影の軍隊 (1969)

[482]メルヴィルがレジスタンスをフィルム・ノワールとして焼きつけた大傑作…!


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大好きなフランスの監督、
ジャン=ピエール・メルヴィルの作品…。

中でも
「恐るべき子供たち」と、この「影の軍隊」が大好き…(笑)。

たしか本人も、
この作品がいちばん気に入ってるって言ってた
ような気がするんだけど、たんに私の思い過ごしかも…?(笑)

メルヴィル自身、
大戦中はレジスタンス活動を行っていたので、
そうとう入れ込んで創ったのは確かだと思うよ…。

観ていちばん感動するのは、画面の重厚さ…?
重厚、重厚、めちゃくちゃ重厚…!(笑)
その重厚さに圧倒されて
ほんともうことばなんか失っちゃうんだよね…。

俳優たちが途方もなく
「おとな」を感じさせるせいもあるかもしれないけど、
こういう重厚な画面創れる監督はもう
世界中どこ見渡してもいないよなあ…。

なんなんだろうねえ…?
近代人の人間の器の大きさ、深さから来るの…?
わかんない…(笑)。

それと画面の暗さね…。
暗いよお、もう徹底して暗いんだから…(笑)。

光量をぞんぶんに使った最近の、
といってもだいぶ前からそうなんだけど…、
最近の映画や、
やたら画面の明るいテレビドラマに慣れてしまったひとは、
視にくくてあたま抱えこんじゃうかもしんないよ。

子どものころから映画ばかり観てきた私なんか、
うん、映画はこうでなくちゃって
嬉々としてしまうんだけどさ…(笑)。

画面が暗い理由は二つあるの。

ひとつは、
反ナチ・レジスタンス活動家たちを描いた物語だから…。
連中が活躍するのは夜…、もの陰に隠れながら…。
真昼間から、堂々と光浴びながら動くわけないもん…(笑)。
しょうがないよね。

それに、
当時の時代の暗さを表現しようとしてるせい…?

もうひとつは、メルヴィルが
映画にできるだけ自然採光を持ち込もうとしてるせい…。

で、こういうことやるからメルヴィルはのちに、
ベルイマンに匹敵するほどの影響をゴダールら
ヌーヴェル・ヴァーグの連中に与えることになったんだよね…。

物語は、最初はちょっとわかりにくいかもしんない。
余計な説明を一切しないから…。
でも、観ているうちに自然とわかるようになってる…?

そういう創りかたも私のとても好きなところ…。

創り手からするとさ、
お客さんに、そう簡単にわからせてたまるか、
みたいな気持ち持たなくちゃだめなのよ…?

簡単にわかるようなもん、
お客さんには全然面白くも有り難くもないんだから…(笑)。

例によって話が道草食ってるけど、
レジスタンス活動といっても銃撃戦を期待しちゃだめよ。

ナチの情報を手に入れたり、情報を味方に流したり、
捕まった仲間を助けたり…、
どっちかっていうと、そういう活動家たちのお話…。

そういうのをリーダーの
フィリップ(リノ・ヴァンチュラ)の行動を追いながら描いてくの。

この俳優がリノ・バンチュラ、
知らないひとはいないと思うけど、念のため…。

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私の大好きな俳優なんだけど、
彼の出演作でいちばん好きなのもじつはこの「影の軍隊」…(笑)。

あ、ちなみにリノ・バンチュラとメルヴィルは、
ものの本によると犬猿の仲だったらしいんだよねえ。
え…? ってびっくりしちゃった…。

メルヴィルが、出演ほしくてリノ・バンチュラをもう
必死に口説いたって聞いてたんだけどなあ…(笑)。

で、観てて怖いのはやっぱり、
仲間をナチに売ったり、売ったものを殺してしまったりするところ…?

