さらば、わが愛/覇王別姫 (1993)

[458]チェン・カイコーが京劇役者の生涯に重ねて描いてみせた中国の激動史…。


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最近、ちょっと韓国映画はずれてるし、
ビョンホン観たいけどドラマ観る時間ないし、
と思って観たのがこれ。

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ビョンホン代わりにレスリー・チャン。

と言っちゃレスリー・チャンに申し訳ない気もするけど、
「花の生涯」観たあとでもあったしさ。

7、8年ぶり?
そのころはレスリー・チャンとコン・リーばっかり観てて、
チェン・カイコーなんてほとんど無視してたよなあ。

申し訳ない(笑)。

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しかし、ほんと素晴らしい映画だよねえ。

遊郭の女の子どもとして生まれ、
京劇の親方に預けられた小豆(のちに程蝶衣)。
いじめられる小豆をかばう石頭(のちに段小樓)。

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兄弟みたいにして育った二人は過酷な修行を積み、
やがて京劇「覇王別姫」を演じる人気役者に成長する。

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が、段小樓が遊女の菊仙(コン・リー)に出会うことで
それまでの関係に狂いが生じはじめる。

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楚の悲劇の王と姫の物語を演じてるうちに、
程蝶衣が段小樓を
女として愛するようになってるからなんだけどね。
普通の三角関係より複雑化したその三人の関係を、

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反日戦争、国民党の支配、共産党支配、
そして文化革命という中国の激動の時代と絡ませながら描いていく。
そのあたりがまあ見事というかさ。

京劇の「覇王物語」は、覇王と姫のいわば二人の物語。
そこへ菊仙を登場させることで、

覇王・姫=段小樓・程蝶衣。
覇王・姫=段小樓・菊仙。

みたいになっちゃう…?

で、その段小樓・程蝶衣・菊仙の三人は、
激変する時代に晒され、
それこそ覇王と姫同様「四面楚歌」の状態になっちゃう…?

三人が現代の覇王別姫として浮上してくるようになってる…?

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最後、文革の波に晒されたとき、
処刑を恐れてお互い裏切りあうから、
現代の覇王別姫は京劇の「覇王別記姫」みたいにはいかなかった、
ということにはなってるんだけどさ。

ま、そうすることでチェン・カイコーは、
命と愛を翻弄する政治(共同幻想)を断罪したかったんだろうな
って気がしてくるんだけどね…。

例によって映像がいいよねえ。
ほんと、身震いしちゃうよ、どこ取っても…。
非の打ち所がないってこういうことかって思うよ。

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で、わたしのレスリー・チャン♬

チェン・カイコーが
姫を演じる程蝶衣をレスリー・チャンに配役した時点で
この映画の成功はもう90%約束されたようなもんだったよね(笑)。
レスリー・チャンにもこれ以上の適役はなかったかも…。

そう言えば、レスリーが
男を愛する役はこの映画が初めてだったのかな…?
このあと名作「ブエノスアイレス」があるけど…。

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それはともかく、
段小樓が芝居を離れて、
程蝶衣がアヘンに嵌るシーンがあるんだけど、

そのときの
耽美な世界に陶酔するレスリーの表情はいやいやもう最高、
なんともいえず妖艶でさ…!

われらがビョンホンもさすがに
こういうホモセクシャルな陶酔感までは出せない…?(笑)

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そのあと菊仙が、アヘンを断って苦しむ
程蝶衣を抱きしめて涙流すシーンがあるんだけど、
そんときのコン・リーの表情がまためちゃくちゃいいんだよね。

それと、段小樓が
紅衛兵らに自己批判を迫られて菊仙を裏切るんだけど、
そのときのコン・リーの表情…。

その名状しがたい表情の素晴らしさに見惚れて、
こっちは泣く暇もないわ…(笑)。

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段小樓やってるチャン・フォンイー もいいよお。

コン・リーとは「始皇帝暗殺」でも共演することになるけど、
舞台降りると、なんか頭弱くて優柔不断なやつでさ…(笑)。

でも、だからこそこの「覇王別姫」、
市井の人間の「覇王別姫」物語になってるんだよね。

しかし痛かった!
なにが…?
段小樓が芝居と現実の区別がつかなくなった程蝶衣に
投げつけるセリフ。

「あれは芝居なんだ」…。

まったく、他人事じゃないよね。
言い返したいよね。

「芝居でなにが悪い? 現実なんか糞っ食らえ!」…(笑)。

一度ごらんになった方も、
この際(?)ぜひもう一度ごらんくださいな…!(笑)


