プライベートレッスン 青い体験 (2000)

[401]韓国はなぜ自殺率が高いのか、ここにはその理由の一端が描かれてる…?


画像     2000年製作の
     ちょい日活ロマン・ポルノ風
     青春映画…?

     ペ・ドゥナ目当てに観たんだけど、
     うん、けっこういい映画だよ。

     おい、セックスシーンが
     不必要に多すぎないか?
     って気はしたけどさ…(笑)。

     とくに私のペ・ドゥナ…!


頼むから、彼女の裸、見せないでよ。
素っ裸でセックスなんかさせないでよ。
私は見たくないよ。

んなことやらせなくたって彼女は演技できるんだからさ。
からだ細すぎて痛々しいよ…、
って、途中、何度も目瞑りたくなっちゃったわ…(笑)。


ジャヒョ(キム・レウォン)と
スイン(キム・ジョンヒョン)という二人の男の子のお話。

と、いきなり話題をそらす…(笑)


高校生のジャヒョは、
同級生のハラ(ユン・ジヘ) という女の子に誘われて
初体験する。

が、1度きりで、学校で彼女に会っても避けるようになる。
と、ハラがリストカットする。

じつはリストカットの常習犯なのだが、
ジャヒョが自分のせいじゃないかと思って謝りに行くと、
ハラはジャヒョの心につけ込むかのようにセックスをせがむ。

ジャヒョがその執拗さにキレて出て行く。

と、後日、
ハラは校舎の屋上に上がり、
ジャヒョらが見ている前で飛び降り自殺をする…。

その後…、
大学に進学したジャヒョは、
思春期の性衝動を抑えられずに女の子たちと遊びまわるが、
セックスするたびに、投身自殺したそのハラのことが
脳裏をよぎってしまう…。

おまけに性病をもらって病院へ通う。
で、ナムオク(ペ・ドゥナ)という看護婦に誘われてデートし、
セックスする。

しばらく彼女と付き合っているのだが、
ある日、彼女に突然「別れたい」と言い出す。

と、ナムオクは、多くを言わずに別れ、
後日、看護婦を辞めて田舎の実家へ帰ってしまう…。

ジャヒョはなにも語っていないのだけど、
ナムオクに別れたいと言い出したのは、
彼女とセックスするたびに死んだハラのことを思い出すから。

そしてもうひとつは、
ナムオクがほんとうに好きになってしまったから。

好きならそのまま付き合えばいいはずなのに、
セックスに愛はいらない、心はいらない、
みたいなセックスをずっと続けてきたので、

好きだっていう自分の心と、セックス=からだとを
どう折り合いつけたらいいのどうもよくかわからない。
だから別れるしかなくなっちゃったんだよね…。

それはハラ自殺の後遺症だと言ってもいいんだけどさ…。


もうひとりの主人公、スインも心に後遺症を抱えている。
小学生のころ? 
ものすごく仲のよかった友だちを自動車事故で亡くす。

以来、なにかでひどく緊張したりすると、
気を失って、倒れて、しばらく寝てしまうの…。

そのスインは、
転任してきた女教師ジョンヘ(チン・ヒギョン)を好きになる。
でもジョンヘの前に出ると、緊張して気を失う。

その緊張に必死に耐えながら、
なんどかジョンヘに自分の胸のうちを告白するんだけど、
まだ高校生なんだから…、
卒業しておとなになったら話しあいましょうと言われる…。

