祝祭 (1996) 韓国

[474]いまだかつて、こんなに素晴らしいお葬式に出会ったことがない…?

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わたしの韓国のお師匠さんの不朽の名作。
凄いねえ。凄すぎてわたしゃただただ溜息つくばかり。

お葬式のお話。

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主人公の作家イ・ジュンソプ(アン・ソンギ)の母親が死ぬ。
ジュンソプが妻と娘を連れて田舎へ帰り、喪主を務める。
そのお葬式の一部始終を丹念に描いた作品。

言ってみれば、
韓国の由緒正しきお葬式のしかたの解説映画?(笑)

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そのお葬式の始まりから終わりまでを
ご丁寧に「字幕解説」までつけながら辿る一方で、
そこで起こるイ家や周囲の人々のドラマを描いているの。

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まあ、その発想、
その物語の構成がただただ凄すぎて、
ほんとわたしゃもうお師匠さんに口を開く勇気もないわなあ。

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え? お葬式なのになんで「祝祭」なのかって?
あるホームペーシから引用した下の解説文読んでくれる。
「死を新しい生への出発と考えると、死も<祝>となる」だって。
うん、ちょっと苦しい解説かな(笑)。

なんで?
お葬式は…、死はがんらい「祝祭」なのにさ、
みんなもうそんなふうに捉えなくなっちゃったからだろね。
ただただ悲しむもの、泣くもの、
しんみりするものだと思っちゃってんだよね?

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そう言えばさ、
山中貞雄の遺作「人情紙風船」を
講義で二松学舎大学の学生たちに見せたことがあったの。
みんな、とても面白がってくれたのは嬉しいんだけどさ。

冒頭、長屋のひとりが死んじゃって
住人みんなでお通夜するシーンがあるのね。
そう、飲めや歌えのドンチャン騒ぎ。

そしたら学生諸君のほとんどが
「あの長屋の住人たちはひどい、人間じゃない」って非難轟々なわけ。
わたしゃもうびっくらこいて、
ただただ目ん玉丸くするしかなかったよねえ(笑)。

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この映画でも、
通夜に訪れた縁のあるひとたちや
近所のひとたちが飲めや歌えの「祝祭」やるんだけど、
あのね、あれが由緒正しきお通夜の仕方なんだけど(笑)。

いやあ、そんなこといちいち説明しなくちゃいけないなんて、
ほんと時代はすっかり変わっちゃったんだねえ。
わたしゃもうそろそろあの世へ行ったほうがいいのかも(笑)。

あ、この映画の中でもさ、
集まった村の男どもが酒宴やってるうち
花札(?)始めちゃって、あげくに大喧嘩が始まるの。
ゼニ賭けてるもんだからさ。いやあ、私ゃもうゲラゲラだよね。

いいねえ、ヤレヤレ!
うんうん、これがお通夜だよねえって感じ。
あそこ、名シーン(笑)。

あ、そう言えば、
伊丹十三の傑作「お葬式」でも名シーンがあったなあ。
お葬式の最中にセックスするシーン。
あれも由緒正しきお葬式の…。

あ、いや、由緒正しいかどうかは知らないけどさ、
お~、お葬式だよなあ~って感じありありだったよね。(^^♪

面白いシーン、いいシーンは
書きはじめとキリがないので1個だけ。

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主人公ジュンソプと妻が、
次第にトシをとっていくおばあちゃんと暮らしながら、
幼い娘におばあちゃんのこと話してあげるシーンがあるの。
回想シーンみたいな感じで。

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最初、娘が、
「おばあちゃん、すこしずつ小さくなっていく。
どうして? もうあたしより小さい」
と、主人公と妻に訊ねることからはじまるのね。

二人はなんて答えたとおもう?
その答えにわたしは泣きそうなくらい感動しちゃったんだけどさ。
教えてあげるね(笑)。

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「それはね、おまえにトシを分けてあげてるからだよ。
おまえはすこしずつ大きくなっていく。
そうすると、おばあちゃんはすこしずつ小さくなっていく。
それはおばあちゃんがおまえにトシを分けてあげてるからなの。
おまえに知恵を分けてあげてるからなの」

いまDVDが手元になくて
記憶だけで書いてるから正確じゃなんだけど、
すばらしい答えだよねえ。ほんと泣けてくるよねえ。

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ちなみに
おばあちゃんが孫娘に「知恵を分け与えている」というのは、
おばあちゃんがトシを取るに従って
患った痴呆症がひどくなっていくからなんだけどね。

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しかもさ、そこがまた
師匠イム・グォンテク監督のすごいとこなんだけど、
なんと、おばあちゃん役を女の子が…、
娘役の子より小さな女の子がやってるのよ。
一方ではちゃんと87歳の老母が死んで横たわってるのよ?
しかも、しかも…、

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そこは縁側、庭に続いてる座敷で、
庭の向こうの春霞がかかったような山は書割?
庭には1本、木があるんだけどそれも書割?
いや、書割じゃないんだけどまるで書割みたいな木?

そう、そうなのよ。
まるで学芸会の舞台みたいな感じでさ、
まるでおとなが小学生くらいの女の子二人と一緒に
学芸会やってるみたい感じでやってみせるのよ。

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それがもう素晴らしいのなんのって(泣)。
凄いよねえ、わたしのお師匠さん、イム・グォンテク監督。

私も日本のお師匠さん(唐十郎)にいろいろ教わったから
けっこう遊ぶよ。
みんなが驚くくらい遊ぶよ、
おとなに学芸会やらせたりすることもしょっちゅうだよ。

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でも、さすがにこういう遊びは思いつかなかったよ。
まあ、子どもを使う機会がないせいもあるかもしんないけどさ。

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いや、凄い。凄い凄い凄い。
凄いわあ、イム・グォンテク。
3歩どころか100歩、1000歩さがって土下座するしかない。

いままでそんなひといなかったよ。
日本のお師匠さんにだって999.9歩だったよ(笑)。

キャストだけ簡単に紹介しておくね。

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有名作家のイ・ジュンソプをやってるのは、
おらが韓国の大統領アン・ソンギ(笑)。
このジュンソプのおかあさんが亡くなるんだよね。
右はその妻ジヒョンで、演じてるのはイ・グムジュ。

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死んだジュンソプの母親と対面してるのはジュンソプの姪ヨンスンで、
演じてるのは「風の丘を越えて」を主演していたオ・ジョンヘ。
この作品でもパンソリを披露してくれるよ。

事情があってこの家と断絶していた彼女が、
お葬式に顔をだしたため葬儀が少し混乱する。
それがメイン・ドラマといったところ。

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業界雑誌記者のチャン・ヘリム。演じてるのはチョン・ギョンスン。
作家ジュンソプの法事の様子を取材に来たんだけど、
騒動のもとになるジュンソプの姪ヨンスンに興味を持ち、
彼女がヨンスンの「過去」を聞きだしていく訳。

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そしてジュンソプの老母と孫娘のウンジ。
演じてるのはハン・ウンジンさんとペク・チナちゃん。
どう? このおばあちゃんと孫がこうなるんだよ。

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いいだろう。凄いだろう!(^^♪

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さ、観てくださいな。
観ないと一生後悔しますよ。いや、後悔させてあげます。(^^♪

そしてこの作品を観て、
私たちも由緒正しきお葬式(祝祭)ができるようになりましょう。
みんなで(笑)。


●Kさん
じつは以前1回観て、書くの忘れてて、
で、また観てやっと書いた次第です。すいませんねえ…(笑)。
そういうの、けっこうあったりして…(笑)。もうトシなんですね(笑)。
しかし、韓国から書き込みを…!
いやあ、韓国でも見れるんだ、ここ? 当たり前…?
まさか韓国語で出るわけじゃないよね? 当たり前…?
いやあ、このブログも世界的になったというか…(笑)。
いや、アジア的…、隣国的…、ご近所的かな…?
すいませんね、ばかばっかり言うてしもうて…(笑)。
あの、花札の掛け金、喪主が用意するんだ?
そうか、やっぱりそうだったんだ、
ちょっとうまくわからなかったんですよね、わたし…。
3回だっけ? みんなで歌うの? あれ、すごかったです。
へえってもう感動しまくり…?
「風の丘…」で、ラスト、同行二人で二河白道を渡るけど、
あれ、韓国のお葬式にちゃんと埋め込まれてたんだって、
超納得…?
いやいや、ほんと凄い監督です、イム・グォンテク…。
カン・シニルの舞台を観に…!
そんな幸せなことばっかりやってていいんですか…?
あ、そう言えば、「うお伝説」、最近、韓国で出版されたんだよ。
寺山さんらとのアンソロジーだけど、本屋には出てるのかなあ(笑)。
出てたら、ちゃんと買って、私ですからってさ、
カン・シニルにあげてよ~…!(笑)

