ジャコ萬と鉄 (1964) ※重複記事

[460]ロッセリーニの洗礼を受けた深作欣二の初期の大傑作だよ…!
(この記事は重複しています)


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深作欣二さんに一度だけ会ったことがあるの。
羨ましい?
ごめんね…(笑)。

1995年の10月。
わたしが水戸芸術館で
「サティアン-オウム真理教事件」という舞台を
作演出したとき…。

観に来てくだすったんだよねえ。
しかも2日続けて…!

どうしてわざわざまた?って聞いたら、
「私も麻原撮りたいんだよ」だって…!
たまたま水戸の実家にでもお帰りになってたんだろうけど…。

しかし嬉しかったねえ。
わたしゃそのころ、
てめえはオウムの味方かって四面楚歌状態だったからさ(笑)。
「みなさん冷静になりましょう」ってコメントしてただけなのに…。

だから遺作「バトル・ロワイヤル」は、
オウム撮るかわりに撮られた映画じゃないかって
わたしはひとりいまだに思い込んでるとこあるの。
事情があってオウム事件撮れなくてさ…。

それはともかくその時、
「深作さんは影響された監督っていらっしゃるんですか」
って聞いたら、なんて返ってきたと思う…?

ロベルト・ロッセリーニ…。

わたしは「あっ…!」と脳天に直撃食らったよ(笑)。
初期作品のこの「ジャコ萬と鉄」や「狼と豚と人間」
思い出してさ…。

そう言やあ作風ロッセリーニだよなあって…?

つうても、わたしはロッセリーニ、
そんなにたくさん観てるわけじゃないんだけどね。
代表作のほとんどは
40年代から50年代にかけて撮られてるから…。

この映画の存在を教えてくれたのは、じつは友人の故・島利之…。
71、2年ころ…。

それから数年後やっと映画館で観たんだけど、
いやあ、ちょっと身震いしちゃったよねえ…。

先に言っとくと、
この作品じつは、1949年に、
東宝の谷口千吉監督が撮った作品のリメイク版なの。
それで脚本に黒澤明の名前があるわけ…。

で、ストーリーの軸は、
ニシン漁の網元・九兵衛のところへやってきた
ヤン衆(出稼漁夫)らの争議騒動なの…(笑)。

時も1946年…。

その騒動に、九兵衛に恨みをもつジャコ萬というマタギと、
戦争から帰ってきた九兵衛の次男・鉄が絡んできて、

最後、ヤン衆ら(労働者側)が
不当に抑えられていた賃金値上げを勝ち取るという結末。

なんでそういう話なのかっていうと、
当時、東宝は労働争議の真最中だったからっていう噂…?(笑)

そういう意味では、
物語はまあ古典的というか予定調和的なんだけどね。

これもついでに言っておくと、
黒澤明は、ジョン・フォードの
「わが谷は緑なりき」(1941年)みたいなの創りたくて
この脚本書いたんじゃないかって私は疑ってる(?)んだけどね…。

いちおう原作はあるんだけどさ…。

その谷口作品はわたしは観てないんだけど、

この深作作品、映像のすばらしさと、
画面から溢れてくるエネルギーにほんと圧倒されちゃったんだよね。

しかも、いま観ても全然変わんない…!

終戦直後、
凍てつく冬のカムイ岬から九兵衛(山形勲)が沖合いを睨んでる。

ニシンを待ってるんだけど、
ヒゲ男・山形勲の面構えと怒声でもうしびれちゃうんだよね(笑)。

子どものころ、わたしゃ
この山形勲がやる家老がいつも怖憎(怖い憎い)だったなあ…(笑)。

そこへドドドッと津軽から、秋田から、
ニシン漁の出稼ぎにやってきた男たちが現れ、番屋へ入る。

その中にじつは、
樺太で九兵衛にひどい目にあった
ジャコ萬(丹波哲郎)が紛れ込んでて、九兵衛がギョッとなる。
復讐に来たわけ…。

ジャコ萬、片目のマタギなんだけどさ、
丹波さんがやると、どうも銀座界隈のギャングみたいだよねえ(笑)。
でも丹波さんいると、それだけでもう場が熱~くなるつうか…(笑)。

もうひとり、大阪弁つかう優男が混じっている。
江原真二郎がやってるんだけど、
浮気した女を殺したムショ帰りの男で、
流れ流れてとうとう北端のカムイ岬まで来ちゃったのね。

最後は結局、結核で、血を吐いて、無縁仏になるんだけどさ。
ラスト、カムイ岬の
三月の風に吹かれるこの無縁墓のシーン、
映像的にも絶品だよ。

あ、江原真二郎というと、
温厚な紳士然としたイメージもつかも知れないけど、
このころは熱いよお、東映調だよお、いいよお…(笑)。

そんな緊張を孕んだ番屋へ、ちょっと遅れて帰ってくる男がいる。
そう…、鉄…、若き日のわれらが健さん(高倉健)!
九兵衛の次男坊で、南方で戦死したって思われてたんだけどね。

ついでにほかの主な人物を紹介しておくと、

長男で、鉄の兄貴の大阪史郎。
この大阪史郎もいいよお、笑えるお、絶品…!