中盤あたりから、
行動力、統率力のひときわ優れたマチルドという女性が登場するの。
「嘆きのテレーズ」や「年上の女」などで知られる
シモーヌ・シニョレっていうドイツの女優さんがやってるんだけどね…。

このひとね、右の女優さん…。

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むかしはみんな知ってた女優さんだよ。
すごい女優さんだよ、この作品観たら一発で惚れちゃうよ。
しかも、驚いちゃだめだよ、イヴ・モンタンの奥さんだったのよ…(笑)。

道草ばっかり食ってるねえ…。
なに言ってんのよ、トシのせいじゃないよ。
いい映画を観るといろいろ道草食いたくなるの、
そういうもんなの…!(笑)

彼女はおかあさんで娘もひとりいて、
フィリップがナチに連行されて銃殺されそうになったときも、
機転をきかせて救出するんだけどね、

そのあと彼女は
レジスタンス一派だとばれて逮捕されるの。
で、拷問にかけられたうえ、娘を人質にとられてしまったもんだから、
裏切るんだよね。

そう。仲間の名前と居所を吐いてしまうの。

それを知った連中がフィリップに相談にくると、
フィリップは彼女を射殺しろって指示するんだよね。
これまでの彼女の甚大な功績も還りみず…。

一度ゲシュタポの手に落ちると、食いつぶされちゃうからだよね。
レジスタンス仲間が芋づる式にあげられ、甚大な被害を生み出す…。

もちろん彼女も…、マチルドもそれをよく知ってる。
だから彼女自身も、殺してほしいと願ってるはずだと思う…?

で、4人が車に乗って街へ行き、
舗道を歩いてきたマチルドを射殺するの…。

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すごいよね。
マチルドも一瞬で仲間の心を察してるよね。
もうヤクザ映画そのものだよね。

あ…(笑)。
メルヴィルはフィルム・ノワールの巨匠だから、
どうしてもギャング映画みたいになっちゃうのかなあって…(笑)。

でも、私は泣かない。
泣くひまなんかないの、重厚にノワールしてるから、
ただ圧倒されて観てるだけ…?

そしてエンディング…。
車に乗っていたレジスタンス活動家たちが
その後どうなったか字幕で告げられる。

マスクは、1943年11月8日、青酸カリで自殺…。
ビスクは、1943年12月16日、ドイツ兵に打ち首にされる…。
ジャルディは、拷問の末、1944年1月22日に死亡…。

そして1944年2月13日、
フィリップは走ることを放棄した…。

劇中で、連行されたとき、
フィリップはゲシュタポに言われるのね。
あの壁まで走れ、無事に着いたら銃殺しないって…。
で、走って、危ういところをマチルドに助けられたの。

だから走ることを放棄したってのは、
銃殺された…、銃殺されることを選んだってことだろうね…。

といって、この物語が史実に基づいてるのかどうか、
私は知らないんだけどね…。
原作はあるらしいんだけど…。

で、そのあとキャストが紹介されるのよ、こんなふうに…。

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なんでなんだろ…?
このときになってはじめて涙が出てきちゃうのよ。
もう止まらなくなるんだよね、恥かしながら、いつも…。

しかし、すごい俳優たちでしょ?
上から2番目は、あのポール・ムーリッスだよ。
ね、写真見てるだけで感動しちゃうでしょう…?

ま、いいや(笑)。
ごらんになってない方、私の超お薦め作品です…。

あ、私のこれまた大好きなセルジュ・レジアニも
1シーンだけ友情出演してます。
お見逃しなく…!

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■140分 フランス サスペンス/戦争
監督: ジャン=ピエール・メルヴィル
原作: ジョセフ・ケッセル
脚本: ジャン=ピエール・メルヴィル
撮影: ピエール・ロム
出演
リノ・ヴァンチュラ
シモーヌ・シニョレ
ジャン=ピエール・カッセル
ポール・ムーリス