●tenchanさん
おともだちがアン・ソンギは大御所で高倉健みたいな存在だと…?
まあ、そう言っても間違いじゃないんでしょうけど、
健さんのイメージとはちょっと違うというか…(笑)。
これほど幅広く役を演じられる俳優は、
日本にはなかなかいないような気がしますよね。
ヨンスンがお葬式に現れてから、俄然ドラマが動きだしますよね…。

ありがとうございました。

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ブログん家


■102分 韓国 ドラマ
監督イム・グォンテク
脚本ユク・サンヒョ
原作イ・チョンジュン
製作イ・テウォン
撮影パク・スンベ
美術キム・ユジュン
音楽キム・スチョル
出演
アン・ソンギ
オ・ジョンヘ
ハン・ウンジン
チョン・キョンスン

お葬式を描いた作品なのに,「祝祭」。死を新しい生への出発と考えると,死も「祝」となる。老母の死により家族の不和や葛藤が解決する様を描く。
イ・ジュンソプは,40代の有名な作家。ある日,田舎の老母が亡くなったという電話を受け,家族とともに帰郷することになる。彼は,妻に預金をおろさせたり,喪輿を担ぐ男を手配したり,友人には訃報を知らせたりと,あわただしく故郷に向かう。ところが,ジュンソプの到着前にいったん老母は息を吹き返すが,結局臨終を迎える。そして葬式の準備が進められる。
しかし,5年を超えるぼけの末に87歳で亡くなった老母の死は,喪家に来た人々をそれほど悲しませないように見えるが,痴呆にかかった姑の世話をしてきた兄嫁の感情は,気楽さと愛惜が交差する。
老母の死によって生じた家族間の葛藤は,黒のサングラスをかけて濃厚な化粧をしたジュンソプの腹違いの姪(ジュンソプの兄の外娘)ヨンスンの出現で深くなる。
母の法事を通じてジュンソプの文学世界を再び照らし出す記事を書こうとする「文学時代」の記者チャン・ヘリムにとっては,そんなヨンスンが関心の対象であった。
しかし,葬式が進行するにつれて家族たちの葛藤は徐々に解け,社会的に出世したのに,おばあさんの世話しない叔父ジュンソプを恨んでいたヨンスンは,チャン記者が手渡してくれたジュンソプの童話(「翁草は,春を数えるかくれんぼ鬼なんだって」)を読んで涙を流す。
葬儀が終わり,一緒に記念撮影をする家族たちは,老母が残してくれた大きな愛と生の知恵を各自の胸中に大事に保管するようになる。

この記事へのコメント

k
2010年03月02日 18:23
今日は。ソウルから、初コメです。
やっと出ました!「祝祭」嬉しいな、また観たくなっちゃったな…
でもこれを観てる時間、自分もあの中にいるような状態になっちゃうので、終わるとぐったり疲れちゃうんですよね、ひとつお葬式を終えたみたいに。
大江健三郎さんの森の中の物語に、危篤のお祖母さんに向かって光さんが、「元気で死んでください」と話しかけるシーンが有ったと思うんですが、何だか私にはあれとこれが、対の物語に思えるんですよ。
こっちは無茶苦茶喧騒ですけどね。
そうそう花札、花札の掛け金の為に喪主がお金を用意するのって凄いですよね。ほんと、村の人にとっては、最大のお祭りです。亡くなった人を送る歌も、良かったなぁ。
これから、カン・シニルさんの出演舞台を観に行きます。へへへ、ちょっと自慢しちゃいました。では。
tenchan
2010年03月03日 21:24
山崎さん こんばんわ
この作品は随分前に 韓流イベントかなんかで上映されたとき観ました
まだアン・ソンギの名前も知らず すごい大御所で高倉健みたいな存在と教えられました^^
高倉健さんは何に出ても健さんですが ソンギさんは「黒水仙」「ラジオスター」「デュエリスト」それぞれ違ったアン・ソンギに会えます
おばあちゃん役を女の子がやってるのは 気が付きませんでした
もう記憶が薄れてきたのですが ヨンスンが現れてからの人間模様が面白かったです


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