天国からの手紙 (2003)

[534]映画の価値は完成度じゃなくて心だよ?
★★★★☆☆

画像


韓国映画は不思議な魅力を持っている。
作品の水準からすると、とてもだめだこりゃ、と思っても、
なぜか全然悪く言う気がしないのである…(笑)。

この作品もそう…。

舞台は、渓谷のある山村…。
ソヒという少女の父親が、
「パパは火星に行くのだよ」と言って病気で死ぬところから始まる。

まだ死のわからないソヒは、
パパのことばを信じて、火星にいるパパに手紙を送りはじめる。
と、火星のパパから必ず返事がくる…(笑)。

じつは近所のスンジェという少年が、
郵便局員に事情を話して、いつもその手紙を受け取り、
ソヒに返事を書いて送っているのだ…。

このソヒとスンジョの子供時代の物語と描写は、
掛け値なしにすばらしい。
頼む。
このまま最後まで子どもたちの話で行ってほしい、
と思わず祈るほどだ…。

画像

画像


しかしソヒは、祖母ひとりを村へ残し、
ソウルの叔母の家へ引き取られていき、10数年後になる。
もう…、私があれだけ頼んだのに…(泣)。

画像


スンジェは除隊後、一時ソウルで働いていたが、
いまは故郷の村へ帰り、郵便配達の局員になっている。
そしてソウルに行ったきりのソヒに代わり、
残されたソヒの祖母に毎週手紙を書き、届けている…。

ここまではいい。いいのだが…、
いや、よくない。全然よくないよ。どう考えたって、変っ!

子どものころ、あんなに聡明だったスンジョが、
もしかして知恵遅れ?と疑ってしまうほど、
ただの純朴な青年になってしまっているんだもの。
おいおいおい、人物像が全然繋がってないじゃんか…!(泣)

画像


ね? 上の子ども時代のスンジョと比べて見て。
もう加藤茶みたいになっちゃって…(笑)。

画像


こっちはソヒ…。
ソウルで就職して、
それで10数年ぶりに祖母を訪ねて帰郷してきたの。
うん、美貌は子ども時代の面影がある…。

でも二人の関係となると…。

画像


ほらほら、変でしょう、上の子ども時代の二人と比べてみて。
子どものころは
スンジェのほうが全然お兄ちゃんだったのに、
なんかもうオドオドしちゃってるのよ…(笑)。

ソヒも美貌はともかく性格的にちょっと「?」と思う…?
このときスンジェとキスして、その気にさせときながらさ、
ソウルに帰ると、会社の若き理事に惚れちゃって、

スンジュがソウルに訪ねて行っても、
「思い出は思い出のままにしておきたいの、帰って」
なんて追い返しちゃうんだよ…(泣)。

そりゃ、学費を出してくれない叔母を見返すため、
金持ちの理事と結婚したいってのはわからないでもないけどさ。

でも、え~っ、そういう女だったの?
と、観ててどうももうひとつ繋がらないんだよねえ。

まあ、それはともかく…、

このあとソヒは大切な人間をどんどん失っていく。
おとうさんが死んで自分が取り残されたように、
大切な人間に先立たれて取り残されていく…。

まず、その恋人の若き理事が、
投資に失敗してニューヨークへ戻っていく。
次に、彼女を愛し、育ててくれた祖母が自殺をする…。

じつはこの物語にはもうひとつ大きなお話があるのね。
村がダム建設で水没してしまうので、
村のひとたちはここを離れなくてはいけなくなるの。
で、祖母は、もう歳だし、
この村で死にたいと思って死んじゃうんだと思うんだけどね。

そしてスンジュ…。
かれも一家で引越しの途中、川に入っていき、死ぬ…。

画像

画像

画像


スンジュが入水するのも、
ひとつは水没する村に心が残っているから…。
そしてもうひとつはソヒに振られたから…。
と同時に、ソヒに
「あなたは私の帰れる場所だ」みたいなことを言われたから…。

で、子どものころによく釣りをした場所で死ぬ。
ソヒがいつでも帰ってこれるように…。

そういう意味でいうと、
スンジュのソヒにたいする気持ちは恋というより、
「献身」に近いのかな…?
子どものころからずっとソヒに献身し、献身するために死ぬ。

だから水の中に入ったあとこう言うんだと思う。
「天国(=火星)はここにあった、すぐそばに、この川の中に」って…。

でもソヒがスンジュの死を知るのは、その1年後…。

ある日、春川に引っ越した彼女のもとに
郵便小包が送られてくる。
中味は、帰郷したとき川に流されてしまった彼女のクツと、
スンジェからの手紙…。
でも住所が書かれていない。消印も読めない。

