美しい彼女 (1997) 15話__1
[507]死の淵に立たされるまでひとはただ愚かさを繰り返すしかない…?
ジュンホ、
眠っているジュンを負い、数ヶ月ぶりに家に入る…。
「失礼します」と帰ろうとするジュンホに、
義父のユ医院長、激怒する。
失礼する? 君はこの家の客かね?
義父にたいしてろくにあいさつもしないのか。
家族の心配もしないのか。
妻に寂しい思いをさせて平気なのか。
もう赦せん。きょうから一切外出禁止だ!
と、ついに父権を発動する…(笑)。
帰宅したソニョン、
わたしのどこがいけないの? あなたを理解しようとした…、
と、募った怒りをぶつける。
ジュンホ、理解できるはずがないと、
誰にも信じてもらえなかった子ども時代の話をし、
なんの希望もないおれに関るな…、と返す。
そして言う、「離婚しよう」と…。
ソニョン、「わかったわ。別れればいいんでしょう」と、
烈しくものに当たる。
どこまでも売り言葉に買い言葉である…。
ユ医院長、飛んできて、
「この悪党め、結婚させたのが間違いだった、出て行け」
と、ジュンホを殴る…。
ユ院長はどこにでもいるごく普通の父親である。
そしてソニョンも、どこにでもいる…。
ジュンホが階段を下りると、
ジュンが「パパ」と追ってきて、言う。
「ぼくはいつでもパパの味方だよ」と…。
ジュンホはただ抱きしめ、言葉もなく、ひとり坂を下る…。
数日後…、
ジュンホ、バスの中で倒れ、病院で診察を受ける。

そして、宣告を受ける…。
「お気の毒ですが、もう長くはないでしょう」…。
死はいつも唐突にやってくる。
死の宣告を受けたジュンホの表情は黄色に染まる…。
そう。はじめてソニョンに出会ったときの、
あのひまわり畑の色に…。
ジュンホ、
あのひまわり畑の絵の中にいたのは、ソニョンではない。
君だったのだ。
君は死者が包まれるという花畑の中にいて、
その花畑からこっちを…、この世にいる「美しい彼女」」を、
ソニョンを見つめていたのだ…。
家庭裁判所の前で落ち合ったジュンホとソニョン…。
ジュンホが裁判所へ歩いて向かうと、
ソニョンは追いかけて引き止め、言う。
そんなに別れたいのか、ここまでする必要があるのか、と…。
ジュンホは言う。
あの家で暮らすのに気疲れしたんだ。
息苦しい…。
おれはひりのほうが楽だ。ほっといてくれ、と…。
ひとはなぜほんとうのことが言えないのだろう。
いつも…、いつも…、なぜ…?
調停が始まり、判事が離婚したい理由をただす。
もう愛し合ってないのかと問われると、
ソニョンは即座に答える。
「違います。私たちは愛し合っています」と…。
そしてジュンホに目をやる…。
ジュンホも答える。
「そうです。私も妻を愛しています」…。
ソニュンの口もとが緩む…。
ではなにが理由かと問われ、ジュンホは答える。
努力したが、私は妻を傷つけてばかりきた。
これ以上、妻を泣かせたくないのだと…。
ソニョンは言う、そんなことはありません、と。
と、ジュンホが怒り出す、素直に言えと…。
判事は立ち上がり、言う。
「犬も食わない夫婦喧嘩はよそでやってください。
私は忙しいので」と…(笑)。
そして笑顔で付け加える。
「実は私、あなたの熱烈なファンなんです。
夫と試合を見にいきました。素晴らしかったです。
引退されて残念です」…。
ソニョンはこのとき、
ジュンホのファンの声をはじめて聞いた…。
離婚調停は見捨てられ(笑)、ふたりは裁判所を出る。
なんとなく二人はレストランに入る。
そこへソニョンに自宅から電話が入る。
ソニョンが言う。