大学生になって、親友のジャヒョと一緒にアパートを借りる。
ジャヒョは女の子と遊びまくるんだけど、スインは遊ばない。

ジョンヘへの強い想いが消えないからなんだけど、
突き上げる性衝動に勝てなくて、
とうとう先輩にあたる女とセックスする。

と、緊張のあまり、
アパートに帰ってからなんだけど、バッタリ気絶してしまう。

そんなある日、ジョンヘに会いに行き、
「僕はもう我慢できない」と愛を告白する。

ジョンヘも
その憔悴しきった姿を見てスインと一夜をともにするんだけど、
翌日にはさりげなく別れを告げる…。

と、スインは滝に身を投げて死んでしまう。
ジョンヘに「自分の分も生きてくれ」という言葉を残して…。

無二の親友を亡くしたジャヒョが混乱してると、
ジョンヘに「いまは生きることだけを考えて」と言われて、
ジャヒョはようやく決心する。

そう。
別れたあのナムオクに「会いたい」って電話するんだよね…。


そこで映画は終わるんだけど、
ジャヒョは、スインの死を契機にようやく自分の心とからだを、
性衝動をひとつに折り重ねることができたんだよね…。

たいして好きでもない女の子たちと遊ぶ、セックスする。
そこにはまあ快楽はあるんだけど、
これから自分が生きていくこと(=心)とは結びつかない…?
セックスの快楽を貪っているだけでは生きていけない…?

そのことに気づいて、
自分の性衝動と、ナムオクに対する気持ち(=心)とを
折り重ねていく…。


じゃあ、スインはどうして自殺したんだろう?
下の引用した解説にあるように、
女教師ジョンヘへの愛が成し遂げられないと思ったから…?

この作品は、
そういうふうに解釈されてもしようがないような側面を、
曖昧な側面を持っていることはたしかなんだけどさ。

私流に言うと、そうじゃなくて、
スインはどっちみちこの世界で生きられない資質だった、
宿命だった、
と考えたほうがいいと思うんだよね。

幼いころ無二の親友を亡くしてから、
緊張すると気絶するようになったという設定が
ものすごく面白いんだけど、

気絶するのは、じつは、
自分にとってすごく大切な場面に出くわしたとき、
自分はその大切なものを獲得できない、
ということのからだの表明(シグナル)なんだよね。

無二の親友を突然亡くした。
「我慢しきれない」ほどのジョンヘへの気持ちが断ち切られた。
無二の愛を失った。
もう生きられない…、と、からだが気絶する…、
死ぬ…、自殺する…、ということ…?

スインはもともと
そうした生存様式を生きてたということだよね。


言いかえると、
この世界(現実)をどうしても
自分の現実として受け入れることができない…?

自分はこの世界から
拒否されているという想いを根底で拭いきれない…?

もうすこし言うと、
無二の親友の事故死を自分にふりかかった現実として
受け止めることができなかったわけ。

だからスインは事あるたびに
その死んだ親友のことを思い出してしまう…。

で、ジョンヘに別れを言われたとき、
スインはそういう自分をはっきり知ったんだと思うのよ。

ジョンヘとの別れだけじゃなくて、
これからもこういうことは事あるたびに起こるだろうって…。

自分はこの世界を獲得することができない。
この世界は自分を受け入れてくれることはないだろうって…。

それで死ぬしかなかったんだと思うの…。


そういうスインって、じつは
校舎の屋上から投身自殺したハラと基本的には同じ…?