大阪史郎の嫁さんの南田洋子。
大阪史郎にこんな美人の嫁来るわけねえだろ?
とは思うけどさ(笑)、ちょっとひねた感じが抜群…。

九兵衛の母親で、鉄のおばあちゃんの浦辺粂子。
もう何も言うことないよね、いつも最高の日本のばあちゃん…!
わたしゃこのひとには無条件に拍手なの…(笑)。

そしてジャコ萬のストーカーをやってる、高千穂ひづる…。

ああ、わたしは高千穂ひづるさんに会うだけで涙出るのね。
錦之助や千代之助と時代劇やってる高千穂ひづるは、
子どものころ、わたしの心のお姉さんだったから…。(笑)

ちなみにおかあさんは高峰秀子。
あ、前に言ったか…(笑)。

こういう大スターさんたちが、
大部屋俳優さんたち一緒にカムイ岬でニシン漁やるのよ。
からだ張って、舟漕いで、荒くれた漁師を…。

それも深作監督の
「行けー!!」「やれー!!」「死ねー!!」と怒鳴りまくる演出のもと…!

あ、監督は現場でいつもそう怒鳴りまくってるだけだった
というエピソードがあるもんだからさ…(笑)。

いや、実際、そんな感じ…、映像もテンポも…。
これ以上になく、太くて、シャープで、
和太鼓の連続打ちみたいなリズムというか、呼吸というか…。
ロッセリーニをもっと図太くしたような…?

いやあ、ラストまでもう一気に観ちゃうよねえ。

中でも私が最高に好きなシーンは、
網下ろしをやる前祝いだといって番屋で宴会をやるシーン…。

みんなで景気よくソーラン節を歌う。
一転、大阪史郎の尺八に男どもが故郷を想いしみじみとなる。
さらに一転、こんどは鉄が…、あの健さんが、

南洋人に教わった踊りだといって、
けったいな、リズムのいい踊りを踊りはじめる。

寡黙な健さんのイメージしかないひとはぶったまげるだろうけど、
めちゃくちゃひょうきんで、笑えるんだよ~…(笑)。
全編、ペラペラよう喋るしね。

と、そこへジャコ萬が横槍を入れてきて、
ジャコ萬と鉄とが初対面のケンカをおっ始める…?

黒澤の台本もいいけど、
深作演出も、もう見事というしかない名シーンだよねえ…。

あ、書いてると止まらなくなりそうなので止めるけど、
「恐喝こそわが人生」と並ぶ深作欣二の初期の大傑作だよ。

今村昌平がこの映画撮ったら土着的で、
ちょっとベタつくというか、ねばりっけのある映画になるだろうけど、

深作監督の手にかかると、
いかにもロッセリーニの洗礼をうけた
ひどくモダンなヌーヴェル・ヴァーグ映画になっちゃうんだよねえ。
そこがわたしにはゾクッとくるの。たまらんのっ…!

もちろん必見の映画…。
深作欣二は「仁義なき戦い」ばかりじゃありません。
というか、ここにはもう「仁義なき…」が胚胎してるんだよ…。

あ、ちなみに、これ、白黒映画だから…。

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カムイ岬

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■100分 東映 アクション

監督: 深作欣二
企画: 関政次郎 植木照男
脚本: 黒澤明 谷口千吉
撮影: 坪井誠
美術: 近藤照男 中村修一郎
音楽: 佐藤勝

出演
高倉健
丹波哲郎
江原真二郎
山形勲
高千穂ひづる
南田洋子
大坂志郎
入江若葉

昭和21年・北海道。ニシンの漁期に出稼ぎ漁夫が集まってくる頃。九兵衛(山形勲)は稀に見る大博打のために漁夫を雇わせたが、その中に樺太帰りの男、ジャコ萬(丹波哲郎)がいたことに驚いた。彼は九兵衛に置いてきぼりにされ、死線を彷徨ったのだ。時を同じくして、死んだと思われていた九兵衛の息子、鉄(高倉健)も帰ってきた。酒宴でジャコ萬に喧嘩を売られ、その場は軽くいなした鉄であったが、己の保身に走り他を顧みない父のやり方に疑問を持つ。そして、漁夫たちのあいだに不信の念が広がってゆく…。1949年、谷口千吉作品のリメイク。



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