ジュンが病気なの、この間あなたが来た日からよ。
うなされてるわ。あなたに会いたがってる…。
ジュンホは驚く…。
ソニョンの車に同乗し、自宅へ向かう。
そして途中…、話があると切り出す。
最近体調が悪くて病院へ行った、と…。
ソニョンに悪い予感が走る…。
悪路なのか、ソニョンの顔が上下に揺れている。
見事な演出だ…。
ソニョンはハンドルを切り、車を止め、聞く…。
「病院ではなんて…? 教えて…」
ジュンホは言う、「誰でもいつかは死ぬ」と…。
ソニョンは烈しくうろたえる。
「なにかの間違いよ。どこの病院? 誤診よ…!」
ジュンホは言葉もなくソニョンを見つめ…、
胸に抱き…、言った…。
おれはほんとうにバカだ。
君と別れるしかないと思った。
誰も知らない場所で死のうと思った。
君が俺を嫌いになり、忘れてほしかった。
俺は身よりもないからひとりで死ぬつもりだった。
でも怖くなった、君に忘れられるのが…。
ソニョンは声をあげて泣いた…。
そしてジュンホも…。
ソニョンはまた車を走らせた。
自分たちを待っているジュンのもとへ…。
死の淵に立たされたとき、
ひとはたぶんはじめてわかるのだろう。
自分にとって…、
自分たちにとってほんとうに大事なものはなんなのか…。
それまではひとはただ、誰もが愚かさを繰り返すしかない。
あまりにも愛しすぎる愚かさを…。
※「15話__2」へ
●rieさん
お久しぶりです。
いちばん大きな夏休みプレゼントをもらっているのは、
たぶん私なんじゃないかと思っているのですが…(笑)。
ほんとうに素晴らしいドラマですもんねえ。
「あまりの切なさに毎回、なかなか再生スイッチが押せない」
お気持ち、よ~くわかります…(笑)。
こんなにいつも憑依されっぱなしで、ビョンホン、よく身が
もつなあとちょっと心配になっちゃいますねえ…。
ありがとうございました。

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■韓国ドラマ 1997年
演出: イ・ジャンス
脚本: キム・ヒョソン クォン・ユンギョン
音楽: チェ・ギョンシク
出演
イ・ビョンホン ・・・ファン・ジュンホ
シム・ウナ・・・ ・・ユ・ソニョン
キム・ミンサン・・・キム・ジュン
ユ・ヒョンジ・・・・・キム・ウォン
ソン・スンホン・・・イ・ミニョク
オ・ジミョン ・・・・・ユ医院長
キム・スミ ・・・・・・パクおばさん
ソン・オクスク・・・・チャン・スンジャ
ソン・ジェホ・・・・・チョ
チェ・ジョンユン・・・ウニ
ソン・チャンフン・・・カン・ドンス









ソニョンとジュンホは離婚調停室で話し合いをする。
結局お互いを大切に思っていることだけが判り離婚には至らなかった。家ではジュンが”しょうこう熱”で寝込んでいた。戻る車中、ジュンホは自分の病気が悪化していてもう長くないことをソニョンに打ち明けた。
ソニョンは出来る限りジュンホの力になることを誓う。家族4人で遊園地へ遊びに行った時、テレビで放映されているミニョクの試合にジュンホは夢中になった。
帰り道、残された時間を有意義に生きるためにジュンホはボクシングに再び挑戦し、ソニョンは応援することを約束する。
ジュンホ、
眠っているジュンを負い、数ヶ月ぶりに家に入る…。
「失礼します」と帰ろうとするジュンホに、
義父のユ医院長、激怒する。
失礼する? 君はこの家の客かね?
義父にたいしてろくにあいさつもしないのか。
家族の心配もしないのか。
妻に寂しい思いをさせて平気なのか。
もう赦せん。きょうから一切外出禁止だ!
と、ついに父権を発動する…(笑)。
帰宅したソニョン、
わたしのどこがいけないの? あなたを理解しようとした…、
と、募った怒りをぶつける。
ジュンホ、理解できるはずがないと、
誰にも信じてもらえなかった子ども時代の話をし、
なんの希望もないおれに関るな…、と返す。
そして言う、「離婚しよう」と…。
ソニョン、「わかったわ。別れればいいんでしょう」と、
烈しくものに当たる。
どこまでも売り言葉に買い言葉である…。
ユ医院長、飛んできて、
「この悪党め、結婚させたのが間違いだった、出て行け」
と、ジュンホを殴る…。
ユ院長はどこにでもいるごく普通の父親である。
そしてソニョンも、どこにでもいる…。
ジュンホが階段を下りると、
ジュンが「パパ」と追ってきて、言う。
「ぼくはいつでもパパの味方だよ」と…。
ジュンホはただ抱きしめ、言葉もなく、ひとり坂を下る…。
数日後…、
ジュンホ、バスの中で倒れ、病院で診察を受ける。

そして、宣告を受ける…。
「お気の毒ですが、もう長くはないでしょう」…。
死はいつも唐突にやってくる。
死の宣告を受けたジュンホの表情は黄色に染まる…。
そう。はじめてソニョンに出会ったときの、
あのひまわり畑の色に…。
ジュンホ、
あのひまわり畑の絵の中にいたのは、ソニョンではない。
君だったのだ。
君は死者が包まれるという花畑の中にいて、
その花畑からこっちを…、この世にいる「美しい彼女」」を、
ソニョンを見つめていたのだ…。
家庭裁判所の前で落ち合ったジュンホとソニョン…。
ジュンホが裁判所へ歩いて向かうと、
ソニョンは追いかけて引き止め、言う。
そんなに別れたいのか、ここまでする必要があるのか、と…。
ジュンホは言う。
あの家で暮らすのに気疲れしたんだ。
息苦しい…。
おれはひりのほうが楽だ。ほっといてくれ、と…。
ひとはなぜほんとうのことが言えないのだろう。
いつも…、いつも…、なぜ…?
調停が始まり、判事が離婚したい理由をただす。
もう愛し合ってないのかと問われると、
ソニョンは即座に答える。
「違います。私たちは愛し合っています」と…。
そしてジュンホに目をやる…。
ジュンホも答える。
「そうです。私も妻を愛しています」…。
ソニュンの口もとが緩む…。
ではなにが理由かと問われ、ジュンホは答える。
努力したが、私は妻を傷つけてばかりきた。
これ以上、妻を泣かせたくないのだと…。
ソニョンは言う、そんなことはありません、と。
と、ジュンホが怒り出す、素直に言えと…。
判事は立ち上がり、言う。
「犬も食わない夫婦喧嘩はよそでやってください。
私は忙しいので」と…(笑)。
そして笑顔で付け加える。
「実は私、あなたの熱烈なファンなんです。
夫と試合を見にいきました。素晴らしかったです。
引退されて残念です」…。
ソニョンはこのとき、
ジュンホのファンの声をはじめて聞いた…。
離婚調停は見捨てられ(笑)、ふたりは裁判所を出る。
なんとなく二人はレストランに入る。
そこへソニョンに自宅から電話が入る。
ソニョンが言う。
ジュンが病気なの、この間あなたが来た日からよ。
うなされてるわ。あなたに会いたがってる…。
ジュンホは驚く…。
ソニョンの車に同乗し、自宅へ向かう。
そして途中…、話があると切り出す。
最近体調が悪くて病院へ行った、と…。
ソニョンに悪い予感が走る…。
悪路なのか、ソニョンの顔が上下に揺れている。
見事な演出だ…。
ソニョンはハンドルを切り、車を止め、聞く…。
「病院ではなんて…? 教えて…」
ジュンホは言う、「誰でもいつかは死ぬ」と…。
ソニョンは烈しくうろたえる。
「なにかの間違いよ。どこの病院? 誤診よ…!」
ジュンホは言葉もなくソニョンを見つめ…、
胸に抱き…、言った…。
おれはほんとうにバカだ。
君と別れるしかないと思った。
誰も知らない場所で死のうと思った。
君が俺を嫌いになり、忘れてほしかった。
俺は身よりもないからひとりで死ぬつもりだった。
でも怖くなった、君に忘れられるのが…。
ソニョンは声をあげて泣いた…。
そしてジュンホも…。
ソニョンはまた車を走らせた。
自分たちを待っているジュンのもとへ…。
死の淵に立たされたとき、
ひとはたぶんはじめてわかるのだろう。
自分にとって…、
自分たちにとってほんとうに大事なものはなんなのか…。
それまではひとはただ、誰もが愚かさを繰り返すしかない。
あまりにも愛しすぎる愚かさを…。
※「15話__2」へ
●rieさん
お久しぶりです。
いちばん大きな夏休みプレゼントをもらっているのは、
たぶん私なんじゃないかと思っているのですが…(笑)。
ほんとうに素晴らしいドラマですもんねえ。
「あまりの切なさに毎回、なかなか再生スイッチが押せない」
お気持ち、よ~くわかります…(笑)。
こんなにいつも憑依されっぱなしで、ビョンホン、よく身が
もつなあとちょっと心配になっちゃいますねえ…。
ありがとうございました。

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■韓国ドラマ 1997年
演出: イ・ジャンス
脚本: キム・ヒョソン クォン・ユンギョン
音楽: チェ・ギョンシク
出演
イ・ビョンホン ・・・ファン・ジュンホ
シム・ウナ・・・ ・・ユ・ソニョン
キム・ミンサン・・・キム・ジュン
ユ・ヒョンジ・・・・・キム・ウォン
ソン・スンホン・・・イ・ミニョク
オ・ジミョン ・・・・・ユ医院長
キム・スミ ・・・・・・パクおばさん
ソン・オクスク・・・・チャン・スンジャ
ソン・ジェホ・・・・・チョ
チェ・ジョンユン・・・ウニ
ソン・チャンフン・・・カン・ドンス









ソニョンとジュンホは離婚調停室で話し合いをする。
結局お互いを大切に思っていることだけが判り離婚には至らなかった。家ではジュンが”しょうこう熱”で寝込んでいた。戻る車中、ジュンホは自分の病気が悪化していてもう長くないことをソニョンに打ち明けた。
ソニョンは出来る限りジュンホの力になることを誓う。家族4人で遊園地へ遊びに行った時、テレビで放映されているミニョクの試合にジュンホは夢中になった。
帰り道、残された時間を有意義に生きるためにジュンホはボクシングに再び挑戦し、ソニョンは応援することを約束する。
この記事へのコメント
「遠い路」で一度コメントさせて頂いてから二度目のお邪魔ですが、いつもいつも楽しみに、こちらをのぞかせて頂いてます。この度はビョンホンファンのためにホントにビッグな夏休みプレゼントを有難うございます。
真実のの愛とは、本当の幸せとは、家族の意味とは、愛する人を受け入れる形とは・・・と
多くの問いかけと共に、胸が張り裂けんばかりの感動と切なさを残してくれた作品でした。何度も観ましたが、あまりの切なさに毎回、なかなか再生スイッチが押せないという勇気のいる視聴となりました。どの作品もそうですが、ビョンホンシの役柄への憑依、とことんまで生き抜いている様に胸が震えます。後一話でお別れかと思うと寂しくて仕方ありませんが、タオルを用意してお待ちしていますね。山崎さんのこのドラマの総評がたのしみです。
先が長くないと聞いた後のバスの中のガラスを挟んだ映し方、ギョッ!としました。
夏が来ると思い出すのは去年の豊洲でのGIJOEのレッドカーペット、試写会です。嬉しいのは今でもビョンホンさんがその時の日本ファンの熱狂歓迎を話題にしてくださる事です。「美しい彼女」のころはハリウッドどころか、日本との交流もここまでなるなんて考えられなかったでしょう。私は試写会に参加出来ました。ここでもどなたかが握手できたと報告があったと記憶していますが、私は壁際だったので握手攻めにあうビョンホンさんの後姿を見ていました。正確には握手してもらっている皆さんの歓喜の表情を見ていました(笑)。この10分くらいの舞台挨拶も忘れられないものです。韓国映画の試写会ではいつも背負って立っている様子がときに辛くなりますが、この時はとてもリラックスしていて、みんなと仲が良さそうで安心して見られた母心(笑)。13年前のドアラマも決して古くならず、今でも山崎さんの魔力(笑)で鮮やかに蘇りました。これからもビョンホンさんも山崎さんも?挑戦を続けてくださるでしょうから本当に楽しみです。