1942年10月20日、土木技師で博士号を持つフィリップ・ジェルビエは“抗独危険思想”の持ち主として当時フランスを占領していたドイツ軍に逮捕され、収容所に入れられた。
もともと、第一次世界大戦で独軍の捕虜を入れるために作られたこの収容所には、すでにあらゆる国籍の人びとが収容され、自由と未来のない生活を送っていた。
ジェルビエと同じ部屋には元陸軍大佐の老人や共産党員の若者ルグランらがいたが、ジェルビエはルグランとだけ親しくなり、二人は一緒に脱走する計画を立てる。
ところが数週間後、ジェルビエは呼び出され、パリのゲシュタポ本部に送還されることになる。
処刑されることが明らかと悟ったジェルビエは、監視の隙を見て衛兵を刺殺、先に逃げた者がドイツ軍の銃弾を一身に浴びる間に、夜のパリの街に逃げ去った。
逃げ込んだ床屋の主人は事情を察したのか、無言でジェルビエを庇ってくれた。
数週間後、マルセイユにて。
レジスタンス活動家である若者ドゥナが、同じく活動家であるフェリックス、ビゾンに連行され車に乗せられる。
その車の中に、レジスタンス活動に本格的に参加したジェルビエの姿があった。
実はドゥナは過去にジェルビエの情報を売り、そのためにジェルビエはドイツ軍に逮捕されていたので、その処分のために連行されたのだ。
車は海岸に程近い場所に止まり、ドゥナはある建物の二階に連行される。
そこにはレジスタンス活動に参加したばかりの若者マスクが連中を待っていた。
初めは銃殺するつもりだったが、周囲に音が丸聞こえなので、絞め殺すことにした。
そこにいた誰もが仲間を殺すのは初めてだったが、組織の掟として裏切り者は絶対に許されないのだ…。

●「影の軍隊は、いいですねえ」さん
私も、あの冷たい感じ、クールさに痺れます。
大人だよなあ、カッコいいよなあとすごく羨ましくなります。
俳優たちにも、こういうふうにやってよ、と言うんですが、
いやあ、日本人はなかなか…(笑)。
メルヴィルとリノ・ヴァンチュラ、撮影後半は口もきかない仲に?
そうですかあ。う~ん…、なんで…? と、
2人のファンである私のほうが悩みたくなっちゃいますねえ(笑)。
時間ができたら、その本探して読んでみようかと思います…。

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この記事へのコメント

影の軍隊は、いいですねえ
2010年11月22日 19:18
影の軍隊は、僕も、本当に大好きなフランス映画です。あの冷たいムードがたまりません。
最近出た「映画伝説ジャン・ピエール・メルヴィル」という本によると、メルヴィルとリノ・ヴァンチュラは、影の軍隊の撮影後半から口も利かない仲になった、とありました。
sino
2011年08月01日 21:30
こんばんわ~~。…(笑)
こんな重厚な映画のコメントなんかできゃしないんだけど、ちょっと、遊びに来てしまいました。シモーヌ・シニョレ、私は
好きでしたよ。役柄でというより、役柄の
奥にあるご本人の魅力なのかなーと思います。人間としての厚みというか。彼女をどの映画で知って、いいなぁ~と思ったのか
もう分らないのですが、「好き」のレッテルを貼っていたころがありました。彼女なら、どんな役も魅力的に演じるだろうという信頼のレッテルだったと思う。
話は変わりますが、イギリスのヘレン・メリルみたいな名前の女優さんの刑事物のドラマを時々見ました。この女優さんも気に
入ってしまいました。硬い役を、現実味を
感じさせる演技で見せてくれるところに、
引き込まれてしまいます。近年、アカデミー賞を貰っていましたね。たしか、エリザベス女王役だったか…。「好き」でもこの
怠け者ぶり。この二人の女優さんは男性社会で、対等に生き始めた頼もしい女性のイメージを感じさせてくれます。なんか、表現が古いですね…。(笑)

sino
2011年08月01日 22:11
訂正
ヘレン・ミレンでした。(ああ、またしても!) すみません。考えも無しに書いちゃうもんで…。刑事ものドラマは、「第一容疑者」でテニスン刑事役だったようです。

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