チェイサー (2008)

[406]ソウルの坂道と路地なしにはこの映画は成功しなかった…?


画像
 

話題の「チェイサー」、やっと観れたよ。

めちゃ面白かったわ…。

物語的にはそんなに新鮮味はないんだけど、
つくりかたに隙がなくてしかも洗練されてる…?

で、これが監督デビュー作だってんだから、
もうびっくりしちゃったわ…?

と言っておきながら、
じつはあんまりびっくりしてないんだけどね(笑)。

だって、
ホ・ジノもデビュー作で「八月のクリスマス」を撮ってるし、
「許されざるもの」もユン・ジョンビンの第1作だったもん…(笑)。

むしろ飽きずに驚いてしまうのは韓国映画界の豊かさ?

映画界がひじょうに豊かだから、
デビュー作にしてすでにこういう優れた映画を撮る才能が
自然に集結しちゃうんだよねえ…。

むかしの日本映画界もそうだったんだろうけどさ、
そのことに改めて、驚いて、感動して、大嫉妬っ…!(笑)


ストーリーは単純。

元刑事ジュンホ(キム・ユンソク)が経営する
デリヘルに客から電話が入る。
ジュンホはその客に
ミジン(ソ・ヨンヒ)というデリヘル嬢を送る。

が、店の女の子が、
その客を相手にしたあと姿を消していることに気づき、
ミジンに注意しろと電話し、
ミジンが連れて行かれたその客の家を探しはじめる…。

客のヨンミン(ハ・ジョンウ)は、
住んでいる家へミジンを連れ込んだあと、
縛りあげ、彼女の頭蓋に金槌でノミを打ち込む…。

ヨンミンはじつは変質者で、
そうやってすでに10人近い女を殺し、庭に埋めている。
連れ込んだ先も教会で、牧師を殺し、そこに住みついているのだ…。

ミジンにノミを打ち込んだあと、ヨンミンは車で出かけようとする。
と、ミジンを探しに来たジュンホの車と追突事故を起こしてしまう。

ジュンホは、不審な受け答えをする相手の男が、
ミジンの客の男だとわかり、捕まえるのだが…、

みたいなお話…。


ヨンミンをやっているハ・ジョンウがすごくいいんだよね。
ぜんぜん異常には、変質者には見えないの。
ほんと、そのあたりにいる「普通」の青年…。

でも、やることはすごいの。
言ったけど、ミジンの頭部に金槌でノミを打ち込むの。
それも顔色ひとつ変えないで…。

観てると、怖いよお…。
サイコもの好きな私でも、ちょっとゾ、ゾ~ッとするもんねえ…(笑)。

そういう意味では、ほんと、
現代風の異常者をものすごくよく表現してみせてて、
うん、拍手ものだよ…。


でも、この映画の最大の見せ場は、
「テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった…」で
てっせんさんがコメントなさってたけど、

ソウルの一角にある「坂道」と「路地」…!

冒頭のほうで、
ミジンとヨンミンがソウルのネオン街で落ち合うの。
そこは平地…。
ということは、漢江のほとりってこと…?

そのあとヨンミンがミジンを乗せて、
狭い、曲がりくねった坂道を上がりはじめる。

まわりはソウルの庶民的な住宅街なんだけど、
その坂道の雰囲気がもうなんとも言えずいいんだよねえ…。

あとでジュンホの車と
ヨンミンの車が衝突するのもその坂道なの。

で、その坂道をヨンミンが坂上のほうへ逃げると、
ジュンホが追いはじめる。

ヨンミンは脇の「路地」に入る。
と、迷路のような路地が広がってる。

路地の階段を駆けあがる。
さらに路地は狭くなってる。
ひととひとの肩が触れ合いそうなくらい…。
ときにタルトンネ(月の村)を彷彿させるような家並み…。

わたしはべつだん路地観察者じゃないんだけど、
もう物語そっちのけで、その
坂道と路地のすばらしさに見惚れちゃったもんねえ…(笑)。

東京の下町の細い、入り組んだ路地が
坂になった光景を想像してもらうといいのかなあ…。

仕切ることのできない、混沌とした
人間の、それこそもっとも人間らしい息遣いが感じられる…、
そんな路地裏が広がってるんだよねえ。

路地って人間の血の管…?(笑)
都市という人体の動脈であり、静脈であり、毛細血管…。

それだけじゃないの。

ラストのほうで「あっ…」て思うのよ。
これがソウルなのかって…!

大通りのほうから、
平地のほうからカメラがその坂道を一望すると、
そこはそう大きいわけじゃないけど、山なんだよね。

坂道が山を上ってる。
その左右に住宅街が密集するような感じで広がってる。
で、その山のてっぺんに…、坂道を上りつめたところに、
ヨンミンが住みついてる教会が建ってるのよ…。

なんかねえ…、
ああ、これが韓国かあ…、韓国とキリスト教の関係かあ…、
って思っちゃう…?

ヨンミンが警察署で簡易鑑定受けるシーンがあって、
鑑定医に…、

おまえは性的不能者なんだろ。
それでノミ(=男根)を女の後頭部に打ち込んで
性的快楽を得てるんだろ…、

みたいなこと言われて、
ヨンミンが猛然と怒るシーンがあるんだけどさ。

かれが教会を乗っ取って?
そこで女たちを殺害し続けるのはたんにそういうことじゃなくて、

韓国の国教みたいになってるキリスト教とも関係あるんじゃないの?
って、どうしても思っちゃうよねえ。

実際、ヨンミンは、
刑務所で知り合った男のアパートに住んでるとき、
部屋の壁一面に、磔になったイエスの絵を描いてるんだけどさ…。

そのあたりのことは、
韓国のキリスト教についてもっと勉強しないと、
わたしにはなんとも言えないところなんだけどね…。

小難しいことなしに、
サイコ・サスペンスとして観てもほんと面白いよ。
これ観たうちの若い子も言ってたもんね、面白かったって…。

ただ、ちょっと付け加えてたけどね。
でも韓国の警察、マヌケ過ぎないすかねって…。

そうなんだよねえ。
痛いとこ突いてくるよねえ、うちの若い子も…(笑)。

おいおい、いくらなんでも
警察こんなにマヌケじゃないでしょうって思うので、
「これぞ映画」にはちょっと無理かな…?

ごめん…。(笑)

あ、この映画、ハリウッドでリメイクされるらしいんだけど、
どうなんだろうなあ。

この作品が成功したのは、
ソウルの坂道と路地が舞台だったからだとおもうんだけど、
アメリカにこういう坂道と路地裏あるのかよ…?(笑)

画像


●レイコさん
最初から最後までグ~ッと引き込まれて観てしまいますよねえ。
そのあたりほんととてもすごい映画だと思います…。
ハ・ジョンウ、派手な俳優じゃないから
そんなに目立たないんですけど、私はお気に入りなんですよ(笑)。
「許されざるもの」や「絶対の愛」などもすごくいいです…。
しかしレイコさん、このサイコ・スリラー、
よく最後までごらんになれましたねえ。
男の私だってちょっと怖かったのに…(笑)。

●てっせんさん
私がちょっと感動したのは、ラスト、
水槽が割れて、中にあったミジンの生首がゴロンと
床に転げたシーンですねえ。
50数年の間に観た映画の中では、
最高に美しい生首でした…(笑)。
この映画でいちばん気になったのはやはり「教会」でした。
ジュンホがヨンミンの兄夫婦を尋ねるところがありますけど、
ヨンミンと兄、もしかしたら「孤児」なのかな?って気がして、
いっそう気になりましたねえ…。

●ゆかさん
映画館でひとりで観て後悔なさったんですか。
よ~くわかります(笑)。この映画、大スクリーンで観たら
めちゃくちゃ怖いだろうなあと思います…。
ほんと、ミジン、せっかく逃げ出したのに、
あんなに近いとこに逃げ込んじゃだめですよね。
あのお店の雰囲気、女主人の雰囲気で、
私もヤバッ!と思いました…。
そのミジンを発見して、こんどは金槌で殴り殺す。
いやあ、私もほんとにゾ~ッとしました…。

●ひらいさん
はじめまして。
そうですね、言われてみると、走るシーンが多くて、
しかもカッコいいですね。
この映画も路地の追っかけシーン、とても印象的です。
しかし「黒水仙」、イ・ジョンジェというだけで2位ですか…(笑)。

ありがとうございました。

クリッとしていただけると嬉しいです
使い捨てコンタクトレンズ★安い・早い・確実にお届け★
デメカル血液検査キット


にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村

ブログん家



■125分 韓国 サスペンス/アクション/犯罪

監督: ナ・ホンジン
脚本: ナ・ホンジン イ・シンホ
撮影: イ・スンジェ
音楽: キム・ジュンソク チェ・ヨンラク

出演
キム・ユンソク ジュンホ
ハ・ジョンウ ヨンミン
ソ・ヨンヒ ミジン
チョン・インギ イ刑事
パク・ヒョジュ オ刑事
キム・ユジョン ミジンの娘
ク・ヌボン ジュンホの子分

デビュー作にして韓国の映画賞を席巻し、すぐさまハリウッドでのリメイクも決定した驚異の新人ナ・ホンジン監督による衝撃のクライム・サスペンス。風俗店を経営する元刑事と連続猟奇殺人犯との緊迫の攻防を、巧妙な脚本とパワフルかつスピーディな演出でスリリングに描き出す。主演は「ヨコヅナ・マドンナ」のキム・ユンソクと「絶対の愛」のハ・ジョンウ、共演に「連理の枝」のソ・ヨンヒ。
デリヘルを経営している元刑事のジュンホは、店の女の子たちが相次いで失踪する事態に見舞われていた。やがて最後に会ったと思われる客の電話番号が同じ事に気づくジュンホ。そして、その番号は直前に送り出したデリヘル嬢ミジンの客とも一致していた。ほどなくミジンとの連絡が取れなくなり、心配したジュンホはミジンの行方を追う。すると、通りで不審な男と遭遇する。そして、男が問題の電話番号の持ち主であることを突き止めたジュンホは、格闘の末に男を捕縛、2人はそのまま駆けつけた警官に連行されていくのだが…。

