水の上の一夜 (1998)

[423]私はシャチだという娼婦フィービーに涙が止まらない…?


画像


いい映画だなあ。

韓国映画ラブストーリーに
久しぶりに思い切り泣いちゃったよ…(笑)。


舞台はカナダ…。

カナダの投資会社に勤めるソンハ(ユ・ジハ)が
無理な投資に失敗して解雇され、
ヤケになって酒と賭博に溺れる。

そんなある夜、
地下鉄の駅でフィービー(イ・スンヒ)という女に出会い、
一夜、ベッドをともにする。

彼女、じつは韓国人で、娼婦である。

父親は漁師で、フィービーが幼いころ漁に出て遭難死する。
母親はフィービーを連れてカナダに渡り、再婚する。
フィービーはその母親の夫(義父)に性的虐待を受ける。

彼女はその傷が癒えず、長じると娼婦になったのだ…。

なんどかホテルでベッドをともにするうちに、
彼女はつかぬことを言いだす。

あたしはシャチ(鯱)なのよ。
子どものころ、クジラの歌を聴いたこともあるの、と…。

ソンハはそんなフィービーを愛するようになる。
彼女も、自分をはじめて愛してくれたソンハを…。

フィービーにはご多聞にもれずヒモがいるのだが、
二人はやがてその男から逃亡し、新しい住まいを借りる。

ソンハはカナダ人の叔母(じつは母親?)にも
彼女を自分の恋人として会わせる…。

やがて妊娠するが、フィービーは中絶したいと言う。
いまは幸せだけど、この幸せがいつまでつづくか分からない。
恋はいつかは終わるものだから、と…。

中絶は思いとどまるが、
ソンハが働きに行っているあいだ、
ひとりで夜の街へ出てまたアルコールに溺れはじめる。

生まれてはじめての幸せな暮らしに慣れない…、
かえって不安になるから…?

それだけではない。
彼女はじつはアルコール中毒、薬物中毒でもあったのだ。

男にまたからだを売ろうとする。
だが男には妊婦は買わないと言われる。

フィービーは自分に見切りをつけ、
以前から持っていた銃で自殺を図るが、
病院に運び込まれ、あやうく一命をとりとめる。

このとき帝王切開をして子どもが生まれる…。

傷が癒えたあと、
ソンハが旅行に誘うと、フィービーは海に行きたいと言う。

二人は子どもを叔母に預け、旅行に出る。
海へ行き、船に乗る。
と、近くをシャチの群れが泳いでいる。

フィービーは
ソンハにタバコを買ってきてとお使いを頼み、
彼がデッキから姿を消すと、海に身を投げる。

そうしてまるでシャチのように海中を泳ぎはじめるが、
やがてコト切れ、海深く沈んでいく…。


この映画を観てすぐに思い出すのは、
太宰治の「魚服記」という短編。

炭焼き小屋で父親とふたりで暮らしている
スワという少女が、
雪の降る夜、父親に犯され、
近くの滝に身を投げてしまうお話。

水の中でスワは「お魚」になり、
しばらく楽しそうにあちこちを泳ぎまわるのだが、
最後は自ら、滝つぼに落ちていく…。

スワが自死したのは、
生きていることになんの意味も見出せないから。
そんな自分を自分として受け入れることができないから…。

フィービーがそのまま、
その少女スワに重なってみえるんだよね。

彼女が自分はシャチだというのは、
人間である自分を受け入れられないから。

自分が人間だった以前に、
お魚だった時代に戻りたいとおもっているから…。

母親の胎内に宿る、それ以前の自分に戻りたい。
前世に退行したい…?
つまりはスワ同様、死にたい、ということなんだけどね…。

実際、
売春婦として夜の街をさまよう彼女は、
暗い海のなかを泳ぎまわるシャチ(鯱)に見えてくるんだよね。

そうやって、ずっと昔、シャチだった自分が聴いた
あのクジラの歌を求めてる…?

そんなときに出会ったのが、
やはり他国でひとり異邦人として暮らしているソンハ…。

「愛している」と言う彼の声がじつは、
そのクジラの声だった…?

いやあ、妄想が勝手に膨らんでくるのは、
この映画がそれだけいい映画だって証拠だよね…(笑)。


フィービーを演じているのは、
1996年に東洋人として初めて
「プレイボーイ」の表紙モデルに選ばれたイ・スンヒで、
これが国内映画デビュー作らしいんだけど、

いやいや、ちょっと東洋人離れしてて、
めちゃくちゃセクシーなんだよね。

とくにラスト、
シャチになって海中を泳ぐシーンなんて圧巻。

本人なのかスタントなのかわからないけど、
泳ぎまわる肢体がほんとシャチみたいで、
観ててなんだか涙止まんなくてさ…。

「プレイボーイ」の表紙を飾った女、
というイメージを損ねちゃいけないという
監督の配慮もあって?(笑)
全裸のはげしいセックスシーンもけっこうあるんだけど、
こっちもきれいに撮れてて、ちょっと感動的だよ…。

まあ、難を言えば、
相手役のユ・ジハがもうひとつだったかな…?
ちょっと臭すぎるんだよね(笑)。

こういう役こそ、われらがイ・ジョンジェだったかも…?(笑)

まだごらんになってない方、
いやいや、超おすすめのラブ・ストーリーです…!

画像


クリッとしていただけると嬉しいですスキンケア

オリジナルゴルフグッズならmy caddie WEB SHOP!


にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村

ブログん家



■100分 韓国 エロティック/ドラマ

監督: カン・ジョンス
原作: キム・ジェシク
脚本: カン・ジョンス
撮影: シン・オッキョン

出演
イ・スンヒ
ユ・ジハ
ユン・ヒジョン
ジョディ・トンプソン
ジェフ・アンダーソン

1996年に東洋人として初めて<プレイボーイ>の表紙モデルに選ばれて話題を集め,イ・スンヒ症候群を起こしたイ・スンヒが,国内映画にデビューするエロチック・ムービー。
大学で経済学を専攻してカナダの投資会社に入社したペク・ソンハは,有色人種に対する見えない偏見と嫉みにもかかわらず,本能的な投資感覚と果敢な決断力で会社で最も認められるディーラーに成長する。しかし,自分の感覚だけを信じて無理な投資を敢行したソンハは,会社を破産状態に追い込んで解雇通知を受ける。
絶望に陥り,ますます酒と賭博に陥るソンハは,地下鉄の駅で偶然にフィービーという女性に会い,一夜を送る。フィービーは,幼い時に養父から性的虐待を受けて治癒できない傷を負って生きている娼婦。ビビにとってテキーラとセックスと麻薬は,生を支えてくれる 手段であり,苦痛を忘れるための唯一の脱出口だ。他国で暮らし常に異邦人としての孤独と彷徨を感じていたフィービーとソンハは,お互いの傷を包んであげて難しい曲芸のような愛を始める。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック