火宅の人 (1986)

[452]ばかをやってしまう人間だからこそ愛した壇一雄と深作欣二…?

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東映の監督でいちばん好きな監督は…?

超難問だなあ。
東映は子どものころから観まくってるからなあ…。

一時期、熱狂した監督したという意味では、
まあ、この作品の深作欣二かもしんないけどね。
もちろん「仁義なき戦い」の前後…。

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この「火宅の人」は、
いうまでもなくその深作監督の後期(?)の大傑作。
観たのは3度目…?

封切当時、
え、なんで深作が壇一雄なのよ、文芸ものなのよ?
って一瞬首をかしげたんだけど、

映画館行って、観て、おお、やっぱりわれらが深作だぜ、
見ろよ、このエネルギー、この実録、このハート!
って興奮したのよく憶えてるなあ…。

あ、ちなみにわたしの書いてきた「犯罪フィールドノート」、
じつは半分は深作監督の「実録映画」の真似だからね。
ん? 半分以上…?

演劇批評家やジャーナリストは、
そういうこと全然言ってくれないんで自ら告白しとくね…(笑)。

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しかし、久しぶりに観たんだけど、やっばりいいよねえ。
物語の展開、スピート、緊張感、そしてその映像…、
どれをとってももう超一級…。

韓国の監督でこの域に達してる監督は、
わたしが観た中ではイム・グォンテクくらいかなあ…?

タランティーノやジョン・ウーが
深作を敬愛してやまないのはよ~くわかる?
あ、世界の片隅ながらわたしもなんだけどさ…(笑)。

ストーリは長くなりそうなので書かないけど、
壇一雄(映画の中では桂一雄)が愛した三人の女とのお話。

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後妻で5人の子どもを育てたヨリ子(いしだあゆみ)。

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同郷から上京してきた新劇俳優の矢島恵子(原田美枝子)。

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そしてやはり九州は五島列島出身のホステス葉子(松坂慶子)。

いやあ、みんなめちゃくちゃいい女なんだよねえ。
三人に嵌っちゃって、決められないままズルズルしてしまう
桂一雄(緒形拳)の気持ちがほんとよ~くわかる…?(笑)

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圧巻は、恵子にアパートを追んだされて、
途中、偶然再会した葉子と九州を放浪するシーン…。

映像的にはイメージ・ショットが続くんだけど、
それまでの物語がものすごくしっかりしてるから、
じつに生き生きしてるんだよねえ。

どうしようもない桂と葉子…、
いや、どうしようもない桂や葉子たちだからこそ、
荒々しい大自然の中に置かれると、すごく愛しく…、
時には神々しくさえ見えてくる…?

そのあたりの描写にはもう
「深作っ! 深作っ!」て大声で声かけたくなっちゃうよねえ。
監督、もういないんだけどさ…。

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場面で言うとさ、
葉子が、養父(山谷初男)に犯されて子どもを死産した過去を
告白したあと、
堤防の突端で桂が話すシーン…。

葉子の半壊したような実家で、
一夜、養父と養母の世話になった桂はこう言うんだよね。

  人間ってイキモノはばかなことばっかりやらかすんだよね。
  でもぼくは、そのばかなところを大事にしたい…。
  いろいろな悲しみや苦しみさえ楽しみながら、
  おめでたく生きていきたい。
  君も、君のおっかさんも、おとっさんも、
  ぼくにはすごく好きなひとたちだな…。

井上堯之の音楽がちょっと甘すぎる気がしないでもないけど、
このシーンのことばに尽きる…?
ここには深作欣二のすべてが込められている…?