この記事へのコメント

2009年10月22日 10:10
山崎さん、おはようございます。

映画館の大きなスクリーンで観ました。
確かに暗い路地裏を追いかけられる夢を見てうなされてしまいそうな映画でしたね。
主人公の活躍を際立たせるためもあるのでしょうが、お決まりの「地元警察は無能」方式、確かのその点があまりにドタバタでしたよね。
でも、そのあたりを差し引いても、ざわざわと鳥肌立つような恐怖が続く怖さでした。
なんといっても、殺人犯役のハ・ジョンウさんのキリキリとした狂気だけではない、どんよりとした無表情がとても恐かったです。

先週、映画祭を見に釜山に行ったのですが、野外舞台のオープントークにハ・ジョンウさんが出演なさいました。
チェイサーの殺人犯役の方だ!(ちょっと恐いかも)などと思ったのですが、とても優しそうな人のいいお兄さんという雰囲気の方でした(笑)
やっぱり、全く別の顔を作り上げることが出来る俳優って素晴らしいですよね。
てっせん
2009年10月23日 23:40
今晩は
私は、こういう映画は大丈夫なんですよねえ・・・ホラーはコワクってしょうがないですけど・・・(笑)。グロなのもイヤですけど、この映画は、ノミを打ち込もうとするシーンは決してグロな描き方ではないのでゲッと思いつつも正視できました。むしろ浴槽の排水溝にひっかかってる肉片の付いた毛髪とか、最後の方で金槌を何度も振り下ろすシーンでは、グムウッと顔をしかめちゃいましたねえ・・・(笑)。それと、女刑事をからかうシーンもコワイのと、ヘンに性的な迫真力のあるシーンでした。

この映画の見所は山崎さん、そしてkさんのおっしゃるとおり、あの坂道と路地ですよね。ロケは、坂のある高級住宅街と、どうやらかつて(今も?)タルトンネだったらしい路地の二つの場所でおこなわれて、ああいう映像になったらしいです。うろ覚えで間違ってるかもしれませんが・・・(笑)。で、この路地での追っかけシーン、「NOWHERE 情け容赦無し」の路地追っかけシーンと較べるのも面白いです。実際に訪れて歩き回ってみたいなあと思ったのは、「情け容赦無し」のほうですが・・・。

もう一つのポイントはやはりこれも山崎さんおっしゃるとおり、監督の、韓国におけるキリスト教に対する批評意識みたいなものなんでしょうね。この点は私もよく、つかみきれませんでしたけれど。

あと、警察がまぬけすぎるという点、ちょっときいたふうないい方をさせていただけば(笑)、最近の冤罪事件からもわかるように、まぬけで、そのまぬけさを自覚することも反省することもない権力ほど怖ろしいものはないということでしょうか・・・。ただこの作品では惜しいことに、、権力のその種の怖さをチラッとでも観客に印象づけることはできていなかったですけれども・・・。
ゆか
2009年10月29日 19:52
こんばんは。
私はこの映画を映画館で観ました。
事前に何の予備知識も無く、
「最近韓国語を習い始めたから、
 韓国映画を大きいスクリーンで観たいなあ」
と軽い気持ちで一人で映画館に行ったのですが・・。
こんなに恐ろしい映画だったとは
一人で来たことをも~のすごく後悔しました…。
もう「警察が間抜けすぎる」
なんて冷静に考える余裕もなく、
「そんな近くに逃げ込んじゃだめ!
 もっと遠くに行かなきゃ!」
と必死に心の中でミジンに叫んでました
きっと監督の意図するがままに、ド直球に反応した
観客だったと思います…。
ほんと怖かったです。

2009年11月21日 15:36
山崎さんはじめまして。

韓国映画に魅せられ、どっぷりと情念の世界を堪能している日々を送っています。
この作品を観てつくづく思うのですが、韓国の俳優さんは走るシーンがかっこいいと思いませんか?
ということで韓国映画疾走ベスト3
『殺人の追憶』刑事3人が被疑者を追いかけるシーン。キム・サンギョンがソン・ガンホを追い抜く姿がかっこいい。
『黒水仙』のイ・ジョンジェ。イ・ジョンジェというだけで2位です。
『チェイサー』かな。
順位はあまり関係ありません。

この記事へのトラックバック

  • ■チェイサー

    Excerpt: 衝撃の2時間が、この瞬間から始まる!! 久し振りの韓国大作! 宣伝で見たときから凄く楽しみにしてました。 まず、この作品。 有名な俳優さんは多分出ていません。(少なくとも私は知らない人ばかり.. Weblog: 映画レビュー (MOVIE STYLE) racked: 2010-08-15 13:30