で、故郷に帰り、スンジュの上司だった元局長に会い、
かれはどこにいるのかと尋ねる。

と局長が消印を見て言う。
これは韓国にはない場所だ、と…。
そう。この地球には存在しない場所…、火星(=天国)…。
「天国からの手紙」だったんだよね。

で、ソヒはスンジュが死んだことを知る…、
というお話。

といっても、お話はちょっと迷走しててさ、
とてもうまくまとまってるというわけにはいかないんだけど、
でも…、

うん、いい話だよね。
うん、うん、気持ちはよくわかるよって感じになって、
全然悪く言う気にならないわけね…(笑)。

画像


言いかえると、
創ってるひとたちの志を、心を強く感じるってこと…。

「愛の傷」なんかもそうなんだけどさ。
物語的にも、映像的にも、
けしてそんなにうまく行ってるわけじゃないけど、

こういうことをやりたいんだよね、
こういうことを伝えたいんだよね、うまく言えないけどさ…、
みたいなことがよく伝わってくるんだよね、韓国映画って。
有名になりたい、お金を稼ぎたい、みたいなことだけじゃなくて…(笑)。

劇や映画の言葉って、喋り言葉だよね。
喋り言葉は誰でも持ってるわけだから、劇は誰だってできる。
それが劇の一番いいところ。すばらしいところ…。

で、その劇(映画)でもって韓国のひとたちは、
自分たちの心を一生懸命表現しようとしてる、というのかな?

それがよく伝わってくるから、
例え出来はそんなによくなくても全然悪く言う気にならない。
ということだと思うの…。

私が逆に「霜花店(サンファジョム)」をあまり評価しないのも、
じつはそれがこういう作品に比べたら全然伝わってこないから…。

そうなんだよね。
劇や映画の価値は作品の完成度にあるわけじゃないのよ。
創ってるひとたちの志が、
心がちゃんと伝わってくるかどうかなのよ。
観る側もそこを観てるわけであってさ…。

この映画も、そういう意味ではほんとにお奨めです。


●たまねぎさん
え? シン・ハギュン、加藤茶に似てませんか?
私は「JSA」で初めて観たときからそう思ってたんですが…(笑)。
でもこの映画、シン・ハギュンが悪いんじゃないんです。
監督が少年期と青年期の人物イメージをちゃんと繋いでないんです。
繋いで、それをシン・ハギュンにちゃんと伝えてないんです。
全部監督の責任なんです…。
水中のシーン、すごくいいですよね。
なのに火星と無理やりくっつけようとするから、
訳わかんなくなっちゃう…?(笑) もったいないですよね。
ファンサイトではこの作品「?」なんですか。
うまくは行ってないけど、私はとてもいい映画だと思いますけどね…。

●ありがとうございました。

クリッとしていただけると嬉しいです
使い捨てコンタクトレンズ★安い・早い・確実にお届け★
デメカル血液検査キット


にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村

ブログん家


■106分 韓国 ロマンス

監督: キム・ジョングォン
脚本: キム・ジョングォン
チョ・ウナ イ・ソヨン
撮影: イ・ソッキョン
音楽: イ・ジェジン

出演
シン・ハギュン スンジェ
キム・ヒソン ソヒ
パク・ソヒョン
キム・イングォン

亡くなったパパが火星に行ったと信じる幼い少女ソヒ。パパを恋しがって送った火星行の手紙は、周囲の人々を切なくするが、まもなく神秘なことが起こる。地球から1億kmも離れた火星から、パパの返事が来たのである。手紙は、ソヒに懐かしいパパの安否と共に、美しい初恋をプレゼントして。
隣家の少女ソヒのために、夜中書いた手紙を真っ赤なポストへ入れたスンジェは、故郷の村の郵便配達人になった。ソヒがいなくなった今でも、彼女のおばあさんに、以前ソヒにしたように、来ない返事の代わりをしてあげている。
火星にしばらく旅行に出かけたパパが手紙を送ってくれていると信じたソヒ。彼女はいつの間にか冷たい都会で、成功のために明け方から夜遅くまで休まない女になった。ある時、富と成功を得た一人の男性と出会い、新しい愛を始めるが、彼女に試練は相変らず訪れる。
全てを失い一人になったソヒは、唯一残った大切な愛スンジェを訪ねる。しかし、いつもそうだったように、スンジェは今回も彼女より先に出発していた。ソヒの最後の大切なものとなるために... ソヒの大切なものがそっくり集まっている星、火星へと。

この記事へのコメント

たまねぎ
2010年09月08日 19:33
加藤茶はヒドイなーです^^;
でも、山崎さんがこの映画取り上げてくださって@@するやら嬉しいやらです!私シン・ハギュンもファンなんですが、彼の作品のベスト3に入ってる映画なんです。
この映画、ハギュンファンサイトではあまり?なのですが、私にはファンタスティックで余韻の残る、心温かくなる映画でした。ハギュンの水中を潜って行くところや水中でのシーンが特に印象に残ってます。
ハギュンは「トンマッコルの人々」でファンになったのですが、ずっと以前に観た「JSA」にも出ていたことをこの後に知りました^^;

この記事へのトラックバック