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そのあとの2人の放浪のイメージ・ショットは、
深作のそれを表現してて、観てると、
哀しくて、嬉しくて、胸が締めつけられちゃうんだよねえ。

そうなんだよねえ。
若いころ深作に嵌ったのもそういうところだったんだよねえ。
わたしが「深作っ!」って声かけたくなるのわかるでしょ…?(笑)

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それに、なんたって葉子やってるの松坂慶子なんだよ、
大映時代、イソギンチャクなんてばかなことばっかりやってた…。
それ観てたわたしに泣くなって言うほうが無理だぜ…?(笑)

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松坂慶子、万歳! だよねえ…。

日本脳炎を煩った次男の次郎を育てていく
いしだあゆみもほんと絶品だよねえ。
とくに信仰宗教にとり憑かれていくところなんか最高…。

おまけに最後は「ごめんね、ジロー」だもん。
監督、ふざけてんだかなんだか…(笑)。

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しかしさ、いま思うと、桂のこの三人の女との話、
深作さんは壇一雄じゃなくて
自分の話として描いたのかもしんないね…(笑)。

まさか、この傑作、観てない映画ファンはいないと思うけど、
時間があればぜひもう一度…!


●ひらいさん
お忙しい中、映画ごらんになったり、コメント下さったり、
ほんとにありがとうございます…(笑)。
わたしもいま学生の試験の採点が忙しくて、なかなか
更新できない状態なんですが…(笑)。
「鬼畜」の岩下志麻、よかったですよねえ…!
わたしも久しぶりにまた観ようかな…(笑)。
韓国映画が細部にズサンなのは、韓国映画が若いっ!
ってことじゃないでしょうか…(笑)。
若い。生命力に満ちてる。あした(未来)への活力に満ちてる…。
比して、日本は老いてる。生きる主題を失ってしまってる…。
そのあたりがいちばん違うような気がしてるのですが…(笑)。

ありがとうございました。

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■132分 日本 ドラマ/文芸

監督: 深作欣二
プロデューサー: 豊島泉 中山正久
企画: 高岩淡 佐藤雅夫
原作: 檀一雄 『火宅の人』
脚本: 神波史男 深作欣二
撮影: 木村大作
美術: 佐野義和 秋吉泰海
編集: 市田勇
音楽: 井上堯之
助監督: 藤原敏之

出演
緒形拳 桂一雄
いしだあゆみ ヨリ子
原田美枝子 矢島恵子
松坂慶子 葉子
利根川龍二 一郎
一柳信之 次郎
大熊敏志 弥太
谷本小代子 信子
浅見美那 滝
檀ふみ 桂一雄の母
石橋蓮司 桂一雄の父
伊勢将人 一雄の幼少期
宮城幸生 刑事
蟹江敬三 主任
野口貴史 幹事
相馬剛三 医師
下元勉 病院の主事
井川比佐志 壷野
荒井注 苅田
下絛アトム 中島
山谷初男 葉子の養父
宮内順子 葉子の養母
真田広之 中原中也
岡田裕介 太宰治

家庭を捨て、新劇女優と同棲するなど、苦悩を抱えながらも自由奔放に生きた放浪の作家・壇一雄の自伝的同名小説を「蒲田行進曲」の深作欣二監督が映画化した人間ドラマ。作家・桂一雄は、先妻に先立たれ後妻としてヨリ子をもらう。ヨリ子は腹違いの一郎をはじめ5人の子どもを育ててきた。が、子どものひとりが日本脳炎にかかり重い障害が残ってしまうと、怪しげな宗教にすがるようになっていく。同じ頃、一雄は新劇女優の恵子の虜になり、やがて家を出て恵子と同棲を始める……。


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この記事へのコメント

ひらい
2010年01月31日 22:50
こんばんは

先週より福岡、東京と仕事であっちこっちしておりました。たまたまですが福岡で壇一雄の石碑を見る機会もあり、山崎さんのこの記事も見ていましたので、次の東京で鑑賞しました(2回目でしたが)
『火宅の人』で緒方拳を観たのと部屋から見える東京タワーではっ!として、野村芳太郎の『鬼畜』もついでに観ました。
どちらの作品も心揺さぶるんですよねえ。名監督の演出に応える役者!特に『火宅の人』の松坂慶子と『鬼畜』の岩下志麻は強烈に揺さぶります。

今でも日本映画を観ますが揺さぶってくれないんですよねえ。うまくまとまっててよくできてるんだけど、細部にズサンな韓国映画の方が面白い!
どうしてですかねえ?山崎さん?

失礼しました。

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