このあたりは京大の滝川事件が下敷きになっている。

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その八木原の家に出入りしていた学生の二人、
野毛(藤田進)と糸川(河野秋武)は、
八木原の娘・幸枝(原節子)にひそかに思いを寄せている。

その野毛と糸川が卒業して東京へ出ると、
幸枝も後を追うかのように上京する。

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3年後、幸枝は街でばったり糸川に再会、
野毛も東京で働いていると聞かされ、職場を訪ねる。

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なんどか会っているうちに
幸枝は野毛になにかただならぬものを感じる。

野毛は言う。
自分は、10年後、国民に感謝されることをしているのだ、と。

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じつは支那研究という看板のうらで、
軍部ファシズムに抗してスパイ活動を行っていたのだ。

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幸枝は、
自分が正しいと信じる道を一途に歩む野毛と結婚するが、
やがて野毛は逮捕、投獄され、拘置所で自殺する。

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このあたりはゾルゲ事件が下敷きになっている。

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幸枝はいったん実家へ帰るが、
「野毛の妻」であることを貫こうと、
農家である野毛の実家を訪ね、ここに置いてほしいと頼む。

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両親は、あなたの育った暮らしと違って大変だからと、
暗に断る。

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しかし幸枝は引き下がらず、
野毛の母(杉村春子)をまねて鍬を持ち、
来る日も来る日もたんぼを耕しはじめる。

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そんな幸枝を見て、
おとなたちは「スパイの妻」と村八分にする。
子どもたちも面白がって追いかけ、はやしたてる。

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それでも逃げ出さずにたんぼ仕事に精を出す幸枝を見て、
野毛の母も父も、やがて家の娘として受け入れる。

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そして敗戦後、
八木原と野毛の名誉は回復され、
幸枝は野毛家の人間として両親とともに生きていく…。

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う~ん、
黒澤明にしては物語がちと単純すぎるかなあ、
と思うけど、

GHQのプロパガンダ映画(民主主義映画)なので、
まあ、しょうがないかなって感じ?(笑)

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見所は、なんといっても
天下の原節子がお百姓さんの仕事をするところ。

小津映画では絶対に観られない役どころなんだけど、
えっ、あの美人で品のいい彼女がたんぼ仕事?
って感動しちゃうんだよねえ(笑)。

それも村人たちの「スパイの妻」っていう視線の中で
ひたすら鍬仕事にまい進するから鬼気迫るものがあるの。

まあ、鍬仕事はそんなに様にはなってないんだけど(笑)、
観てるうちになんだかすごく胸を衝かれてくる?

一緒に鍬を持つ杉村春子もいいんだよねえ。

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二人で耕し、苗を植えたたんぼを見て、
突然、カンラカンラ笑い出すシーンなんか最高!
達成感の雄たけびなんだろうけど、
爽快というか、ついに狂気を発したというか?(笑)

舞台はあまり感動した覚えがないんだけど、
いやあ、映画になると、杉村さん、
ほんと天才だなって感動しちゃうのよねえ。

黒澤はのちに
二人の野良仕事シーンについて、
労働組合の圧力を受けて後半の構想を変えざるをえなかった、

その圧力に対する自分の反感がああいうシーンになって表れた、
みたいなこと言ってたような記憶があるんだけどね。

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もうひとつ、すばらしいシーンがあるのよ。

野毛の職場を尋ねて、
会おうか会うまいかと逡巡しているときなんだけど、
このとき原節子が微妙な、いろんな表情を見せるんだよね。

スチール写真の連続みたいな感じで撮ってるんだけど、
なんだか無条件に魅入られてしまう感じ…?

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私みたいなのが言うのもなんだけどさ、
そういう表情を演出してる黒澤も、
ほんと、すげえよなあって感動しちゃうよ。

敗戦でないとけして撮られることのなかった
原節子と杉村春子の野良仕事。
民主主義映画(笑)。

う~ん、この映画から
戦後の「明るい農村」が生まれたのかなあ、と思っちゃった。

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黒澤ファンならずとも、
これは絶対、一見の価値ありです!
大河内伝次郎のすばらしいセリフ回しも聴けるしね。

あ、ちなみに
この映画、私が生まれた年に撮られてるんだよなあ。


●kotarouさん
やかんのそそぎ口から直接お茶を飲むなんて、
小津は死んでも原節子にそんなことはやらせたくなかった
でしょうね(笑)。
「白いブラウス越しのノーブラの乳首」ですか?
私はうかつにも見逃してしまったようです…!(笑)

●謎の村石太&森可奈子さん
動画で原節子の「青い山脈」をですか?
あら、私も観たいですねえ。
どうやったら観れるのでしょう…!(笑) 

ありがとうございました。


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■110分 東宝 公開1946/10/29  ドラマ

監督: 黒澤明
製作: 松崎啓次
脚本: 久板栄二郎
撮影: 中井朝一
美術: 北川恵笥
編集: 後藤敏男
音楽: 服部正
音響効果: 三縄一郎
演出補助: 堀川弘通
照明: 石井長四郎

出演
原節子 八木原幸枝
藤田進 野毛隆吉
大河内伝次郎 八木原教授
杉村春子 野毛の母
三好栄子 八木原夫人
河野秋武 糸川
高堂国典 野毛の父
志村喬 毒いちご
清水将夫 筥崎教授
田中春男 学生
原緋紗子 糸川の母
武村新 検事
河崎堅男 小使
藤間房子 老婆
谷間小百合 令嬢
河野糸子 令嬢
中北千枝子 令嬢

黒澤明監督の戦後最初の監督作品。京大・滝川事件とゾルゲ・スパイ事件をモチーフに、ファシズムの吹き荒れる時代にあって自らの信念に基づいて強く生きる女性の姿を謳い上げたドラマ。国民的アイドル原節子が芯の強いヒロインを好演。昭和8年。京都帝国大学の教授・八木原の教え子たちにとって教授の一人娘、幸枝は憧れの的。野毛、糸川の二人の学生も幸枝に想いを寄せていた。秀才型で日和見的な糸川に対して実直で行動派の野毛。軍国主義が強まる中、野毛が左翼運動へと身を投じる一方、糸川はひたすらに法曹の道を目指していた。やがて、幸枝は信念を持って行動する野毛に魅力を感じ始めるのだったが……。

この記事へのコメント

kotarou
2011年08月09日 18:02
原節子がやかんのそそぎ口から直接お茶を飲むなんてのは、この映画でしか見られないのでは。
あと、白いブラウス越しのノーブラの乳首も。

労組の圧力で改稿される前の脚本で完成してたら
どんな映画になってたのか興味深いですね。
謎の村石太&森可奈子
2012年05月18日 22:37
画像 原節子 で 検索中です。原節子さん 美人ですね。今 動画で 原節子で検索して、青い山脈を見ています。世界的 歴史的 美女を 探す会(名前検討中 原節子を語る会
黒沢監督映画 最高ですね。映画同好会(名前検討中

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