彼女も、
自分という存在を、
両親も、ジャヒョも、いや誰ひとりとして受け入れてくれない。
自分はこの世界から拒否されている。

そう感じたから死んだんだよね。
生きることができなかった…、死ぬほかなかった…。


同じように、
スインが生きられなかったのも、
もともと家庭的に失敗してるからだって言ってもいいんだけどさ。

実際、観てごらんよ。ものすごく不思議だから。
まだ高校生、大学生なのに、
家族の影が、両親の影がまったく見えないから…。

え?
もしかしてスインもジャヒョも「孤児」なの?
って思うから…。


その点でもナムオクはすごく重要な存在なの。

ナムオクがある日、ジャヒョに聞くのね。
どうして私のことについてなにも聞かないの?
知りたくないの?って…。

それでもジャヒョがなにも聞かないもんだから、
彼女、ある日、ちょっと旅行しようと誘って、ある田舎に行くの。

その田舎の小さな食堂に入ると、
おばさんがツケで飲んでるおっちゃんを追っ払ってる最中なんだけど、

ナムオクがそのおばちゃんを指してジャヒョにこっそり言うのね。
「あれがわたしのおかあさんなのよ」って…(笑)。

私のめちゃめちゃ好きなシーンなんだけどさ(笑)、
その人の家族に会うとだいたいわかるじゃない、
その人がどんな人間か…。

ナムオクは、その手を使って、
自分がどういう人間なのかジャヒョに教えたんだけどさ。


でもジャヒョもスインも、
そういう家族が、両親がぜんぜん描かれてないのよ。

まるで親に捨てられた「孤児」みたいに見えて…、
あ、これじゃあ、思春期に突き上げてくる性衝動を
どの方向へ向けていけばいいのかわからないだろうなあ
って思っちゃうんだよね…。


で、観終わったあと、ふと思ったことがあるの。

韓国は自殺率がひじょうに高い国なんだけど、
それってもしかしたら、ここで描かれてる
ハラやスインみたいな問題を抱えてるからじゃないかなって…。

韓国社会における「孤児」の問題って言ってもいいんだけどね。

いや、それだけじゃなくて、
韓国映画の大半がラブ・ストーリーなのも、
観客がラブ・ストーリーを好むのも、あんがい
この作品が描いてる問題と関係あるんじゃないかって…。

まだはっきりとはわからないんだけどさ…。


とりとめなく書いてしまったけど、
この作品、観てると、
そういうことをほんといろいろ考えさせられちゃうんだよね。

映画の完成度はそう高くないけど、
そういう意味でもすごくいい映画だと思うよ…。


あ、ペ・ドゥナはむろんだけど、
女教師ジョンヘをやっているチン・ヒギョンもすごくいいよ。

彼女、いまの韓国女優の中ではいちばん色気あるかもね。

私も参っちゃうもん…(笑)。


画像
左・ジャヒョ 右・スイン

●スクリーンさん
ひょっとしてチョン・ドヨンとペ・ドゥナとを
混同してお借りになったわけでは…?(笑)
韓国映画における二人の位置の取りかた、
私にもなんとなく似てるような気がしてますので…。
しかし、本作、ほんとにいい映画ですよね…。

●ひらいさん
ペ・ドゥナ、いいですよねえ。
韓国の女優さんの中では、いま私のいちばんのお気に入りです。
最近はもっと痩せちゃったんですか?
ちょっと気になります…。
韓国がギドク風に見えるとって…、そうか…。
ギドクは韓国のひとたちがいちばん正視したくないものを
描いているので、かえって国内では評価されないとか…?
もうすこしいろいろとご意見を伺いたいところです…。

ありがとうございました。

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ブログん家



■105分 韓国 青春/ドラマ/エロティック

監督: クァク・チギュン
製作: オー・エンシル
製作総指揮: チャ・スンジェ リー・ウォンギ チェ・ジェウォン
脚本: クァク・チギュン
撮影: ハム・スンホー
編集: キム・ヒョン
音楽: キム・スジュン ソン・シーヒョン

出演
キム・レウォン ジャヒョ
キム・ジョンヒョン スイン
ペ・ドゥナ ナムオク
ユン・ジヘ ハラ
チン・ヒギョン ジョンヘ
キム・ジュリョン
コ・ドゥシム ナムオクの母