●ひらいさん
キネ旬、懐かしいですねえ。
わたしもよく読みましたが、まだ存命してますかね…?(笑)
残念ながらわたしは映画館で観れなかったんです。
評判を聞いてあとでDVDで観た始末…(泣)。
チェン・カイコーに弱点があるとしたら
ひらいさんがおっしゃってるように、
映像が素晴らしすぎて物語が霞んでしまうことかもしれません(笑)。
もちろん「黄色い大地」も観てます。書いてます(笑)。
「白夜」、お休みが取れてちょうどよかったかも、と思って…(笑)。

●ちょごりさん
ご無沙汰しています。
そうですか、ちょごりさんもこの映画、忘れられませんか。
私もです。
二人の子ども時代の話がしっかり描かれているので、
おとなになってからの話がとても活きてきますよねえ…。
段小樓が紅衛兵に引きずり出されて、
心にもないことを言い始めたときは、
辛くて胸がかきむしられる想いでした…。
どうぞいつまでもお元気でいらしてくださいね…。

ありがとうございました。

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■172分 香港 文芸/ドラマ

監督: チェン・カイコー
製作: シュー・ビン シュー・チエ チェン・カイコー
製作総指揮: タン・チュンニェン シュー・フォン
原作: リー・ピクワー
脚本: リー・ピクワー
撮影: クー・チャンウェイ
音楽: チャオ・チーピン

出演
レスリー・チャン
チャン・フォンイー
コン・リー
グォ・ヨウ

演ずることに全てを捧げた二人の男の波乱に満ちた生涯を、京劇『覇王別姫』を軸に描いた類稀なる傑作。身を持て余した遊廓の母に捨てられ、京劇の養成所に入れられた小豆。淫売の子といじめられる彼を弟のようにかばい、辛い修行の中で常に強い助けとなる石頭。やがて成長した二人は、それぞれ“程蝶衣”、“段小樓”と名を変え、京劇界きってのスターとなっていた……。一つ一つの出来事が物語全体を通し巧みに絡み合い、それが映画の進行につれ絶大な説得力を浮かび上がらせる。女形として選ばれたが、なかなか女に成り切れない小豆。しかしその辛苦を乗り越えたとき、彼の心は完全なる女として生まれ変わり、それは“段小樓”への包み隠さぬ想いともなる。
だが心がいくら女であろうとも、男である限り“程蝶衣”に成就の手立てはない。“段小樓”へのやりきれない愛情を胸に抱いたまま、女であるというだけで優位に立てる遊廓の菊仙と反目する“程蝶衣”。だが生命の危機を前に、非情な選択を迫られる激動の時代の中では、信頼と愛情で繋がれたはずの二人の間に決定的な亀裂が生じる。二人の間を阻む存在を置くことで観る者に絶えず葛藤を与え、三時間に及ぶ長尺にも関わらずそれを感じさせない演出手腕は絶品で、中国第5世代監督のチェン・カイコーがその才能をいかんなく発揮した。幼年時代、仲間と共に養成所を逃げ出し、当時一番のスターが演じた『覇王別姫』を見る小豆。どんなに打ち据えられてもいつの日か舞台に立ちたいと涙を流す友人に、小豆の想いも同じだった。だが、新しい時代を迎えた京劇を前に、昔ながらの厳しい特訓を信じる“程蝶衣”はひとり取り残されていく……。全編に漂う何とも言えない遣り切れなさに、胸はかきむしられる。


この記事へのコメント

ひらい
2010年02月05日 10:33
おはようございます

いきつけの2つのレンタル店に『白夜』のvol.9とvol.10が貸し出し中のためちょっと休憩しております。
山崎さん、私のレスリー・チャン・・・・わかります!(笑) では私のコン・リーで(笑)この『さらば、わが愛/覇王別姫』当時、私は生粋のキネマ旬報愛読者(笑)でその中でものすごく評価が高かったのを憶えています。その年のキネマ旬報ベスト10のかなり上位だったと思います。単館での上映で観ました。もうとにかく色彩に酔ってしまってストーリーが重厚なのに映像の美しさに心見失うことがありました。
チェン・カイコー監督としてのこの作品と陳凱歌監督としての『黄色い大地』は私にとってアジアの大傑作となっています。『黄色い大地』の撮影は張芸謀(チャン・イーモウ)なんですよ。『紅いコーリャン』も傑作です。
ちょごり
2010年02月08日 00:27
ご無沙汰してます。
私、中国や香港の映画、何も分からないままに、なぜか惹かれて、この映画のDVDを借りてみて、とても衝撃的に心を揺さぶられた映画です。
今でも大好きな映画です。
中々引き込まれてしまう映画は少ないけれど、私の中で忘れられない映画ですね。
後で知ったのですが、カンヌ映画祭でグランプリ?を撮った映画だったようですね、長い映画を飽きずに引き込まれて観る事出来るのは本当に数少ないです、感性が衰えてしまったようで・・・

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