狼と豚と人間 (1964)

[491]高度成長下の日本人の欲望を描き出した傑作。

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懐かしいなあ。
懐かしいなんてもんじゃないか。
高校生の時…、1964年に観て以来だもんなあ。

なってたんだねえ、DVDに。
嬉しいなあ。めちゃくちゃ嬉しかったよ。
べつに健さん(高倉健)ファン、
深作(深作欣二)ファンだからってことじゃなくてさ、映画ファンとして。

こんなに便利な世の中になったんだからさ、
ほんと、残ってるフィルムはもう全部DVD化すべきだよね。
銭カネのことはいいからさ。
そんな奇特なひといないのかよ。わたし、「探してます!」(笑)。

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しかし憶えてるもんだねえ。
自分の人生つうわけでもないのに、たかが映画なのに。(^^♪

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豚小屋のような家の立ち並ぶドヤガイ。
そこに住んでいた三人の男兄弟のお話。

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その三人を、
三国連太郎(長男)、高倉健(次男)、北大路欣也(三男)の三人がやってて、
ドヤガイ脱出をめぐり、三人の兄弟が血で血を洗うお話。

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1964年といえば日本は高度経済成長の真っ盛り。
封切で観たときはそんなこと考えもしなかったんだけど、
いま観ると、ドヤガイを背景に、
当時の日本人たちの欲望を抉りだしてみせてるよね。

憶えていたのはやはり三つのシーン。

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ひとつは、三男の三郎が母親の遺骨を
ドヤガイ仲間たちと一緒に川に流すシーン。
長男、次男がドヤガイを捨てて外に出たんで、
残された三郎が病気の母親をひとり看病してたんだよね。

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その時みんなで歌って踊りながら、遺骨を川に放る訳。
「はやくこのドヤガイ出ようぜ」みたいな歌?
そ。思い切りミュージカルやってる訳よ。
おいおい、「ウェストサイド物語」じゃねえんだよ(笑)。
でも、いいんだよねえ。なんだかめちゃくちゃエネルギーに満ちてて。

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おまけにその仲間のひとりに
あの石橋蓮司さんが出てて私ゃ超びっくりだわな。
もうガリガリに痩せてて、芝居は下手で、
でもハートだけはもう人一倍熱い? ヤケドしそう?
何だ、いまと全然変わんねえじゃねえかよと言いたくなるぜい(笑)。

ま、いいんだよな、芝居なんか下手でも。
そう。なんか伝わりゃいいんだよ。ハートが伝わりゃあ~!てなもんよ。
あ、ごめんちゃい、蓮ちゃん。(^^♪

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二つ目はいきなりだけどラスト・シーン。

街あたりを牛耳る岩崎組と争って、
健さんの次郎も、三郎も結局、
岩崎組傘下の長男(市郎)の目の前で殺されちゃうのね。

で、長男の市郎(三国連太郎)が
その現場のドヤガイを後に立ち去ろうとすると、
ドヤガイの住人たちがドヤドヤ出てきて、
その背中に石を投げつけるの。

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そこがなんとも言えずいいのよ、空は朝焼けでさ。
自分が育ったドヤガイを脱出する代償として市郎は心を捨てた。
そんな市郎の背中に石が飛んでくる。
深作さんもほんと熱いよなあ。もうめちゃ好き!(^^♪

三つ目のシーンはどこだと思う?
観てないひとにはわかる訳ないけどさ。

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混雑する渋谷駅の、白昼のプラットホーム・シーン。

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次郎と相棒の水原(江原真二郎)が、
ホームで取引している岩崎組の連中から現金の入ったカバンを
奪うシーンなんだけどさ。

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何がいいのか説明するの面倒臭いから説明しないよ。(^^♪

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よっ、待ってました、日本のヌーべルヴァーグ!って感じよ。

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ほら、われらが蓮司兄貴もヌーべルヴァーグしてるでよ(笑)。

大島さんの「青春残酷物語」での、
あの新宿伊勢丹前通りをデモ隊が行くシーンにも感動したけど、
いやあ、この渋谷駅のホームでのロケ撮影はそれ以上。
ちょっとド肝抜かれちゃうよな。

「IRIS」(韓国ドラマ)のハンガリーでの暗殺シーンや
北の工作員らがヒョンジュンを襲撃するシーンもいかったけどさ。

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映画が現実の街を虚構にしちゃってるんだよね。
虚構の背景にしちゃってる。
ヌーヴェルバーグの真髄ここにありって感じ。

いまのロケ撮影はセット作ってやると金かかるから、
外に出て撮ってるだけ。
で、大半が虚構が現実を侵食してみせるんじゃなくて、
虚構が現実に侵食されちゃってるだけ(笑)。

いまにして思えば私が師と仰ぐ唐十郎も
こういう深作さんや大島さんのヌーベルヴァーグに同調して
テント芝居始めたんだってことがわかるよね。

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しかし暗い映画だよな。
ギンギンのエネルギーには満ちてるけど。
韓国は80年代後半から90年代にかけてこういう映画多いかな?

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「青春残酷物語」とこの映画、若いひとにぜひ観てほしい。
日本のヌーベルヴァーグを代表する傑作だし、
50年前の日本、こうだったんだってほんとによくわかるから。
いまの日本が失ったものもさ。


■95分 東映 アクション
監督: 深作欣二
企画: 吉野誠一 吉田達
脚本: 佐藤純弥 深作欣二
撮影: 星島一郎
美術: 藤田博
音楽: 富田勲
出演
高倉健
北大路欣也
三國連太郎
江原真二郎
中原早苗
室田日出男
石橋蓮司

ドブ臭い空気が充満する貧民窟で育った三人の黒木兄弟。長兄の市郎は、年老いた母の金を奪うと、新興ヤクザ岩崎組に入って幹部になった。次兄の次郎も、母を裏切ると、あらゆる悪の道に手を出しながら、金持杏子のヒモとして、一匹狼となっていた。そして末弟の三郎は母の最期をみとると、チンピラの群れに加わった。
いつまでもうだつのあがらない生活に倦きた次郎は、国外脱出に自分の新しい生活を求めた。その資金は、岩崎組の麻薬取引現場を襲って、四千万の金品を奪うのだ。相棒の水原、そして弟の三郎と仲間たち。人数は揃った。兄に凄まじい憎悪を抱く三郎も、一人アタマ五万円の分け前に、半信半疑ながら、賛成したのだ。
計画は成功した。市郎も、水原も、胸算用しては悦に入っていた。だが、意外なことがおきた。四千万円の運搬にあたっていた三郎が、この金を隠してしまったのだ。幼い弟達を見捨て、病弱な母を置いて、飛び出した市郎に対する面あてが、三郎の動機であった。
この不測の出来事に慌てた次郎は、三郎や仲間を拷問したが、三郎の口は開かなかった。一方市郎は自分の弟達の手によって、懸命になって叩きあげた地位が、失われようとする焦りと、岩崎の疑惑の眼を感じて、四千万を必死に追求した。
遂に岩崎組の手によって、次郎達の居場所はつきとめられた。かつて幼い兄弟の遊び場であった倉庫の中だ。頑として口を割らない三郎を中心に、疲れはてた仲間達。市郎の誘いの言葉に、水原は、三郎に拳銃を向けた。だが、次郎は、三郎を擁護して、一瞬早く水原を射った。
この時、次郎と三郎は、二人が血の繋がった兄弟である事を強く感じ、遠くにいる市郎に同じ怒りを抱いた。全てを拒絶した三郎らを、岩崎組の拳銃が一斉に射撃した。遂に金のありかもわからず、ひきあげる市郎の姿には、敗残者の寂しさがあった。

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