近年、過激な性表現が話題を集めることの多い韓国映画。本作は、そうした過激なセックスシーンを織り交ぜつつ、繊細で複雑な10代の若者たちの姿をヴィヴィッドに描いたホロ苦い青春映画。主演は韓国の人気スター、キム・レウォンと「Interview」のキム・ジョンヒョン。R-18指定作品。
ソウルから故郷の慶尚南道ハドン(河東)の高校に転校してきたジャヒョは,スインと大の仲良しになる。スインは,友人の死を目撃した後,緊張すると深い眠りに陥る特異な症状を持っていたが,新任の国語教師ジョンヘを愛すようになり,症状が再発する。ジョンヘがスインの家に下宿するようになり,内省的なスインの思いは増すが,ジョンヘは思春期の彷徨とかたづける。
ジャヒョは,同じクラスのハラに引き摺られて初めての経験をするが,その後の混とんに耐えられずハラを疎遠にする。父の放蕩に深い傷を持つハラは,ジャヒョの態度に苦しみ自殺する。
同じ大学の同じ学科に進学したジャヒョとスインは,一つの部屋で暮らして変わりない友情を守るが,ふたりの大学生活は高校生活とは異なる姿だった。ジャヒョは,ハラとの初体験後,正常な性生活ができず,それに抵抗するように数多くの女性と情事を交わす。性病にかかって治療に訪れた泌尿器科で看護婦ナモクに会って一夜を送り,ナモクの慎ましく率直な魅力が忘れられなくなる。しかし,ハラとの過去から抜け出せないジャヒョは,ナモクの関心を努めて無視する。
一方,スインは,愛したジョンヘを忘れられず彷徨を続ける。カフェを運営する先輩ユニョンと衝動的な情事を交わすが,ジョンヘに対する懐かしさを大きくさせる。スインは,ジョンヘを訪ね,ニ人は一夜を送るが,結局,ジョンヘに成し遂げられない愛を感じたスインは,滝で自殺する。スインの葬式後,友人を失って悲しむジャヒョは,ジョンヘに会い,対話の中で自分をずっと待ってくれるナモクに真の愛を発見する。

この記事へのコメント

2009年10月21日 15:05
こんにちは。韓国穴場情報サイト「アナバコリア」です。
今回、「慶尚南道」から検索して来ました。

アナバコリアでは、韓国穴場(主に地方)情報を提供しています。
韓国旅行といえばどうしても、ソウル中心になりますが、韓国には他にも良い頃がいっぱいあります。
まだまだ、知られていない韓国の地方情報を楽しんでみてください。
スクリーン 
2009年11月07日 00:44
山崎様 
本作品は 3年ほど前に チョン・ドヨンの他の作品を間違って、知人より借りて 拝見。見てもみても ドヨンさんは出て来ず。なんと あのキム・レウォンの 凄いシーン @@ 何せ ビョンホンさんの 【純愛中毒】シーンにドキマキするほどウブですから、こんな若いお兄さんの全裸シーンには目を覆いたくなりました。(すみません 相手の女優さんペ・ドゥナさんとは全く気がつかず。いえ
痛々しさに目を覆ったのかも)

自殺がテーマではないのでしょうが、次々に若者が死んで行くのは辛い作品でした。社会的にそんな時代だったのでしょうか。
愛欲でも性欲でも食欲でも、金欲でも)なんでも良いかな楽しみを見つけ 生きる喜びを味わって欲しいです。死んだら何にも出来ないですよね。今 映画やドラマを通して、楽しみがたくさんあります。 

本作品 軽いタイトルに思えましたが、今回見直して、かなり思いテーマーだったんだなと改めて感じました。
ひらい
2009年12月16日 15:38
山崎さん!「私のペドゥナ・・・・」って!
私もペドゥナです!
最近、ペドゥナがちょっと痩せてて気になりますが・・・・・・。
山崎さんがこの映画から韓国社会を推察されている意見に共感します。
日本の中の韓国社会に接して生活しているので特に感じるのですが、韓国人のアイデンティティを日本のそれを持って理解することは難しいですねえ。
日常生活においては、お国柄という言葉で流すのですが映画を観ていてやはり考えてしまうことがあります。
この映画に出てくる主要人物は皆、狂気を内包していて危ういなあと思いながら観ていました。
そこがまたこの映画の魅力なんでしょうが・・・・。
うーん、なぜか韓国という国がギドク風に見えちゃうとドキッとします。(ダジャレじゃなく本当に)

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